Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part25

テンガン山の険しい連峰にも負けず、雪原のように白く透き通った幼くも凛としたブロンド人形の美少女は誰でしょう?そう、リースお姉ちゃんです。
さっそくですがビアンカたち一行は大問題に直面していました♪

アリス「どーやって大団円まで行けばええんじゃーい!!」
ゆん「方法を聞くのをすっかり忘れてたわね」
グレアット「一周回って振り出しに戻りましたっ!」
モンスメグ「もうすぐ時計は6時♪もうそこに一番星☆」
6号「影を踏むのも夜に紛れるのも帰り道にもまだ早いですよ」

アリスちゃんたちって、考えがあるのかないのかさっぱり分かりません。いざって時には頼りになるのにふだんはただのガールズパーティなんだもん。ロックちゃん、じゃなかったアークちゃんを乗せながらビアンカも一緒に思案してみます。
ハっ!かつてない名案が頭に電球とともに浮かび上がってきた!
ビアンカ「とりあえずカフェに寄ってかない?」
モンスメグ「賛成~」
グレアット「カレーでも食べて落ち着きましょうっ」
6号「シンオウは私の口に合いますかね、ククク」
ゆん「気を休めるのも大事ね」
アリス「そうだな、カフェついでにホテルも探すか」

やった!ビアンカのアイデアがストレートに採用されました!うんうん、やっぱりカフェテリアに行くのが一番だよ、人生で最も有意義な時間の過ごし方なんだから。
ビアンカたちはテンガン山を東に超えて、ズイタウンの北側にあるカフェ山小屋へと飛んでいくことになりました。ズイタウンには小さいながら宿泊施設もあるし、確か遺跡や新聞社もあったから情報収集にはもってこいかもしれないね。

-カフェやまごや-
ビアンカ「ようこそ~!ポケモンカフェまぜまぜパズルへ♬当店やまごやは今夜一夜限りのキャンペーンを実施しています、皆様ふるってパズルにご参加してくださいね~♡」

アリス「どうしてこうなった」

モンスメグ「あーくんほらコンボ止まってる!グレアたんカレーばっかり連鎖させない!ゆんゆんももっと頼んで!!」
カフェテリアでのんびりとリラックスをしよう……と思っていたはずなのに、気がつけばボクとビアンカはウェイトレスを手伝っていて、しかも突発的なキャンペーンまで振る舞っていた。あまりお客様が来ないというぼやきを聞いたビアンカが提案し、全国に発信したことでものの1時間で店内は閑古鳥から一転して満席と化していた。
おかげで一息つく間もなく、家族連れやアベックのお客様たちにひたすらオーダーを届けるBotになってご奉仕する羽目になったのだ。絶対山ほどキャンディーもらってやるからな……!

※キャンディー:現金という意味のメイド喫茶用語だよ!一部の喫茶店でしか通じないから気をつけてね♪ Byビアンカちゃんより

ルーシー「すごくデリシャスだわ!明日のスクープに出来そう、そう思うでしょコダック
コダック「ほへ?」
オーダーを届けた帰りに厨房へ戻る際、なにやら記者っぽい金髪の女性が来店してスイーツに舌鼓を打っているシーンを見かけたので少し耳を傾けてみた。ブン屋の人間だったらなにかしら情報を持っているかもしれないとふんだからだ。
アリス「ありがとうございます、コック冥利に尽きます」
ルーシー「まぁ~なんてキュートなウェイトレスさん!ね、写真撮らせてもらってもいいかしら?」
アリス「情報と引き換えでしたらご自由にどうぞ」
ルーシー「あらま、抜け目ないわね」
ビアンカ「リースお姉ちゃんサボりはいくないよ?」
アリス「黙って働け。じゃあお姉さん、ディアルガパルキアについて何か知ってる?」
この2匹はギラティナの従属となるポケモンらしいが、この地方に伝わる神話を読んでみたところで何も手がかりがつかめなかったので探りを入れてみた。
ルーシー「時空と空間を司ると噂されている、この地方の伝説ね」

ゆん「ディアルガパルキア?」
グレアット「伝説上の生き物よっ」
6号「ふーん、伝説って?」
モンスメグ「ああ!それってメグちゃん?」

これだけ賑わっている中でも悪目立ちしているぞお前ら。あとどっちかっていうと羽根が生えていて精霊っぽいカルマの方が忠実じゃないかと心の中で注釈しておこう。あいつらはさておき、ボクはさらに情報を聞き出そうと試みる。
アリス「それは知ってるんだけどどうやったら会えるのかなーって」
ルーシー「あいにく私新人だから詳細は分からないのよね……そうだわ!こういうことなら先輩に聞いてみるのが良いわ、私そこの新聞社で記者をしているルーシーよ。よかったら後で新聞社まで来てちょうだい、アポイントメントしておくわ!」
スピーディに名刺を渡されると、急いでお皿の料理を平らげてお会計をテーブルに置いていくと足早にカフェから退店していった。

善は急げよ、思い立ったが吉日その日以降はすべて凶日!ボクはカフェのエプロンを厨房へ投げ捨てると、ビアンカのお小言も無視してすぐに彼女の後を追いかけていった。キャンペーンに夢中なメグとアークはさておき、ゆんとグレアのツバサコンビもボクの後ろを追いかけに来たようだった。本日のおみや代はアークに決定。

-ズイタウン・ポケモン新聞社-
求む!ポケモン捕獲のプロ!とでかでかに描かれている看板が目印の
2階建てで建てられた小さな新聞社の前まで立つと、さっきのルーシーという記者が黒い帽子を被って待ち合わせをしてくれていた。この用意周到さはさすがジャーナリストというべきか。改まった挨拶もそこそこに中に入ると、サングラスをかけたいかにもといった風貌のちょいワルおじさん的な社員が出迎えてくれた。

先輩記者「やぁやぁきみがディアルガパルキアを追い求める若きトレーナーだね?僕もその2匹の写真を記事に納めたくてよく取材に行っていたものだよ、早速資料をお送りしようじゃないか」
ラジオのパーソナリティに転職した方がいいんじゃないか?と思えるほど舌のよく回る早口なおじさんで、これまたジャグラーに転職した方がいいんじゃないかと思えるほど鮮やかな手さばきで幾枚もの書類をまとめて出してくれた。
郵便配達をしているゆんもこれには仰天、グレアはルーシーと気が合ったのかなにか立ち話に興じていた。みかんやシロナの来訪の時もそうだったが、グレアは割と初対面相手と打ち解けて雑談をするのが上手いように感じる、巫女という仕事柄が成せるスキルなのだろうか。エリカお姉様の後ろにべったりだったボクにはとても真似できない、すごいなあ。

先輩記者「読んでもらって分かるように、かつてはテンガン山頂にあるやりのはしらという遺跡に2匹とも住んでいたのだがね、何者かが金剛玉に白玉と呼ばれる宝石を手にしたことで消息が途絶えてしまったのだよ……」
アリス「金剛玉?白玉?」
先輩記者「あー何年か前にシロナさんが調査したところどうもこの世の物質ではないと論文に記していてね、いったいなんのことだかさっぱり」

((大団円のことねっ……))

アリス「誰が持ちだしたのか分かるか?」
先輩記者「えーっと当時のニュースファイルは……」
ルーシー「子供でも義務教育で習うくらい有名ですよ先輩、ギンガ団を解散させた功績で特別に無罪放免になったハンターJじゃないですかやだー!」
先輩記者「おーそうだった!飛行艇の密猟者・Jだったな」
アリス「どちらさま?」
そのハンターJについて詳細を訊ねようとしたタイミングでドアがバターンと開かれ、お怒りなのか服装だけではなく耳まで真っ赤にしたビアンカが耳をつんざくような大声でオペレートしてくれた。
ビアンカポケモンハンターJは正体不明の悪役女首領でシンオウ中のありとあらゆるポケモンを強奪しては密売をしているS級WANTEDだよ、バカリース!!!」
アリス「きゃー!やめて人さらい~!!」
彼女のサイコパワーによって抵抗もなすすべなく、情報の一片のみを手に入れただけでカフェテリアへと強制帰還させられる可哀そうなボクなのだった……。
グレアット「うふふ……失礼しましたっ」
ゆん「お世話になったわね」
ビアンカビアンカひとりでさばき切れるわけないでしょあんなお客様の数!リースには閉店までお仕事してもらうからね!!」
アリス「ろーどーきじゅんいほーだー!うわーん!」

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-ジャイアントホール-にて

ゼクロム「なんという強さ!?」

レシラム「燃え尽きるーわ……」

キュレムセレビィとミュウでも飽き足らぬのか?」

エリカ「いいえ。正確にはホウオウとルギア……近いうちにレジギガスも手中に入れて差し上げますの」
キュレム「末恐ろしき才女よ……ここはそちの軍門に降りよう」
ゼクロム「レムがそういうのであれば、この身を捧げようか」
レシラム「ロム、レム!しょうがない、好きにするといーわ」

あまり武力行使は好みませんが、七英雄とて所詮ポケモン。みな己よりも格上だと判断した相手には協力的になってくださるものですわ。……ミュウという唯一の例外はおりますけれども、あの子は特別アリスを気に入ってくれていますので良しと致しましょう。ともかく、わたくしの華道一本で真実・理想・虚無の陰陽を司り三人揃うことによって未来を創造せし竜神もこの手に落ちましたわ。
これにて七英雄のうち六傑がそれぞれアリスとわたくしの手中に納まりました、もう後はありませんわよ、道標。念には念を入れて彼女たち三人をモンスターボールへと格納してあげると、わたくしは最終目標たる始まりの地へと草鞋を歩み進めます。
(アリス、どうかご無事で……)

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-ズイタウン・宿泊施設-

アリス「ぽぇ~」
ゆん「お風呂に入れたのにまだ放心してるわね……」
ビアンカ「しーらない」
私(わたくし)たちはズイタウンに戻って宿を取ってからというもの、アリスちゃんはウェイトレス業がよっぽど堪えたのかずっとこの調子でまともにコンタクトが取れなくって困りものなのだわ。時刻は十時を迎えていてもう夜も更けていることだから、あとは寝かせてあげるだけだし別に良いのだけれどもね。
昨日今日と衝撃の連続で、ちょっと私もダウナー気味。未だに元気いっぱいなメグちゃんにアークちゃん、夜のミサを捧げているグレアちゃんに、先に眠っちゃったビアちゃんと、皆一様に自由な夜の時間を過ごしていてはじめてのシンオウ地方だというのにあんまり旅行しに来た気分でもないのが玉に瑕ね。

此処までのことを自分流にまとめて振り返ってみようかしら。
まずシロナさんからエネルギーのバランスを調和して世界を救ってほしいってミッションが入って、ホウエンで交戦したヒガナさんの正体は隕石阻止を使命としたタイムトラベラーで、その隕石ことデオキシスはラルースさんのおかげで落下を防げて、アークちゃんのかつての旧友だったロックさんはギィさんのお心遣いのおかげで復活を成し遂げられて、そしてこれから成すべきことは七英雄のひとり・ギラティナの居る世界へと行って大団円を救う、といった感じなのかしらね。
なんだかスケールが大きいこと続きなうえに、アリスちゃんの奇策のおかげであっさり解決までしちゃうものだから、正直いえば夢見心地な気分……といった心境ね。その手掛かりを知っていそうなハンターJって方も、ものすごい悪党らしいけれど悪党だったら一度あっちでサトミさんと熱戦を繰り広げられたし、案外なんとかなってしまうんじゃないかしら?そうこう整理しているうちに、アリスちゃんの綺麗でさらさらとしたブロンズヘアーも整えられたから、この子の手を取ってベッドへと連れていってあげなきゃ。

ゆん「はーい、お姉ちゃんの手をぎゅーして」
アリス「ぽぇ」
ゆん(よもやこんな小さな子が世界の危機を救いました、なんて誰も信じっこないわよねぇ)
グレアット「ゆんちゃんあんまり甘やかしたらいけませんよっ、今夜は自分で歩かせましょうっ」
グレアちゃんの横を通り過ぎたあたりで、自立を促す提案をされちゃったわ。ええそうよね、もう9歳ですものね……あぁでも!私はそれでもこの小さな手のひらを離せないわ。などと私が意地を張ってみせるとグレアちゃんにあっさりと両断されちゃって、アリスちゃんはゆらゆらしながらもきちんとベッドの中に潜り込んでいったみたい。
えらい、えらいわアリスちゃん!ひとりで寝れるようになったのね!!
などと私が一人で感動していると、なぜだか三人分の冷たい視線を感じたわ。おかしいわね、ひょっとして私があの子をべったりさせちゃっている要員なの!?

ゆん「ふふふ、私たちも明日に備えてそろそろ眠りましょうか」
6号「添い寝したいだけですよね」
モンスメグ「あーくん、メグのことを真ろっくんと思っていいんだぜ☆」
6号「お断りします」
グレアット「慣れてきちゃう日々に重なるフラストレーションっ!」
モンスメグ「お気に入りの傘☂置き忘れ★」
6号「NoThankyou!」
なーんてこぞって平和ボケしてしまったかのようなひとときを過ごしていると、突如として何やら不穏な気配を感じ取って無意識のうちに翼をさざめかせたわ。
それは皆さんも同じようで、それぞれほとばしる電撃、火炎、幻術と自分の特技をスタンバイして部屋の中から態勢を構えていたわ!何かあったらアリスちゃんを起こさなきゃいけないんだけども、生憎さっき眠ったばかりだし何よりもこの時間はアリスちゃんもビアちゃんも小さなお子様はねんねの時間よ、ここは私たちでどうにかしなくちゃならないわね。

?「ひいふうみい……ほう、上物が3匹いるな」

どんな手口を使っているのか、音もなく硝子を開けてきて堂々と銀髪の女性が部屋の中へと侵入してきたわ!その傍らにはボーマンダと思わしき姿も見えるから、きっとポケモントレーナーであることだけは間違いなさそうね。
同じ銀髪の女性でも、ギンノちゃんはまだ上品さと優雅さがあって高飛車なご令嬢と言えるイメージがあるけれど、この方は粗暴さと悪辣さが顔つきから滲み出ていてとてもじゃないけれどまともな人間とは思えないわね……!

ゆん「こんな夜遅く、レディに失礼じゃないの!まずは名乗り出なさい!」
?「雑魚に語る名などない、この地方ではお目にかかれない逸材の商品だけ貰っていくぞ」
雑魚呼ばわりくらい慣れているわ、けれどもグレアちゃん達を商品呼ばわりするなんて許しがたい行為ね。アリスちゃんと似た口調だけどやってる事は大違いじゃない!
私たちはあの女性を敵として認識して、応戦に臨んだわ。それにきっと狙いはグレアちゃんたちと察した、あの二人は起こさないよう外へ出てうまく誘導してみせた。

?「クク、自分たちから捕まりやすいようにしてくれるとはな」
?は ボーマンダをくりだした!ドラピオンをくりだした!

6号「お縄にかかるのはそっちですよ!」
アークの ルナ・トリガー!
モンスメグ「タイホしちゃうぞ☆」
モンスメグの エレキテル☆エレクトリック!
グレアット「この私を侮辱したこと、あの世で後悔しなさいっ」
グレアットの せいなるほのお!
ゆん「指一本触れさせないわ!」
ゆんの おいかぜ!

必中必至の幻想魔術、必中必殺の超電磁砲、必然必燃の聖炎魔滅の攻撃が相手の2匹へと襲いかかり、私の追い風によってスピードを何倍にも押し上げるわ!
?「今だ」
謎の女性はポケモンに指示を送らず、左腕に装着してあるベルト式の機械からレーダーを発射してきたじゃないの。追い風による飛躍的な運動神経の上昇によって、技を繰り出した直後に隙を見せたとあっても三人ともレーダーから回避することに成功できた。夜目を凝らしてレーダーが直撃した地面を見ると、なんとその部分だけが金色の石へと変化してしまったわ。推するにアレは当たった対象を石化させてしまうとんでもない兵器なんじゃないかしら、きっとそれを悪用して何匹ものポケモン達を商品として拉致しているに違いないわね。

?「くっ、貴様ら相手は一筋縄ではいかないか」
モンスメグ「お前に足りないものは、それはァ!
情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ!
そして何よりもォォォ!速 さ が 足 り な い !!」
グレアット「残念ですがさようならっ、Amen.」
グレアちゃんはメグちゃんが切り返すよりもはやく、上空から謎の女性を巨大な焔の渦で囲んでしまって逃げ場を失わせてやったわ。続く形でアークちゃんも詠唱を始めていく、爆裂魔法までもが予約されているこの現状、優勢は覆らないでしょう。
?「ナメるな軟弱者が!」
ゆん「嘘でしょ!?」
なんということなの、その女性はグレアちゃんが巻き起こした特別な火柱のなかへ突っ込んで逃げようとする、まさに自傷行為に等しい行動を平然とやってのけたじゃない!
度肝を抜かれたのかみんな追撃が出来なくて、彼女の逃走を許してしまったわ。
ええ、結果からいってしまえば”謎の女性はグレアちゃんの火柱をほとんど無傷でくぐり抜けて、飛空艇らしき持ち前の車体に乗ってしまった”のよ。

?「この私を一時撤退させるまで追い込んだその力に免じて今回は見逃してやろう、だが忘れるな。次会ったら、殺す」
モンスメグ「待てこらぁ☆」
6号「メグさん、やめましょう。これだけの騒ぎです、下手すれば私たちが疑われますよ」
見れば火柱まで起こした一連の騒動もあって、のどかな田舎町の住人たちが物珍しさに集まってきていたわ。ここまで見越して迅速に退場したのかしら、あの女性は……。
グレアちゃんの火炎は自身で自在に操れるため、すぐさま私の風と合わせて火を消して無関係な人々を巻き込まないように細心の配慮を払うことでこの場は収めたわ。それにしてもなんだったのかしら……?

グレアット「ゆんちゃん、不必要に心配をかけないようアリスちゃんには内密にしませんかっ?」
ゆん「素敵な提案ね、けどまたいつ追ってくるか分からないわ。いつでも対策を講じれるように話すべきよ」
グレアット「…………酷ですが、ああいう輩は命ごと奪わなきゃ改心しませんっ」
野生生物の世界、ひいてはポケモンの世界だって自然の摂理には逆らえないもの。所詮この世は弱肉強食、強ければ生き弱ければ死ぬ。アークちゃんの種族が身近にいるお手本ね、その摂理によってヒスイ種のゾロアークは絶滅してしまって今やアークちゃんしか現世に生き残っていない。もしかしたら、スズランちゃんのパートナーのロコンだってその摂理によって絶滅するかもしれないわね。人間だってそう、生命は平等と謳っておきながら綺麗事だけでは発展できない。たくさんの犠牲の上で私たちは成り立っていることを実感しておかなくちゃいけない、だからこそさっきの女性のような方はこの先犠牲を増やす前に根絶やしにしないと安全は確保できないかもね。
ゆん「そうね、正直私だってそう思う。でも、その言葉アリスちゃんの前で言えるかしら?」
グレアット「……信じてみましょうっ」
彼女の微笑みのなかにある瞳に笑みの色は映っていなかったわ。

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翌朝
ビアンカ「それポケモンハンターJだよ!」

モンスメグ「登板するだけで荒れるメディア
知りたいその制球ミステリアス
抜けてくボールは彼の持ち味
大谷のライバルな君は球界一のアイドルFuji

今日何回投げた?アウトとれた?
投げてるボールはどこにいくの?
誰も抑えてないそれは内緒
何を投げてても「Ball」「Ball」
そう淡々と出すよランナーを
抑えそうで打たれるストレート
制球ないないないストライク入らない
次の出番は?相手は?さぁ抑えて

「投げたボールの行く先なんて私わからなくてさ」
どこに投げるか知り得ない
そんな投球でまた一人堕ちるまた塁を埋める

誰もが目を奪われてく
Fujiは完璧で球界のアイドル
金輪際現れない火炎放射器の生まれ変わり
その死球で荒れる球で誰も彼も虜にしていく
その資質がその球威が嘘でもそれが本来のFuji」

ビアンカ「Jしか合ってないよ!」
アリス「お前それ歌うためだけにユニフォームに着替えたの?」
モンスメグ「Vやねん★」

イメージ衣装(ショータイム仕様)

メグの電波はさておき、どうやらボクが寝た後にまーたひと騒動あったみたいでビアンカの情報と合わせるとポケモンハンターJとやらが襲ってきたらしい。上手いこと難は逃れたものの、その石化レーザーとやらは非常に危険な代物だしなによりもトレーナーでありながら、ポケモン勝負そのものよりもターゲットを最優先するそのイカれた思考回路の持ち主というのが極めて厄介だ。
一端のトレーナーたるヒガナはまだ付き合ってもらえたが、今回現れた敵役はそうもいかないと来たか……考えていても仕方はないが、おそらく行動範囲はシンオウ地方一帯と見ていいだろう。さっさと大団円への行き方を探ってそんな面倒ごとからは逃げちまおう。
ゆん「あら?そういえば、Jが金剛玉と白玉を奪ったって新聞屋さんは話してなかったかしら」
アリス「まことに遺憾である」
悲報:S級テロリストと戦わねばならない模様。
それもギンノみたいにこっちからいくら探そうとしても出てくる気がしない相手ときた、とはいえ目的がグレア達であるのならいずれ狙いにひょっこり現れるだろう。しかしそれがいつになるのかが読めないし、そう気長に待てるほど事態は悠長ではない。
常にいつ差し迫るか分からないタイムリミットと向き合わねばならない以上、今日の予定はJに関する手がかりを少しでもかき集めることにしよう。

そう考えながらゆんにお洋服を着せてもらっていると、グレアからなんと都合のいい言葉が出てきて思わず拍子抜けしてしまった。
グレアット「私の聖火を浴びていますから、治るまでの間なら巫力でJを追えると思いますっ!」
6号「さすグレ!」

スピリチュアルのちからってすげー。今じゃ追跡にも使えるんだと。
寒冷なシンオウ仕様に合わせた
ドレスアップが完了し、ウール生地のセーラーリボンフリルコートwith折り返しラビット(紺色仕立て)に身を包むと、身支度を済ませてグレアを先頭にハンターJを追いかける一日が始まった。

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-アルトマーレ-
クオーレ「本気なのか、ギンちゃん」
ギンノ「こっちに戻ってから先を越されてばかりじゃない、一回ぐらい抜け駆けしたっていいわよ」
クオーレ「オレを戻してきたから何かと思えば……やれやれ」
ギンノ「目にもの言わせてあげるわ、メルヘンロリータ!」

Part26へつづく!