Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part3

 

モンスメグ「なにここ、色がない!」
ナツ姉のテレポーテーションで飛んできたその先には異様な風景が広がっていた。
マサラタウンのようなのどかな田舎町、なのだけども普通なら当たり前のようについてある色彩がこの町には塗られていないのだ。
手鏡で自分の姿と、みんなの姿にはもちろん色がある。町と交互に見ていると錯覚を起こしそうになる。
6号「まるで聖戦の跡のようですね」
グレアット「全部モノクロに塗装してるんでしょうかっ?」
ゆん「見上げてごらんなさい、灰色の空よ」
スズラン「なにそれ!こわくてこわい!このようなエクスペリエンスは初めてです!」
リーリエ「どうなってるんでしょう……」

ここが異世界というなら、それ以上うってつけの名称は無いだろう。
しばしの間異世界情緒を歩いて回ってみるも、何というべきかまるで時間が切り取られて止まっているような様子だった。
奇妙なことといえば、進める方向は一本道であることだった。大きな岩だったりフェンスが邪魔をしていて、まるで何かに誘導されるかのようにひたすら真っすぐと道なりを歩かされている感覚。
メグは名探偵モードに入ったのか黙って観察をしているし、スズランも恐怖心からか口数が少なく、沈黙した空気も相まって不気味な冒険のスタートになってしまった。
そんな折だった。

???「あの、どちら様ですか?」
アリス「びっくりしたー!」
ゆん「わ、私たち迷子になってて!」
ボクとゆんは驚きのあまりしどろもどろ、リーリエなんて今にも泡を吹きそうだ。
対照的に全く顔色を変えないグレアとメグと6号、そして硬直するスズラン。
もし肝試しなんてする日があったらボクはゆんと一緒にペアを組むことを誓った。

???「迷うほど入り組んだところではありませんけど……」

モンスメグ「しゃれおつセンス☆」
???「ふぇ?あ、ありがとうございます……?」
6号「困らせちゃだめですよ」
リーリエ「ひ……人ですた……」
スズラン「だいじょうぶ?」
大人しそうな少女の登場に、みな平常心を取り戻した。
ただメグの指摘するように確かに独特な服装をしている子だ。ただ衣装の端々がどことなく巫女さんっぽいデザインを思わせる。ここは本職の巫女に対話を任せてみよう。

グレアット「迷子というよりかは気がついたら此処にいた感じですっ」
???「そ、そうなんですね……えっと……」
どうやらリーリエに続いて人見知りセカンドシーズン放送。
ここはひとつ、華道宗家たるボクが合わせてやらねば。
しゃなりしゃなり
アリス「はじめまして、ボクはアリス。サイレントヒルを捜していたんだけど土地勘が無くて」
モンスメグ「スッと来たらバァっといってガーンだよ!!見知らぬ土地でもかけつけ一本お守りメグちゃん☆電撃少女モンスメグただいま見参っ!」
1秒で話をややこしくするな。
不安を感じたが、彼女からくすくすと微笑みが漏れてきた。

???「よろしくお願いいたしますね、アリスさま……そちらの方は?」
スズラン「わたしはトレーナーのスズラン、こっちはロコンのパティ!」
パティエ「こん」
リーリエ「わたくし、リーリエです。事情があってポケモンはいませんけど……笑」
グレアット「かんなぎのグレアットですっ」
6号「我が名はロック!コスプレイヤーを生業とし最強の攻撃魔法・爆裂魔法を操る者。あまりの強大さゆえ世界に疎まれし禁断の力を汝も欲するか!ならば」
ゆん「郵便配達のゆんよ」
華麗なるロックキャンセル。
残す一人は勝手に初対面の彼女とツーショットをパシャパシャ撮りまくってやがった、
マジマジのマジであいつというやつは。まぁ自己紹介するまでもなくイヤというほど伝わるわな、うん。
戸惑いながらもグレアの挨拶に聞き耳を立てていたようで、

みかん「かんなぎ、私と同業ですね……私ブルーフォレストでイタコをさせて頂いております、みかんと申します」
その名は偶然にもアサギシティのジムリーダーと同じ名を冠していた。そして初耳の地名が登場、やはりここは異世界で間違いなさそう。
アリス「ブルーフォレストってどこ?」
みかん「あ……ここからずっと北にある村で……」
ずっと北、という説明からするに今いる場所は地図で言えばだいぶ西寄りなのだろうか?
グレアット「誰かを祀っているんですかっ?」
みかん「え、えぇ……スイというポケモンですの。ご存じですか?」


ご存じない。本当にボクたちが知るポケモンとは生態系が異なるらしいな、ということはミコンやら128やらも此処ならお目にかかる可能性が芽生えてきた。
みかん「と、時々私達と同じ女人のお姿になられて……現世にお戯れに来ることもあるんですよ……お茶目でしょう」

ふいうち、一気に見慣れた俗っぽい写真が出てきたわ。
どこの世界でもポケモンっていうのはトレーナーの真似がしたいらしい。
モンスメグ「・・・・・・」
6号「メグさん?」
スズラン「ね、みかんさん!もしよかったらわたしのこの絵も見てくれる?」
リーリエ「あ……でしたらわたくしのこの写真も」
この機を逃すまいと便乗する二人、どこまでいっても最も俗なのは人間の方だぜ。
そういえば気がついたら景色に色が染まっているではないか、さっきのはそういう場所だったってことか……?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

みかん「わ、私なんかでお導きできたでしょうか……?」
スズラン「わたし……すごく感動しちゃったわ」
グレアット「素敵なご神託でしたっ」
6号「備忘録の1ページがまた分厚くなりました」

ゆん「な、なんなのかしら」
リーリエ「皆さん……大げさすぎます」
アリス「勧誘に引っかかりやすいタイプだ」
みかんの話をまとめてみると、ミコンと128についてだけでなくそれ以外の異世界ポケモンについても情報が得れた。
まず前提として、スピリチュアルを司る巫女の前において隠し通すのは不可能なのでグレアット達の正体を明かしたら想像通り、みかんは日常茶飯事だという反応を示した。マメパトが鉄砲を喰らったような顔をしていたのはリーリエ約一名のみ(秒速で順応した)

ミコンは成長前のロコンの姿だそうで、サイレントヒル周辺ではポピュラーなポケモンらしい。ただやはりというべきかアローラ種はミリ知ら。
そして128は本当に128という種族名でまかり通っていた、それでいいのか学会。
とにかく逃げ足が速く神出鬼没。トリッキーすぎる特徴もあって実戦においてもあまり見かけることはないとのこと。草と炎の相反した複合タイプであり、エリカお姉様が感じてらした植物の波動は正解だったようだ、なぜイラスト越しに分かったし。

問題のほしぐもちゃんだが、これはみかんも存じ上げなかった。
とすると異世界ポケモンではないかもしれないしよっぽど珍しい希少種なのか、謎が深まるばかりであります。
あとさっきからウチのムードメーカーが一人離れて神妙な面持ちで瞑想している。
スイとかいう祀られ神様に心当たりがあるのか?

スズラン「めーぐぅーーちゃあーーー、ん!♡」
一通り話を聞き終わって整ったスズランがメグの背後から胸揉みアタックを仕掛けた。
メグは背が高くてモデルのようにすらっとしてることや、豊乳なゆんが襟元のゆるい洋服を着こなすこともあって目立ちにくいけど、一緒にお風呂に入ることの多い仲間内の中でも実は一番バストがあると思う。
あ、もうずっとジメジメした道あるきっぱだしそろそろお風呂入りたいなぁ。
メグは一度自分の世界に浸ると中々帰ってこないからか、スズランに揉まれっぱなしでも気がついておらず。
スズラン「……やあらかいですぅ」
幸せそうでなにより。

ゆん「アリスちゃん、甘えてもいいのよ?」
アリス「えーい!やってられるか!みかん、ここから一番近い町はどこだ?」
ゆんからの抱擁を振り払い(力の差で振り払えてない)直近の宿泊先を尋ねる。さっきまで空がモノクロトーンで不明瞭だったけどヤミカラスの鳴きだす夕焼けになろうとしてきている、そろそろ動かないと間に合わない。
みかん「リフルタウンになりますね……ご案内します」

ーリフルタウンー
自然と歴史所縁の出逢いが交差する町。

民泊に到着、大所帯なので心配だったけどほとんど利用客がいないおかげで今夜は貸し切りにしてもらえた。星空が美しいと聞いたのでレッツゴー露天風呂。
グレアットはみかんと二人でここから東にある霊園へ、ゆんとリーリエは買い出しへ、スズランと6号は腕がなまらないようにと模擬バトルをしに行っていた。
ということで、必然的にボクの相方は

モンスメグ「お風呂でスキンケア♬うるおいあげましょう♬しっとりすべすべしっとりすべすべアロエとコラーゲン☆」
無意識のうちに揉みくちゃにされてたロトチューバー。ちなみに正気を取り戻した直後にスズランは超電磁砲の餌食になったのは語るまでもあるまいて。
エリ姉からいきなり空間移動されたというのに、常備しているのか毎日愛用している美容グッズをふんだんに使って入浴を楽しんでいる。

モンスメグ「アリスちゃんこっちおいで~☆」

おいでと言い切る前に高速移動でボクを腕の中に抱きかかえて、エイトザタラソのモイストシャンプーをしてくれる。
幼い頃から毎日日替わりでエリカお姉様やマユミちゃんなどと一緒にお風呂に入れされてもらっていて、今でもゆんたちと交代で毎日入浴してるのもあって、実は人生で一回も自分一人で髪を洗ったことがないため、特におしゃれに気を遣うメグはボクへのヘアーケアに妥協を許さない。
なんなら唯一、身体も全身丁寧にこだわり抜いて洗ってくれるからこいつと一緒にバスタイムをくつろぐときは、ボクはただちょこんと座っておしゃべりしているだけまである。

アリス「そいえば気がかりなことでもあったか?」
モンスメグ「んー?・・・
旅の果て剣は欠け振り返れど城は遥か、それでもついに突き止めた願い叶うキスの在り処。愛の歌口ずさむ、小さな姫の勇敢なStory

それはボクが一番好きな童話の中でも、
最も好きな場面の一節だった。
アリス「黒く行く手を遮る、光を妬む魔女の闇……」
ついついつられてテンポを外さず一節を続ける。

アリス・モンスメグ「固く揺るがぬ想いは鋭く輝く切っ先となり、絶望の魔女の心臓貫く」
そして最後の一文は
《本を閉じて、とっておきを着てドア開け飛び出そう、
恋する少女を、世界はきっと待ってる。》
こう綴られ、物語の行方は絵本を読んだ少女に譲られるの。
何回も何回もエリカお姉様に読んでもらって、今でも眠れない夜は朗読してもらっている。

モンスメグ「不安不安 Wii hit the StepStep?」
つむじを洗う手がいつも以上にくすぐったい。
アリス「お前が静かだとあいつらの士気にかかわる」
モンスメグ「アリスちゃんってばオトナブルー☆ありきたりなメイクじゃ隠せないのだよ」
アリス「あのな……わぷっ!」
お湯をかけるなら予告しろって言ってるでしょうが!
あーん目にバブルこうせんだよ~こうかはばつぐんだよ~

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翌日
ボクは普段持ちのリボンチェーンとは別のリュックいっぱいに、デコシールを貼ったラブラブボールを詰め込んだら、それをロックへと手渡す。
6号「こんなにたくさん!」
アリス「見たことないポケモンと会うたびにキャッチしてお姉様に送る」
グレアット「みかんさんのお話を伺っただけでもっ、ボックス満タンになりそうなほど生息してそうですねっ」

さぁ、サイレントヒルを目指して異世界探訪のスタートだ!

ゆん「そういえばどうしてか空を飛べないのよね」
グレアット「私もですっ!」
スズラン「カントーのジムバッジが機能してないかも?」
モンスメグ「それならあるね♪あ・り・えるん」
リーリエ「ジムバッジ……?」
6号「そういえばアローラ地方にはジムって無いんでしたか」
ひでん技が使えない、となると初心に返った気持ちだ。ロトムスマホも電波を受信できないからただのデータフォルダ格納庫になっちゃってるし。

みかん「あの……この洞窟が、ソウルマウンテンですの」
引き続き案内役をしてもらっているみかんの後を付いていくうちに、ソウルマウンテンと呼ばれる山岳地帯へと辿り着いたようだった。
モンスメグ「見える……見えるよ!立派なお山を登る、未来のメグが!」
両手をわきわきさせながら登頂のポーズを取るメグ、その矛先は果たしてソウルマウンテンかスズランへの仕返しか。
グレアット「何となく霊気を感じますねっ」
みかん「うふ……この中にお目当てのポケモンがいらっしゃるかは分かりませんけど、歴戦のトレーナーも……」
スズラン「バトルなら任せて」
ゆん「受けて立つわ」6号「合点です」
みかん「血の気が、盛んなお方達……逞しいですね」
アリス「異世界初ダンジョン攻略、洒落こもうか!」


天然の要塞、そう形容すべき山道をハイキングしていく。
道中で、何人かのトレーナーとも戦ったが意外なことにジョウトホウエン地方を中心に見たことのあるポケモンが繰り出されてきたため異世界といえど完全に隔てりがあるわけではなさそうだ。これは要報告。
ただ狙いであった新種の野生ポケモンは何匹か見つけられた。
名前が分からなかったが、丁寧にみかんが一匹一匹教えてくれたので捗った。

リンリン、ベルルンという鈴のついた黒猫のポケモン
ツーヘッドというアリアドスによく似た二頭の蜘蛛ポケモン
ボムシカーという水炎を併せ持つアシカのポケモン
グロテスというフクロウナギのポケモン。進化前はマンボウに似てるらしい、なぜ。
ノロワラという藁人形のようなポケモンもいて、こいつがグレアの感じた霊気の発生源かもしれない。進化するとキョンパンというパンダになるとか。
どうも見ている限り、進化形態に突然変異が多い印象を受ける。

などなど捕獲活動にいそしんでいると、出口らしき光がまばゆく見えてきたあたりで唐突に、腰まで届く銀髪を靡かせる凛とした美女から声を掛けられた。
???「あら?みかんじゃない、修行行脚かしら?」
みかん「ギンノ、さん……お久しぶりです。はい、途中でこちらの方達を案内なさっているところですの」
お知り合いのようだった。ギンノからはただならぬオーラを感じる。プレッシャーにも等しいそのオーラはこっちが口を開く余裕も与えぬほどだ。

ギンノ Enothela様より

ギンノ「ふーん、そうなのね。そこのメルヘンなロリータのあなた」
ピンポイントで指名されてしまった、ウェイトレスやってたからかな?などと自分自身にノリツッコミを入れてどうにか平常心を保って相槌を打つ。
アリス「ボク?」
ギンノ「うっふふ、分かるわよ。あなたから神秘的な雰囲気が漂ってるもの、せいぜい楽しませてちょうだいな」

6号「黙って聞いてればずいぶん高飛車ですね」
グレアット「まぁまぁ、出方を窺いましょうっ」
リーリエ「でも、すごくお綺麗な方です……!」
モンスメグ「メグとヘアスタイル被ってるんですけどぉ?」

ギンノ「あら面白いわ、オニドリルにファイヤーにライコウ、それとゾロアークまでパーティなのね」
スズラン「ロックちゃんの正体を一瞬で見破った?!」
レジロックの幻想を魅せムウマージの格好を振る舞ってダブルイリュージョンでコーデしている6号をひとめ見ただけで見破るなんて、高飛車な態度に相応しい相当の実力者だな。
アリス「ボクはアリス、こことは違う世界から来た」
みかん「!」
下手に隠すだけ無駄だろう、素直に自己紹介をしておく。
ギンノ「そうでしょうねぇ、こっちでは見かけた事だってないもの。
ウフ、そんなのはどうでもいいわよ、それよりせっかくトレーナー同士が出逢ったのだから……」
ギンノはドレスから優雅な手つきでモンスターボールを取り出した。

アリス「ポケモン勝負!」


ギンノが
しょうぶを しかけてきた!

ギンノ「お行きなさいな、マダーム!」
ギンノは マダームを くりだした!



モンスメグ「カモがネギをしょってキタ――(゚∀゚)――!!☆」
アリスは モンスメグを くりだした!

ギンノ「定石通りライコウという訳ね。後出しじゃんけん、大いに結構よ」
マダーム、見たところカモネギの変異系だろう。
メグのレールガンの敵じゃあないね!
モンスメグ「レール☆ガン」
洞窟を磁場と見立てて、普段よりも数倍増しで電気が駆け巡る!

ギンノ「甘ちゃんね」
マダームは刀に見立てたネギを一振り、ただそれだけ。
スズラン「うそ!雷を斬っちゃった!?」
6号「まさしくエクスカリバー

アリス「マジかよ……」
ギンノ「ウフ、不服かしらライコウ

モンスメグ「Looking!
The blitz loop this
planet to search
way.
Only my RAILGUN can shoot it.★」

Part4へつづく!