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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part49

夢の国を探す君の名を誰もが心に刻むまで
悲しみ乗り越えた微笑みに君を信じていいですか

終わりがなくて見つけられなくって
迷ったりしたけれど傷ついたこと失ったもの
いつかは輝きに変えて
後悔に決して負けない翼がきっとあるから
君とならどこでも行ける気がする

夢の国を探す君の名を誰もが心に刻むまで
悲しみ乗り越えた微笑みに君を信じていいですか


~シロガネやま~

トレーナーとしての稽古を積み、リフレッシュしてきたのち。

ゆんの翼に乗ってシャンプーの香りを風に吹かせながら合流地点であるシロガネやまに到着すると、ビアンカと一緒にウェイトレスをしていたカフェで提供していたおいしいみずの湧水が流れる泉にて、ユリはシロとともに佇んでいた。

ユリ「うむ、いい顔をしておるのじゃ」

カントー地下都市の主である《水の皇女》ユリは、ボクたちを清流な目つきで見ると納得した面持ちで藍より青しヴェールを品よく口許へ添える。

冷水ゆき様より

シロ「ご準備はよろしいですねーーー」

この宇宙を創造した神さまであり道標と称されるシロは、真白よりも白き純白のローブを纏ってミルキーウェイの星屑粒子を自分の周囲に舞い落しながら、透き通った・透明感があるといった比喩ではなく透明そのものの澄み切った声色でボクたちを促した。


モンスメグ「
I’m Perfect Pokémon

 

6号「クックック、我が魂の赴くままに

グレアット「聖告の天啓を授けますっ


ゆん「よくってよ


カルマ「ケリ、つけっか

冷水ゆき様より


アリス「諦めるくらいなら最初から夢見ないさ」

各々が自らの個性を彩った返答を聞いたところで、ユリは気品溢るる素振りで静かに問いかけてきた。

ユリ「アリスよ。えいこうのいただきへ入場するには、道標たるシロちゃんに認められること……水仙女のわっちがそちを認めてやること……もうひとつあるでの」

アリス「もうひとつ?」

ユリ「そちが持っておるその宝石を渡すのじゃ」

宝石。はっと思い当たる節があったボクはエプロンドレスの懐に手を突っ込んで、いつの間にか手元にあった妖しく輝くビーダマのような形をしたそれをユリへと手渡してあげた。

ユリ「うむ。この聖なる石はリバティクリスタルと伝えられていての、いまや絶滅危惧種であるデルタの秘宝なのじゃ」

カルマ「なんでそいつをあーたんが持ってるじゃんよ」
アリス「気がついたらリュックに入ってた」
ゆん「あ。そういえばクチバでお話していたときに誰かがアリスちゃんにぶつかってたわね、その弾みかしら」
グレアット「でしたらハナダ警察に奉納しなくちゃっ」

などと犯人捜しトークで盛り上がっていると、一部始終を目撃していたシロが割って入った。

シロ「その必要はありませんーーー
それはスズランからの最後の贈り物ですからーーー」

ああ、気のせいかと思ってやり過ごしていたんだけども、あれはスズランだったのか。だったら合点がいった。クチバデパートの落とし物コーナーに出さなくてよかったよ。

6号「挑戦状代わりですか」
モンスメグ「PRESENT FOR YOU☆」

ユリ「あやつはホロン地帯においても図鑑完成させておったからの。ともあれこれで、えいこうへのいただきの扉は開かれたのじゃ」

他愛のないLC探しの話をしている一瞬の短いうちに、ユリは足元の泉をおつきみのように光り輝かせていた。ユリが指差す方向へ視線を向ければ、さっきまで岩盤しか見えなかったシロガネの一角の空間に、古典建築で設計された宮殿のように装飾された扉が出現しているではないか。

扉の前まで移動すると、ハンコックレッドとドレスデングリーンの宝石を模したような丸い石が装飾されていた。
そこに先ほどユリに渡した石が、アイオライトブルーに発光しだして扉へとはめ込まれる……自律しているのか扉は開きだす。ボク達を舞踏会へと招待をしているかの如く……。

6号「なにか書いていますよ。うーん……読めませんね、どの地方のどの時代の言語でもないような」
浮かび上がっている文字に悪戦苦闘するアークのそばに、好奇心旺盛にメグが近づいた。雰囲気作りのつもりなのかアンノーン型の虫眼鏡を照らしていた。

モンスメグ「…………。こどもだからよめませーん☆」
カルマ「どーこがこどもかいな」
ゆん「そうよ、本物のおこちゃまに失礼じゃない」
そこでどうしてボクに目を向ける、ゆんよ?

グレアット「シロ様、お教えくださいっ」
巫女からお願いされて鼻高々にシロが解説を始めた。

シロ「えいこうのいただきは神聖なるバトルフィールドーーー
入場する際に手持ちパーティを6匹選抜するのですーーー
くぐった先でエントリーをすれば入れるでしょうーーー」

ユリ「わっちは参戦せぬからシロちゃんを含めてちょうど6人になるの」

アリス「うゅみ、いるんだろ」
空に向かって呼びかけるとシャボン玉だけがふわふわと飛んできた。
直接出てこんかい。
ゆん「うゅちゃんも居るのね、だったらひとり余っちゃうわ」

シロ「わたしは辞退しますーーー」
グレアット「しょんなぁっ」
6号「神の黄昏をこの目に焼き付けたかったです」
神様の不戦宣言にがっかりする巫女と中二病。お前ら憧れは捨てておけ。

アリス「いいのか?」
シロ「お言葉ですがーーー
わたしは命令を下されるのが嫌いですからーーー
何人たりとも壬生の狼は扱えないようにーーー
わたしもまたポリシーがありますーーー」

純白の身体・翡翠の瞳・透明の声色から嘘は感じられなかった。
ただ、なごり雪を降らせているような気だけがして。

アリス「……わかった、尊重しよう。これよりスズランとの戦闘に向けてメンバーを発表する!」
ボクは歩を進めると選抜する萌えもんを決めるエントリーシステムの前に立って、みなの先頭から発破をかけた。

アリス「ゆん!大空を翔ける飛行能力もさることながら何色にも捉われない無色エネルギーを持って、時代の風を吹かすのだ!」
---エントリーNo.1 オニドリルが選抜されました---
ゆん「えぇ、よくってよ!」

アリス「グレア!海をも焦がす黄金の炎と太陽まで羽ばたく黄金の翼、たゆまぬ信仰心を以て神通力を使役し、時代を燃え盛れ!」
---エントリーNo.2 ファイヤーが選抜されました---
グレアット「祝福あらんことをっ!」

アリス「メグ!光よりも速く大地をも裂く電撃で時代を痺れさせてやれ!そして……お前に関しては状況を見極め自由に動くことを許す」
---エントリーNo.3 ライコウが選抜されました---
モンスメグ「明けない夜を終わらせる☆」

アリス「アーク!誰もを欺くその幻想と失われし同士への想いを馳せて、爆裂魔法をお見舞いして時代を切り拓け!」
---エントリーNo.4 ゾロアーク(ヒスイのすがた)が選抜されました---
6号「闇に飲まれよ!」

アリス「カルマ!七英雄としてではなく、自然エネルギーの頂点として植物の偉大な大樹を思い知らせ、時代を渡り歩け!」
---エントリーNo.5 セレビィが選抜されました---
カルマ「いじめてやんよぉ」

アリス「うゅみ!生命の神秘と可能性を持ち前の超常能力とコピー能力を征して、未来永劫時代を守るのだ!」
---エントリーNo.6 ミュウが選抜されました---
うゅみ「やる気は満点ねぇ……あたしから言えることはぁ、自分の未来は自分の手で掴み取りなさぁい」

---エントリーを受け付けました。間もなく開錠します---

栄光への頂が、開かれた。
ボクの、自分の、アリスの戦いが始まる……!

いつもいつでもうまくゆくなんて保障はどこにもないけど、
いつでもいつもホンキで生きてるこいつたちがいる。

アリス「みんな、行くぞ!」


~えいこうのいただき~

第一歩を踏み出した。

辺りを見渡せば自然豊かな野原が広がっていて、特別綺麗な空気と豊穣な大地じゃないと咲かない花々、小石まで透けて見えるほどに澄みきった小川、遠くには各地方を代表する御三家が草むらを住処としていた。

ひとことで言い表すならば、桃源郷という表現が相応しい。
命の宝玉がもたらした奇跡の地。

感性豊かなゆんとグレアはうっとりとしていて、アークとカルマもほがらかとしていた。シロとうゅみの感情は読めないが、嵐の前の静けさとでもいうのか、すっかり凪のように穏やかな気持ちにさせられてしまっていた。
メグはといえば縦横無尽に駆け回って野生の萌えもんと遊んでいる始末だった。

柔らかな陽だまりが射す青空の下、そよ風を浴びて草原を足で切って進んでいくと、人工的に整備された遊歩道のようなプロムナードへと出た。

その途端にくじ引き式の怪しげな販売機や萌えもんのタマゴをウリとしている販売機に、何重にも固く施錠されている施設などといったきな臭い雰囲気に早変わりして異質な空気がボクたちを包んだ……。

青いベンチから呼び声が聞こえてくる。
その声の持ち主は聞き覚えのある少女。
誘われるようにしてベンチへと向かう。

スズラン「待ってたよ。アリスたん」

すず様より

ゆん「スズちゃん」
グレアット「スズランさんっ」
6号「スズランさん……」
モンスメグ「ラスボス降臨☆それってwktk☆」

カルマ「1年振りじゃん?あー、時渡りしてたからぼくにとっちゃもっと前だけど」

シロ「わたしの宇宙以来ですねーーー」

ゆんと手を離すと、先頭に立ってベンチに佇むスズランの前に歩み寄った。
アリス「ごきげんようスズラン。戦いに来た」
真剣に眼差しを向けるボクとは対照的にスズランは微笑んだまま、まるで敵意を感じなかった。

スズラン「いいね。キュートだけじゃなくってクールなアリスたんも。でも、もうちょっとパッションなハートも欲しいな」
アリス「まじめにやらんかい」
マイペースを崩さないスズランに辟易していると、瞬間、すぐ背後にパティエ・ローレルこと彼女のパートナーであるロコンの気配を感じる。
気配がしたときにはもう遅く、ゆんの動体視力やグレアの察知能力はおろかメグの速度ですらそれに反応をし切れなかった。

……思わず、冷や汗を垂らす。

スズラン「はい。アリスたんの負け~♪……実戦だったら3タテしてたよ?」
アリス「っ……!」
彼女の並外れた腕前とパティエのコンビネーションに戦慄して、言葉を失っているとボクの代わりにゆんが会話を繋げた。

ゆん「……認めるわ。でも不意打ちはよくなくってよ」
スズラン「だから手を出してないでしょ、じゃれついただけ」
ゆん「物は言いようね」

スズラン「私は全部の地方でリーグ制覇から図鑑完成、それ以上のミッションまでコンプしてきてるんだよ、きちんとしたルールで勝たなきゃ意味がないことをどのトレーナーよりも理解してるつもり。駆け出しのアリスたんにもちゃんと教えてあげた?」

おそらくこの星の誰より……チャンピオンの座を有するシロナにギンノや、最初の血族として宇宙を駆け巡って守り続けてきたブルーよりも、スズランは真の意味での萌えもんマスターに近しいトレーナー。

彼女からしてみてもメグと同じように、あらゆるバトルを策略で潜り抜けて仲間に頼りっきりのまま此処まで到達してきたボクのことを、疎ましくまではあらずともトレーナーとして認めてくれてはいないだろう……。

まっすぐと射貫く瞳は、その真意を見定めようとしている。

モンスメグ「わしが育てた☆」
どっからか持ってきたスタンドマイクを使って育成宣言をしてドヤるメグ、周囲の面々も両手を翻してまるで手が焼ける子でしたと言いたいばかりにポーズを繰り出していた。スズランはその様子を眺めてくすっと一笑すると

スズラン「そっか。伸びしろしかないね。それでアリスたんはなんのために私と戦うの?」
ボクに戦う理由を問うてきた。いくつか思い当たるが、脳裏にビアンカの顔が浮かび上がってくる。それは同時にシロの戦う理由でもあった。

アリス「願いを取り消してもらって、ビアンカをこっちに呼び戻すためだよ」

そう告げるとスズランはきょとんとして目を丸くした。マメパトがみずでっぽうを喰らったように小さな口が開いて止まらないといった感じで。

スズラン「ちょうどいいや、アルセウス。私の願い事を取り消してあげて」

アリス「!?」
ゆん・6号・グレアット「うそっ!?」
モンスメグ「転調~♪」

うゅみ「あっさり引き下がるのねぇ」

願いを取り消すという願いを要求されたシロもまた表情には出さないものの、どこか声のトーンがわずかながら震えていた。

シロ「それは簡単なのですがーーー
よろしいのですか?ーーー」

スズラン「うん。もう私の本当の願いはたったいま叶ったから」

女子会のノリよろしく軽々と言ってのけるスズランに脱帽してしまう。性根は決して悪い奴じゃないと思っていたけど、まさかここまでとは。

シロ「その御言葉は本心のようですねーーー
ではーーー」

天の川よりも白く塗られた純白のローブから数多の星屑が集まって光り輝きだした……のも一瞬で、目を開くともう元通りの景色に戻っていた。

これで願いは取り消されて元通りになったのか?

まるで現実味が湧かなかった……。

アリス「えっと……」
言葉に迷っているとシロは一息吐き、翡翠の瞳を開く。

シロ「世界が変わってもーーー
地上の人々はそれに気付かないまま日常を過ごすものですよーーー
スズランの願いはたったいまリセットされーーー
宇宙と箱庭は在るべき概念へと戻りましたーーー」

モンスメグ「やった☆ROTCリマスター、完☆」
グレアット「……当たり前の日々をお過ごしになれる毎日こそ、ありふれた奇跡なのですねっ」

カルマ「なんつー勝手な」

なんか周囲は納得したのかあっさり順応しているけど、いまだに状況を飲み込めないでいた……。え?もう戻ったの?

じゃあビアンカとクオーレ、ギンノ諸々もイイ感じにこの原初の星に還ってこれるの?まだ戦いあってもいないのに、まさかこんなにスムーズに事が進んでいくと人はパニックを起こしちゃう生き物でして……。

ゆん「よかったわねアリスちゃん」
アリス「え、あぁ、うん、よかった……のか?」

拍子抜けしたままのボクに、突拍子なく事態を収拾させちゃったスズランは再び質問をしてきた。

スズラン「じゃあアリスたん。私と戦う理由はなにかな?」

……だからといっても、ない、とは言い切れない。

ビアンカの問題どころかシロが抱えていた問題までも解決してしまった……というか自分で引き起こして自分でケツを拭くあたりしっかりしているというか。

深呼吸をするとみんなが見守る中、答えを改めて考え直した。

それぞれの面持ちを眺めてみる。
ゆんとグレアのふたりはボクが出す答えを切望している様子、
アークとメグはボクに信念を見出してほしい様子で、
カルマはどっちを向いてもよさそうな無関心な様子……
うゅみは……シロもそうだが全くもって読み取れない。

そしてスズランはにこにことしながら返事を待っていた。

決断をしなければ。

アリス「そうだな……理由をあれこれと探していても点と線が結びつかなくって魑魅魍魎としている部分もあるが……。

ひとつ言えることはある」

一陣の風が吹き、エリカお姉様から頂いたアイリスの香りがした。

アリス「ひとりのトレーナーとして、自分の戦いをするためだ」


スズラン「おめでとう。その言葉が聞きたかったよ。

目と目が合ったらバトル!シンプルイズベスト。

人生は複雑じゃない、私たちの方が複雑だ。人生はシンプルで、シンプルなことが正しいことなんだ。ってね、トレーナー同士はシンプルな頭で聞けばいいの。」

そうだ。もう使命を帯びる必要はない、もう仲間を求める必要もない。
はじめてそんな物語のしがらみから解き放たれて、導のない選択をできるから。

どちらが勝っても負けても、絆は壊されずに平和は続いてく。
そんな当たり前の萌えもんバトルをしてみたかっただけ。

スズラン「ついておいで。ここでやったら自然がかわいそうだから、きちんとした萌えもんコロシアムで正々堂々バトルしましょ」

彼女はベンチからすくっと立ち上がると、えいこうのいただきに特設された決戦のバトルフィールドへとガイドをしてくれた。

うゅみもシロも、スズランにはもう裏も邪念も一切なく、ただ純粋にトレーナーとしての役目を全うしたいだけだという意思を聞いて、ゆんと手を繋ぎながらその後ろをついていく。

自分の戦いに見出したいものを考えていた。

優しいだけでは守れない。
でも、優しさがなければ守るものは見つけられない……。

そんなところかな。

-えいこうのいただき・バトルフィールド-


スズラン「さてと!ここでのルールは萌えもんリーグ規定に則ってるよ。

最大6vs6のシングルバトル、どうぐは使用禁止、もちものはOK。
使っていいわざは4つまで。メガシンカとキョダイマックスは1回だけ。
あらかじめ選抜した萌えもんしか持ち込んではならない。
途中棄権とルール違反はいかなる場合であっても敗北とみなす。

……準備はいい?」

アリス「ばっちぐー。みんな、やるぞ!」
スズラン「お手柔らかに」

アリス・スズラン『萌えもんバトル!!』

もえもんマスターの スズランが
しょうぶを しかけてきた!

♬BGM:戦闘!!チャンピオンアイリス♬

アリス「いけ!メグ!」
アリスは モンスメグを くりだした!

モンスメグ「メグがいっちば~ん☆」

スズラン「行っておいで」
スズランは いーぶいを くりだした!


モンスメグ「……嘘ぉ!?」

見たところ何の変哲もないイーブイにしか見えなかったが、そのイーブイを見たとたんにメグが珍しく動揺しながらびっくりしていた。

アリス「どうした?」
口をぱくぱくとさせながら自分の身体全体に電気を走らせるメグをよそに、繰り出されたイーブイがぺこりと頭を下げてウィンクをしてみせた。

いーぶい「あっ……変なお姉さん……。久しぶり、だね……えへ」

緊張しているのか口下手なだけか、おどおどした口調で再会の挨拶を交わしていたところから、どうやら顔見知りのようだった。

モンスメグ「キミ……ひらがな萌えもん?」

ひらがなもえもん?
メグが口走った初見の分類に、スズランが感心しながら説明を入れた。

スズラン「あら、さすがは神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くものだけあるね。存在は知っているなんて。明察通りこの子はひらがなもえもんの一人・いーぶい。

うーん、なんていうのかな……アリスたんがそうであるように、この子もまたこの星が一度滅びる前にうゅみちゃんが産み出した萌えもんの一種でその生き残りなんだ。

普通の萌えもんと違う点は2つあって、滅びる前の時代末期はうゅみちゃんがさらなる発展のためにその手で生みだしたトレーナーと萌えもんが最盛期で、お互いその実力は今の時代なんかとは桁外れだったわ。きっとうゅみちゃんの悪戯のせいなんだろうけど……?

もう1つはうゅみちゃんに保護されたアリスたんと違ってこのひらがなもえもん達は、命の宝玉と最初の血族によって再生された当時の星を自力で生き抜いてきたこと。なにが言いたいかっていうと……ひらがなもえもんは、とっても強い!」

ひらがな萌えもんのついてのご高説どうも、と聞き流すつもりでいてたがどうも聞き逃しちゃいけないポイントがあった。

アリス「待て。ということは……ボクにもひらがな萌えもんよろしく、そのハイレベルだった時代の遺伝子が流れているのか?」

スズラン「そう思うんだったら、そうなんじゃないかな!」

ちっ、適当にあしらわれてしまった。
でも……うゅみのいう希望をもたらす才能だけだったら……ボクはこの地まで辿り着けはしなかったんじゃないのか……?

アリス「おしゃべりしててもしょうがない。メグ、やれるか?」
モンスメグ「燃えてきた~~~!!!☆☆☆」

スズラン「そうこなくっちゃ。いーぶい!つるぎのまい!」
アリス「先手必勝だ!メグ、エレエレをお見舞いしろ!」

ターン制の公式ルールにおいては萌えもんが持つ素質が重要だ、行動順番はお互いの速度によって決定するのだから!さぁどっちが速い?

モンスメグの エレキテル☆エレクトリック

モンスメグ「アイドルはパワー☆」
よし!やっぱり素早さはメグの方が上っ!一気に畳みかけてしまえ!

いーぶい HP 399/444

デジタルビジョンで表示されているHPを目視すると、バカげたHPもさることながら、イカれた威力を持つエレエレを直撃してなお、1/10程度しか与えられていないなどという強靭すぎる防御力に衝撃を受けてしまった。

いーぶいは つるぎのまいを つかった!
いーぶいの こうげきりょくが ぐーんとあがった!

アリス「マジかよ……」
スズラン「勝負はまだ始まったばかりだよ?それとも尻尾を撒いて逃げる?」

いーぶいの持ち前のタフさを活かして確実に攻撃能力をビルドアップさせてから一転攻勢に転ずるスズランの姿勢、これが本来の萌えもんバトル……。

いつしかブルーフォレストでみかんと戦ったときを思い出す、そういえばみかんもまたスイのもとスイの巫女としてトレーナーとしての研鑽に励んでいたんだっけな。

モンスメグ「ネバーギブアップ☆諦めるのは失礼だよ!」
アリス「あぁ。メグ、シークレッツデュアルで弱点を突け!」

モンスメグの シークレッツ☆デュアル!
鍛え抜かれた膂力によって、1/75秒のスピードで爆裂パンチを2回放ち、1度目の衝撃が抵抗を生じるよりも速く2撃目を打ち込むことによって一切の抵抗を0にした、必中必殺の爆裂パンチを放とうと飛びこんでいく!

こうかはばつぐんだ!
あいてのいーぶいは こんらんした!

いーぶい HP272/444

弱点を狙ってそれでも、全体の1/4削れるくらいか……!

スズラン「すてみタックル!」
いーぶい「う、うんっ!……えぇいっ!」

あいての いーぶいの すてみタックル

モンスメグ HP28/384

モンスメグ「片腹大激痛★」

あいての いーぶいは はんどうをうけた!
いーぶい HP154/444

アリス「メグ!……メグは割かし物理に打たれ強いはず、いくら剣舞を積んだいーぶいであっても9割近く持っていけるとは……。てきおうりょくか!」

特性:てきおうりょく
タイプ一致のわざのダメージを増幅させる

スズラン「ほんとに勉強してきたんだね。一撃で倒せるとは思ってなかったけど、キミのメグちゃんは格闘わざを会得しているのはこの目で見てるからね。

まだ舞えるなんて思いあがらずに攻めに打って出たけど……このぶんなら舞った方がよかったかな?」

スズランの言葉に理解が追いつけている、この朝しっかりとトレーニングをさせてもらった甲斐はあったか。ゆんの頭だったらパンクしてそう。

メグのHPはピンチになっているものの、だからこそ次の一手を考慮する。いーぶいの残り体力……デュアルの威力……速さなら抜けている。

モンスメグ「すぅ~……はぁ~……。負けないこと、逃げ出さないこと、投げ出さないこと、信じ抜くこと☆それがいちばん大事だって、教えたはず☆」

負傷によって呼吸のペースを乱しながらも、勇気づけてくれるメグを信じるしかないだけ!1%でも可能性があるんだったらそれを実現させてみせる!

アリス「メグ!!もう一度打ちこめ、シークレッツデュアル!」
モンスメグ「極めるとはこういうこと☆」

スズラン「甘いよ」
あいての いーぶいの でんこうせっか
アリス「っっっ!!」
いーぶい「えと、その……勝ちます、ごめんなさい!」

でんこうせっかはノーマルタイプの先制わざ、本来威力は微々たるものだがいーぶいの攻撃能力の高さ、つるぎのまいによる増幅、てきおうりょくによる強化が合わさっている!

なによりいまのメグじゃ、耐えきれない……!

しかし あいてのいーぶいの こうげきは はずれた!

モンスメグ「当たるも八卦当たらぬも八卦ってね☆」

持ち物:ひかりのこな
持っている萌えもんに対する命中率を0.9倍にする

アリス「抵抗するぞっ!拳でっ!!」

こうかは ばつぐんだ!

いーぶい HP27/444

いーぶい「ひゃ……」
ようやく体力が並んだ。気弱そうないーぶいはふるふるとしており、手元にある何かを探して口につけた。あのヤシのようにゴツゴツとした緑色の実……ウェイトレス業で見かけた事がある、カムラの実か!

持ち物:カムラのみ
持たせた萌えもんのHPが1/4以下になった場合、素早さを上げる

スズラン「これで抜けた!もう回避なんてさせないからね!」
あいての いーぶいの だましうち!
アリス「まずい、4つ目に選んだ技は必中攻撃か!」

モンスメグ「……次はステージの上で会おうね」
物憂げにメグはいーぶいへと呟く。それは諦めの断末魔ではなく、勝利を確信したうえでの発言に聞こえた……。

あいての いーぶいは こんらんしている!
いーぶいは わけもわからず じぶんをこうげきした!

いーぶい「お姉さん、すごいです、くらくらしちゃう……。きゅい……」

いーぶい HP0/444
-いーぶいの 戦闘不能を 検知しました-

アリス「やった!」
モンスメグ「(^^)v」

傷ついて倒れこんだいーぶいをモンスターボールへとなおしたスズランの目は最初よりも輝いていて、闘志に火がついたようだった。

スズラン「いいね。次はぴかちゅうを出すつもりだけど、交代させる?それとも電気タイプ同士バチバチしちゃう?」

どちらかの萌えもんが瀕死になるたびに倒した側は応酬として交代の権利を得られる。またひらがな相手だとしたらさすがに無茶は出来ない、ボクはメグを引っ込めて交代宣言を行った。

アリス「ぴか様だってよ、分からせてやれよカルマ」
アリスは カルマを くりだした!
カルマ「上等じゃん」
予想通りやる気に満ち溢れていた、さすが性悪根暗の七英雄

スズラン「あ、セレビィ久しぶり~。こんな天使ちゃんを紹介してくれてありがとね~!」
スズランは ぴかちゅうを くりだした!


カルマ「このぼくを利用したこと、あの世で後悔させてやんよ」

ぴかちゅう HP394/394
カルマ   HP404/404

再びひらがな萌えもんのお出ましだったが、どうやらカルマよりもHPは若干低いようだ。ともすれば、ひらがなたる所以は攻撃性能か防御性能が秀でているのか……?それだったらパワフルにはテクニカルで相手してやろうか。

カルマ「ちょい待ち」
アリス「ん?」
カルマ「あーたんには荷が重いじゃんね、ぼくがリードしてやんよ」
アリス「むっ」

スズラン「いいんじゃない?バッジが足りてない他人からの萌えもんみたいなものでしょ、それに。ぴかちゅうはアリスたんの策なんて通用しない」

カルマ「ほざいてろ」
ぴかちゅう「いくでちゅ」
あいての ぴかちゅうの ギガスパーク!

アリス「速ぇ!」

見間違いじゃなきゃ、あのメグよりも速いように見える……!
まさしく音速を超えたスピードで、カルマに電撃を帯びたタックルをぶつけてきた!

こうかは いまひとつのようだ

カルマ HP204/404

電気エネルギーを半減するくさタイプ、それもカルマの高水準の能力であっても半分近い体力を持っていきやがった!
素早いだけでなくて物理攻撃力も備えている、スズランにとってのモンスメグに近しい性能というわけか……。

カルマ「うぜぇ。
千手の涯 届かざる闇の御手 映らざる天の射手

光を落とす道 火種を煽る風
集いて惑うな 我が指を見よ
光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔
弓引く彼方 皎皎として消ゆ」

詠唱をとなえると緑色に輝く無数の光の矢が降り注ぎ、カルマとぴかちゅうが対峙しているフィールド全体を囲む不思議な結界が貼られた。

カルマは トリックルームをつかった!
カルマは 時空をゆがめた!

アリス「なるほど、素早さを逆転させて……時間を扱うカルマらしい技だ」
スズラン「アリスたんってば味方が使ってるわざに感心しちゃってほんときゃわいい~。ん、だったらどう立ち回ろっかな?」

カルマ「好きに動けよほら」

カルマは みちづれを つかった!
ぴかちゅうを みちづれにしようと している!

スズラン「あっぶなぁ!?」

あいての ぴかちゅうは しょうりのまいをした!
ぴかちゅうの こうげきりょく
ぼうぎょりょく すばやさが あがった!

カルマ「ちっ」

スズランはカルマへのダメージを計算してか、ぴかちゅうの潜在能力を引き出すわざを選択していたことで道連れを不発に終わらせた。

先に能力を積む前に一度攻撃を仕掛けたのは、おそらくステータス配分が読めないカルマの能力値を割り出すために逆算するためだろうか?

なんにせよこれで道連れ作戦は通用しなくなった、トリックルームにもカウントダウンがあるので先手を取れる今のうちに膠着を打破したい。

性格的にカルマは自分の手を直接下すような攻撃は好まない、それはスズランも熟知していそうで、攻め手にあぐねている様子がうかがえた。
しかし読み合いは続く。意表をついてみちづれを使うか否か、その洞察を制したトレーナーが勝利をつかむだろう。果たしてスズランはどちらを選ぶ……?

カルマ「あーたん」
アリス「なぁに」
カルマ「あーたんがぼくに指示しろ。選ばせてやるじゃんよ」
アリス「……しゃあねぇな~」

非常に大事な一手は自分で決める、カルマにはボクにさらなる成長をしてほしいからこその配慮であり、同時にスズランの思考を錯乱させる目的もあった。

この一手を読み違えれば次の試合に大きく影響を及ぼす、負わせているビハインドがチャラに戻ってしまえばスズランに大きく心の余裕を与えてしまうし、無傷のぴかちゅうを後続で相手しなければならなくなる。

スズラン「アリスたんが考えそうなこと……うん、決めた!」
ぐぬぬ、あんなに早々と決断されちまうなんてナメられているかもしれない。落ち着いて先手とさらに一手先まで盤面を予想して組み立てていく……。

アリス「ボクも決めた!」

ボクの得意技は相手の虚をついてその隙を狙い撃つこと。
そしてそれは目前で何度か見てきたスズランも知っている。
しかし読み違えさせるだけでは策として成り立たぬ!

そんなこと裏のまた裏話でしょ!

カルマ「陰陽相まって全十二巻をもって完全とする」

カルマは どくどくを つかった!
あいてのぴかちゅうは もうどくをあびた!

スズラン「日和ったねアリスたん?」
アリス「!」

あいての ぴかちゅうの ギガスパーク!
ぴかちゅう「やる、でちゅよ」
勝利の舞によって更なるエネルギーの増幅と加速を得た電撃がカルマへと物理的ダメージとなって襲いかかる!
ただでさえ体力の半分を奪った攻撃、いまのカルマに対しては確定で打倒申告をされたようなもの!

スズラン「エキスパートバトルにおいてはアタッカーであってもバフわざを習得してるのは当然の理、一度見せたんだったら道連れを連続して指示させるべきだったんだよ!セレビィはこれでおしまいっ!」

アリス「それはどうかな」

カルマ HP1/404
カルマは きあいのハチマキで もちこたえた!

モンスメグ「所長のタコさんだー☆」
いまなんかモンスターボールの中から聞こえてこなかった?

スズラン「ふぅん、さすがアリスたん。テンプレートが読めないや」
あいての ぴかちゅうは もうどくのダメージをあびている!

ぴかちゅう HP345/394

スズラン(トリックルームはあと2ターン続く……さっきかけた発破でみちづれを意識してるかどうか、ね)

アリス「いつまで振り回されているのだ?」
スズラン「え?」

カルマは がむしゃらをつかった!
ぴかちゅう HP1/394

意外!それはがむしゃら!

スズラン「ハチマキどくどくがむしゃら!?」

あいての ぴかちゅうの バトンタッチ!

アリス「刺し違えを恐れるあまり、機会を窺って一時撤退を選ぶだろうと思っていたよ。毒を喰らったHP1の控えは実質瀕死状態……上手くいったわ」

カルマ「次の相手は誰じゃんよ」
主役級のネームドバリューを誇る萌えもんのメンツを潰せたのかいつになく上機嫌なカルマは、残りHP1とは思えないほどに活き活きとしていた。
対してスズランはバトン先の仲間を選びながらも、ボクに一枚上を取られたことが逆に嬉しい誤算だったのかあちらも活き活きと笑みを浮かべている。

スズラン「こんなワクワクできるバトルは久しぶり!いっておいで、カイリュー!」

スズランは カイリューを くりだした!


カイリューカントー地方におけるドラゴンタイプの代表格であり、海竜と名づけられるようにハクリュー時代から培ってきた水の流れを司る力に長けているだけでなく、1枚がボクの背丈と変わらないほど大きい翼を有するようになったことで、まるで地球そのものをプールサイドのように遊泳する技量まで持ち合わせている。

まさに海陸空の王者に相応しく、ゆんのトライアタックよろしく水・雷・炎の属性エネルギーを含んだドラゴンの力で他を圧倒する萌えもんの一角だ。

エリカお姉様は植物や花木の水やりに適しているからとハクリューのまま愛でていらっしゃるけど、こうしてカイリューを目の前にするのは滅多とない機会だった。

カルマは気だるそうに、あとはよろしくと続きを託すとスズランが命令した『しんそく』によって戦闘不能に陥りフィールドから戻っていく。
同時にトリックルームの効果も切れ、バトル場を囲んでいた結界は消滅した。

アリス「グレア、行ってこい!」
アリスは グレアットを くりだした!
グレアット「お祈りはすませましたかっ?」

スズラン「……。グレアさんの聖火であっても、竜の前じゃ線香花火みたいなものだよ」
実際カイリューはほのおタイプの攻撃を半減して受け止められる、グレアが火柱を立てようとも暖炉の前に当たっているようなものだろう。
アリス「分かってるさ、だがこれはどうだ?」

グレアット「めさめよ、わが霊(たま)っ」

讃美歌に乗せてリズミカルに、蝋燭のように炎を揺らめかした!

グレアットは おにびをつかった!
あいての カイリューは やけどをおった!

公式ルールの試合におけるやけどの効果はどくのようにスリップダメージを引き起こすだけじゃなくて、物理攻撃力を半減させる追加効果を付与する。
バトンタッチによる勝利の舞の引継ぎで攻撃能力が上がっているとはいえ、カイリューの持ち味である物理攻撃はこれによって真価を発揮できなくなった!

スズラン「残念でした」
あいての カイリューの 10まんボルト!

まずい、10Vは特殊攻撃力に依存する電気攻撃だ……!
グレアット「きゃあぁっ!」

こうかは ばつぐんだ!

グレアット HP82/384

アリス「鬼火読み、じゃなさそうだな。そのカイリューは特殊エネルギーが得物か」
たった一撃で一気にピンチに追い詰められてしまった。

スズラン「勝負はこれから。そうでしょう?」

Part50へつづく!