Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part20

過去は離れていき未来は近づくの
観測者はいつか 矛盾に気づく
"神"の創り出した世界は完全なるもので絶対の均衡
それは折り重なる偶然 宇宙規模の奇跡
守られてきたゲート《規制》は終わった

6号(似ていますね……あの時と)

ヒガナ「クレッセントムーン!」
足首に嵌めているメガストーンを高く蹴り上げると、黄金色に輝き出した光がボーマンダと共鳴し、二枚の赤き翼は一枚の三日月状を模した刃の如き翼へと変貌した。
その大きな背中にヒガナ自身が搭乗し、その姿は飛空士にようにも見えた。

アリス「いいのか?攻撃が当たったらケガするぜ」
心配と冗談を皮肉に込めて言い放ってやった。いつかのみかんとの闘いでのことを思い出す。あれは揺さぶりをかけるための戦略だったが、彼女の顔つきを見るにどうやらこのスタイルこそが流儀なんだろう。
ヒガナ「竜騎士の戦いを見せてやるさ!」
6号「左様ですか、ならば幻術士の戦いもお見せしましょう」
二者睨み合い、決戦の賽が投げられた。

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ハジツゲタウンにて

モンスメグ「ここがあーくんのハウスね」
不用心にも空きっぱなしのそのおうちの中は、ロマンのかけらも感じられない書類とハウスダストが飛び散ってて、せっかくおめかししたばっかなのにまた汚れがついちゃいそうだったから全身に静電気を帯びさせて埃が付着しないようにケアしながら物見。
アリスちゃんのことだからすぐにでも連れ戻しに従者ちゃんたちが来そうだし、なるはやで探索していくと、なんだか面白そうなエナジーを感じるアイテム発見!
モンスメグ「ええい~や~キミからもらい泣き☆」
それを手に取るとちょうどタイミングよく、グレアたんとカノンちゃんの気配を感じたから速攻でポケットにイン☆それとYou Wanna Be My Friend♪
メグがここに居たってバレバレバレバレンタインしたら面倒っちいから、エリアル上Bで町中まで復帰&着地!

グレアット「きゃ!?どっから来たんですかっ!てゆーかなんで水着っ?!」
ビアンカ「ご予約の一名様、海の家までご案内~」
モンスメグ「ここあつ~い★グレアたん炎仕舞って!結局夏だね悪いのはLove微炭酸イェイイェイイェイイェイ♬」
グレアット「あんっ……言ってることとやってることが違うんですけどおっ!」
モンスメグ「あててんのよ
ビアンカ(メグちゃん……どうしてソライシ博士のおうちに?)

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ヒガナ「竜剣!」
竜の舞に合わせて主君の鼓舞によって更なる気力が引き出される!
あいてのボーマンダの こうげきりょくがぐぐーんとあがった!
すばやさがぐぐーんとあがった!
6号「詠唱!」
アークの こうげきりょくがぐぐぐぐぐーんとあがった!
自分自身に暗示をかけることで一度に極限まで潜在能力を高める!

どちらも十分な間合いを図りながら、一歩譲らぬバフの掛け合いを舞うところから勝負は始まった。ヒガナが先制を取ると挨拶代わりと言わんばかりに、巨体をものいわぬふわっとした綿のような軽さで浮上して先に動き出した!

ヒガナ「ハイウインド!」
あいてのボーマンダの すてみタックル
スカイスキンによって ひこうタイプにへんかした!》

6号「残像です」
詠唱しながらイリュージョンを掛けていたのだろう、敵は何もない大地に対して突進を繰り出してしまい、重力による反動で体制を崩してくれた。ちらっとボーマンダが飛んだ場所に視線を移して足元があった地を見ると、鉱石が出来上がるくらい硬い地層だというのに思いっきり地面が食い込まれてひしゃげてしまっていた、なんつー馬力じゃい。
ボーマンダのよろけた隙を逃さず、ロックは反撃を入れていく!
6号「妖華果てまで、その先までも……」
指先から青白い火がゆらゆらと彷徨い、妖怪絵巻で見たことのある火車酒呑童子といったぬらりひょん達がボーマンダに幻影を見せつける!

アークは ひゃっきやこうをつかった!
あいてのボーマンダは やけどをおった!

ゆん「ロックちゃん、多彩なわざが使えたのね」
アリス「正直ボクも知らん。ここは見守るしかあるまいよ」

ヒガナ「レーゼの風よ……」
搭乗している背中から手をかざすと白くきらきらとしたそよ風がボーマンダを包み込んでいき、掛かっていた火傷を痕も残さず綺麗さっぱり治してしまった。これが竜騎士とやらの力、か?

あいてのボーマンダの やけどがなおった!

どこまでサポートができるのかはまだ見極めがつかないものの、少なくともこの分じゃあやかしの術は効きそうもない。
6号「流石は流星の一族ですね」
悔しそうに唇を噛むロックを嘲笑するかのように飛びあがったヒガナは、威勢よくボーマンダを騎馬の要領でコントロールしていき、三日月の翼と自身の技能により空中からロックを見下ろしながら啖呵を切った。
ヒガナ「あはは!千載一遇をふいにしちゃったね。次は仕留めるさ!」

ボーマンダは速度を上げて急降下すると三日月を大きな腕だか刃だかに見立てて一直線に伸ばした。それに合わせてヒガナがハンドルさばきで舵を取ると着地先への精度が高められ、寸分違わず正確にロックの喉笛にとめがけて突撃してきた!
ヒガナ「半径85センチがこの手の届く距離さ!」
あいてのボーマンダの ラリアット

ゆん「いけないわ!あの技はクロスチョップよりも強力な格闘技よ!」
アリス「あいつの打たれ強さを信じろ!」

彼女の刃が自身へと届く寸前までロックは立ち構えて待った。一見ただ棒立ちしてるかのように見えたが、すんでのところで彼女の身体は霧のように消えてしまったではないか。
6号「私がオリジナルのゾロアークなら死んでいましたね」
しかし こうかはないようだ……
アリス(あくタイプじゃない……だと?)
ヒガナ「わーお!想像力が足りなかったさ」
そう目を丸くして驚いた、かと思いきやマントの裏に隠し持っていた小型の槍を突き出して尖った獲物がロックの胸板へと貫かれた!
ゆん「ロックちゃん!!!」
ショッキングな現場に口元を覆ってロックの名前を叫ぶゆん、ボクも想定外の暗殺行為に動揺が隠せなかった。
ヒガナ「なんてね」
格闘タイプが効かなかったということはおそらくロックは本来ゴーストタイプなのだろう、ムウマージのコスプレを好んで着る理由が分かったと同時にゴーストタイプであろうとも無効化するのはあくまでもポケモンとしての格闘技……人間が直接手を下す凶器に対しては抵抗がなく、噴き出た血液がその惨状を物語っていた。

ヒガナ「竜騎士はまだポケモンを使役するためのモンスターボールが開発されていなかった古来において、流星の一族が竜と共鳴できる能力を駆使してドラゴンを手綱に自分自身が戦うための兵種さ。これもバトルの一環、悪く思わないでよ」

今すぐにでもかたき討ちしてやりたかったのに、足がすくんで動けなかった。非力な身体でどう立ち向かえる?ゆんだって本当なら一太刀浴びさせたかっただろうに、ボクのことを優先して汲み取ったのかぎゅっと手を固く繋いで取り乱さないようにしてくれていた。……いや、ゆん自身が乱心しないようにしているだけなのかもしれない、表情は凪のように落ち着きを取り繕っているものの羽根は目いっぱい広げて、繋いだ手も痛いくらいに震えと握力が込められていたから。
6号「あはは……このやられ方は考えてませんでした、ね」
ヒガナが貫いた槍を引き抜く、その先は真っ暗で何も見えなかった。ゆんが瞬時にボクを覆い隠すように抱いて視界を遮ってしまったからだ。ビチャビチャと滴る生々しい音と、どさりと何かが地面に倒れていった音だけがやけに反響して耳に入ってきただけだった……。
ゆん「……え」
ヒガナ「アヤカ!?」
しかし次に聞こえてきた音は、意外にもヒガナがボーマンダに名付けていた名前とゆんの情けない拍子抜けした吐息だったのだ。
するりと腕の中から抜けてバトルフィールドを振り向けば、倒れていたのはロックではなくアヤカことボーマンダの方ではないか。いったい何が起きたというのか、まさかこれもイリュージョンなのか?
その答えは普段から紫色の髪に染めた見慣れたロックの姿ではなく、真っ白い雪に鮮血が飛び散ったかのような紅白の髪をつかって、ホラー映画よろしく
アヤカの首を巻きつけて縛っていた異様な光景そのものにあった。

6号「白髪振り乱し姿死神の如く……我が身をも切り裂く激しき怨讐にて仇襲い、道連れ覚悟で仕留めたり」
アークは あいてのボーマンダを みちづれにした!

ロックと目が合う。その目はいつもの和やかなそれではなく、鋭く殺気を含んでいた。その目はボクに夏の光を思わせた。鋭く水中に差し込んで屈曲し輝いて散るあの夏の光を。

6号「まだ楯突くおつもりですか?」
ヒガナはアヤカをモンスターボールに戻すと、両手を上げて降参の意を示した。
ヒガナ「すごいじゃん」
ただそれだけ呟くと服をパンパンとはたいてマントを羽織りなおして洞穴から出ていこうとするところで、ボクはハッと我に返って彼女を引き止めた。
アリス「待て!」
ヒガナ「なんなの?」
アリス「お前の方針には賛同できない、ほかにいいやり方があるはずだ」
ヒガナ「試合に勝ったくらいで意見する気~?これはわたしの使命よ、例えキミのほうが強かろうとわたしは自分を曲げないさ」
ゆん「強情ね」
6号「……あなたの祖先は、きっとあの時も突っ撥ねたんでしょうね」
あの時、というのは回想で聞いたドロッセルとの喧嘩のことを指しているのか。流星の一族という生き物は全員性格いじっぱりで融通が利かないんだろうな。
ヒガナ「どうしてもと言うんだったら、キミなりの方法で隕石を止めてごらんよ。わたしよりも早くね!」
スピーディに別のボールから、戦闘に繰り出していなかったチルタリスに乗ってそのまま立ち去っていってしまった。
アリス「やれやれ……戦い損か」
ゆん「振り出しに戻っちゃったわね」
結局交渉はままならず、ただ分かったのはヒガナの強硬手段と目的だけ、か。
とりあえずメグを連れ戻しに行かせたグレアとビアンカが帰ってくるまでは待機しておくかと、背伸びして身体をほぐしているとロックは何かに気づいたようでボクに語りかけてきた。いつの間にか元の見慣れた格好に戻っており、さっき一瞬見たあの気迫は消えている様子だった。

6号「いえ……あるかもしれませんよ、もっと安全な方法が」

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シロナ「はっきり言ってしまったらヒガナちゃんは危険因子……私のチカラを以てしても彼女を止めきれなかった。でも、でもアリスちゃんだったらきっと」
スズラン「へえー、アリスたんってば引っ張りだこなんですね」
シロナ「……スズランちゃん!」
スズラン「シロナさんもいじわるですね、隕石の正体を教えてあげないなんて」
シロナ「あなたも知ってるでしょう、大団円はアリスちゃんが見てきた世界だけが全部じゃないってことを」
スズラン「おかげ様で私が行ったことのない大団円自体に行けてラッキーでした♪」
シロナ「ギンノが居てくれていたのは幸運だったわ、どうやら私は招待されてないみたいだからようやく存在を認知出来たもの。それでどうして、こんな辺鄙な場所に来てまで私を捜しに来たのかしら?」
スズラン「アリスたんのガチ恋ファンですからレジギガスシェイミのとこまで行かせた張本人を当たるのは義務ですよ」
シロナ「あらあら、相変わらずサーチがお得意ね。でも安心してちょうだい、私は単に考古学のさらなる発展のためにこの地を守りたいだけよ」
スズラン「でしたら自分で行けばよろしいじゃないですか。自分が出来ないことをアリスたんに任せて自分は美味しい所だけ持っていくつもりです?」
シロナ「うっふふ!お姉さんはそういうものなのよ、エリカだって……ね」
スズラン「!」

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ビアンカ「ただいま戻りました~♬」
モンスメグ「夏が今僕の心広げてく☆波風笑い声がLaka Laka love Laka Laka love☆彡」

アリス「なんで水着なんだお前」
意気揚々とラップを弾みながら登場してきたメグに突っ込まずにはいられなかった。いくらホウエン地方が温暖とはいえ、ガーリーフリルのビキニ姿でここまで来たのかこいつ?メグがいくら着やせするタイプとはいっても誤魔化しきれない服装のため、曲線美を描いているくびれによってなおさら強調されている胸のふくらみについ目がいってしまい、女の子同士であっても気恥ずかしさと煽情的な感情が高まってしまった。
ゆん(え……メグちゃんもしかして私よりおっきい?)

グレアット「6号ちゃんっ?そのお怪我だいじょうぶっ!?」
気にしないようにしていたが、応急処置を施してもなおロックの腹部からは突き刺された跡から黒ずんだ血が滲んでおり、グレアは急いで医療用具を取り出して治療に取り掛かった。
6号「ん、ありがとうございますグレア。さて、皆さん揃いましたね……ヒガナは大変なものを残していきました、これです」
その手に掲げられている宝石は、ヒガナが足首に付けていたメガストーンと非常に形がよく似ていた。おそらく同じものなのだろう、ただ若干光り方が異なっていて数あるもののうちの一つと表現した方が正しい。
ビアンカ「メガストーンだね」
ゆん「ヒガナが使っているのとちょっと違うのね」
ビアンカ「ヒガナさんが持っているのはボーマンダ限定のと思う、ギンノちゃんだってリザードン限定のメガストーンしか持ってないし」
アリス「それぞれポケモンごとにこいつが必要なわけか」
グレアット「その宝石はどのポケモンメガシンカできるんでしょうっ?」
6号「そればかりは分かりませんね、そもそもメガストーンによって遺伝子を引き出せるポケモンがどれだけ居るのかも未知数ですし。ですが、ヒガナが置いていってるということは彼女には扱えない種類であることは明確でしょう。それがヒントになりそうなんですよ」

実際に試合したところヒガナはワタルやイブキのようなドラゴンタイプのエキスパートで間違いないだろう、自身を竜騎士だと謳っていたし。とすればドラゴン以外のポケモンメガシンカさせるアイテムと推測した方が良さそうだ。
アリス「これってどうやって使うんだ?」
ビアンカ「ギンノお姉ちゃんはリザードンを収納してるボールに直接仕舞ってて、繰り出す時に勝手にシンカするようにしてるから分かんないんだよね~」
てっきり試合中にかざして打つもんだと思ってたけれど、そんなやり方もあるのか。これまで3回もメガストーンを使われた経験があるというのに、どいつも使い方が違ってて統一性がないものだからこれといった使い方が見当たらないな……。
とりあえずロックからメガストーンを受け取って、リュックへとなおしておいた。

グレアット「よし、処置完了ですっ」
ロック「バンドエイドがハート状に貼られてる?!」
ゆん「うふふ。それはともかくとして、これからどうするべきかしら」
メガストーンを入手した所で現状進展がなく、こうしてる間にもヒガナが動いている。とりあえずシロナからはレジギガスが目覚めちまう前にどうにかするよう言われているけれど、宛先のヒガナはアレだったし具体的な手がかりがこれっぽっちも得られていない。世界救出と大きく出た割には無鉄砲すぎやしませんか?
などと考えあぐねていると、水着のお姉さんが提案を投げかけてきた。

モンスメグ「はいはーい先生☆」
アリス「なんですか問題児生徒」
モンスメグ「隕石もメガストーンもつまりはISIでしょ?専門家ダイゴさんのとこに行こ!ウィッシュ☆」
ダイゴというと、元ホウエンチャンピオンにして鉱石学者だったか。なるほど餅は餅屋と。そういえばメグはルチアを尊敬している延長線上、ルチアの舞台たるホウエン地方に関しては割と明るかったな。何もヒントがないしここはメグの舟に乗っておこう。
アリス「ナイスアイデア、早速行くか」
ビアンカ「だったらトクサネね!」
ふたたびビアンカがガイドとして先導していき、ボクたちはホウエン最東に位置する島国・トクサネへと飛び立っていったのだった。

-トクサネシティ-
ポケモンを大切に!が合言葉。遥かなる宇宙を目指して日夜研究がおこなわれている。 

モンスメグ「拝啓、人類は快晴なんか失くして大抵が最低です。廃材置き場の毎日で衛星都市にいこう」
あなたは言った。
6号「1.5リットルの現実逃避行計画さ……って歌わせないでください!」

トクサネはアーシアと同じく小さな島の町でのどかな雰囲気に包まれていた。そんな中にポツンとそびえ立っている巨大なロケットセンターがひと際異様な目立ち方をしていて、ジムなんかよりもよっぽど存在感を醸し出していた。
グレアット「なんだかこの白い岩、霊力を感じますっ」
ゆん「スピリチュアルね、ちょっとだけ持って帰りましょう」
ビアンカ「たぶん勘違いだよそれ?」
アリス「確証のない岩じゃなくって確信を持てる石マニアを探そう」
ダイゴの実家があるらしいので、そこを目指してぽつぽつと歩いているとボクと歳の変わらなさそうな少年少女の二人組から声を掛けられた。

??「みつけたよ、ラン!」
??「予感がしたアルね、フウ」

フウとランというあやしげな大陸の言葉訛りで喋る二人はどっちがどっちなのかパッとみでは見分けがつかない風貌をしていた、一卵性双生児の双子っぽいな。
グレアット(スピリチュアルを感じますっ!)
アリス「どちらさま?」
フウ「ここのジムリーダーを務めてるフウと!」
ラン「同じくジムリーダーで双子のランアルよ!」

6号「ご挨拶どうも、可愛らしいご姉妹ですね」
ゆん「どっちがお姉さんかしら?」
その発言に対して不満そうにホットパンツを履いてる側が憤り立ってきた。
フウ「失礼アルね!ぼくは男だよ!」
ラン「くすくす……フウお姉ちゃん♪」
フウ「ラ~ン!」
慣れた口ぶりで微笑ましいやり取りをしているところからしてこのような間違いは日常茶飯事なのだろう、普段だったらこのままカフェにでも誘う場面だったのだが今は一秒でも時間が惜しいので、手短に要件を聞いた。
アリス「ボクたちになにか用か?」
モンスメグ「サインだったらお安い御用だYO☆」

ラン「あ、インフルエンサーの人アルね!」
フウ「ラン、後にして。ぼくたちはナツメさんからメッセージを預かってるんだ」
アリス「ナツ姉から?」
どこから持ちだしてきたか分からない色紙をランに差し出すメグをよそに、聞き慣れた人物の知り合いだと発覚してひと安心するついでに胸騒ぎも覚えた。自立主義のナツ姉がわざわざ手を掛けてくれるというケースは滅多になかったので、ただならぬ事態が起きているのではないかと勘繰ったからである。
フウ「予言のことは知ってるかな?」
アリス「隕石飛来か?」
ラン「メグメグ謝謝よー!そそ、1000年前から伝わる流星の予言ね!」
グレアット「今年落ちてくるとかなんとかっ?」
フウ「流星の予言は4000年前にもピタリと当てているし、いまも宇宙から∞エナジーと似たコスモを感じてるからきっと間違いないアルよ」
むげんだいえなじー、またしても初めて聞く用語だ。地方が違えば常識が違うなこの世界は。それに予言と伝わっているということはヒガナたちは世間一般的には占い師のような存在と認知されているのか、いろいろと納得。

6号「∞エナジー?なにやら疼きますね」
モンスメグ「今日だって最高の未来に変わってく!ビビッと感じた☆」
中二な反応と電波な反応を表すいつものふたりに、ホウエン物知り博士のビアンカが胸を張って人差し指をくるくると立てながら解説をしてくれた。
ビアンカ「∞エナジーっていうのはホウエン最大の技術企業・デボンコーポレーションが開発したエネルギーのことで、今や暮らしに欠かせない代物なんだよ~。あのロケットだってそれを燃料にして飛んでってるし!」

ラン「その∞エナジーはある未確認飛行生物から見つかった生体エネルギーで出来上がったエネルギーね!ぼくとフウはまだ未熟だから感知できないけど、ナツメさんは宇宙からそのシンパシーを感じるって言ってたからきっと隕石の正体は4000年前とおんなじ可能性が高いよ!」
ナツ姉、宇宙との交信まで出来るのかよ。恐るべしサイコパワー。
フウ「その生物っていうのは、このポケモンなのね!」
ポケナビという通信機器をフウから見せてもらうと、その液晶には見たこともないポケモンの姿が映し出されていた。


モンスメグ「これぞ我がアームストロング家に代々伝わりし以下略!」
アリス「なんじゃこりゃあ!?」
ラン「あ、間違えちゃったアル……こっちこっち」

グレアット「デオキシス……っ?」
6号「!!!」
気を取り直して図鑑説明を見てみると、確かに宇宙から飛来してきたウイルスの突然変異DNA体と記述されていた。隕石というから巨大な石っころと想像していたのだが、ポケモンだと分かってしまうとなんだか拍子が抜けてしまった。
と言っても隕石と比喩されてしまうことは、こいつが襲来すると甚大な被害を及ぼしてしまうような生物であることには変わりないだろう。
ゆん「ロックちゃんどうしたのかしら?」
その言葉でロックの方を振り向くと、まるで親の仇を見たかのような険しい表情をしていた。フウとランも怖気づいてしまっている。

6号「かつて私が戦っていたのは、こいつです」

Part21へつづく!