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《Ride On The City》救星の明るい夜 Part18

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それらは、ボク達が目を覚ました朝日の昇りきった時間にイズミから聞いた話だ。
太陽がのぼる頃、ミナモシティから東の海・124ばんすいどうにカイオーガが現れたらしい。異変に気付いたアオギリは、アジトの目の前に突如として出現したその海の化身を自分の手で捕獲したと聞いた。ボールに入る瞬間のカイオーガの表情は、それはそれは穏やかで凪のようだったという。
同じころに、グラードンと思わしき風貌のポケモンもどこかで現れたのだろうがそれについては一切の情報が掴めなかったので、分からずじまいだ。

願わくは、誰にも悪用されることのないよう……。

そしてボクたちは、ミツルの後を追いかけるというつもりでもないが行くあてもないので、ダイゴと情報の共有をすべくホウエン地方の遥か東、サイユウシティへと向かったのであった。

西邑祭典編Ⅰ

サイユウシティ
花と海と ポケモンの楽園

看板の説明書きの通り、一面綺麗なお花畑が広がる魅力的な風景が広がっていた。
まずは関門であるチャンピオンロードを乗り越えないといけない。
飛べ!グレアット!と決めようと思ったが、どうも財団のバリアーに近い壁が展開されているらしく素直にこの洞窟を抜けなければならなかった。
さすがはポケモンリーグ下、セキュリティばっちり。

アリス「さてと、久々の試合に臨むわけだがお前ら準備はできてるか?」
カルマ「仕切んな」
モンスメグ「ばっちぐー☆」
グレアット「ぬかりはありませんっ!」
ゆん「お任せください」
6号「爆裂魔法、いつでもおーk……」
アリス「よーし、入るぞ」
6号「ちょちょ!待ってくださいってば!」
爆裂魔法しか能のない、ハクリューの格好をしたレジロック……の代わりを務めているゾロアーク(たまにムウマージの服装にもなる)なんて準備のうちに入らんわ。

チャンピオンロード

モンスメグ「テテテテーテレーレー♪」
もうそれいいから、洞窟は声響くからやめてって。

ゆん「いつになっても、こういうダンジョンは胸が躍ってしまいますね」
あぁ、お前と2人で来たときは胸が抉れそうな気持ちだったけど。

カルマ「6号この洞穴ごと飛ばせるか?」
6号「いいですね、見せてあげましょう!」
ボクからのパーティ追放が待ってるけどいいか?

グレアット「こーらっ、だめですよっ」
お姉ちゃん……すき……。

本来なら、野生のポケモンが飛びかかってきそうなのだがこいつらはなんだかんだいって伝説のポケモンなのでそんな集まりが固まって行動してちゃ、みんな萎縮しちまって誰一人としてエンカウントしなかった。
おかげでスムーズに出口のほうまで通れて非常に助かる。
ちなみに、こいつらは一線級の戦闘能力を有して命令なしでも自分たちで独自に戦えるエリートな子たちなのに対して、かたやろくに実戦経験も知識も持ち合わせてないわ取り柄のなかよしバッヂはこの地方じゃただの通信機器だわの始末であり何を隠そうこのボクこそが一番のにもつなんですよね、出荷よー(´・ω・`)

ミツル「よし、これで調整できたかな」
出口の光が見え始めてきたところで、昨日ひょんな再会をしたミツルと鉢合った。
野生のポケモンとバトルを繰り返しているが、まさかずっとここで育成していたというのか?
モンスメグ「ふぁいとー☆」
ミツル「あ。ありすさん達、おはようございます」
ゆん「おはようございます、ミツル様は訓練にお励みのご様子で」
ミツル「ええ、安定してリーグを勝ち上がろうと思って」
カルマ「いい心がけじゃんね」
6号「どこかのだれかさんに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいです」
アリス「ほかの技も覚えてから言え。ミツルはこれから挑戦?」
ミツル「そうだ!ありすさん、強くなったら戦うって約束しましたよね!」
覚えてない。
ミツル「ぼくと戦ってください!ありすさんのそのパーティに勝てれば実質殿堂入りみたいなものですから!」
グレアット「受けて立ちましょうっ、かかってきて下さい!この私が相手ですっ!」
好戦的だねーみんな。

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ミツルは マリルリを くりだした!

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グレアット「メグちゃん、お願いしますっ!」
モンスメグ「おけまる~☆」
おいグレアットさっきの言葉を振り返ってこい。
まぁいい、みずタイプのマリルリにはメグがうってつけだろう。

ミツル「メグさんか……速さじゃ抜かれるし太鼓叩けないな……」
あいての マリルリの アクアジェット
6号「先制攻撃!」
ゆん「捨て駒にしたみたいですね」

モンスメグ「うぐぅっ!?」
アリス「メグ!」
ミツル「知らないんですか、特性ちからもちによって攻撃力は2倍の224、そしてみずのジュエルを持たせているからこのアクアジェットは威力78まで上がっているんです。もし雨が降っていれば、あなた倒れていますよ」
カルマ「へー、やるじゃんよ」
この子、かなり知識量を蓄えている!楽観的に捉えていたけど、これやばいかもしれないぞ……?
モンスメグ「やったなー!エレキテル☆エレクトリック」
モンスメグの でんじほう
きゅうしょに あたった!
あいての マリルリは たおれた!

ミツル「すごい……命中が1/2のでんじほうに、必中のでんげきはをブレンドしてでんじほうの威力を残したまま必中扱いにさせてるなんて!やっぱりあなたはぼくが目指した天才でした!」
ミツルは ジバコイルを 
くりだした!

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グレアット「今度こそ私が参りましょうっ!」
あ、自分が活躍できる出番だけ選んだなこやつ。
6号「がんばれ、グレア~!」
グレアット「応援ありがとうございますっ。さあこの烈火に飲まれて溶けなさいっ!」
グレアットの せいなるほのお!
こうかは ばつぐんだ!
ジバコイルは がんじょうで もちこたえた!
あいてのジバコイルは やけどを おった!

ゆん「耐えましたね……!」
カルマ「いい特性じゃんね」
ミツル「ジバコイルは特殊アタッカーです、やけどじゃ停止しませんよ!」
あいての ジバコイルの かみなり!
こうかは ばつぐんだ!
グレアット「くっ!」
おお、よく耐えた。お互いにハイクラスアタッカーらしい試合をしている。
しかし技を出したポケモンは直後に、業火でその身を焼き爛れる。

ジバコイルは やけどのダメージを うけている!
あいての ジバコイルは たおれた!
6号「やりました!」

ミツル「あぁ、運までツイてるだなんて。本当に強いなぁ」
ミツルは ラスピアスを くりだした!

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6号・カルマ・ゆん「!?」
モンスメグ「新参☆」
あいつは、別の次元のカントー地方で見覚えがある……コクーンが特別な力をもって進化した姿はスピアーを超えし最強のランサーとなる。

ミツル「へえ、ありすさん驚かないんだ」
アリス「もっとえげつねぇ生き物かどうかもわかんねぇポケモン見てきてるからな」
ただボクが良くとも、問題はグレアットの士気だ。
グレアット「ふふっ……立派な槍を持とうとも所詮は虫けらさんですかっ」
6号「ぐ、グレア………………?」
うん、大丈夫そうだな。

ミツル「行きます」
あいての ラスピアスの クロスポイズン
きゅうしょに あたった!
ラスピアスの スナイパーが はつどうした!
グレアット「は、やいっ……!」
ミツル「急所ランクを限界まで上げることで確定で相手を一撃で必殺に追い込む!これが蜂のように刺し槍のように突く、です!」
なるほど、ミツルの切り込み隊長といったポジションか。

グレアット「う、ふふ……ですが、やっぱり虫けらさんですねっ」
ミツル「な!どうして!?なぜ倒れないんですか!?」
きあいのハチマキで もちこたえた!
ゆん「あれは……」
キサラギピジョット、ナギ戦でのゆん。
鳥たちの囲う輪は、結ばれ続けていたのだ。
彼女の命の灯火は、大きな炎を描いた。

グレアットの せいなるほのお!
こうかは ばつぐんだ!
あいての ラスピアスは たおれた!

モンスメグ「グレアたんサイコー☆彡」
ミツル「そうですか。なら、ぼくも本気を出します」

ミツルは レックウザを くりだした!

アリス「!」
ミツル「さぁ、死闘を繰り広げましょう」

レックウザ「懺悔はすませたか?愚か者よ」
グレアット「…………っ!!!」
レックウザと対峙した瞬間、彼女の翼は何倍にも大きく見えるほど羽ばたきを始めた。火の粉がこちらにまで飛び散ってくるほどの強烈なレベルだった。
もう、とっくに満身創痍だというのに。
6号「むりせずに引き下がってください!」
アリス「何を言っても無駄だ。グレアには、もう見えちゃいねえよ」

レックウザ「いっときは我も抵抗したが、良き目をしていた。この新星に託すのも一興よ」
グレアット「聞いてませんねっ」
レックウザ「気持ちでまさったところで、この如何ともしがたい実力の差は幾重もの星が重なっても埋まらん!」
あいての レックウザの りゅうせいぐん
グレアット「たあっ!」
しかし あいての レックウザの こうげきははずれた!
グレアットを はげしいひかりが つつみこむ!

カルマ「間に合うか?」
ゆん「間に合わせるのですよ」
レックウザ「我に対してゴッドバードだと?過信するのも大概にするがいい!」
あいての レックウザの しんそく
グレアット「神に対して神速ですか?自惚れているのはあなたですっ!」
しかし あいてのレックウザの こうげきははずれた!
モンスメグ「め、メグちゃんでも見えなかっただと!?」
6号「神速を超える唯一の速さ……光速……!」
ゴッドバードを包む光と同化させることで、光の速度を手に入れて躱した。とでもいうのか。今のグレアットはそんなこと自覚すらしていない極限状態だろうが。
ミツル「い、いったいどうなっていて……?」
レックウザ「ちぃっ!」
焦りを見せ始めた。今こそ好機!

ゴッドバード
本来、わざと光を集めて待つことにより、相手の隙を伺って光と等しい速度と反応によってどんな生物にも必ず存在する致命的な弱点を見出し、相手の脳・視界・神経に光が届く前に究極の一撃を穿つ技なのである。
この領域に辿り着いた鳥はこう呼ばれる。

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緋色の鳥よ

あいての レックウザは たおれた!
いちげき ひっさつ!

グレアット「はぁ……はぁっ……」
力を使い切り、倒れこむグレアットを即座に6号がかばった。
6号「グレア!無茶をしすぎです、いつもいっつも……!」
グレアット「私は、ハァっ……皆さんを導く、お姉さんですからっ」
モンスメグ「グレアたん★」
ゆん「ゆっくりお休みになられてください、後は私たちが引き継ぎます」
カルマ「やってやろーじゃん」
アリス「お前は、最高のパートナーだよ」

ミツル「あはは!最高のパートナー、ですか。そうですね、ぼくの想像を遥か上をいく存在でした。でも!ぼくだってまだ負けていません!」
ミツルは サーナイトを くりだした!

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最初に捕まえたラルトス
こんなにも、立派に成長させてあげたんだな。
アリス「カルマ、行ってこい」
カルマ「命令すんな」
カルマのホウエン地方での初陣を飾るに相応しい相手だ。

「ご主人様、ご命令を」
ミツル「よし。RURU!思うようにやってきて!」
RURU「かしこまりました」
カルマ「ニックネームまでつけるなんて大層思い入れあるじゃんね」
RURU「あなたは口がご達者ですのね、もしや口から生まれたのでございますか?」
あいての RURUの ちょうはつ!
カルマは ちょうはつで わざがだせなかった!

6号「あ、あれはカルマさんの天敵じゃないですか!」
ゆん「ですが次のターンに」
モンスメグ「かるるん、相手に手を出さずにじーわじわいたぶるイジメっこだから詰みなのだ☆」
ゆん「なんと極端な……」
まずいな。こうなってしまったらカルマに選択肢は残されていない。
カルマ「おっと、交代にゃ早すぎるじゃんね」
なにか手がある、のか……?
ボクは猶予を与え、様子見をすることにした。
6号「いったいなにを考えて」

RURU「抵抗はおよしなさい」
あいての RURUの サイコキネシス
こうかは いまひとつのようだ……
カルマの とくぼうが さがった!
カルマ「おらよ」
カルマの なげつける!
カルマは どくどくだまを なげつけた!
こうかは ばつぐんだ!
あいての RURUは もうどくに かかった!

モンスメグ「ピッチャーびびってる☆ヘイヘイヘイ!」
6号「なるほど!カルマさんらしい技です」
カルマの唯一持つ直接攻撃するわざということか。いや、あれただアイテムぶん投げてるだけだから直に手を下してるってわけじゃないのか?
ミツル「どくどくか……長引くとまずい」
RURU「ご安心を、あの方はあの技以外は変化技のご様子です。次で仕留めましょう」
あいての RURUの シャドーボール
こうかは ばつぐんだ!
カルマは たおれた!
カルマ「っ痛ぇ~。ま、やることはやったじゃんよ」
アリス「ナイス。あとは持ちこたえれば勝ちよ」
ボクはグレアットに次いで、カルマもボールへ戻した。

モンスメグ「毒浴びちゃってかわいそ~、メグちゃんが一気にラクにしたげるね!やっさしぃ~☆メグちゃんマジ天使♪」
RURU「元気なお方ですね」
6号「どこが優しいんですかね」
モンスメグ「いっくよー☆」
メグよりも早く動いたのはRURUのほうだった!
種族値ではカルマとメグのほうが上のはずだ、ということはスピードを鍛えていると考えるのが妥当。

RURU「うるさいですよ……ん」
あいての RURUの ドレインキッス!
モンスメグ「んんっ?!……ちゅ……ふぁ♡」

6号「あれってお口同士でキスする技でしたっけ?」
アリス「趣味だろ」
ゆん「あら~」

こうかは ばつぐんだ!
きゅうしょに あたった!
RURUは たいりょくを すいとった!
モンスメグは たおれた!

モンスメグ「メぅひゃんが毒牙にかけられひゃっふゎ~☆」
いやお前、途中から自分でセカンドキスしに行ってただろ。
もういい、もどれー。シュイーン
RURUは どくのダメージを うけている!
RURU「さ、最後まで疲れるお方……」
とはいえ、あのサーナイト1匹に戦力2匹持ってかれてるのは事実。
しゃあない。洞窟だからやらせたくはなかったが最終兵器彼女送るか!

アリス「6号、やれ」
6号「どんと来いです!」
勇んで出陣する6号。とりあえず鼓膜破れないようにしとこう。
ミツル「そのポケモンは……ハクリュー?」
RURU「どなたであれ、るーが打ち破るのみでございます」
あの子一人称”るー”なんか、子供っぽさが残ってるんだな。見た目だけじゃなくて中身まで愛嬌たっぷりと来たか。コンテストでメグといいライバルになりそう。
6号「我が名は6号!レ……ポケモン界随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を極めし者!」
自分から正体ばらすとこだったよこの子。まぁその正体も違うんだけど。ええいややこしいな!
ミツル「爆裂魔法?うーん、ファイヤーであるグレアットさんがせいなるほのおが打てるくらいだし、何があってもおかしくはないかな……RURU、気をつけて!」
RURU「るーの身に代えてもご主人様をお守りいたします」

6号「我が深紅の流出を以て、妖しき世界を覆さん!
エクスプロージョン!

 

RURUは みをまもっている!


6号「あ」
アリス「あ」
ゆん「あら」

6号は たおれた!

なーにやってだこいつは。
まぁ、「まもる」を覚えていることが分かっただけでも収穫だ。
サイコキネシス」「シャドーボール」「ドレインキッス」「ちょうはつ」に「まもる」…………んんん??????
アリス「ミツル」
ミツル「なんですか?」
アリス「お前のRURU、なにをした?」
ミツル「やだなぁ、藪から棒に。ありすさんだって本来ありえない技を覚えさせてみたり見たこともない技を作ったりしてるじゃないですか、人のポケモンに対して何か言える立場ですか?」
こいつ!いわせておけば……!
確かにボクはどうこう言える立場じゃない、だから普段ならば何も言わない。
だが、だがボクの知っているミツルという少年は非道な手段を選ぶような目はしていなかった!それにもともとはトレーナーとしての道ではなく、療養のためにメンタルケアとしてラルトスを捕獲させてあげたはずだ。
アリス「いったい、どうしちまったんだ?」
ミツル「今は勝負の最中です、そうやって揺さぶりをかけて集中力を乱すような盤外戦術を取るようでしたら、このバトル不戦勝にしますよ」

アリス「…………ゆん」
ゆん「はい、ありす様」
アリス「ゆんとボクの説得がきっかけなんだ。だからさ」
ボクは、見つめるゆんの肩をぽんと押した。
アリス「悪の組織として、悪い子にお仕置きしてやろうぜ」
ゆん「はい」

ミツル「あなたは憧れでした。ぼくを新たな世界へと導いてくれて、夢と希望を抱かせてくれた先輩でした。ですがレックウザから聞きましたよ、あなたがしてきたことを。それなのに、ぼくに対して間違っているような言い方を!
間違っているやり方をしているのは、あなたでしたよ!ありすさん!だから倒す!あなたを倒して、ぼくは正しい正義となるんだ!」
ミツルは RURUに かいふくのくすりを つかった!
RURU「ご主人様……」
アリス「ちょっとポケモン勝負の知識かじったくらいで生意気言ってんじゃねーよ。間違ってるとか正しいとかどーでもいいっつーの。ただな、RURUはそれを望んでるのか?自分のパートナーが望まないことをさせてんだったら、全力でブッ飛ばす」
ゆん「ありす様……」

ミツル「悪人にぼくの相棒の何がわかるんですか!RURU、やっちゃえ!」
RURU「かしこまりました」
アリス「ゆん、信じてるぞ」
ゆん「まかせてください」
RURUの ワンダールーム!
おたがいのポケモンの ぼうぎょととくぼうがいれかわった!
ゆんの エアカッター!
きゅうしょにあたった!

ミツル「そんな技じゃ、RURUは落とせませんよ」
アリス「技をいくつもぽんぽん出してんじゃねぇ、メグかお前は」
RURUの みらいよち!
RURUは みらいにこうげきを よちした!
ゆんの ふぶき!

ミツル「また覚えられない技を……!」
アリス「未来予知、か……。なぁRURU、未来を予測してもその未来は絶対か?」
ミツル「ぼくのポケモンに手を出さないでください!」
アリス「口を出してんだよ。RURU、答えてみておいで」
RURU「それは……」
ミツル「答えなくていいよRURU!ありすさん、まだ勝負は続いてるんです!」
アリス「分かってねえなぁ、ボクのこと憧れてたわりには」
ミツル「く、何が言いたいんですか!」
アリス「勝負なんてどうでもいいんだよ。ボクは目的を果たすステップとして好きでもねぇ試合をやってるだけだ。お前との試合になんの意味もねぇからやめだってことだよ」
ゆん「ありす様……」
ミツル「じゃあぼくの勝ちってことでいいんですね?」
アリス「それで満足なら目的達成だな。RURU、勝負は終わったみたいだから会話しようか」
RURU「口に出さずとも、私のテレパシーで伝えたいお気持ち、分かります。あなたからは、未来を……いえ、過去からすら変えてでも未来を創ろうとするぬくもりが感じられます」
ミツル「騙されてるだけだよ!この人は心の声だって操作できるさ、なにせあのロケット団なんだから!あはは、まぁ初心者のぼくに負けを認める程度の実力ですけどね!」

アリス「RURU。分かるな?」
RURU「えっ」
ボクは、ミツルにめがけてメグ仕込みの体術を撃つ。
ミツル「うわぁ!?」
すんでのところで、RURUの本能がボクの手を食い止めた。
サーナイトは抱擁ポケモン、どんなことがあってもどんな相手であっても自身の命と違えてでも自分のマスターを守ろうとする本能が刷り込まれている。

ミツル「な、なんてことするんですか!」
アリス「なんてことしてんのはお前だよ」
ゆん「ミツル様、るー様をご覧になって」
ミツル「え……RURU……泣いてるの?」
大粒の涙をいくつも零すRURUの姿がそこにはあった。
アリス「守ってもらったら最初にかける言葉は愛情をこめて感謝するって知らないのか。それにRURUが泣いてんのはボクが泣かしたんじゃない。お前の変わりようを知っていても、それを止められずにいて抑制されていた気持ちが、お前のことをはじめて叱責してくれた相手ができたことで爆発して泣いてるんだよ」
ミツル「そ…………そうだったの、RURU?」
RURU「……ご主人様」
アリス「サーナイトはマスターを傷つけたり気を損ねるようなことは絶対に口に出さない。お前が気づいてやって、気遣ってやるしかないんだよ。ミツル」

ミツル「う、うっ……うああああぁっ!ごめん、ごめんよ。るー!ぼくは本を読んで強くなった気でいてたんだ!それだけなのにこんなに思い上がっちゃって……!それに、本当は覚えきれないわざも、ぼくのわがままを聞いてくれるために命令を聞いてくれて、ごめん!ごめんね、るー!」
RURU「るーは、優しいご主人様が好きでございます」

ゆん「うふふ。ズルをしていたわけじゃなくて、るー様の意思だったんですね」
アリス「メグのやつがコンテストのレッスンのとき、実は100個くらいわざ覚えてるなんて言ってたからそれでピンときてな。それに努力値だの実数値だの言ってる割に、実戦の場数を踏んでいないことなんてこなしを見りゃすぐわかるし」
ゆん「回りくどい方ですね、貴女は」
アリス「これくらいやんねーと気づかないと思っただけだよ」

~~~

ミツル「本当に、本当にありがとうございました!やっぱりありすさんはぼくが憧れた人で間違いなかったです!」
アリス「悪の組織員だぜ?」
ミツル「肩書なんて関係ありません。悪の組織であっても、あなたは悪人ではありませんから。ぼくとるーを救ってくれた悪の恩人です!」

悪の、は付くんかい。ガックシ。

ゆん「まあまあ」
ミツル「これから心機一転して、ポケモンたちと一緒に絆を深めてからリーグに挑もうと思います!そのときはまた……いえ。ぼくとの初勝負、受けてもらえませんか?」
白くて細い手を差し出すミツル。
ボクは、そんな彼をみて肩をすくめた。
アリス「待ってる」
そう返すと、期待を込めた笑顔を見せて明るく走っていった。
RURU「ありすさま」
アリス「あれ、追いかけなくていいのか?」
RURU「すぐにテレポートできますので。ご主人様のこと、重ねて感謝申し上げます」
アリス「いい、いい。ポケモンにまで恩を売るつもりはねえから」
ゆん「ミツル様には売るんですのね」
RURU「これは感謝のお気持ちです」
RURUから、何やら青く輝く水晶のような澄んだ丸い宝石を手渡された。
アリス「これは?」
RURU「私やご主人様にも存じかねますので……それでしたら様々な旅をなさっているありすさまの手に渡ったほうが有意義と思いまして」
アリス「ふーん。ま、ありがたくもらっとくよ」
その宝石をリュックへと仕舞って無防備になっているところに、RURUが中腰になってしゃがみ、ボクにふいうちを仕掛けてきた。
アリス「……ぷぁっ」
RURU「うふふ。では、ごきげんよう

んー?ボクはポケモンから懐かれる才能でもあるのか、もしかして?などと思いながらリュックを背負いなおして、前を振り向くとゆんが何か言いたげな目でこちらを凝視していた。
アリス「どうした、ゆん」
ゆん「…………この果報者」

褒められてる言葉なのに貶された気分に陥った。
癪に障ったから、言い返してやろう。

アリス「なぁ、ゆん」
ゆん「目的地はすぐそこですね、先を急ぎましょう」
アリス「…………はい」

前方から、くすくすと口元を抑えて笑う声が漏れてきた。

~~~♪~~~

チャーミングな翼を引き下げて登場
無敵で素敵な衝撃 刺激的な少女
誰もが自然と回りだす神様だって踊りだす
揺れる会場燃える会場ほら案の定
Peace Enjoy!

僕ら時々日々の隙間に彷徨うことだってあるだろう
そんなときパッと目の前そっと照らしてくれるある光
つまらないネタばっかり寄付してちゃつまらない
そんなにハマって抜け出せなかった昨日までの僕ら

爪なんてなくてもいいのさ
空なんか飛べなくていいのさ
僕らこのパーティがあればそう何にでもなれるのさ!

Come On!

Magic 君の紡ぐ魔法は
Burning 僕を熱くする
Playing それはちっぽけなんだ
だけども世界に花を咲かすさ

Ride On 闇を駆け抜けてく
Supreme 愛と空すべて
受け取るすべてがまるでメッセージ
照らしていてよ最後まで

握った手のひらから伝わるのさ君が好き

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