「子供たちが空に向かい、両手をひろげ
鳥や雲や夢までも、つかもうとしている
その姿は昨日までの、何も知らない私
あなたにこの指が届くと信じてた。
空と大地が触れ合う彼方
過去からの旅人を呼んでいる道
あなたにとって私、ただの通りすがり
ちょっと振り向いてみただけの異邦人」
-アリスが道標と邂逅した頃(36話)の時間軸-
ビアンカ「あっれれ~?リースお姉ちゃんも、お兄ちゃんも、みぃんなまた消えちゃった。道標さんのお力なのかなぁ」
アスフィア「わたしはここに居るわ。ビアンカ」
ビアンカ「あっ!アスフィアさんご無沙汰ぶり♬」
ビアンカはアスフィアさんのもとへ駆け出していけば、アスフィアさんは小さな子供を見守るきらきら星みたいに優しく頭を撫でてくれた。
アスフィアさんはかつて自分が主君だった都市が大震災で無くなっちゃってから、いろんな場所を巡っていくうちに同じような悲劇が起きないようにって、いつ津波で水没しちゃってもおかしくないアルトマーレに流れ着いたときに、人一倍ずば抜けて超能力と信仰に長けていたお兄ちゃんとビアンカを見つけて不思議な守り神としての御力を授けてくれたの。
その証がお兄ちゃんと対になるように渡されたこころのしずく。
それからアルトマーレは永遠の平和の象徴として、観光都市として栄えるようになったんだ。
ほどなくしてアスフィアさんが守るために転移させた都市からギンノちゃんが訪れてきて、3人すぐに仲良くなれた。でもその頃にはもうアスフィアさんは来たるべきのためだってエネルギーを補充するために、アルトマーレの端っこに自分で建てた遺跡の奥深くで眠っていたから、ギンノちゃんとは面識がないままだったんだけども……。
まさかさっき2人が一緒にやってくるなんて思わなかったから、リースお姉ちゃんのライバルの筈なのにビアンカったらギンノちゃんを見たときに嬉しくなっちゃった。もちろんこの気持ちはリースお姉ちゃんにはナイショの話。
でも2人は出会っていったい何をするつもりだったんだろ……?
アスフィア「いい子にしていたか」
ビアンカ「うん!新しいマスターも出来ちゃった!」
アスフィア「ほう。道標に選ばれたあの幼子か」
ビアンカ「知ってるの?」
アスフィア「銀の令嬢から話は聞いている……なるほど、システムエラーか」
ビアンカ「……アスフィアさん?」
アスフィアさんは自らの絶大すぎるエネルギーを抑えるために、なにかすごそうなオーラのこもった布生地で両目を隠しているから表情が分かりにくいんだ。
でもミステリアスなクール美女って雰囲気がしてセクシーだよね♪
それにしてもシステムエラーっていったいなんの比喩?きっと聞いても答えてくれなさそうだから、気を紛らわすためにビアンカはカフェテリアのお話とか大団円の冒険譚とか、リースお姉ちゃんとの思い出を語ってあげた。
興味があるのかないのか判別できなかったけど最後まで聞いてくれたからビアンカは恐怖も忘れてすっかり勇気が出てきちゃった。
ビアンカ「やっぱり悔しかったな~、せっかくメガシンカできたのにかないっこなくて……」
アスフィア「・・・導を?ビアンカ、すまないが時間がない」
ビアンカ「えぇっ!?アスフィアさん消えちゃうの?」
まだまだお話ししたいこととか聞いてほしいこととかいっぱいあるのに。お兄ちゃんが居ないうちに用意しておいた、ここだけのお兄ちゃん暴露トークが目玉コーナーなんだよ!
アスフィア「必ずわたしらは出逢うだろう、同じ鼓動の音を目印にして」
アスフィアさんは白くて細長いすらりとした指先で、ビアンカがずっと大事に抱えているこころのしずくを指差して言った。
アスフィア「ようやく道標に終止符をつけられそうだ……他ならぬビアンカ、貴妹のおかげでな」
ビアンカ「えっ!?よくわかんないけどビアンカ、アスフィアさんの役に立っちゃった?やーりぃ♪」
ピースサインを送って喜びと感謝を同時に伝えて飛び跳ねてみたり。もしかするとビアンカのお土産話のおかげかな、なんて今だけ自惚れておこっと。
アスフィア「目を瞑れ」
ビアンカ「ふぇ???……はーいっ!」
言われた通りにおめめを瞑って待機した。時間がないらしいからお客様のご要望はちょっぱやでオーダーを通さなきゃね!
アスフィア「いいか。目が覚めたらブルーという少女を当たれ。そやつが銀の令嬢に代わって貴妹を導いてくれるだろう」
ビアンカ「ぶるぅ……ん、あっ……んぅっ」
アイスクリームみたいにひんやりして、ぷるんってした感触がビアンカのおくちにソフトタッチされた。……嬉しい、ビアンカ、やっとアスフィアさんに認められたんだ。お兄ちゃんよりも先に……えへへっ。
唇がタッチしあった瞬間、ビアンカの身体はどこかへワープしていくような感覚に襲われて、次第にアスフィアさんの声も遠のいていっちゃって……。
アスフィア「導なきトレーナーが交差した刹那……わたしは迎えに来る。それまでいい子にしておけ、ビアンカ」
うん。いい子にして待ってたら来てくれるよね?
……ほんのちょこっとだけ薄目でアスフィアさんの綺麗なお顔を拝見してみた。
輪郭がぼんやりとしててはっきりと見えなかったけども、
生まれてはじめて見る、アスフィアさんの綺羅星みたいに澄んだ瞳に吸い込まれちゃった……。
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ビアンカ「いらっしゃいませ♪ご注文は何になさいますかっ?」
あれからビアンカはブルーって子の情報を手っ取り早く集めるために、身体に染み付いたウェイトレス稼業でお客様たちから情報を募っていた。
色んな地方を飛んで回った。ホウエンに始まって、カントー・ジョウト・シンオウ、海を越えてイッシュ・カロスにいたるまで、ビアンカはこの身一つでがんばったよ。
そういえばリースお姉ちゃんはビアンカの知ってる経歴とはなーんか微妙に食い違ってはいたけれどやっぱり有名人だったんだよね……へんなの。あ、有名なのは当然のことだけど、経歴がおかしいってとこね!ビアンカってば舌足らずさん♬
でもそれとおんなじくらい変だったのは、誰もギンノちゃんを知らなかったこと。別の地方ならいざ知らず、チャンピオンになったホウエンとシンオウの人たちですら聞いたこともないなんて、こんなの絶対おかしいよ!
……アスフィアさんが言っていたのはこのことだったのかな。
それでも決して諦めることなく知らない土地まで足を運んだときに……がんばったねってお星様からご褒美が贈られてきたんだ。
ビアンカ「こんにちはお姉さんっ♩」
ブルー「あら?萌えもんのほうからおしゃべりしに来てくれるなんて。こんにちは、ラティアスちゃん」
声を掛けてみた女の子は、リースお姉ちゃんをそのまま茶髪に染めてカジュアルな格好を着させたようで、活発ながらもなんだかちょっぴりいじわるそうな感じのトレーナーだった。
萌えもん、っていうのはこっちの世界のポケモンの俗称なんだって。だからビアンカはまた大団円みたいな異世界に来てるのかなって思ってた。今日までは……。
ビアンカ「わぁ!ビアンカのこと知ってるの?」
ブルー「ビアンカ?……あなた、誰かの萌えもん?」
ビアンカ「ん~、二重の意味でそうかも」
リースお姉ちゃんとギンノちゃんのお顔を並べて思い浮かべながら生返事。
ブルー「どういう意味よ……」
怪訝そうな視線を向けられちゃった。たしかに混乱させちゃう言い方だったよね。言い直そうとちょこっと考えてみたところでアスフィアさんとの会話を思い出して、ビアンカはちょっぴり嘘をついてみました。
ビアンカ「えっとね……ビアンカのマスターさん、みんな居なくなっちゃって」
瞳に涙をつくって潤ませた目でうつむきながら演技をしてみる。ほんとでもないけどうそでもない、リースお姉ちゃんが策を見出す際に使いそうな曖昧な言葉遣いで。えへへ、いい子のはずなのに悪い子の真似しちゃった。
ブルー「そうなのね……」
あ、なんだか効果は抜群そうかも?
ダメ押しにもうひとつ、ビアンカの特殊能力《心理定規》で深層心理に……
ビアンカ「ぷ、ぷプ、プロポーズ大作戦!?」
どうしようお兄ちゃん、人間さんから求婚されちゃいました。
ああでもダメ、ビアンカにはリースお姉ちゃんとギンノちゃんがいるから。三人川の字になってベッドで恋バナしながらおやすみするのが夢だから……。
パニックになってあたふた、勢い余ってサイコボールを投げちゃいそうになってると。求婚相手から思いもよらない発言が飛んできてビアンカは冷静にならざるを得なかったの。
ブルー「自己紹介がまだだったわね。アタシはブルー!マサラタウンのポケモンマスターよ!」
だってまさか、偶然声をかけた女の子がブルーさんだったなんて。
ビアンカは落ち着いてウェイトレスの制服を模した紅白の私服を整えて銀色のヘアーを結び直したら、200%スマイルな表情を作って挨拶をしたの。
ビアンカ「ビアンカは今からあなたの萌えもんになります!よろしくねっ」
ブルー「えぇ、こちらこそ。…………待っていたわ」
アリスちゃんよりもほんのちょっとだけ大きな手と握手をかわして、ビアンカはアスフィアさんのアドバイス通りに、ブルーさんの仲間として一緒に旅をすることになった。これで何か変われるのかな?ドキドキを抱えて……。
ブルー「マスターボール」
ビアンカ「え」
一瞬の出来事に何をされたか分かんないまま、ビアンカはモンスターボールの中へ収納されちゃった。居心地が悪いってわけじゃないんだけど、自由に動けなくって窮屈だからアクティブにずっと動き回っていたいビアンカにとっては、あんまり好きな空間じゃなかった。ううん、でも連れ歩きしてるほうが珍しいもんね。カフェに来るトレーナーさんだってだいたいはボールに収納しているし……これが普通のはず、なんだけれど…………あれ?どうして、モンスターボールの中にいるだけなのに頭がボーってするんだろ……思考回路がどんどん閉ざされてって……。
ブルー「うふふ。これでワタシだけのモノよ……ビアンカちゃん♡
もう、アリスなんてロリィタに渡したりしないから」
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そして現在
モンスメグ「断崖絶壁今何処★」
6号「完全に迷いましたね」
ゆん「人っ子ひとりいないわよ」
アリス「探せ。トレーナーという生き物は探検が呼吸のようなものなのだ、ましてやわざわざビアンカを求めていたとなれば、なおさら地道に探すほかあるまいよ」
ボクはゆんの翼でキャンディーを頬張りながら命令をくだす。
アークを乗せて飛ぶグレアを見てみろ、もともと幽霊のみならず人・萌えもん・超常現象にいたるまで捜索スキルに長けた巫女の能力を用いて、ダウジングや口寄せを使って頑張っているじゃないか。
そらのはしらに向かう時からどうやって空中を歩いていたのか理解したくもないがメグにはSYSTEMがあるんだし、ゆんは連続飛行時間が最も長い種族な上に非常に恵まれた視力と聴力を駆使できるだろう、それにアークは爆裂魔法が上手い。
ほらお前らどんどんアドバンテージを活かせ。
ボクの役割はブルーが見つかってからなのだ、分かったらさっさと探せ~。
アリス「のほほ、このファッションもよいのう。ポチろう」
ゆん「ちょっと。こっちじゃエリカさんは身内じゃないのよ、どこから資金を調達するつもり」
アリス「24時間ずっと胸肉を出している鳥はうるさいの~」
ゆん「なっ!もう揉ませてあげなくてよ!」
アリス「オトナの身体はつらいのぉ~、ボクみたいな可愛いセットアップも着れなくなって似たようなデザインばかり揃えるようになるんだから。年齢差のジェラシーは見苦しいぞ?」
ゆん「だったらシロさんとでも一緒にいれば良いじゃないの!」
シロ「でしたらーーーご要望通りこのままアリスだけを奪い去りましょうーーー」
ゆん「きゃああああぁっ!?ホントに来ちゃったわ!?」
慌て踏めてくライド萌えもんのおかげでバランスを崩しそうになって、あわやお空の下から落ちそうになったところを、名前を出したら突如現れたシロがホワイトヴェールでキャッチをしてくれてシロに抱きしめられながらお空の旅を続投することになった。
おお、普段乗ってばかりだったけどこのスタイルでのそらをとぶも中々オツではないか。
モンスメグ「ほわちゃん☆まっしろわーるど♬」
6号「こうやって相まみえるのは初めてですね」
シロ「ほわちゃん……ふふふーーー」
グレアット「メグちゃんのネーミングセンスが気に入られていますっ!?」
出会って1秒で即フレンズ。こいつら順応性だけはピカイチなんだよな、もっと別の方面で活かしてほしいものだ。
シロの再来に膨れっ面で迎えるゆん。
ゆん「いきなり出てきてびっくりするじゃない……呼ばれて飛んできちゃったのですか、みちしるべさま」
ゆんはシロに対してどこかトゲのある接し方だ。さては自分の特等席を取られたことをずっと根に持ってるつもりか?相手が悪い。
神様の登場というのにそんな軽々しい心構えで出迎えていたのはこいつらだけであって、実はボクはシロが訪れることを予見していた。使命を持たせた張本人がボクに無駄な徒労をさせる意味がないだろう。だからこそ敢えてシロに勝手な確執を作っているゆんを煽って呼応させてやったんだ、ほんとに来るかは半信半疑だったけど。
アイデンティティーのひとつでもある雪よりも白い純白のローブに包んで、自身の胸元に抱きあげたボクの髪を撫でまわしてきながら器用に飛行しつつ、シロは頭上で静かにささやいた。
シロ「ビアンカの居場所を掴みましたーーー」
グレアット「申し上げにくいのですが既に存じ上げておりますっ。ブルー、という女の子の所でしょうっ?」
いけしゃあしゃあと炎髪灼眼の巫女が告げると、抱きしめられていても顔色が分かるくらいにしょんぼりとした様子でシロが続けた。
シロ「むぅーーーわたしの先を越すなんて大したものですねーーー」
モンスメグ「オイオイオイ。死ぬわあいつ」
6号「炭酸抜きコーラって美味しそうですよね」
アリス「もこもこもここ……」
ええい、わざわざローブの中にボクを全身ごと包み込んでぐいぐい抱きしめるな、呼吸が苦しいでありんす!お前だって導のないこの世界だったら全知全能のチカラを発揮しきれんだろうが!
ゆん「離してあげたらどうかしら。アリスちゃんと~ってもイヤがってますわよ?」
シロ「このまま続けますーーーそれ自体は大した報告ではありませんーーー」
続けるな。あとなんでこんなバニラアイスみたいな香りすんのお前の身体。宇宙が生まれる前からバニラの星でもあったのか?
ゆん「くっ……私の力量では敵わないのが悔しいわ」
6号「どうどう。それでシロさん、ビアンカさんの居場所自体は大したことじゃないなんてどういう了見ですか」
グレアット「言葉足らずですよっ、シロ様っ!」
それは言えてる。
モンスメグ「kwsk」
シロ「ブルーの手に渡ってしまったことーーー
それそのものが危険極まりない緊急事態と言いましょうかーーー」
いやいや回りくどいんだって。あとそろそろバニラの香りで窒息しそう。
6号「……ブルーさんについて何かご存じそうですね」
グレアット「教えて頂きたいですっ!」
ヤバい頭がぽぇぽぇしてきた……道標、恐るべし……。
シロ「ブルーはーーー
ここ、原初の箱庭に生まれ落ちた”最初の一族”なのですーーー」
モンスメグ「やブN」
シロ「わたしが宇宙を創り、はじめにこの箱庭を創り上げたことは周知の事実でしょうーーー
まずはうゅみが生命を創りーーー
ユリに水を創ってもらいやがて海となりーーー
ギィが大陸を創り上げーーー
ナナが天空を創りましたーーー
そして生命を育むためにカルマが自然を創ったのちーーー
希望ある未来をキュレムが約束しーーー
現在の星が出来上がりましたーーー」
グレアット「そこから始まるんですねっ」
6号「長丁場になりそうです」
ゆん(zzZ)
モンスメグ「はじめが肝心つーんだつーんだ♪」
シロ「それからポケモンが次々に誕生し、同じようにポケモンを育てる人間も増えていきましたーーー
ポケモンは人間とよりよい関係を築くべくのちに萌えもんと呼ばれる現在の姿へと変わりーーー
トレーナーと萌えもんが共生する素晴らしい星になりましたーーー
やがてトレーナーは強さを追い求め、各地で星を見守る格式ある萌えもんーーー
あなたたちでいう伝説の萌えもんを捕捉し自らの手に収めようと考えだしましたーーー
うゅみは面白そうという理由ひとつで伝説の萌えもんの分身をいくつも創りますーーー
はじめのうちは良かったのですがーーー
次第に強大なエネルギーを制御しきれなかったり、そのエネルギーを悪用しようと企てる者も現れてしまい混乱していきますーーー
大地を侵食されてギィは怒り狂いーーー
大海を汚染されてワダツミも同じようにーーー
そこでわたしは一手を投じることにしたのですーーー」
アリス「ぷあぁ!……はぁ、はぁ……箱庭計画か」
どうにかローブの中から抜け出して顔だけでも出すと、眼前にあるシロの瞳を見つめて真相を告げた。トレーナーと萌えもんのさらなる発展のために手を貸したうゅみの目論みが思わぬ形で転がっていってしまったのだろうか、それを解決すべく始まったのが新たな世界を生みだすという、いかにも神様らしい発想だ。
シロ「あなたの口出しは最後ですよーーー
まだだーめーーー」
アリス「都合がわる、んもふぅ……」
健闘むなしくシロのローブ内に戻されて発言権を取り上げられてしまった。しょうがないから話を聞きながら、インナーの真っ白いキャミソールでも引っ張って遊んどこ、ここならゆんに見えないからちょうど良いや。見た目も香りもコーデもオールホワイト。
シロ「きゃっーーーとにかくーーー
わたしは幾つもの宇宙を作り続けーーー
その数だけ伝説の萌えもんを用意しましたーーー
トレーナーの人生の数……無限にも等しい箱庭たちをーーー」
6号「そんな壮大な裏側があったんですね」
グレアット「つまり私たちの分身もそれだけ居られるんですねっ……」
モンスメグ「わたしがわたしをみつめてました☆」
メグが1人いるだけでも手に負えないのに何人も集まった日にはこの世の終わりだぞ。イメージしたら頭痛がしてきた、バニラアイスで癒されておこう。うわこいつめちゃくちゃ体温低いな、それにぺったんじゃん。
シロ「っ……ギィとケンカをしたのはその辺りですねーーー
折衷案として失敗した箱庭の良い一面だけを掬い上げて、いつの日か陽の目を浴びれるようにやぶれたせかいを生成しましたーーー
ギィの手を煩わせないよう管理はティナとナナに任せーーー
そしてユリは原初の箱庭に留まってーーー
七英雄が様々な宇宙を巡る間も守り続けてくれていますーーー」
昔話に飽きてきたのか、今をときめきたい代表がメスを入れてきた。ボクも過去の年表に興味はないが本題に入る前に前置きは必要だから仕方あるまい。つまりこっそりバニラアイスについてるストロベリーを食べても仕方あるまい。はむっ。
モンスメグ「メグが何人目のライコウとか大団円がいいとこ取りのダストシュートとかどうでもいいんだよね~ぶっちゃけ。
アリスちゃんが生まれたこの一番星はそれからどしたのわさわさ」
シロ「ばか…原初の箱庭はそれからーーー
発展と衰退を繰り返しながらも段々と成長の一途をたどりーーー
道標のわたしや七英雄がおらずとも繫栄していくーーー
そう信じておりましたーーーしかしーーー
ミチーナの町へ巨大な隕石が降り注ぎ絶滅してしまったのですーーー」
グレアット「なんて無慈悲なんでしょうっ」
6号「シロさんは救えなかったんですか?」
シロ「わたしが救えば道標になってしまいますからーーー
代わりに命の宝玉を以て人間と萌えもんの祖先だけでも自然に発生するように施しておきましたーーーさながら箱舟のようにーーー」
モンスメグ「💡"最初の一族"って」
シロ「ブルーと血を引く先祖にあたりますーーー
彼女の血族は代々、原初の箱庭を守ってきましたーーー
わたしの宝玉の能力を無意識のうちに用いながらーーー」
6号「なんとなく理解はできました。……ブルーさんのそれと今回の件にどんな繋がりがあるんです」
シロ「"最初の一族"のなかでもーーー
わたしと出会える資格を得た者にはこの真実を打ち明けていましたーーー
そうして時代を超えて数千年彼女たちとは良好な関係を結んでいたのですがーーー
絶滅したはずだった、うゅみが創った生命の遺伝子を持って生まれた子の発現したのですーーー
奇しくもブルーと同じ年の女の子でしたーーー」
うゅみって聞いていたずらごころが芽生えてきたな、このローブ伸縮性も奥行きもあるしちょっと身体の向きを上下反転できないかな……よし、ボクが130cmに満たない子供のおかげでなんとかなった。女の子同士としてシロのコーデをくまなくチェックしなきゃね。おー、やっぱり純ぱk……
シロ「アリスーーーここから大事なお話ですよーーー」
アリス「んにゃぁ」
今そんなに抱きしめられたらダイレクトにバニラソルトが!シロと言われたらクロだって言っちゃう!……あぅ。
シロ「先ずブルーについて語りましょうーーー
ブルーは先天性センスと断言できる萌えもんトレーナーとしてわずか9歳にしてポケモンマスターの座を上り詰めてしまいますーーー
そうしてすんなりわたしと出会いーーー」
ブルー「素敵じゃない、やぶれたせかい!だってアタシでもまだ見たことがない萌えもん達にトレーナーとのバトルが待ってるんでしょう?それも一生かかっても出会いきれないくらい……手伝ってあげるわ、アルル!」
シロ「そうして彼女はわたしがもう箱庭を創らずとも良いようーーー
導なき純血のトレーナーとして宇宙中を駆け巡りますーーー」
グレアット「ブルーさんにはブルーさんの使命があるんですねっ……」
モンスメグ「蒼の波動を感じる☆」
シロ「しかしブルーにとってのアクシデントが起きますーーー
うゅみの遺伝子を引いて生まれてきてしまった唯一の人間ーーー
アリスーーー
あなたがわたしと逢うべくして育ったからですよーーー」
アリス「はぅぅ~」
ゆん「ちょっと!気を失っているじゃない!?みちしるべさまが窒息死させちゃいました~!!」
グレアット「だいじょうぶですかっ?」
6号「もう放っておきましょうよ」
モンスメグ「ほーお。それでだれがこのアリスの代わりをつとめるんだ?」
シロ「……刺激が強すぎましたかーーー」
ーーーーーーーーーーーー
うゅみ「これは”たとえば”の話だけどぉ。あたしがアンタらに語るのはぁ、たとえばそんなメルヘン。」
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Part43へつづく!