Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part15

「ひとときの夢で観客を酔わせても、現実は変わらない」

ーーーライの封印を解いたら、メグが消えるーーー
スズランがそう言い放った衝撃はあまりにも唐突すぎて受け入れられなかった。急に出てきたかと思えば、何を根拠にそんな重い弾丸を飛ばしてくるんだ?
目の奥がチリチリしだして、メグが背を向けたことにも気がつかなかった。
アリス「どういうことだ」
スズラン「質問を返すようでごめんね、アリスたんはエンジュに言い伝えられてる伝説の三聖獣の神話って知ってる?」
そんな神話があったのか、初耳だった。その質問返しに対して首を横に振っているから、ゆん達もきっと知らないのだろう。
スズラン「200年くらい前のこと、やけたとうがまだカネのとうだった頃に一本の巨大な稲妻が、狙いすましたかのようにカネのとうに落ちて大火災が起きたの。その直後にこれまた待っていたとばかりに記録的な大雨が降ってきてね、すぐに鎮火されたんだけど……ある3匹のポケモンが命を落とすことになったの」
調査してきたのか、淡々とデータベースを読み上げるように機械的なトーンで解説をし出すスズラン。そしてある3匹のポケモン……まさか?
スズラン「そのポケモンには、発見例のほとんど無い獣だったからまだ名前が付けられていなかった。その3匹に名前が付けられることになった事故でね、スズのとうの頂上で佇んでその悲劇を目の当たりにしていたホウオウが慈しんでそれぞれ稲妻と火災と大雨にちなんだ元素のエネルギーと一緒にせいなるはいによって命を吹き込んであげたんだ。それが、ライコウエンテイスイクン

アリス「そうだったのか……」
また知らない事実がボクに突き付けられた、メグは一度死んでいただなんてな。その神話に驚きは隠せなかったものの、今ここにメグが居る。だからショックはさほどでもなかったし、まだ受け入れられる余裕が持てる。
さらに続けてスズランは語り出した。
スズラン「まだ続きがあってね、実はその3匹はせいなるはいで命を取り戻したときに元々宿っていた魂がどこかに消えて、蘇った3匹にはホウオウによって違う魂が吹き込まれたんだ」
アリス「……!?」
スズラン「もう分かるよね。消えた3つの魂はこの世界に辿り着いたんだよ」
フルーラ「うそ……じゃあキミたちの世界にいる聖獣様と私たちが祀っている聖獣様って」
スズラン「サイレントヒルから帰ってきたときにね、なぜか誰もエンテイスイクンの行方を知らなかったの。ライコウは……メグちゃんのことだからそれとなくアリスたんと居るって知ってる人もいたけど、その2匹は何の情報も得られなかったのよ。それだけじゃない、ホウオウがスズの塔から、ルギアがうずまきじまから消えてジョウトは大騒ぎなの。それで、私なりに調べてきたんだ。きっと、こっちとあっちはリンクしているかもしれないって」

我ながら自分のことなのにむかつくことに脳内はいたって冷静に分析しやがっていた、最悪の仮説が頭に浮かびあがり、そしてそれはおそらく当たってしまっている。スイが復活したと同時に魂が融合してスイクンが消え、エンも同じようにエンテイが消えたのだ。ホウオウとルギアは知らないがその異常事態に察知してホウオウはどこかへ飛び去って、ルギアに関しては一切の手がかりがないもののフルーラが言う海の神様ってのは十中八九ルギアを示しているに違いない。
つまりこのままレリーズを続けると、メグもライと魂が融合して消えてしまう……そればかりかもっと恐ろしい災厄が振りかかる可能性まであるのだ。
ボクに出来ることは……今出来ることはひとつしかない。

アリス「ライには悪いけどもうあやつり人ごっこは終わりだ、引き上げるぞ!」
頭がこんがらがっていっぱいいっぱいだけど、とにかくまずはそれしかない。ボクがそう命令を出してメグがいたほうを振り向くとそこにメグの姿はなかった。
嘘だろおいまさか!




モンスメグ「レリーーーーーーズ☆」




こともあろうことか、エキセントリックに三聖獣がひとりはもうひとりの三聖獣の御神体の前に立ち、いつの間にかフルーラから封印を解くためのオカリナを奪ったのかそれを使って、力を共鳴させようと全身から雷鳴を迸していやがった!
グレアット「メグちゃんっ!?」
6号「何やっているんですか!」
ビアンカ「すぐにやめて!!」
ゆん「こうなったら力ずくでも……きゃあっっ!?」
エネルギーが強大すぎるのか、助けようと飛来したゆんがあっさりと跳ね返されてしまった。黙って指をくわえるしかないのかよ、ちくしょう!
戦々恐々とするボク達とは対照的に、メグの表情はいつもと同じ満天の星空のように明るい笑顔を照らしていた。
スズラン「メグちゃん、知っていたんでしょう!?どうして……!」

モンスメグ「メグね、ロ~~~マンティックな夢がやっと叶えられた☆」
毎日のように散々喚いていたロ~~~マンティックとやらって、ひょっとしてこのことだったのか……?昨晩のメグの言葉が頭をよぎった。
アリス「それがお前にとっての必然なのかよ!」
モンスメグ「生まれたときにホウちゃんからそのお話を聞かされた時は、サンキューベリーマッチ☆くらいにしか思ってなかった。でもこっちでスイとガールズトークしてメグが生まれた役目をビビッとキャッチした!あるべきひとつに戻るべきってね★」
アリス「バカ!消えちまうんだぞ!」
モンスメグ「消えないYO☆メグはライコウでもライでもなくって、モンスメグなんだから!」
アリス「こんなときまで電波発言してんじゃねえー!」

ダメだ、メグは一度決めたら梃子でも動かないし誰にも止められない!このままじゃマジでメグの魂がライに持ってかれちまう、たとえそれが世界のためだとしても、そんな世界でボクは生きていけないんだよ!
もう何も思いつかない、こうなりゃやけくそだとメグに向かって走って突っ込んだ。危ないと制止する仲間たちの声なんて受信しちゃいない、ボクは光に手を伸ばして……!

キュイイイィィィィィィィンッッッ!!!!!!
その瞬間。ビアンカが出した願い星なんて暗く見えてしまうほどの真っ白い真っ白い、真っ白い輝きが視界を支配してきた!あっという間に五感を奪われ、何が起こっているのかおおよそ見当もつかなかった。
みんなどこだ?……ゆん……グレア……ロック……ビアンカ……
…………メグ…………!
聞き覚えのある声がどこからか頭に直接流しこまれた気がした。

『ロマンティックじゃなぁい、神ならぬ身にして天上の意思に辿り着く者になったのねぇ』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どれだけの時間が経ったのか、体内時計では一分にも満たないと思うのだが、脳内感覚では一年にも及ぶくらいにも感じられた、長い長い空白を見ていた。
目を覚ますと、目の前には、メグの姿があった……まだ夢を見てるのか?都合のいい夢を見て現実から目を逸らしているのか、ゆめかまぼろしか……。


モンスメグ「ジャスト一分、いい夢見れたかよ?」
アリス「本物、なのか?」
メグの柔らかい太ももの感触と暖かさを後頭部に感じていても、
長く整った睫毛と煌めいた瞳を見つめていても、まだ信じられない。
モンスメグ「しきたりしきたり☆……んゅぅ」
アリス「ぁ……んむっ」
甘い唇の触れ合う感触と、髪の毛が顔と肩をくすぐる感触がした。
このリップの味は、メグが発案してエリカお姉様に作らせてバズったリップスティック。メグの要素ひとつひとつが、ここは現実なのだと意識させていく。
アリス「メグ……」

ビアンカ「あいたたた……あれ!?」
6号「爆裂の魔女、目覚めの旋律……」
グレアット「あの神力はいったい……っ」
ゆん「アリスちゃん、メグちゃん!?」
およ、あやつらも起きてきたか。やっぱりここは現実だったらしい。つづいてフルーラとスズランも覚醒してきてみな一斉にメグの名を呼んだ。
メグはボクの手を取り、一緒に立ち上がるとすぅーっと大きく息を吸って溌溂と宣言してみせた。

モンスメグ「誰もが目を奪われていくメグは完璧で究極のアイドル☆
金輪際現れない一番星の生まれ変わり☆
その笑顔で愛してるで誰も彼も虜にしていく☆
その瞳がその言葉がロマンでもそれは☆
完全なメグ☆彡」

グレアット「説明になってませんっ!確かに私はこの目でメグちゃんの生体エネルギーがなくなってくのを見たんですよ、どういうことですかっ!?」
魂を送り火できるグレアですら理解が追いついていなかったらしい。人智どころかスピリチュアルでも分からない現象を起こすのはこの女、電波のニューウェーブ・モンスメグ。
スズラン「そういえばライは!」
フルーラ「それが、、、いらっしゃるのよ、ここに」

ライ「我が千鳥の太刀・雷切が鳴いている……貴様らがスイのいうあやつり人か?」
雷切と称する剣を携え、メグとは違った電気のエナジーをプレッシャーとともに発する三聖獣の姿がそこにあった。無骨な話し方は、スイとは違った威厳を放っていてまさしく王道とも呼べる伝説のポケモンのそれを感じる。
スズラン「あれぇ?ライもそこにいてメグちゃんもそこにいて……頭へんになってきちゃった」
困惑するスズランをロックが心配そうに添いながら、改めてライへ自己紹介をしておくことにした。
アリス「ああ、ボクがそのあやつり人とやらのアリスだ」
軽い会釈とカーテシーで第一印象を植え付けさせておく。こういう硬派そうなタイプには形式が大事であることを学んでいる。
ゆんたちも続いてライに挨拶を交わしていき、ラストに主犯格が回された。

モンスメグ「まみむめも☆メグの前世ちゃん!」
いけしゃあしゃあと悪ブレもせず意味不明なコンタクトを取るメグ、状況が状況なので最早ツッコミも入れられる者はいなかった。ライはまじまじとメグを一瞥すると、雷切を鞘へ納刀すると不愛想な顔のまま相槌を送る。
ライ「ほう、貴様が例のモンスメグか。拙者とは似ても似つかぬ風貌、だがしかしその身に宿す雷神は確かに拙者と同一の風格よな」
私が私を見つめてましたを地でいく光景に眩暈がしてきた……。なんでメグ残ってるんだよとかなんでライふつうに蘇ってんだよとかなんで意気投合してんだよとか、疑問が無限に細胞中を駆け巡っていく。そんなボクをよそに、ライはボクの方へと踵を向けてきた。
ライ「アリスと申したな。その幼さでよくぞこの拙者を解き放った、それも拙者の現身まで連れるとは大した者よ」
モンスメグ「自慢のマスターだZE☆」
アリス「そりゃどうも。で、なんかおかしいって思わないんか?」
ライ「笑止、一度は滅びた身ぞ。何事にも疑ってかかるまでもあるまい」
フルーラ「ライ様らしいわね……」
スズラン「奇跡でも起こったのかな……」
グレアット「アンビリバボーですねっ」
いまいち納得がいかない人間サイドと既に適応しているポケモンサイド。これは種族の差なんだろうかといったん思考放棄して、これから何をすべきかを聞いてみた。
アリス「んで、全員解放したけど後はどうすりゃいい?」
フルーラ「今から海の神様へと会いに行くよ」
6号「遂にクライマックスですね!」
モンスメグ「ミッション・インポッシブル☆」
一時はどうなるかと思ってヒヤヒヤしたが、全員無事に三聖獣たちの封印解除を終えることが出来た。フルーラ先行のもと、ボートへと帰還しにいく。

ライ「…………雷神飛竜昇……!」
パリーンッ!
グレアット「……付け入る隙はありませんよっ」
ライ「フッ……実力は申し分なしか」
グレアット「試練がない訳ないと思ってましたからっ」
ライ「合格だ、先に待っているぞ」

アリス「ん、どうしたグレア?」
グレアット「いえいえっ」
アリス「そういやライは?」
グレアット「スイさんとエンさんと一緒に先回りして待ってるそうですよっ」
アリス「あっそ、自由な奴等め」
グレアット(アリスさん。スイさんと同じで皆さん一癖も二癖もある方々ですよっ……この身に代えてでも必ずや守護しますからっ)
かくして、あやつり人としての使命を果たすために三大元素の聖獣を従えてボクたちは海神のもとへと出航したのだった。

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わだつみにて

エン「スイ、ライ。どうも海神殿の様子が異常ではないか?」
ライ「そう思うか、拙者も淀んだ邪気を感じる」
スイ「アハン♥エンったららしくないわねぇん♥いざとなったら乗っ取ってしまえばいいのよぉ♥」
エン「女豹が……それがし等は鳳凰神の命により海神殿を観測する立場にあることを忘れるな」
スイ「くだらないルールに拘る愚直なとこ、相変わらずお可愛いわねぇ♥」
ライ(拙者が受肉した際に感じたあの焔凰の煌々……よもや、な)

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アーシア:サザンクロス島

南十字星の形を模した奇妙な造りの、人工の手が施された小島へと到着した。あたりの海は渦潮が発生しており、ここに来る途中もフルーラの操縦テクニックのおかげで酔わないで済んだものの、揺れのおかげで三半規管が刺激されて上陸してもなお地に足がついてる感覚がしなかった。
ゆんがボクを背負おうと気遣いしてくれたが、これから仕上げというのにそんなみっともない姿は見せれないためボクは気合を入れて奥深くにある祭壇へと歩いた。
アーシア民の手によって組み立てられた内部は複雑な進路となっており、先に進むためにはアーシアの巫女だけに受け継がれている力に加えて、スイ・エン・ライの直接的なエネルギーを必要とする仕掛けになっていた。
そんな厳重な迷路を進んでいく最中に、異常事態が発生した!
海の神様が眠っている祭壇まであと少しというところで、ゴゴゴゴゴゴと地響きが起き始め壁が次々と崩れ落ちてくるではないか!

フルーラ「いけない!」
ゆん「アリスちゃん!」
ボクはゆんの翼に乗り、仲間たちもそれぞれ身を構えて安全を確保しながら避難をはじめた!いったい何が起きているというのか、フルーラが走りながら推測を立ててくれた。
フルーラ「海の神様が調和を取れてなくって暴走してるかも!」
アリス「なぬー!?」
フルーラ「みかんが頑張ってくれてる!でも抑えられるのも時間の問題よ!」
そういえばみかんはスイと、恐らくはルギアと思わしき海の神を調和しているかんなぎだっけか。しかしこの現状を見るに、どうやら不手際があったせいかお怒りっぽそうだ。ゆんの背中から後方をチェックすると、ビアンカとメグが各々シェルターを展開して時間稼ぎしつつ逃げているのは確認できたがほか3人の姿が見えなかった。
アリス「スズランたちはどうした?まさか逃げ遅れたのか!?」
ビアンカが真横までジェット推進してきて、報告してくれた。
ビアンカ「なんかグレアちゃんとお話しして別ルートから飛んでったよ!」
それに続くように反対方向からダッシュしてきたメグが追加続報。
モンスメグ「ろっくんもスズちゃんと会議アンド退避☆」
なんだなんだ、この非常時に三人揃って文殊の知恵ごっこか?勝手な行動は場を乱すと義務教育で教わってこなかったんかい。
まぁいい、三人とも歴戦の実力者だ。そう簡単にはくたばらんだろう。
ビアンカのリフレクターとメグのひかりのかべで落石事故を防いであるフルーラに付いていき、崩れかけの出口から命からがら撤退した。
が、外を見ると筆舌に尽くしがたい光景が広がっていた!


突如として発生した津波だか渦潮だかの仕業で、サザンクロス島は半壊してしまいなんとも無慚な惨状が繰り広げられていた……。
フルーラ「ひどい……!」
ビアンカ「住んでる人がいなくって、不幸中の幸いだね……」
ふたりが打ちひしがれているなか、人一倍視力の良いゆんとメグが何かを見つけたみたいで指を差した。
モンスメグ「あなたが犯人です☆」
ゆん「アレはもしや……!」
指差す方向を振り向くと、これまで味わったことのない規模の邪悪なオーラを纏ったナニカが空を支配していた。
フルーラ「……間違いない、海神様よ」
ボクたちの気配を即座に探知したのか、空を泳ぐようにして近づいてきやがった。
リフレクターとひかりのかべの出力を上げ、迎え撃つ姿勢を取っておく。

??????「呼んだのは貴様か、愚かなる操り人よ。私の名はダークルギア、海を司る者!この海を守るため私はここにいるのだ!」


深海の闇を彷彿とさせる黒きフォルムに身を包み、鮫のように大きなヒレのような形状をした二枚の翼で飛び交い、正しく生命の絶対的象徴を具現化させた存在がそこにいた。
その憤怒にまみれた表情と、刺すような目つき、高圧的な言葉とは裏腹に、彼女の声はまるで天使か聖母のような優しく慈愛に富んだソプラノの心地いい響きのものだった。
アーシアの巫女が説得をこころみるも、ダークルギアは聞く耳をまるで持っておらず、拒絶の態度を示すと言わんばかりに激しい雷雨と巨大な渦潮を起こして威嚇してくる始末ときた。
何が気に入らなくて彼女をそこまで怒りに駆り立てているのか?
真意を探ろうにも、話し合いが出来そうな状況ではなかった。ボクたちは下手に動いてこれ以上の刺激はさせないように、待機命令を出し座して待つことにした。メグは髪を弄ってうずうずとはしていたが、勝てる見込みも状況を好転できそうにも一切ないと見れば実は仲間内で最も理知的に判断をする奴だ。ある意味ゆん以上に統率を取りやすい。
とは言っても話が違うぞあやつらよ、あやつり人たるボクがこの場にいるというのにどうしてこんな最悪のケースを招いてしまってるのか。
などと思案をしていると、向こう岸の飛び地から三体の魂魄体が出現した。

ライ「ルギア様、どうか怒りを鎮めてもらいたく推参し仕った」
エン「海神殿よ、今回の操り人は悪人とは思えませぬ」
スイ「そういうことだからルーさま♥バカンスしていってちょうだぁい♥」

ビアンカ「聖獣3名様のご案内!」
アリス「して、上手くいくとは思えないが……」
不安というものに限って、的中してしまうのが宿命。聖獣たちの登場に落ち着きを払うどころか、火に油を注がれたように憤慨するダークルギア。

ダークルギア「貴様たち、この私を謀(たばかり)おったな?あの鳳凰め、やはり信じられぬわ」
ホウオウの名が聞こえてくる、やっぱりこっちにもホウオウは存在していたのか。目視しているダークルギアも、こっちの世界と違って真逆のフォルムをしているし、いわば本来もしかしたら居たかもしれない世界線とやらの姿なのだろう。
ライ「それはルギア様の思い過ごしにございまする、拙者がこうして復活できたのもホウオウ様の持つせいなるはいのお陰でありますゆえ」

アリス(……?せいなるはい、だと?)
スズランから聞いた神話と、ライとメグの一件、ルギアの怒り、なぜだか符合が一致できてしまう。妙な胸騒ぎを覚えると同時に、メグはまだ何か隠匿しているのではないかとふつふつ疑念が沸き上がってくる。

スイ「あらぁん♥嗅ぎ覚えがあると思ったらやっぱりそうだったのねライったらぁ♥」
エン「なん……だと?ハッ、ライの申すようにそれがし達は海神様を誑かそうとしていた所存では」
ダークルギア「もうよいわ!」

なんとヒレを軽く仰いだだけで、旋風が巻き起こったではないか!
ダークルギアの エアロブラスト!
その一撃は、交渉決裂を意味していた。
ルギアからお見舞いされた3人は、ひゅんと消えたかと思えばボクたちが立つ断崖へと瞬間移動してきた。
アリス「おぬしら」
エン「このような形で邂逅するとはな……それがしはエン、それで充分じゃろう。我等では海神殿を抑えきれん、心苦しいが助太刀してはくれんか」
ライ「優れた操り人たる貴様にしか頼めぬ……貴様の統率にこの命を預けようぞ」
スイ「アーちゃんにしかできない宿題よん♥」
ゆん「アリスちゃんを頼ってくれるのはいいのだけど、その前にせいなるはいってどういう事かしらメグちゃん?」
モンスメグ「嘘はつきたくないけどホントのことも言いたくない★」
ビアンカ「むー……とにかくあのルギアさんを止めなくっちゃ!」
フルーラ「お願い、こんなことははじめてなの!」
えーい、寄ってたかって丸投げしおってからに。メグのいざこざは気になるが、割とおおかた想定はついている、メグが今ここにいることに免じてお咎めはよしてやろう。
とにもかくにも、今のルギアは怒りに身を任せてしまっている。このままではアーシアだけじゃなくて、他の場所にも被害を被る危険性だってある。
馴染みのない異世界とはいえ、サイレントヒルもキガンもクルリもリフルもウルミもソウルマウンテンもブルーフォレストもこのような理不尽から守りたい。

ダークルギア「ギャアアアァースッ!」
超音波のようにけたたましい雄叫びを上げると、ルギアはどこかへ飛んで行ってしまった。まずい、暴走して破壊活動されてしまっては敵わん。ボクたちは急いで後を追いかけた!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

離れの孤島
ルギアを追っていくと、ポツンと浮かんだ小島へと辿り着いた。ここに至るまでルギアはただ威嚇を放って迂闊に近づけないようにしていただけで、まるで誘導されたかのような感覚がした。とすれば、もしや怒っているように見せかけていたって冷静なのか?そうだった場合なおのことさらタチが悪い、頭に血がのぼってくれていたほうが幾分かラクに策を講じられたからだ。
激しく打ちつける雷雨のなか、ボクたちは地の利を生かせる配置として陸地にはボクとメグとライとエンを、上空にはゆんとビアンカを、海辺にスイを構えて陣を組んだ。安全を確保できるよう、フルーラは防空壕のようになっている近場の洞窟に避難してもらっておいた。そして海上にはルギアが聳えており、明確な敵意を見せていた。

ルギアを止めるにはこのやり方しか知らない、力を認めさせることだけだ!
アリス「行くぞ!」
いざ決戦のバトルフィールドへ!と身構えると聞き慣れた声が空から届いてきた。

グレアット「間に合いましたーっ!」
6号「助けに来ましたよ!」
声がする方を見ると、グレアとロックの2人だけかと思いきやその倍以上の援軍が駆けつけてきていて、思わず面食らった。
サンダー「へえ、あいつがこの世界のルギアってわけね。やってやろうじゃないの!」

フリーザー「あ、えと……強敵、的な?」

グレアットの属する伝説の三鳥であるサンダーとフリーザーだった!
まだそれだけじゃなかった、残る2人も上陸して着地してきた。

レジアイス「……ルギアのライブ……開催と聞いて……」

レジスチル「いくらボンボンのアンタでも、こんだけ揃えば戦略を立てれるわよねッ!」

伝説の三ゴーレムのアイスとスチルもが応援に来てくれた。
ロックの頼みとあれば配信活動を捨ておいてでも優先してくれたのだ。
舞台、役者、使命がここに集結した!

グレアット擁するサンダーとフリーザーのカントー伝説、
モンスメグ擁するスイとエンとライのβジョウト伝説、
ロック擁するアイスとスチルのホウエン伝説、
ビアンカというアルトマーレの伝説、
そしてボクの相棒たるゆん。
迎え討つは、ダークルギア。相手にとって不足無し!

ダークルギア「吹きすぎる風はこの惑星の息吹、打ち寄せる波はこの惑星の鼓動。
私に挑むのであれば……よかろう!相手になってやる!全てを捨て!持てる力を出し尽くし!命をかけて、かかって来い!!」

Part16へつづく!