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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part12

 

風の流れが、水の流れも、場の流れまで。透き通って視える、澄み渡って見える。

一振りの間にご丁寧にリフォームされた、シャボン玉ふわふわなオーロラフィールドに立ち戻ってパートナーの名前を呼んだ。
アリス「ゆん」
ゆん「よくってよ」
スイ「待ち焦がれたわ♡いらっしゃい、遊羽ちゃん♡」

甘く媚びた声のままのように聴こえるが、ボクだけは気づいていた。
色香のある蕩けた声に変わっている。スイからは余裕が消えていた。
それもそのはず、ロックのエクスプロージョンはすり抜けるのだ。みがわり人形をいくら並べて置いたところで、だいばくはつを昇華させた爆裂魔法の前では無意味。
本体と本体が封じられている祠をご自慢のバリアーによって傷一つ付けなかったことが不幸中の幸いか、もし中のメグごと巻き込んで壊れようものならロックは今頃海の底に沈む運命だったけど。
むしろ自身の本体、それとボク達の安全はなにがなんでも護るだろうと、スイを信じていたからこその結果。これが境界を超えた”信頼”ってね。

スイからも名前を呼ばれると、あやつを羨望しているからなのか試練中というのに柔らかく微笑んで返すゆん。
ゆん「スイさんと相まみえる機会を頂けて光栄よ」
スイ「うふ♡可愛いこと言ってくれるじゃない♡」
ゆん「けども。そろそろメグちゃんのエキセントリックが恋しいの、一本取らせてもらうわ」
両翼を織り広げ、上空へ飛んで臨戦態勢に入るゆん。
スイ「あら♡フラれちゃったわぁん♡」
スリットスカート状の陣織りを靡かせながら剣を構えるスイ。
必ず真剣に攻めてくるはず、判断の遅れが命取りになる、しっかり見極めろ!
アリス「ゆん、トライアタック-雷の型-!」
ゆん「斬ッッッ!」
ゆんの トライアタック!
スイ「止まって見えちゃうわ♡」

アリス(迅ぇッッッ!!)

瞬間移動してきたはずはないが、スイの短兵急が速すぎて目にも写らない。だがボクが口頭で命令できない事態に備えて、毎朝習慣としてゆんにはジェスチャーサインを教えてある。今はスイの身のこなしだけを捉えるしかない!
剣先が掠るだけでも、もはや致命傷になりかねない。ゆんには風の微かな流れを読んでもらって回避しながら、空中から地の利を取って出しうる限りの攻撃を繰り返す、いわゆるヒットアンドアウェイで闘う!

泥臭いせめぎ合いが長引けば長引くほど、スイの性分ならいずれ嫌気が差してきてなにか仕掛けてくるはず。ゆんの最大の得意武器は大きな翼から羽ばたく強風でも、次々と戦いの中で新たな戦技を閃くことでもない。
24時間休まずに大空で飛び続けられるタフネスな持久力よ!

2人の攻防を瞬きひとつぶんすら見逃さず、ゆんへと声と手振り両方を使って合図を送り続ける。この片時だけでもお互い合わせて10近い技は繰り出しあっている、正直ボクの動体視力が持たない。きっとそれがスイの狙いなのだろう、トレーナーを離脱させることがポケモン勝負において最も早く勝利に直結するのだから。だがしかし、限界が近づいてきた時のための対策はマニュアルにあるのさ。
アリス「グレア!」
グレアット「代わりましょうっ!」
スイ(ファイヤーちゃん?くす……♡戦う気力が残されていないだけで、戦いに指令を発することはできるものねん♡面白いじゃない、良いわよアーちゃん♡)
ゆんとグレアは戦い方が似ているゆえに相性が抜群だ、相互で指示を送り合える強みがあるのを活かさない手はない。
そういえばと、自然に目で追うとフル―ラは危害に巻き込まれることがない石段の裏手で、遠目から見守っていたみたいだった。バイト巫女でもスイの試練に付き合うくらいの器量はあるんだな。
トレーナーローラー作戦のおかげで、遂にスイが土壇場で決断を切り出した!

スイ「一滴も汗を流しちゃったじゃない♡チャンバラごっこはおしまいよ、そろそろ水に墜としてあげる♡」
着物の袖を翻すワンステップだけで剣を仕舞ってみせると、スイを覆う水のヴェールが一点に集まり出して大きなシャボン玉みたいな水球を生成しだした。
これまでのパターンからして、あと2秒、1秒、コンマ0秒……!
アリス「かかったな!メグ、シビれさせちまえ!」
どれだけ優れた技の使い手であっても、大技を放つその刹那だけは無意識状態に陥る。だが決してスイは本気を出すことがなかったためにその刹那を生めなかった。
だからグレアに対し余裕を見せつけさせるように誘い、ロックに対し焦燥を感じるよう導き、今の今までの戦局による高低差と、ボクへ対する期待心と嗜虐心、それらの要素が重なり続けてようやく天邪鬼を呼べたのだ。
何も考え無しにひたすら突撃させていた訳ではないのだよ、君主様。

ゆん「破ァァァ!!!」
ゆんの つのドリル!
いちげきひっさつ!祠のバリアーが消えた!
スイ(わらわとしたことが、遊びすぎちゃったわ)

異世界の三聖獣たる一人に、こっちの世界の三聖獣たる一人が交差するとき。
雌雄は決する!
モンスメグ「ヒロインは遅れてやってくる☆彡」
モンスメグの エレキテル☆エレクトリック!
こうかは ばつぐんだ!
スイは ひるんでうごけなかった!

ひらりひらりと舞い遊ぶように、上空からメグの目前へ着陸すると再会のハグを交わすゆん。音速のメグであっても、ここ一番の雷撃を放った直後の不意打ちには伝達神経が間に合わなかったようで。
ゆん「メグちゃん♡♡♡」
ゆんは しきたりを おぼえた!
モンスメグ「ゆんゆ、ん……ゅ、んちゅ……ぷぁ☆」
グレアット「メグちゃん、私ともですよっ……はむぅ……ちぅっ」
グレアットの しきたり!
モンスメグ「ぐりぇぁた……んみゅ、ちゅ……きゅ~☆」
アリス「アーシアの巫女にでもジョブチェンするつもりか」

スイ「い、たぁ~い♥……効いたわよぉ♥」
魂魄なのに五感ないだろ。しかしいくらエレ☆エレがまともに入ったとはいっても、エクプロを正面から受けてからもあれだけ動けるスイのことだ、まだ戦えるHPはあるはず。戦闘不能の検知システムが働いていないのが決定的な物的証拠。
事実、上半身だけとはいえ起き上がってきた。
グレアット「まだ、やるおつもりですかっ?」
6号「完膚なきまでにやり合ってもいいですが?」
ゆん「ふたりともそんな元気ないでしょ。スイさんに委ねるわ」
好戦2名、保守1名、昇天1名。
スイは目を瞑ると両手を上げて、それでも惨めさを欠片も感じさせない優美な笑みを浮かべた。
スイ「ホームを開けたアリスちゃんの完勝よん……♡」
こうしてブルーフォレストから始まったお戯れは終わりを告げた。

-氷の祭壇-
フルーラ「はー、ほんとどうなるかと思ったわ。次もバトるんだったら私はランチでも食べてるからね!」
スイ「あら♥サマになってきたわねフルーラちゃん♥」
終わったとたんにいつものペースへとケロリ、フルーラのワンピースタイプ巫女装束を引っ張ってからかって遊んでいた。
フルーラ「スイ様、はやく魂魄を本体に戻して。みかんがあっちからやってるからすぐに身体取り戻せるでしょ」
あっちって、こんなに物理的な距離が離れてても効果あるんかい。スピリチュアル怖ひ。
スイ「シーユー♥」
華麗なアンドゥトロワのステップを刻みながら、あおいかけらが供えられた祭壇の奥へと消えていった。これにて一件落着。

フルーラがみかんのお手伝いにと黙祷してる間、あいつらを観察しておく。
げんきのかたまりで応急処置を施され、井戸端会議で盛り上がってるグレアとロックはというと、疲れているそぶりなど一切なくカラ元気というわけでもなかった。
ボクをあすなろ抱きして見守っているゆんはもちろんのこと元気いっぱいだ。
そして今回の騒動の主犯であり、三日三晩スイの相手をしていたメグは変わらないハイテンションでPOPSTARしているけども、けっこう無理をしている様子が見受けられる。みんなをごまかせても、ボクには隠し通せないかんな。
6号「きちんと封印解除の儀は執行されたんですか?全然出てくる気配がないんですけど」
ゆん「ちょっと心配ね」
フルーラ「あ、そうなんだ。オッケ伝えとくね」
アリス「どうした大声で独り言を言い出して?」
フルーラ「スイ様、魂魄で遊びすぎていっときリハビリいるって」
モンスメグ「これがほんとの神休み☆」
どこのオンエアバードだよ。それにしてもスイとコンタクトしていたにしては、さっきと比べてえらくフランクな。
グレアット「意外と律儀なんですねっ」
フルーラ「ん?みかんからのテレパシーよ」
ゆん「スピリチュアルね!?」

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アーシア・ほのおのしま
フルーラ「変ね、エン様のエネルギーがものすごい勢いで凝縮されてる」
グレアット「どういうことですっ?」
フルーラ「封印が解かれてる!」
6号「なんですって!」
ゆん「巫女にしか出来ないんじゃなかったかしら?」
フルーラ「……まさかね」
彼女の表情から顧みて、思い当たる節があるようだ。エンはフルーラが統制している聖獣、それをレリーズできたということはフルーラ以上の巫女の才覚を得ている持ち主ということだ。
モンスメグ「READY STEADY GO☆」
急いで祭壇まで駆けつけると、そこには見覚えのあるお嬢様が立っていた。

ギンノ @神威様

 

ギンノ「あーら、御機嫌よう」
フルーラ「ギンノちゃん!……やっぱり」
ギンノ「サボってばかりいるから、なまっているんじゃなくて?」
アリス「そうか……知り合いだったのか」
ソウルマウンテンで出逢ったときの尋常じゃないオーラ、みかんと友達だったこと、そして今置かれている状況、すべて合点がいった。
ギンノも、かんなぎか。

フルーラ「うるさい!あなた、エン様はどうしたのよ!」
ギンノ「うふ♡あっさりと私の手持ちになってくれたわ」
フルーラ「そんな……!」
ギンノ「まだ未熟ね、フルーラ。アーシアの巫女が聞いて呆れちゃうわ。エンだって伝説のポケモン、力ある者に従うのよ」
フルーラ「うぅっ!」
何も言い返せないフルーラを尻目に、ボクへと麗しい視線を向けてくる。
不敵な笑みを見せながら、コン・コンと上品にヒールの足音を鳴らして接近してきた。
ギンノ「経験を積んできたのねアリス、分かるわよ」
ゆん「ギンノさん!」
ボクをかばうように間に割って入り、目の前で両腕と翼を大きく広げて制止するゆん。
グレアたちもボクを囲ってギンノから身を挺してくれていた。
ギンノ「ふぅーん……?私を通さないつもり?」
6号「借りがありますからね」
モンスメグ「リベンジマッチ★」
グレアット「ここから帰しませんっ!」
アリス「おまえたち……」
スイのときとは打って変わって、全員がギンノに対して凛然たる態度で臨んでいた。
ギンノ「無粋ねぇ、やり合うつもりなんてないわよ」
反して彼女は興味を示さない様子で、モンスターボールからマダームを出すと悠然と背中に座って宙へ浮かんだ。
ゆん「私だって飛べるのよ」
ギンノがマダームに乗ると同時に、ゆんとグレアは羽ばたかせて応戦する。
糸が張り詰めたような緊迫感……ボクも思わず固唾を飲む。
それをぷつりと切って揺らしたのは、ソプラノの音色のような幼い元気な呼び声だった!

ビアンカ「あー!リースお姉ちゃんだぁ♬」


予想外過ぎるお出ましに、開いた口がふさがらなかった。ポカーン。
他の仲間たちも面喰ってしまっている。メグ、なんだそのアスキーアートみたいな顔は。
フルーラ「え、嘘!?……水の都の女神様!?」
なんだなんだ、バイト巫女もパニクってるのか初対面だというのに。
こちら側が混乱しているのにも目にくれず、空から着地するとぱたぱたとくぐり抜けてボクとほぼゼロ距離までアタックしてきて明るい笑顔を振りまいてきた。
ビアンカ「本当にこっちまで来てたんだ!」
両手を握ってくると指を搦めてキャッキャと喜ぶその姿を見ると、こんな事態なのに思わず安心してしまった。一流のウェイトレススキルは伊達じゃない。

ギンノ「気が変わったわ。こんな処だったらなんだし、ついていらっしゃいあなた達。相手してあげる」
煌くリップでそう告げると、マダームの羽根で高く高く大空へと飛び立つギンノ。
ビアンカが状況を変えた!
アリス「追うぞ!」
ビアンカ「乗ってお姉ちゃん!」
それぞれボクはビアンカに、ロックはグレアに、メグはゆんに乗って大空へ舞う。
エンの封印がレリーズされたからか、ギンノの仕業かは不明瞭だが、島を包むバリアーが消えておりその事実が事の重大さを思い知らされた気がした。
フルーラ「ちょっと!……あぁんもう、任せるわよ」

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-みちびきのとう-
白銀の令嬢を追って辿り着いた場所は、一言で形容するなら"異様"であった。
著しく損傷している看板はどうにか<みちびきのとう>とだけ読めるものの、それ以上の解読は不可能であり、さらに不可解にしているのが塔らしき建造物はおろか痕跡すら見当たらない点だった。幾年もの時が経て廃墟になっているのだったら何かしら遺っていてもいいのだが、そもそも建てられたのかどうかすら怪しい。
そして最も滅茶苦茶なのが、島の上というのに人工のブロックらしき床が”物理法則を無視して木の上や海の上にもバラバラに敷かれてる”風景だ。
いったいここは、なんなのだ?どないせいっちゅーんだ?
降りたくもないので、ビアンカに乗ったまましばらく飛んでいると一帯がきちんと整備されたフロアが見えてきて、そんな殺風景にすら愛おしさを覚えてしまった。

ビアンカ「あ!見つけたよ!」
アリス「よし、降ろせ」
令嬢はビアンカの声に気付き、サラサラと髪を仰ぎながら振り向いた。
後ろから追ってゆんたちも集結する、撮影現場に出向いて役者と舞台が揃ったような緊張感と高揚感が湧き上がってきた気分を感じた。
ギンノ「ここまで来れたのね。そう……確信が持てたわ」
6号「意味深な台詞を吐いて気を引く終盤の大ボスみたいですね」
モンスメグ「wktk★」
2人の和気あいあいに目もくれず、ゆんは神妙な面持ちで質問した。
ゆん「どういう意味よ?」
不敵に、うふふと薄ら笑い返してくる。
ギンノ「改めて自己紹介してあげる。私は元シンオウチャンピオンにして現ホウエンチャンピオン・ギンノ、あなた達とおんなじ世界のトレーナーよ」
彼女の圧倒的なオーラとポケモン勝負の腕前に納得せざるを得なかった。ボクと同じ世界とわざわざ注釈してきたあたり、ギンノもまた異世界まで旅立ったクチか。
ゆん「質問に答えてちょうだい!」
ギンノ「せっかちね、そんな焦らないの。ここはいわば”アイデアの塵芥”とでも言うべきかしら、この世界の住人には認知できない場所」
グレアット「そんなフワッとした概念感じませんっ!その情報はたぶんとんでもないザックリ系ですっ!!」
おおぬさをバサバサ振り回して、みんなが思っていることを
率先してぶつけてくれた。

ギンノ「この世界はね、私たちの世界に本当だったらあったかもしれないアイデアの集まりが生み出した世界なのよ」

『っ……!?』
まだ理解が追いついていなかった、理解しようとしても理解を拒まれる。
衝撃的な発言に呆気を取られているなか、ただ1人常識が通用しないもう1人の銀髪美女がエレキに鳴り響かせた。
モンスメグ「無限に広がる夢も描いた未来もメグ達に許されたパラレルワールド☆」
ギンノ「平行世界、少し違うわね。ここはそもそもが別個の隣り合わせの世界、私は<大団円>と呼んでいるわ」
モンスメグ「😊

このふたりの宇宙理論会話にはついていけない、別にこの異世界の成り立ちなんてこれっぽっちも興味はないしそんなことは学者に任せておけばいい。
メグとギンノのあいだを振り切って切り出した。
アリス「与太話はもういい、エンはどうなっている?」
追いかけた理由はこれであって、これ以上でも以下でもない。エンの力を変なことに使おうものなら、フルーラの為にも止めなくてはいけない。
ギンノ「メルヘンな格好のわりにファンタジックじゃないのね。安心なさい、私の本職は祈祷師よ。エンは今頃自由を謳歌してるんじゃないかしら」
6号「信用なりませんね」
ロックが怪訝な態度を示し、身を構える。ふだんは温厚なグレアやゆんも同感と主張するように羽根を散らしていた。

ギンノ「うふ、良いわよ。付き合ってあげる!」


ギンノ「熾りなさい、リザ」
ギンノは リザードンをくりだした!

グレアット「その蒼炎と私の紅炎、どちらが上か試しましょうっ!」
アリスは グレアットをくりだした!

ゆん「リザードンの炎は赤じゃなかったかしら?」
6号「イメチェンですね!」
ビアンカメガリザードンXだよ」
モンスメグ「All of you in my memory♩is still shining in my heart♩」
ビアンカ「Xしか合ってないよ!!
メガストーンっていう遺伝子エネルギーの塊と共鳴して進化したリザードンでね、潜在してたドラゴンの遺伝子を引き出した姿なんだよ♪」
6号「博識ですね、意外です」
ビアンカ「えっへん!」
鼻を高く伸ばして胸を張ってる妹分はさておいて、メガストーンとやらを直接狙って壊してやればあのリザードンは元に戻ってくれるのか?気になるな、ギンノがどこにそれを仕舞ってるのか見当がつけばあるいは……
グレアット「アリスさん、よこしまな考えしていないで攻撃指令を送ってくださいっ」
アリス「崇高な考えと言え。ドラゴンならば妖かしの煙を焚いてやれ!」
グレアット「はいっ!」
聖なるオーラを込めた炎を巫女衣装の切れ端に着火させることで巻き起こった煙を、翼で翻して突風によってリザードンへと焚き上げる!

グレアットの ワンダースチーム!

6号「フェアリーわざなのに通りが平凡ですね」
ギンノ「当然よ、ほのおタイプがメインだもの。リザ、ニトロチャージ!」

あいてのリザードンの ニトロチャージ
こうかはいまひとつのようだ
あいてのリザードンの すばやさがあがった!

ゆん「等倍だったのね」
モンスメグ「速さこそジャスティス☆分かり手~」
エンジンをブーストさせて運動神経の伝達速度を加速させる技か。
炎を纏った爪で切り裂いて奮い立っている。妙なのは、グレアに思っているよりも傷が入っている、ほのお同士なのにどうしてだ?……ブレスやバードではなく間合いが狭いクローでわざわざ直接攻撃をしてくる行為にカラクリがあると見た。
アリス「グレア、敵の爪に気をつけろ!爪以外の部位から受けるんだ!」
グレアット「爪、ですかっ」

ギンノ(今の一撃だけでそこまで洞察できるだなんて賢いロリータね、リザの特性はかたいツメ……あの子の言う通り爪で攻撃すれば1.3倍近いバフがかかるわ)
グレアット「ここは素直に攻めましょうっ!」
双翼を前方に突き出して翼の付け根ごと高速回転させて、真空状態の聖炎魔滅空間を創り出す。かみづなあらしの構えだ、しかしリザードンの身のこなしの方が速くなっていた!
ギンノ「詰めが甘くってよ。リザ、ドラゴンダイブ
あいてのリザードンの ドラゴンダイブ
爪による攻撃ではなく、はじめから身体全身を使ったプレス技か!焦点をずらされてしまって、手痛いダメージをもらってしまった。
グレアット「くぅっ……まだ終わってません、神綱嵐っ!」
グレアットの かみづなあらし!
ダイブをしてきてくれたおかげでゼロ距離から放たれる神空波が直撃し、敵のメガリザもだいぶ苦しそうに息をし始めた。
互いに譲らぬ攻め合い、ここまで勝負を作れるほどグレアは強くなっている。
6号「いけません、今のグレアでは一撃すら耐えれるかどうか……ニトチャで素早さが上回ったあちらに軍配が上がってます」
熱意に流されず冷静に分析するロック。お前も素質が光ってきたな、いずれボクの代役の練習をさせてやろう。
ギンノ「フォリキー程度に負けを喫していたあの頃と比べたら、少しは楽しめたわよ。これでとどめ」
あいてのリザードンは からだがしびれてうごけない!
ギンノ「なんですって……!?」
グレアット「どれだけ加速しようとも、神経そのものが麻痺していては無意味ですっ……引導を渡しましょうっ!」
愛の源である神よ、
限りなく愛すべきあなたを、
心を尽くし、力を尽くして愛します。
また、あなたへの愛のために人をも自分のように
愛することができますように、
神よ、私の愛を燃え立たせてください。
Amen.
グレアットの おくりび!
あいてのリザードンは たおれた!

ビアンカ「やたっ♪」
6号「ナイスグレア!」
ギンノ「ふーん……ちょっと甞めてたわ。良いわよ、勝負はこれから。滾りなさい、ヤミー!」
ギンノは ヤミクラゲをくりだした!

モンスメグ「Yo!Say!夏が胸を刺激する☆ナマ足魅惑のMermaid☆彡」
アリスは モンスメグをくりだした!

ゆん「お疲れ様グレアちゃん、それにしてもあの海月ドククラゲと何が違うのかしら」
グレアはゆんからおいしいみずを受け取るとフタを開けて、こくんこくんと飲みながらヤミーと名付けられたドククラゲの突然変異を観察する。
グレアット「なんとなくですけど、邪悪な力を感じますっ」
6号「とすると……みず/あくタイプ?」
ビアンカカニさんみたい♪」

メグといっしょにバトルするのはずいぶん久しぶりに感じられる。
振り返れば最後にしたのも、ギンノとの対戦だった気がする、運命は収束するってか。
ボクは威勢よく飛び出たメグにたったひとつだけメッセージを送ってやった。

アリス「メグ、好きにやれ!」
モンスメグ「だいすき☆」

Part13へつづく!