Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part6

セレビィ、森の守り神と称される幻のポケモン
ジョウト地方の西南・ウバメの森のほこらで奉られていると言われ、なんでも時を渡ることができるという伝承が古くより言い残されている。
その能力を悪用しようとした一件があって以降、人前に姿をすっかり現さなくなり次第に幻のポケモンとして扱われるようになったという。

アリス「セレビィに出会ったのか?」
スズラン「うん、こないだ」
あっけらかんと日常話をしているかのように生返事をするスズラン、実は小説より数奇なものすごい体験をしている事実に気付いてないかもしれない。
スズラン「オーレ地方に遊びに行ったときにさ、ポケモン達をリライブして回ってるうちにひょっこり会ったのよねー、ひょっこりはん
ゆん「ずいぶんと遠征してたのね」
アリス「オーレ?いちごオーレ飲みたくなってきたな」
スズラン「あはは!アリスたんかわいすぎ~♡イッシュ地方と隣接してるとこだよ」
外国!となると確かに遠征だ、ボクが知らない場所も旅して巡ってるし1つ年上というだけなのに経験値の差がものすごい。
ゆん「セレビィとどんなお話したのかしら」
スズラン「んー。ヒ・ミ・ツ」
む、背中越しでも分かるぞ。きっとぶりっ子ウインクパチパチしてるに違いない。この機を逃すわけにはいかない、ボクは後ろからぎゅって密着して耳元でおねだりする。

アリス「おしえて~?」
アリスの あまえる こうげき!
スズラン「んひゃ///!?ちょっとエリカさんはこの子にどんな教育してきたのー!」
ゆん「ひとりでシャンプーもお着替えも出来ないくらいにはべったり教育ね」
スズラン「ウソ?!ベトベタアイスくらい甘々浸食されてるじゃない!」
まだ漫才デモができるくらい余裕があるみたいだ、もっと押さねば。別ベクトルから追求してみることにしよ!
アリス「教えてくれないと~……コショコショコショコショ~」
スズラン「あははははははっ!や、ひゃめておしえるおしえるかはあ~!」
ゆん「私の背中の上で暴れないでちょうだい~!」

グレアット「あっち楽しそうですねっ」
リーリエ「ほほえまー」

スズラン「ぁはー……イワヤマでワライダケ食べたときくらい苦しかったー」
ゆん「私も苦しかったわよ……」
アリス「堪忍しろ~」
スズラン「もう!もったいぶるつもりなかったから!セレビィと話をしたなんていっても、ホント少しだけなんだから」
ぽわぽわ~

<回想シーン>

スズラン「ローガンさーん、あれいない……せっかくリライブしてきたのに」
カルマ「そこのアンタ」
スズラン「ぴゃ!って、もしかしてセレビィ!!?」

セレビィ@冷水ゆき様

カルマ「Exactly、そのとおりじゃんよ」
スズラン「嬉しい!捕まえてもいい?」
ボールを よけられた!
こいつは つかまりそうにないぞ!
カルマ「全種リライブした奴は初めてじゃんよ、よっぽどピュアなハートを持ってるか変人じゃんね」
スズラン「えっへん!」
カルマ「その実績を見込んで他にもダーク化したポケモンがいるから見つけてきて欲しいんだわ」
スズラン「いいよ」
カルマ「まずこいつ」

スズラン「マダツボミみたい」
カルマ「つぎにこいつ」

スズラン「目がないカイロス
カルマ「あとこいつ」

スズラン「メタモンが伸びた」
カルマ「最後にこいつ」

スズラン「( ´∀`)」

カルマ「こーゆーファンタジーが好きそうな奴カントーにいるから紹介しておいてやる」
スズラン「カントーかあ……」
カルマ「こいつ」

スズラン「探してきます!」
カルマ「…………エリカんとこ帰ろ」

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アリス「なるほどよく分かった次会ったらこしょこしょの刑に処す」
幻のポケモンセレビィは人々の前から消えたわけではなく、数年前ボクにまだ物心つく前から何回も遊びに来てくれている輩である。
たった一度だけ仲間たちと対面したことがあったものの、うるさいからというシンプルな理由ひとつで、ボクが一人きりのタイミングでしか会わなくなったが。
ゆん「カルちゃんがトリガーだったのね」
スズラン「感謝しますセレビィ、おかげでこんなに可愛い天使とお近づきになれました」
アリス「って言ってもカルマが要求してるポケモンは見たこともないなぁ」
スズラン「ん、一緒にさがそ♡」
そんなトークをしているうちに、標的のサトミがいる島が目前に見えてきた。上空から上陸するときものすごい風圧がかかるので、普段はゆんに全身をゆだねて捕まってるけど今日は二人乗りなので代わりにスズランにさっきよりも強く抱きしめて体重を預けた。
ゆん「しっかり捕まっててよ」
スズラン「はーい♥♥」

ーサトミ領・クルリじまー

グレアット「あ、アリスさん達も降りてきましたねっ」
リーリエ「こちらです!」
6号「ぜぇ、ぜぇ……まだ走馬灯が回ってます」
モンスメグ「だらしないねぇ、という戒めの心をろっくんに与える!」
リーリエが手を振る方向へ砂浜を進んでいく、なぜかゆんとスズランに両手を繋がれて。身長差もあいまってはたから見れば宇宙人の例のアレ。
スズラン「やっほーみんな!あ、アリスたんだいじょぶ?ハートフリルローファーに砂入ってない?」
アリス「気にしてないから地に足つけさせて」
ゆん「ダメよ、これから面会なのに。アリスちゃんは放っておいたらすぐお洋服汚しちゃうんだから」
アリス「保護者か」
振りほど……けないので、ブランコの要領を使って遠心力でゆんの背中にダイブ&キャッチしておんぶしたら、ウジヤスから預かった誓約書をリボンチェーンリュックから取り出し、必然的にゆんにも読める形でそれを広げて内容をチェックした。

アリス「要約すると領土協定の締結を促す書類だな」
ゆん「ウジヤス様は仲良くしたいのね」
アリス「自分のコントロール下に置きたいんじゃないか」
ゆん「複雑ね……!危ないわ!」
密談をしていると殺気のこもったアローシュートが飛んできた。そびえ立つ古めいた城とは真反対の方向からだったから完全に虚をつかれた!
ゆんはボクを背負ったまま軽やかに空中を舞って避けていく。
ちっ、部外者は消すってか。物騒なセキュリティだなここは!

モンスメグ「エレキテル☆エレクトリック」
グレアット「Ave・Maria」
矢が放たれた方角に対して火柱と雷撃のカウンターが襲いかかり、微かながら人の悲鳴とポケモンの鳴き声が聞こえてきた。
きっとサトミの手の者に違いない、まずは一刻も早く事情を説明しに行かねば。
スズラン「どひゃー、容赦ないなあ」
リーリエ「少しかわいそうな気もします」
6号「命を狙われたんです、正当防衛ですよ」

2人の後を追いかけると、グレアットが囲った炎の渦によってすでに捕縛しているようだった。渦の中には、二つ引両のマークをドクロで結んだデザインをした水色の頭巾を被った肌黒い屈強そうな筋肉質のトレーナーと弓矢を放った張本人らしきジュナイパーの姿があった。
アリス「ふたりとも下がれ」
グレアット「ちっ」モンスメグ「ふんっ」
ボクは怯え切ったトレーナーから情報を割り出すため、恐怖心を取り除かせるよう愛嬌を振りまいて下手に出てみた。
アリス「ごめんね、命までは取らないから安心して」
レイモンド「このレイモンド、ロリータに不覚を取るようじゃリーダーに会わせる顔がナッシングよ……」
アリス「だったらそのリーダーの所までガイドしてもらえるかな」
ボクはキガンの国旗が刻まれた紋章を見せる。
レイモンド「シット!ウジヤスのグループか……だったら下手な鉄砲は撃てねえ、ついてきな」
想像通り、敵国だからこそ関係者と分かればこれ以上手は出さないと踏んで正解。
グレアとメグは息をつくと目くじらを立てていた眼光を潜め、レイモンドの経路を通した。もちろん簡単には逃げ出せないようにまだエネルギーを帯びていたが彼に抵抗する気概はなさそうだ。
警戒しながら後ろを付いていくと、サトミのアジトが見えてきた。
屋根の低いお屋敷のようだ、ということはあの城はフェイクだったか。
レイモンド「リーダーはこっちだぜ」
アジトというか、まるでからくり屋敷のような造りとなっていた。
キガンがオーソドックスな城構えなら、クルリはトリックハウスな城構え。
水源豊かなのか、中には井戸が多く見受けられる。
さすがに敵陣のど真ん中だからみな口数が少ない、そのせいかピリピリとした緊張感が全身を包んできた。果たしてどんなリーダーなのか……。

レイモンド「ソーリー!リーダー!」
リーダーと敬われる彼女は、窓から海景色を眺めているようであった。
てっきり妙齢の大男なのかと思いきや、へそ出しセーラーに健康的な眩しい太ももをアピールするホットパンツを着たレディースが佇んでいたのだから。
サトミ「あらレイ、おかえり。いつ見ても絶景よねー、
やっぱり海はイイわー。この潮の香り、波の音……何て落ち着くのかしら」

里見義尭 @戦極姫3より

 

サトミ「それでアンタらはいったい誰かしら?」

腰に手をかけてどっしりと構えるその姿には風格が漂っていた、美女ながらならず者を束ねている気立ての良さが伺える。
アリス「ウジヤスの命により仕った、アリスだ」
甞められないよう、いつもより会釈の角度を上げてカーテシーを披露。両手がふさがるので、あらかじめエプロンの胸ポケットにキガンの紋章を差し込んでおいた。
サトミ「へえー、とうとう幼女を送り込むようになったのねあのおっさん。それも」
大きな足音を立てて威勢よくこちらへ歩いてくると、強引に胸元の紋章を奪い取って宙へと舞わせた。
サトミ「只者じゃないねアンタ!上等よ。クルリ頭領サトミ、話くらい聞いてやろうじゃないのさ!」

リーリエ「よ、よろしくお願いします!」
スズラン「こーら、気遣いする相手じゃないよ」
アリス「ゆん」
ゆんに預からせたウジヤスからの誓約書を手渡させる、サトミはそれを乱暴にバサリと受け取ると速読するやいなや、不服そうにすぐ投げ捨ててしまった。
リーリエ「その、どうでしょうか?」
勇気を振り絞るとこズレてるぞ、下手に刺激したら今すぐにも飛び掛かってきそうじゃないか。とはいえ、揺さぶってみるのはひとつの択かもしれない。
サトミ「呆れた、この期に及んでまだ自分の方が偉いって思ってんのね。ま、そうじゃなきゃ張り合いないわね」
リーリエ「仲良くしていただけはしないですか」
サトミ「はじめは手を組んでたわよ」
リーリエ「え」
彼女から出た発言にちいさく息を漏らすリーリエ、あくまでも使者として来たにすぎないボクにとってこういった情報こそ重要性がある。
アリス「詳しく聞かせてほしい」
ふっとチラついたサトミの寂し気な目色を逃さなかった。

サトミ「その前に交換条件を呑んでちょうだい」
そう簡単には語ってくれないか、交戦相手から送られてきた外交の使者だものな。立場上しょうがない、
当然の摂理である。
アリス「何が望み?」
サトミ「他言無用を願うわ、耳打ちするから近こう寄りなさい」
秘密の共有、か。ボクがそれを漏らさないなんて保証はないはずだが、さっき島に乗り込んだ直後から狙いすまされた射撃がお迎えしてくれるほどの野蛮なセキュリティを打っているような勢力だ。
ここは素直に従っておこう、ボクは水兵の誘いに乗って距離を詰めた。
その瞬間だった!
気がつくと、ボクは羽交い絞めにされサトミの腕の中に拘束されていた。

「「「アリスさん!」アリスたん!」アリスちゃん!」

サトミ「こいつの身柄は預かったわ!あばよ!」
仲間たちが対抗する間も与えず、けむりだまで目くらましを撒くと、瞬時にボクは彼女とともに暗闇へと紛れ風を切っていた。

油断、した。

 

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グレアット「卑劣な……すぐに追いかけっ」
リーリエ「待って!待ちなさい!!!」
わたくしは、炎を逆巻きながら飛ぼうとするグレアットさんを、大声を出して制しました。咄嗟でしたがこんなに強く引き止めたのは初めてかもしれません。
グレアット「リーリエ、さんっ」
リーリエ「すぐにでも追いかけたいお気持ちは痛いくらい分かります、ですがここは敵の陣中……感情任せに無闇になってしまっては共倒れになってしまいます!」
わたくしの悲痛とも取れる冷静な判断を促すと、グレアットさんは翼を折りたたんで落ち着いてくれました。
気になって周りを見渡してみたら、まだほかの皆さんも留まってくれておりました。
……血走った目付きが怖いですけども。
ゆん「そうはいってもリーリエちゃんに何か考えはあって?」
6号「ぶっちゃけ島ごと爆裂させた方が手っ取り早いですよ」
スズラン「今回に限っては賛成」
ううっ、アリスさんというマスターを失った途端に、なんだかこの方達がものすごい怖いです。一歩誤れば取り返しのつかない事態に陥らせそうな……
改めて、アリスさんがどれだけ優秀な引率をしてらっしゃったか痛感します。
わたくしは深呼吸を1・2・3と繰り返したら、胸を張って宣言しました。

リーリエ「わたくしが司令官です!わたくしの指示なしに勝手は控えること!」


モンスメグ「決意表明すんなし、弱小ベースボール部かよ。一人で盛り上がって寒いっちゅーねん」
リーリエ「ひぅ、モンスメグさん?!」
バチバチ静電気が飛び交ってて近づくだけで痺れちゃいます。
一番思ってもいなかった方から、思ってもいなかった辛辣な投げかけが直球で来て、どう接したらいいか困ってしまいました……おしゃれ番長さん恐ろしや。
モンスメグ「なに。
リーリエはこわがっている、わざをだすことができない!みたいな瞳孔してんのムカつくからこっち見んな。メグここに来てからずぅ~っとフラストレーションだから」
あぅ、拒絶されてしまいました。
ですけど乗りかかった舟なのです、まだまだ挫けません!モンスメグさんから今朝頂いたアドバイスを思い出しました、わたくしがやるべきこと、それは具体的な指示をお送りすることでした!
えっと、アリスさんが攫われた先は分かりませんが……まだ遠くには行っていないはずです。それに恐らくウジヤス殿の領土には入らないはず。つまり島の中にまだ残っているか、もしくはボートのような乗り物を使って海へ渡るか……それとも

6号「待っていられません、私はこの建物から片っ端にエクスプロってきます」
ゆん「リーリエちゃん、私は空から逃げていないか偵察してくるわね」
あ、あ、あれこれ考えていても時間は待ってはくれません。このままじゃ皆さん単独行動をなさってしまってトラブルを招いてしまいます。
スズランさんも心なしかイライラして見えますし、モンスメグさんなんて今にも飛び出してしまいそうな足取りです。それに迷ってる間にもアリスさんの行方はだんだん……!
えーい、こうなったらままです!
リーリエ「これよりアリスさん捜索のため、愛と勇気の大作戦実行です!
モンスメグさんは自慢の脚力を駆使して島全体をぐるっと一周して探してきてください!6号さんとスズランさんは一緒にアジトの探索を!もしかすると抜け道があるかもしれません!ゆんさんはウジヤス殿へ援軍の要請をお願いします!
わたくしはグレアットさんと一緒に、あのお城を探索してみます!
それとアリスさんを巻き込んでしまっては本末転倒ですから、無茶苦茶な攻撃はなさらないでください、わたくしは誰かが傷つくような事はしたくありません!以上!!」

一息で言いきってみせました、頭に血が上ってしまって半分くらい流れで伝達してしまいましたけども……皆さん従ってくれるでしょうか?
モンスメグ「メグのニューロサーキットがミルキーショックした★
そしていま全て理解した!理解していないことを理解した!」
なんだかよく理解らないことを口走って駆け出していきました、良かったです!
6号「黄昏で幕開けに覚醒めたみたいですね、邪王真眼の共鳴のもと契約しましょう」
スズラン「かっこよかったよリーリエちゃん。じゃあ行こうかロックちゃん!」
褒められてしまいました!モラトリアムが疼いたような気がします!
ゆん「応援を頼むのはいいけれど、そうしたら一大合戦にならないかしら?そこまで発展すると最悪殺し合いになってしまうわよ」
リーリエ「う、それは困りものです。でしたらウジヤス殿には内密に、みかんさんに協力を仰ぎましょう!どちらにしろアリスさんと一緒じゃなきゃ帰れませんし!」
ゆん「分かったわ。私が戻る頃には終わっていることを願ってるわね」
危ない所でした、勢いのままわたくしの望まぬ未来になってしまうシーンでした。ゆんさんのお気遣いには頭が上がりません。

グレアット「ご立派な高説でしたよ、リーリエさんっ」
リーリエ「グレアットさん」
さっきまで口許からも炎を宿していたグレアットさんは、こんな窮地というのに暖かい笑顔で灯してくれます。わたくしの傍に残したのは、わたくし一人ではまだ未熟でろくに動けないのもありまして、お仲間のうちで一番打ち解けてられているグレアットさんを選びました。
うかうかしていられないので、わたくしはグレアットさん先行のもと古ぼけたお城を目指していきます。こんな非常時ですが、心細くて仕方ありませんので城がある方角へと導いてくれる彼女と会話をしながら。
リーリエ「わたくしの判断は正しかったのでしょうか」
グレアット「正しいかどうかは、後世の民衆が決めることですっ」
リーリエ「いま答えが欲しいのです!」
はっ。つい突っ走ってしまいました、この悪癖どうにかしなくてはなりません。
……ちょっとくらいでしたら、わがまま許されますよね?
ちら、っとグレアットさんの横顔を窺ってみると、氷晶のように冷たい目に爛々とした熱意が込められているかのような……睫毛、長くて整えられてます。
正直とっても格好いい……キュン。
グレアット「あのままでしたら、きっと島中すべて燃やして灰にしていましたっ。リーリエさんには、素敵なトレーナーの素質がありますっ」
リーリエ「そ……そんな!」
やだわたくしったら。顔が熱くって、にやけてきちゃうなんて……。
首をぶんぶん振ってほっぺたぱんぱん!
グレアット「アリスさんが逆の立場でしたら、追うぞ!のひとことだけで済ませられちゃいますものっ」
リーリエ「ご想像できちゃいました。でも、それは皆さんの絆色が彩られているからこそ成り立てるのだと思います」
出逢ってまだ一週間も経っておりませんが、肌から砂糖が出そうなくらいに実感してしまいます。愛し愛されるパートナー同士で結ばれてるんだって、損得ではない家族同然のような関係。まるで夢のようです……。
グレアット「リーリエさん」
リーリエ「はいっ?」
グレアット「元の世界に帰ったら、ふたりでカフェに行ってティータイム。しましょうねっ」
リーリエ「…………!はい!必ず!!」

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6号「ルナ・トリガー!」

スズラン「パティ、きつねび!」
パティ「こん!」


「つ、つよすぎる……」
私達が強すぎるのは必定ですが、あなたたちが弱すぎるのですよ。
エクスプロージョンを見せるまでもありませんね。
スズラン「屋敷の中はこれで全員かな?」
6号「敵の気配は消えました、殲滅完了です」
ざっと50人近くでしょうか、束になったところでせいぜい足元すら及びません。異世界の組織と特別視していましたが所詮雑兵は雑兵でしたね。
スズラン「あちゃーどうしよ、聞き出そうにも気絶させちゃった」
6号「それが普通ですよ、アリスさんのやり方が別格なんです」
スズラン「そうよ!アリスたんは甘すぎ!あんなグイグイ敵のボスのふところまで行っちゃって。お姉さんだったら誰でもいいのかな!」

後半トゲがありますね、というかそれを言ったらアリスさんの年齢的にビアンカさん以外は全員年上なのでお姉さんになるんですけど、私のとこに甘えてきたことなんてこれっぽっちもありませんですよ?
まぁ私ゃそーいうスキンシップなんかよりも爆裂魔法に付き合ってくれる方がよっぽど最高ですけど。
スズランさんとこうやっておしゃべりがずっと出来てしまうくらいには道中のバトルもアジトの探索も退屈なのですよね、リーリエさんが張り切っていましたから湧き上がった感情をぐっと堪えてこの魔力を封印しましたけど、あのボスの性分からし灯台下暗しパターンは無いと思うんですが……。

がたん

6号「ん?足元になにか引っかかって……うわあーっ!?」
ひゅーん
そのパターン、あったかもしれません。
スズラン「6号ちゃん!?……この梯子、抜け穴かな?」

Part7へつづく!