Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part11

「生まれ変わって、待ってるからーーー。」

アーシア島(とう)
古き伝説が残る場所

不思議の国デザインなエプロンドレスの上からピンクのビジューファーコートを着ている幼女が来たから注目されているのか、
翼を生やした美少女がふたり(うちひとりは炎の翼)も来たから注目されているのか、
パーブル魔女っ子コスプレイヤーが来たから注目されているのか、
アンサーは全部である。
グレアット「私達なんだか注目の的ですねっ?」
ゆん「キガンだと目立たなかったのにね」
アリス「あそこは往来が多かったからな、ここは人が居るわりにアイランドだから他所から来ると余計に目立つんだよ」
6号「クックック……我から迸るエターナルフォースブリザードが抑えきれぬようですね!」
グレアット「島民を皆殺しにしちゃダメですっ!」
アリス「お前らマジのマジマジで悪目立ちはやめてくれよ……」
ゆん「思っているより歓迎……されていなさそう、よね」
上陸してからというもの妙ちくりんな色物を見るような、そんな訝しい視線を浴びせられている。ここはどうもスケプティックな住民が多いようだ。
そんなこんなで途方に暮れながら、市街地へと続く階段の踊り場まで上がろうとしたところで、溌溂とした声質ながらやる気のなさそうな声色の女の子から呼び止められた。
????「あ!キミがアリスちゃん?」

勇壮活発でどこか可憐な雰囲気を持ったカジュアルな女子だった。
アリス「そうだけど」
グレアット「あっ、もしかするとみかんさんが紹介してた方ってこの方ではっ?」
フル―ラ「そーよ、あたしがフル―ラ。この島で巫女やってんの。一応ね」
おのおの軽い自己紹介を矢継ぎ早に済ませると、真っ先に湧いてきた疑問をみんなより率先してロックがぶつけてきた。
6号「巫女さんには到底見えませんね」
フル―ラ「それでいーの!あたしあんなダッサイバイトなんかしたくないから」
グレアット「ガガントスっ!」
ダッサイバイト呼ばわりしちゃったよ。グレアへこんじゃったよ。ゆんが励ましていると、フル―ラは思い出したように事務的な応対で顔を近づけてきた。

フル―ラ「そうだ、しきたりしきたり。……んっ」
アリス「んゅ……!?」

ゆん・グレアット・6号「!?!?!?」
なんか異世界に来てから2週間で3人からキスされちゃった。しきたりって何?このアイランドはしきたりでリップキスする風習が伝わってるのか?今すぐ消滅させた方がいいぞそんなしきたり。
驚いている様子の3人娘に対してもフル―ラは、しきたりと面倒そうにキスを3Hitしていく。異世界文化 is クレイジー
6号「わわ……」グレアット「っ……//」
ゆん「よくなくってよ……?」
フル―ラ「あー気を悪くしないで、アーシアの巫女は祭儀を行う人ら同士で秘密を共有するとかなんとかで唇を結ぶしきたりがあるの」
アリス「つまり文字通りの口封じ、と」
フル―ラ「そんなとこそんなとこ。ほら、ぼさっとしないで付いてきて!」
衝撃のファーストコンタクトを取ったところで、本日の目的を果たすべくアーシアで祀られている祭壇へと向かった。

ーアーシア島・ターバンの祭壇ー
ターバン?とかいう、ヤドランの尻尾だかヤドキングの頭だかに噛みついていそうなデザインのポケモンを模ったらしい石像を中心とした祭壇に着く。
みかんのガイドいわく、スイ・エン・ライはそれぞれアーシア島から見て西、北、東に位置する島にある祠で封印されていて、なんでもこの世界じゃ雷やら雨やら火やらが起きるのは、こいつらのおかげだと言い伝えられてるらしい。
で、そのエネルギーを正しく調和するために特別な力を宿した巫女が必要らしく、みかんはスイと調和が行うことができて、フル―ラはエンとライの調和が行える巫女とのこと。そして調和っていうのは有り体に言ってしまえば、みかんがスイの魂魄を安定して現世に留められているように、エンとライも本来は同じように魂魄だけで自由に動くことが出来るのだが、フル―ラがやる気皆無なため魂魄ごと封印してしまってるのだ。
そこで今から執り行う祭儀っていうのが、ボクたちが封印を解きにいって混乱や災厄が起きないよう2人の暴走を防ぐべく、エンとライの魂魄を解き放ってあげるという選ばれし神楽なのだ。ちなみにここまで来る途中、フル―ラはみかんはスイだけじゃなくってもっと格上の神様とも調和ができる超エリートだと教えてくれた。

そんな説明などさておき、ダッサイと豪語していた巫女装束に着替えてくれるフル―ラの祭儀を見るのが密かな楽しみだったりする。
ゆん「どんな衣装なのかしら」
6号「ファッションセンス皆無なんですよきっと」
グレアット「あんまり酷いこと言わないでくださいっ」
アリス「舞踊が見れればそれでいいよ」
などと談笑しながら待っていると、裏からだるそうにフル―ラが登場した。しきたりでボクたちから奪った薄紅色の唇にはオカリナのような楽器が咥えられていた。

火の神、雷の神、氷の神に触れるべからず。
されば、天地怒り世界は破滅に向かう。
海の神、破滅を救わんと現れん。
されど、世界の破滅を防ぐことならず。 
すぐれたるあやつり人現れ、神々の怒り静めん限り…。

フル―ラが舞い終えると、観客気分の4人から自然と拍手が起こった。
ゆん「綺麗じゃないの」
6号「感動しました!」
グレアット「ブラボーっ!Bravo!」
アリス「感極まりすぎだろ」
平然とブルーフォレストに奉られてる御神体にのろいのおふだを貼るボクですら、さっきまでと比べて一目瞭然なくらい場の空気が澄み切っており、晴れ渡ったような風の感触を味わった。実際にまだご覧になれていないが、みかんの祭儀は彼女以上なのだと思うとどれだけ神聖な気持ちを味わえるのか想像もつかなかった。
フル―ラ「あーもう、好きじゃないのよこういうの!」
逃げるようにして裏に駆け込んでしまい、瞬時にカジュアルな私服に着替えてしまった。なにはともあれ、これで準備は完了した。

フル―ラ「それで最初はどっから行くつもり?」
腰に両手をついて場を取り仕切るアーシアの巫女。ボクはまずスイの封印から解いていくことにしていた。なぜならメグが向かっている先はそこの可能性が高いからだ。
アリス「スイがいるとこだな、たぶんボクの仲間もそこにいる」
グレアット「メグちゃんを追わなくてはっ」
フル―ラ「氷の島ね。みかんがイイカンジにやってくれてるし、ちょうどいいんじゃない?」
6号「そういえばエンとライを呼ぶことって出来ないんですか?」
フル―ラ「まだ起こしたばっかだしやめといた方がいいって。それに口寄せすんのメンドーだし」
ゆん「あらあら」
巫女がこんな調子でほんとうに大丈夫なんだろうか?
とりあえず氷の島へとガイドしてもらうことにした、特別なバリアーで守られているため専用のボートでないと近づくのも危険なので巫女に任せることに。フル―ラは船舶のプロらしく、島一番の船乗りなんだそう。
あ、サトミには悪いことしちゃうな。せめてお土産は持って帰ってあげよう。
というかもしこの情報を知った上で交換条件を持ちだしてきたんだったら、相当の策士なんだが……まあそこまで計算高くないか。

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サトミ「どうせアタシらの船じゃ聖獣様の島なんて行けっこないんだから、アンタらアーシア観光でもしていきなさい!」
計算高かった。

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アーシア・こおりのしま

島に降り立つと、石段とその上に祠があるだけで切り立った断崖しか無い殺風景な場所だった。もっと厳ついカンジを想定していたからちょっと拍子抜けしてしまった。
むしろこんなちっぽけな方がわざわざ危険を冒してまで悪巧みするような輩も出ないだろうし、これもある種のセキュリティか。
先導するフルーレに付いていき石段を登っていくと、祠の前に待ち焦がれていた後ろ姿が見えた。あの艶やかな銀髪と、目に毒なちかちか色彩ファッション、間違いない!
ボクはスピードを上げるとフルーレを追い越してその名を呼んだ!
アリス「メグ!」
フルーレ「あ!危ない!」
ダッシュしたら、見えない障壁のようなものに弾かれてしまい盛大にコケてしまった。後ろからフルーレに支えられてどうにか石段から転げ落ちてあわや大ケガという事態だけは免れた。追いかけてきた3人も心配そうに声を掛けてくる。
ゆん「飛び出しちゃダメよ」
グレアット「アリスさんが冷静さを失っちゃおしまいなんですからっ」
6号「はやる気持ちは分かりますけどバリアーの話忘れたんですか」
ぐぬぬ……まさかこいつらに正論パンチされる日が来るとは屈辱。こんなエクスペリエンスな屈辱ははじめてだ!
とは言え、このままじゃ近づきようがない。目の前にいるのに何もできない。
フルーレ「見た目通りの子どもね、ホントにみかんが認めたのかな?」
アリス「と・に・か・く!どうすればあそこまで行けるんだ?」
過保護に後ろからむぎゅ~っと抱きしめてくるゆんに背中を預けながら、バイト巫女にメグと会える方法を訊ねる。
フルーレ「祠には本来一人しか行けないの、たぶんスイ様が障壁を貼ってるんじゃない?」
アリス「だったらスイを知ってるボクには地の利があるんじゃないのか?」
フルーレは神妙な面持ちで首を横に振って、そう簡単じゃないと呟く。
フルーレ「そこのメグって子がスイ様との対話を終えるのを待つしかないよ」
6号「対話ですか……だったらちょっと待ってれば済みそうですね」
フルーレ「スイ様と戯れたことあるんでしょ?そんなイージーだと思う?」
グレアット「ベリーベリーハードですっ!」
フルーレ「それに……あの分だと、あの子もう3日は対話してる」
ゆん「3日ですって!?」
3日前といえば、ちょうどサイレントヒルでメグが消えた日にちと一致している。もうそんな時からここの存在に気付いてあのバカはスイとおしゃべりしてるのかよ。
いや、ただのおしゃべりじゃなさそうだな。スイのことだから、押し問答してるかVTRをさせてるか、何にせよメグを試しているに相違ない。

アリス「待ってられるか」
このままはいそうですかと引き下がれるほどボクはオトナじゃないんだよ。
今すぐメグをひっぺ剥がしてやる!
フルーレ「なにするつもり!」
アリス「どうせ筒抜けなんだろ、スイよ。メグを返してもらいに来た、姿を現せ!」
祠に向かって啖呵を切ると、無数のシャボン玉と一緒にスイの甘い媚びた声だけが脳内に直接響き渡ってきた。
スイ「遅いわよぉん♥アーちゃん♥」
アリス「まだ半日も経ってないわい」
スイ「貴女のライコウちゃん、可愛くってついついイジメたくなっちゃったわぁん♥」
アリス「ボクのメグだ、ボクだけが可愛がる」
スイ「うふ♥ダイタン♥でもねぇん、わらわを止めたいんだったらぁ……」
アリス「力を示せばいいんだろう」
スイ「んもぅ、せっかちちゃぁん♥良いわよぉ、遊び相手になってあげるん♥」
ブルーフォレストの境内に展開したときと同じキラキラしたフィールドが足元からコーティングされていく!
はたから見れば異様な光景に、ゆんたちもフルーレも、誰も驚いた様子はなかった。フルーレは呆れたのか、どっちかというとスイの前だというのに気だるそうにしているようだった。
スイの本体が近いからなのか、前よりも豪華絢爛にオーロラが輝いているような気もしたがそんなことを気にしてる場合じゃない。
アリス「行くぞ、お前ら!」
ゆん「よくってよ!」
6号「承知です!」
グレアット「神様を相手にするのは正直あまり気は進みませんけどねっ……ですがメグちゃんを人質にされているのです、私は神様だって超えてみせますっ!」

スイ「言い忘れてたわぁ♥わらわは、遊びにだって……手を抜かない。」

 

VS三聖獣のスイ


アリス「自分自身が戦うのか、意外だな」
スイ「わらわが信じられるのは、わらわだけよ」
真剣モードなのか、媚びた口調は消え冷たく突き放すような口調に変わっていた。
クリスタルのように煌めく美しくも、ほんの塵一つ淀みのない清んだ氷の剣を両手に待ち構えている。相変わらずスリットスカートの着物を着崩しているが、これまで出会ったどのポケモンよりも隙が一寸も感じられない。
アリス「グレア!あの氷を溶かせ!」
アリスは グレアットを くりだした!
あられが ふりだした!
あいての スイは みずのベールに まもられている!
あいての スイは しんぴのベールに まもられている!
あいての スイは オーロラベールで ぶつりととくしゅにつよくなった!
ゆん「三つのベール!こんな序盤で!?」
6号「遊びにも手を抜かないというのは本気のようですね」
それくらいの芸を仕込んでくるってくらい読めているさ。恐れおののくほどに用意周到な、水の君主を相手にするんだからな。
アリス「ベールを吹き飛ばしてやれ!」
グレアット「巫女使いが荒いんですから……神綱嵐っ!」
双翼を前方に突き出して翼の付け根ごと高速回転させると、真空状態の聖炎魔滅空間が創り出され、そこから生じた嵐がぶつけられる!

グレアットの かみづなあらし!

あいての スイをつつんでいたしんぴのベールがなくなった!
6号「よし!ベールがひとつ消えました!」
しかしオーロラベールを壊すには至らず、アクアリングで傷はあっさりと癒えてしまった。
スイ「その程度なんて悲しいわ」
神綱嵐などどこ吹く風といった具合で、扇子をぱたぱた仰いで香水をかけて余裕な表情を見せてきた。
スイ「このラヴィエベルがミドルノートになるまでに決着をつけてちょうだい」
実質1時間のタイムリミットを設けてくるくらいには、このフィールドのペースは彼女が握っている始末だ。焦ることはない、まだ一手目。あいつとは何時間もおしゃべりした身だ、これくらいの挑発ではびくとも動じんよ。
アリス「気にするな、次のベールを灰にして燃やしてやれ!」
グレアット「そのおつもりですっ!」
Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.
Amen.
グレアット「祝福のお知らせに参りましたっ!」
グレアットの せいなるほのお!
さっき観たフル―ラの祭儀に負けないくらいの神聖さを纏った聖火がオーロラの透明を黒く焦がし尽くしてやった!
オーロラベールの こうかがきれた!
ゆん「極光は消える瞬間も儚く美しいのね」
スイ「気が合いそうね、わらわは儚さに恍惚を感じるのよ」
身を護るバリアーが破れても、エキストラと会話をする余裕さを見せつけるスイ。はたから聞いても強がりには全く見えず、実際強がってなどいないだろう。彼女は強いから。
アリス「いい調子だ、最後のベールを消してやれ!」
グレアット「はいっ!トレーニングで得たお力をお見せしましょうっ!」
両手を組んでお祈りを唱える彼女の周りから、聖痕のファイヤーが何本も立ち昇っていく……!前に見た時とは明らかに桁が違うぞ!
VTRで大津波レベルを蒸発させて帰ってきたグレアの鎮魂火が意思を持った動物のように、スイを纏うアクアリングへ向かって燃え上がっていく!
グレアットの おくりび!

スイ「所詮♥イメージトレーニングに過ぎないわぁん♥」

アクアリングに触れた巨大な火柱が、ひとつひとつ、またひとつ。ジュっと音を立てて消し炭と化して無残にもぱらぱらと落ちていく……?
スイはただの一歩も踏み出してはいなかった。
さすがに予想だにしていない展開を目の当たりにして、グレアは思わず膝を落として唖然と息を呑んでしまった。
グレアット「う、う……うそっ……」
スイ「期待ハズレねぇん♥わらわの闘争心に火は付かなかったワ♥」
ぱちん♪と指を鳴らしてくると同時に、清水の刃が発射される!ボクは飛んで避けるよう指示を送ったが、言葉は届いてはいなかった。
あいての スイの アクアブレイク
きゅうしょにあたった!
こうかは ばつぐんだ!
グレアット「痛ぅ、っ……!」
膝を落としたまま、ふぁさりと翼をクッションにするように地に倒れるグレアの悲痛な姿を直視してやることができず、顔ごと逸らしてしまった。
-グレアットの 戦闘不能を 検知しました-
ゆん「グレアちゃん!」
ゆんはグレアのそばに駆け寄ると、上体を肩に乗せてフィールドの外野へと羽ばたいてゆっくりと介抱してあげていた。
6号「しっかり気を持ち直してくださいアリスさん、私がキラキラ木っ端微塵にして差し上げます!」
アリス「ロック!……そうだったな、さっきのは不覚を取っただけだ!行ってこい!」
アリスは Type6を くりだした!
スイ「うふ♥爆炎の魔女ちゃんが来ると思ってたわ~♥」
6号「素敵なネーミングセンス!?敵ながらあっぱれです!!」

ええい、水より前に空気に流されてどうする。ロックの脱力発言のおかげでリラックスできたことでさっきよりも頭の中に川のせせらぎが聞こえてきそうなほど澄んできた、いつの間にやらスイが甘く媚びた声に戻っていることに気付けたくらいにはな。
ロックに出来ることはただ一択。だからこそ戦況の分析に、より一層集中を研ぎ澄ませられる。先ほどの試合で不可解に思った点はいくつかある、それにスイの趣味で実戦形式の試練をやらされているが、どうしてそれを選んだのかも思考を回してみる。

ゆん(アリスちゃんのお顔が、あの時のように凛々しい可愛い顔になってくれたわ。こっちに来てから、そのお顔にさせてくれたのはスイさんが初めて……)
スイ(そうよんアーちゃん♥策士たるあなたが、ファイヤーちゃんを攻め一辺倒に傾せちゃ真価を引き出してあげらんないのよぉ♥アーちゃんのアピールポイントはウィークポイントでもある”窮地から活路を見出す奇策の閃き”それをわらわにシてもらうために悪戯してあげたけどぉん……疼かせてちょうだい♥)

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アーシア島某所

ビアンカ「はわー!すっごーい♪ホントに異世界に来ちゃった!」
\リーダーソラカラオンナノコガ/ \テレビノミスギヨ!ウミデモナガメテオチツキナサイ/
ビアンカ「でもどーしてココにワープしてきたんだろ?ビアンカ、このペンダント-こころのしずく-くらいしか持っていないのに…………はれ?」

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アリス「ボクが考えてるあいだしっかり詠唱は暗読してたか?」
6号「必然!」
Type6の こうげきりょくは もうあがらない!
スイ「あらん♥わらわにナイショで抜け駆けしてたなんて♥」
アリス「な~にをいけしゃあしゃあと。お主とて自己暗示をかけたうえで瞑想してたくせに」
あいての スイは Type6のほじょこうかを じぶんにもかけた!
あいての スイの とくこうとくぼうは もうあがらない!

スイ「やだそんな熱い視線を送っちゃって♥おませさんねぇ♥」
脚を組みながらぺたんと座り込み、口元に手を添えて上目遣いになると、わざとらしく体をくねらせながら台詞を艶付けするスイ。どこのグラビアモデルじゃいお主は。
そんなポーズを見て「ほんとうに綺麗ね……」などと感嘆しながら羨望の視線を送るゆん。分かってはいたけどいちいち扇動に反応するなお前らは……。
視線に気づいたのかゆんと目が合い、ちらりと一瞥したかと「アリスちゃんは10年成長してもロリっぽそうね」などとほざいてきやがった。
グレアも横たわりながら笑うな、瀕死のまま駆り出すぞ。
ボクはエリカお姉様の血を引いているのだ、絶対ないすばでーになるからな……ガッデーム!
6号「じゃれていないで命令を送ってくださいおませさん」
アリス「ちっ。逆にあれほど爆裂してこいと誘ってこられると罠にしか思えん」
6号「私も同感なのでほとほと困ってます」
決め手はあるのに攻めあぐねてしまっている、悪い兆候だ。
スイ「おいで爆炎の魔女ちゃん♥わらわが受け入れてあげる♥」
姿勢を変えないまま更なる挑発で誘ってくるか、受け身を取れなくても後悔するんじゃないぞ!やはり今こそ絶好の機会、ボクは堂々と命令を下す!
アリス「これ以上策は講ぜん!ロック、打ちたい時に打てぃ!」
6号「その御言葉、密かに待っていました!」

黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。
覚醒のとき来たれり。
無謬の境界に落ちし理。
無行の歪みとなりて現出せよ!
踊れ踊れ踊れ、
我が力の奔流に望むは崩壊なり。
並ぶ者なき崩壊なり。
万象等しく灰塵に帰し、
深淵より来たれ!
これがポケモン最大の威力の攻撃手段
これこそが究極の攻撃魔法

6号「エクスプロージョン!」


超弩級の核弾頭が何発も降ってきたかの如き大爆発が氷のフィールド、いや氷の島全体に及ぶレベルで巻き起こった!
ふふふ、直撃は確実。スイであろうとひとたまりもないだろう。
クレーターと、ロックからのグッドサインシルエットが物語っていた。

「そんなオモチャじゃ満足できなくてよ♥」

6号・アリス・ゆん・グレアット『!!!!』

美白に透き通った人差し指から得意げな投げキッスを送られ、甘美な蕩ける声が静寂にこだました。
スイ「わらわ、こう見えてもお人形さん遊びが好きなのよね♥」
スイの みがわりは きえてしまった……

-Type6の戦闘不能を検知しました-

Part12へつづく!