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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part28

天は神の栄光を物語り、大空は御手の業を示す。
昼は昼に語り伝え、夜は夜に知識を送る。
話すことも語ることもなく、声は消えなくとも、
その響きは全地に、その言葉は世界の果てに向かう……。

ミズキの能力を用いてダークライによってグレアが見せられているナイトメアへと降り立ってみると、筆舌に尽くしがたい衝撃的な景色が広がっていやがった。紅葉と表現するには悪趣味すぎる赤い草原、夕日と表現するには不愉快すぎる赤い大空、ここにいるだけでも気が触れちまいそうになった。

アリス「なんだここ……真っ赤じゃないか」
ミズキ「随分と手の込んだ悪夢ですの」

左手に口元を添えて皮肉を吐くミズキ。右手はボクが迷わないようにとボクの左手を固く握りしめるだけでなく、自身の背から延びる桃色に薄く透き通った羽衣を使って手首までも巻き付けるくらいの徹底ぶりで、その何気なさだけでも此処は異常な危険地帯なんだと実感させられる。
しかし真に危うくは音も気配も感じられない聴覚でも毒々しい視覚などでもなかった。現実からかけ離れすぎた景観であるというのに、まるでここが現実の世界なのではないのかと認知しそうになる強烈な幻覚作用にあったのだ。
幸いミズキが羽衣から発し続けてくれているオーロラ色の粒子を浴びているおかげで、正常な認識を示せているものの、この幻覚を幾度も重ねられ続けているであろうグレアはもしかしたら、もはやこの世界に取り込まれてしまっているかもしれない……。そんな不安がよぎりながらも、この遥か永遠にも近い地平線をあてもなく進み続けていく。グレアの暖かい笑顔とまた会えると信じて。

だがそんな希望は打ち砕かれた。

アリス「あ……!グレア!!グレアじゃないか!!」
愛しきグレアットの姿をようやく見つけられた感動で身体の熱が浮かされて躍動していく、先導してくれていたミズキを引っ張る形になっていることがそれだけボクをハイテンションにさせた何よりの証拠だろう。
しかし何度名前を呼んでも反応はなく、睫毛が触れそうな位に接近すると、彼女の表情は今まで見たこともないほどに、生気を……正気までもを失っていた事実に衝突してしまった……。
アリス「グ、グレア……?おい!グレアット!!」

ミズキ「おかしいですわ。この夢に閉じ込められてからまだそんなに経っていない筈でしてよ……特別瘴気にかかりやすい体質としても流石にここまでは……」
ダークライと対を成すミズキですら仰天を隠せておらず、口振りからして本来よりも重症化が進んでしまっている事態であるのだと示唆していた。
アリス「ミズキの羽根を使えば……!」
一縷の望みを託して三日月の羽根を手に取るが、受け渡した彼女に上から
やんわりとを置かれてセーブされてしまい、苦悶に満ちた顔つきで首を横に振られ拒まれてしまった。

ミズキ「確かにわたしの羽根は悪夢から意識を飛ばして在るべき肉体へと還す働きがありますわ、ですが今のグレアット様にはその還すための肉体自体がこっちまで来てしまっておりますのよ」
アリス「なにゅ……ってことは目の前のグレアは魂魄体じゃなくて、ガチのグレアなのか?」
ミズキ「そういうことになりますの……ですので、御心苦しいでしょうがわたしの羽根はもはや無意味ですわ」
アリス「……つまり、グレアの身体をボクたちの世界へ戻して来れれば良いわけだな?」
ミズキ「有り体に言ってしまえばそうなりますゆえ…………ッ!」
アリス「ふーむぅ……だとすればその方法を模索せねば……」
なんとしてでもグレアを救ってやりたい。どうして夢に肉体ごと引っ張られてきているのか、どうしてこちらに反応できないまでに精神が廃れてしまっているのか……?

ミズキ(ふつうの9歳児でしたら、誰だって耐えきれかねないこんな異様な檻の中で、それもそこで見つけ出した大事なパートナーが自分を分からないなどという、絶望に打ちひしがれておかしくないそんな状況ですのに……この子はどうしてここまで気丈に振る舞えますの?)

うーん……いくらなんでもこれまでと規格が違いすぎて何もまともなアイディアが浮かばないな。とりあえず気になったことをいくつかミズキに聞こうかと彼女のほうへと首を上げると、当事者であるボク以上に深刻そうな顔を浮かべているのが下から見ても分かるレベルだったので、こっちがギョッとして滅入りそうになっちまった。
アリス「ミズキ?!」
ミズキ「リース様。」
か細い声で名を呼んでミズキは膝をかがめて至近距離からボクのことを見下ろす、今にもダムが崩壊しちまいそうなメランコリーさで。もともと透き通った心地のいい宝石みたいな声だったから、そんなか細い声を出されると砕け散りそうで気が気じゃない。そのようなボクの心情を知ってか知らずか、彼女は意を決して問うてきた。

ミズキ「リース様は弱冠9歳であられながら、どうして泣き喚いたり怒り狂ったりしないで冷静でいられるのでして?正直申し上げますとわたしであっても、グレアット様をお助け出来るかどうか分かり得ませんの。まだお目に掛かって間もありませんが、それであってもわたしだって辛いのです……どうしてリース様はそこまでお強く」
アリス「本気で言っているのか?」
ミズキ「えっ……」
アリス「とうに臨界点は超えている。なんならお主と相まみえる前からギリギリだったよ。それでも今こうやって立てているのは、同じグレアのためにとボクの手をずっと握ってくれているミズキがいてくれるからよ」
ミズキ(!!)
アリス「ここよりも目が真っ赤になるまで涙を枯らしたいし、喉を枯らして声が出せなくなるまで怒り叫びたいし、足が動かなくなるまで逃げて走り回りたいさ。でもそんなはしたないことを人前でやっちゃお姉様に叱られちまうし、大切な仲間たちを守るためには感情論になっちゃダメだ。唯一許される感情は、かけがえのない信頼だけなんだよ。ミズキ」
とか言っちゃって一息で捲くし立てては見たものの、いま完全に情に流されて論理回路抜きで脊髄のままに、風に巻かれたまんまで言の葉をダイレクトに三日月へとぶつけてしまった。三日月の彼女は夜空色の目を満月みたいに丸くさせて何秒か静止したのちに、ケタケタと無邪気に笑いだしたではないか。

アリス「面白いことなんか言ってないぞ……って、わぷっ」
視界が空へと半回転して、またぎゅ~っと抱きしめられてしまった。と思いきや、両手ともに指をぜんぶ折り重ねていて、赤い土をバックに押し倒されていた。彼女の眉目秀麗な顔立ちが近づき、甘くて色気の濃い吐息に吹かれ、煌びやかで芳しい粒子を浴びて、つい先ほどまでおびただしかった赤で刷り込まれていた目の前は、一瞬にしてミズキだけでいっぱいになった。それは視覚嗅覚聴覚だけでなくって、薄唇という味覚も、体温という触覚も、五感全部でミズキを感じられている……。
急にドレスの裾がめくれていないか、胸元のフリルリボンの締めつけがゆるくなっていないかなんて気になっちゃって、隠したくてぺったんとした胸を押し当ててみたり両脚をミズキに絡めたりなどとしてしまって。彼女はそんな行為を感触で察したのか唾液の架け橋を垂らして艶やかに笑みを零していた。

ミズキ「子供らしくもっと素直になっていいのでしてよ……わたしが全部迎え入れてあげますわ……」
アリス「はぅ……!」
慈愛にも満ちた愛情をそんなストレートで押しこまれてしまうと、エリカお姉様以外の人のことを好きになっちゃう……!?
で、でも、大人の階段をのぼるためのシンデレラになるためだったらこれくらい羽目を外してみたって……。

《私の物念世界でなにを情事に及んでいるのですか……っ!》

アリス・ミズキ「!!!」
切り裂いたのは耳をつんざく覇気に溢れた一喝だった。
ボクたちは瞬時に態勢を整えて音のする方角へ振り返れば、そこにはモヤモヤと怪しげな霧が、やけに目立つ赤黒のコントラストを主張しているだけに過ぎなかった。
やがて晴れてきてその御姿が開帳されると……言葉を失い、
目を点にしてしまう。

なぜならそこに飛翔していたのは、此処で魂を抜かれたように茫然と立ち尽くすのみの人形と化してしまった巫女と、うりふたつの黒き鳥獣だったからである!

アリス「グレア…………?」

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-古島の横穴こじまのよこあな-

6号「赤い鎖……この中にあると言っていましたね」
↑キッサキがえらいこっちゃなので破廉恥特訓衣装のまま

テレポートをしてきた私はユクシーさんに従った通り進んでいくと、古島の横穴と呼ばれる幻のダンジョンがひとつに到着しました。
殺風景と流してしまえばそれまでですが、遺物が好きな私にとっては心惹かれる風情ある場所だと評します。横穴の入り口に立つと点字で刻まれた仕掛けがありましたが、私はスイスイと過去に学んだ知識で読み取っていって解いていき、ずんずんと奥へ奥へと進行してまいります。
すると最奥部らしき祭壇に辿り着いて、そこには見渡せてしまえるほど非常に巨大な赤い鎖が確かにそこらじゅうへと結ばれておりました。が、とてもじゃありませんがほどけそうになくあーだこーだと試行していると……。
6号「持って帰ろうにも難儀ですね……」

リュウガンUMA様の試練に来たのか」
6号「えぇ、あなたをお待ちしていました」
リュウガン「ハハ!愉快な嬢ちゃんじゃねえか。俺は赤い鎖の門番・リュウガン。持ち前の知能を活かしてかかってきな!」
どうやらボス敵らしきスキンヘッドさんがおいでなすりました。このお方を倒せば合格という意味でよろしいのでしたら、なるほど分かりやすくていいですね。やはり実戦試練が燃える展開ですよね!

リュウガンが しょうぶをしかけてきた!

リュウガンは フリージオをくりだした!


6号「鎖を仕込んだポケモンと来ましたか、風格があっていいですね」
リュウガン「侘び寂びのある嬢ちゃんだな、けっこうけっこう。ったあつっても勝負は別だぜ。フリージオ!しめつける!」

あいてのフリージオの しめつける!

6号(私をエーフィと勘違いしてますね?残念ですが私はゴーストタイプ、ノーマルの拘束スキルは効きませんよ)
リュウガン「かかったな」
6号「これは、雪雲の鎖!?」
零度の鎖に巻き付けられ、真綿で締めつけられるような感覚が走って身動きが取れないばかりか血流の動きがじわじわと止まっていくのを感じます……。
リュウガン「チェーンストライク!」
6号「ぬああぁっ!」
さらに絡めとられた鎖が一気に凍りつき、血の気を失った私の四肢は骨折だか脱臼だかしてしまったみたいにブランブランとなって信号を上手く送れなくなってしまいました。
リュウガン「悪りぃな、俺はこの身なりでもジムリーダーが本職でよ。挑戦者にたいして生ぬるい加減が出来ねぃんだ」

6号「フフフ……口を封じなかったのは失策でしたね」
リュウガン「なに……!?」
私は口先だけで詠唱をとなえるとフリージオの真下から魔法陣を発生させて、煉獄の炎で溶かしつくしてやりました!

Type6の マジカルフレイム!
こうかはばつぐんだ!
あいてのフリージオは たおれた!
Type6は しめつけるからかいほうされた。

リュウガン「さすがは知見に富んだ魔術師、やるじゃあねぃか」
6号「ステッキ無しでも魔法少女になれる時代です」
リュウガン「ならばこちらも妖怪をお見せしてやるぜ!」

リュウガンは ユキメノコをくりだした!


6号「雪女さんですか。くるくるおめめな世話係を思い出しますね」

くるくるおめめかわいいよね

リュウガン「嬢ちゃんにゃ大人げねぃがゴーストで一致抜群を取らせて畳みかけさせてもらうぜ!メノコ、シャドーボール!」
ユキメノコの シャドーボール
こうかはばつぐんだ!

6号「『特別』を削ぎ、『平等』を示さんと。あやしが示すは『遊宴』。愉快に染まれば、皆等しく。潰し宴の独壇場!」

Type6は きつねび をつかった!
こうかはばつぐんだ!
あいての ユキメノコはやけどをおった!

リュウガン「Shit!狐の真似ができるったぁ上物じゃねぃか!」
6号「お褒め預かり光栄です、化かすのもまた魔術ゆえ」
ちょこっと痛かったですがシャドーボールを甘んじて受けた甲斐もあってか、どうも本当に私をエスパーと誤認してくれていますね。イリュージョンを使うまでもありません。

リュウガン「惑わすのは何もマジシャンだけのモノじゃねぃ、メノコ!あやしいひかり!」
ゆらゆらゆらゆら私の心風に吹かれて♬
Type6は こんらんした!

(なーんて。私自身が幻術のエキスパートですもの)

ニートラップなんてするつもりはありませんが、これでも私はコスプレイヤーの一角。イベントに参加すれば確実に壁サークルの売り子として引く手数多ですし、ちょっと混乱がてらサービスでもお届けしてみますか。
6号「試合に熱くなってきてなんだか火照ってきちゃいましたね……衣装汗で濡れてきたので、ここで生着替えしちゃいましょうかぁ……」
それっぽい台詞で誘惑しながら、薄手すぎてどこから脱いでも即アウトなスズナさんチョイスのうち唯一セーフなマントに手を掛けてみました。するとリュウガンさんはゴツイ外見のわりに案外紳士で、私の混乱を即座に直そうとキーのみを投げてきてくれました。お心遣い感謝します……ほんとは混乱していませんけど気持ちだけでも受け取っておきましょう。

つかっても こうかはないよ
6号「あ」
リュウガン「ああ?」
『・・・・・・』

6号「隙ありです!四辻で鬼と出くわさん、首落とし!」
Type6の たたりめ!
こうかはばつぐんだ!
わざが うまくきまった!
あいてのユキメノコは たおれた!

リュウガン「ほーぉ賢者らしいアンフェアプレーじゃねぃかよ。それにお前さんどうやら魔術師じゃあねえみたいだな」
なんかバレた!?
リュウガン「尻尾掴んでやるよ、行けパルシェン!」

リュウガンは パルシェンをくりだした!

おうふ、私が言えた義理じゃありませんがなかなか際どいファッションをしてらっしゃいますね。まぁこっちの仲間には街中を堂々と水着ではしゃいでたうつけ電波も居ますし、ある意味フェアプレーですね!(?)

……そういえば気にしないようにしてはいましたけれど、メグさんとかアリスさんとか大丈夫なんでしょうか?私を躍起になって捜していたりしてくれているかもしれませんし、無事戻ってこれたらその暁にはケーキでも奢ってあげましょう。

6号「ナパーム弾でも破壊出来ないと云われるその最硬の殻、私がぱかーんと割って差し上げますよ!
Type6は つるぎのまいをつかった!
こうげきりょくが ぐぐーんとあがった!
リュウガン剣舞だあ?ハハハ、正体表しやがったな……パルシェンつららばり!」

-スキルリンクが発動した!-
パルシェンの つららばり
-てんげんとっぱが発動した!-
6かい あたった!

チャクラを練ることに集中を極限まで高めていた直後だったこともあって、天元突破シャンデル・ド・グラスをもろに喰らってしまい、肌の露出が多すぎるのも災いしてあちこちが刺し傷と凍傷だらけになっちゃいましたよ、まったく……。
これ以上傷を増やしちゃうとグレアにハートバンドエンドの刑に処されちゃいますから、ここいらでジ・エンドと華々しく咲き誇ろうではありませんか!

6号「黄昏よりも昏きもの血の流れよりも紅きもの、時の流れに埋もれし偉大な汝の名において、我ここに闇に誓わん。我等が前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを!

エクスプロージョン!



………………しーん。
しかし なにも おこらなかった。

6号「へ……?」
そりゃ呆気に取られましたよ。爆裂詠唱は一字一句一切合切何も間違っていませんでしたもの。なのにどうしてだか不発に終わってしまいました、このようなエクスペリエンスは初めてです!

リュウガン「おいおい壮大に盛り上げておいてくれて見せかけか?これも魔術なのかぃ嬢ちゃん!」
6号「そんなはずは……」
私の昇華したエクスプロージョンは、特性しめりけがいようと、ゴーストタイプ相手だろうと、みがわりを貼っていようと、まもるもみきりだって貫通してすり抜けてしまえるくらいまで磨き上げた自慢の爆裂魔法なんです。

かつて味わったことのない虚無感が襲ってきて、全身から力が抜けていきました……。自失しそうになり、背中から倒れ込みそうになったその瞬間のことでした。
私を支えて登場したあるひとりの人物のおかげで、私は自我を保つことが出来たのです。
ロック「何をぼさっとしている、アーク」
6号「ロックさん!!!!!!」
その方とは、私の憧憬しているロックさんなのでした!
思いがけない再会に感情が舞い上がって、先程の無力感や悲壮感に打ちひしがれていたのが嘘のように消えてしまいました。やっぱりロックさんは何年経っても素敵です!

リュウガン「武骨な姉ちゃんも挑戦者か、まとめて相手してやろう!」
ロック「下がってろ。オレがぶち抜いてやる」
6号「は、はひっ!」
腰が引けてしまった私の前に立って、私の代わりにパルシェンを見据えるロックさんの背中は誰よりも大きくてカッコよく映りました。
リュウガンパルシェン、ドリルブレイク!」

あいてのパルシェンの ドリルブレイク!
-スキルリンクが発動した!-
-でんげんとっぱが発動した!-

あの技は鋼タイプのつららばり、いくらロックさんの物理耐久といえども岩タイプの彼女では受けきれるかどうか!

ロック「フッ」
ロックさんはリフレクターを展開して、六撃とも全部跳ね返しちゃいました。通常のリフレクターと違って本当に反射させてしまうなんてさすがです!
リュウガン「おおっと、やるねぃ」

そこから互いに自慢の硬さを活かした受け流し防御合戦が始まり、一進一退譲らぬ泥仕合が開幕しましたが、先に疲弊したのは通常種であるパルシェンサイドでした。いかに鉄壁であろうとも体力が持たなければ意味がありません、ロックさんの打たれ強さと粘り強さが上回ったのです。

ロック「もう一息だ、パワーをメテオに」
岩石の弾丸を込めた銃身を掲げて両腕を天に上げるあのポージングは!もちろん私の答えは決まっています!
6号「いいですとも!!」
私は再度術式を拡充して魔力を増幅させると、そのエネルギーを全部ロックさんに捧げました。

ロックの ストーンエッジ
こうかはばつぐんだ!きゅうしょにあたった!
あいてのパルシェンは たおれた!

6号「やった!ロックさん、いえ私達の勝利です!」
ロック「他愛ないな」
リュウガン「いいコンビネーションとタクティカルだった、合格だぜ」

試験官であるリュウガンさんに勝利を果たしその力を認めてもらった私達のもとにユクシーが舞い降りてきて、彼女によって無事赤い鎖は解放されました。
その直後のことです!
なにやら妖しげなサイコパワーが私一人だけを狙い澄まして、私の身体はふわふわと天へと昇っていくではありませんか。

ユクシー「時空の彼方へ導かれるままに……」
6号「わわわわわわぁ~!?」
ロックさんがどうしてこっちまで来たかとか、これから一緒に行動しようかとか、そもそもどうして私の魔法は不発に終わったのかとか……私の中で沸き上がっていたそんなことなんておかまいなしに、次から次へと摩訶不思議の連続じゃないですか。
もういったい、なにがなんだか!

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-未知の洞窟-

ビアンカ「澄んだ空気があたりに漂ってる」
熱血エムリットさんから強引に押し出されたような形で辿り着いた場所はなんだかへんてこりんな洞穴だった。輪っかがいくつも浮かんでいるんだけれども、輪の中はひんやりしてるだけでどことも繋がっていなくって、その輪っかが増えていっている方へと歩んでいくと段々奥に進んでいることだけがなんとなく分かるだけ。
赤い鎖?の封印を解くってこと以外はなーんにも説明がないし、この洞穴の中には生物の気配も形跡もなにひとつないからただ自分の息遣いと足音が聞こえてくるだけ。壁はすっごく分厚くてたぶん私が全力を出してもひび割れそうにもなかった。

ビアンカ「あれ?これってリースお姉ちゃんがもらったはずの」
ぶら下がっている輪っかの中にひとつだけ違和感と既視感があって、手に取ってみるとそれはいつの日かリースお姉ちゃんが受け取っていたダイゴさんのメガバングルとビアンカのメガストーンだったの。
そう言えば結局あれからいろいろ不可思議のオンパレードで、お姉ちゃんまともにメガシンカのやり方教えてもらえてないんだっけ……。
きっと何か意味があるに違いないわ、ビアンカはそれを自分の手首に嵌めてぎゅっと握りしめるとなんだか強い気持ちが湧いてきた!

ここにはいないけれどもリースお姉ちゃんから勇気づけられて、勢いのまま先へ先へと駆けていくとプラネタリウムの中に迷い込んだみたいな宇宙的パノラマ空間に行き着いた。

ビアンカ「綺麗……デートスポットにいいかも」
「ロマンチックね。だったらうちとテストデートって洒落こもっか!」
ビアンカ「誰!?」
どこからともなく少女の声が聞こえてきて、あっちこっちに振り回っているとピンクを基調としたカジュアルなポニテガールがビアンカの前に現れたの。

ポプラ「やっほー!うちはポプラ!エムリちゃんの試練を預かってるんやよ!うちとのテストに勝てたら赤い鎖を解いてあげる!!じゃあ早速ポケモンバトルだぜーーー!!!」
ビアンカ「わぁ~!熱い熱い、熱いお客様ばかりだよぉ!!」

ポプラが しょうぶをしかけてきた!

ポプラは ブースターをくりだした!
ブースターはイーブイの進化系のひとつで、炎の進化エネルギーを遺伝子に取り込んだ姿。900度に及ぶ体温と1700度の吐息を体内に持つポケモンで、何よりもその熱量から繰り出される物理攻撃力の高さが脅威。可愛いもふもふとした毛皮に騙されて甘く見てると火傷しちゃうよ。

ビアンカ「いらっしゃいませ☆メニューの前にお冷やをどうぞ!」
先手必勝、ビアンカの方が身軽にアビリティを発動できちゃうもんね。しずくに秘められた水神様のお力を使って津波を起こして、なみのりをお見舞いしてあげる!
ポプラ「スター!じゃれつくやよ!」

あいてのブースターの じゃれつく!
こうかはばつぐんだ!

ビアンカ「きゃあぁんっ?!……どうして速く?……ハッ、もしかしてそのマフラーは」
ポプラ「キュートなスカーフっしょ♪」
こだわりスカーフ、これを巻いているポケモンはひとつの技しか繰り出せなくなる代わりに伝達信号が加速し、普段よりも倍の速さで行動ができるようになるアイテム。
ビアンカはこころのしずくのお加護のおかげで特殊なタイプエネルギーに対しては抵抗を持っているけども、物理的な攻撃に対しては無防備。今の求愛行動だけでだいぶリソースを持ってかれちゃった……って言ってもこの津波一発でおしまいよ!
ビアンカ「お仕置きよ!」
ビアンカの なみのり
こうかはばつぐんだ!あいてのブースターはたおれた!
ポプラ「うんうん、上々友情♪こっからやよー!」
ポプラは シャンデラをくりだした!

シャンデラヒトモシの最終進化系で闇の石の進化エネルギーによってロウソクからランプへと異形を遂げたポケモン。この子の妖しげな炎によって燃やされた魂は浄化されることがなくてこの世を永遠に彷徨うって言い伝えられているんだ。伝承もホラーだけど、もっとホラーなのは特殊攻撃力の高さで、炎属性と霊属性のわざだけとはいえ計測するとなんとミュウツーに匹敵しちゃうの!

ビアンカ「ハロウィンにはまだ時期尚早だよ」
炎タイプの相手が連続してきてるから、もう一回水神様のお力を使えば抜群を取れるけども、それだけじゃ芸がないわ。バリエーションあってのカフェテリアなんだよ!アークちゃんからこっそり教えてもらっちゃったとっておきのメニューで接待してあげる!

ビアンカの ナイトバースト!
こうかは ばつぐんだ!

前のお客様がスカーフ持ちだったからまたそうなんじゃないかなって警戒したけど、きっかり先攻を貰えたしフィジカルの弱いシャンデラさんはひとたまりもないでしょ!なんて高を括っていたらまたまた意表を突かれることになった。

あいてのシャンデラは きあいのタスキでもちこたえた!
ビアンカ「ほよ」
ポプラ「言い忘れてた~!うちこれでもジムリーダーやってるんよ、かしこいかわいいUMAちゃん達に選ばれるガーディアンなの、情熱的っしょーー!!!」
ふんふん、それで納得がいった。炎タイプ専属のジムリーダーをしているってことだね、だからちゃんと弱点を突いてくるだけじゃなく種族と状況に見合ったアイテムの選定もしてきてるのだ。
まずいなー、だったらシャンデラさんがビアンカに繰り出す技なんて当然……。
ポプラ「ライト、アストラルビット!」

あいてのシャンデラの アストラルビット!
こうかは ばつぐんだ!
ビアンカ「いった~い……水神様とお兄ちゃんのお守りがなかったら沈んでたよ」
ポプラ「これでも落とせないかー、さっすが水の都の女神ちゃん!!!」
そこから先手を取れる都合上ビアンカシャンデラさんを撃退したけども、正直ちょっとつらいかも。ガオガエンにゃんとかメガリザちゃんとかはやめてほしいなぁなんて……この時はそう思っていたんだけども、最後の3匹目をポプラちゃんが見せてきた瞬間、ビアンカはそっちの方がよっぽど相手しやすいって直感しちゃった。

ポプラ「ラストスパート!!!うちのボルテージが有頂天に達したァァァ!」
ポプラは ヒードランをくりだした!


ビアンカ「うそ……VIP待遇だぁ」
ポプラ「熱くなれ!!!高鳴るあこがれ!!!炎のように燃え上がれ!!!!!!」

Part29へつづく!