Wonderland Seeker

スマホの子はTOPを見てね

《Ride On The City》-硝子色の夕空- part46

儚い欠片 舞い散る
その光 全て照らし 導き合う

壊れてゆく 想いの果て いつかの夢を捨てるよ
正解の無い 選択肢しか 僕に残されていないなら

季節は既に暗く冷たく 温もり求めた心
君は現れ 時間は止まり 物語が始まった

真実に近づけば 君を守ることでしか
想い示せないまま 冷たい無情が絡まる

狂っている 定義が今 調和の糸 手繰り寄せ
堕ちていった 純粋な眼に映る なにもかも歪んでいく


アークの ふいうち!
しかし うまくきまらなかった!
あいての 128の しびれごな!
アークは ひらりとかわした!
アークの はたきおとす!
あいての 128は メンタルハーブをおとした!
あいての 128の ほっぺすりすり!
アークは 128の こうげきをかわした!
アークの うらみつらみ・幻妖!
あいての 128は こうげきりょくがさがった!
あいての 128の カウンター!

6号「ふうっ……俊敏すぎて詠唱する時間がつくれませんね」
128「サラマンダーよりずっとはやーい」

お互いが系統こそ違えども変化わざを中心にしたトリッキーな戦術を取る以上、トリックガードによって実質ちょうはつ状態になっているアークは攻め手にあぐねており、自身のトリックガードを一方的に押しつける128もまたメンタルハーブを奈落の底へ叩き落とされたことによって本来の実力を発揮できないでいた。

この一戦は非常に長引きそうな予感がする。
そのあいだに下からメグとゆんが無事に戻ってこれる保証はないし、安全地帯がない以上グレアはボクを乗せたまま戦うことはできず、カルマには手を貸そうという意思が伺えない。
こうなればアークのエクスプロージョンで華々しく決着をつけてやりたいが、いまこの現状で爆裂するにはデメリットが大きすぎるし、そもそも128がメグと匹敵するくらいに速すぎて打たせてくれなさそうだった。

ブルー「さーてとっ」
ブルーを乗せる黒光りするリザードンらしき萌えもんが翼を大きく広げて踵を返そうとした!
アリス「待て!」
グレアット「祝福のお知らせに参りましたっ!」
みすみすと逃がすわけにはいかない、足止めするべくグレアは神通力を込めた聖火の弾を発射させた。

グレアットの せいなるほのお!
しかし あいての█████に こうかはないようだ……
グレアット「っ!?」

ブルーは背すじと両腕を伸ばしてこちらを一瞥する。
ブルー「キミがやる気ないんだったらもう付き合っている理由はないわ、そこでイニヤと遊んでて。」
このままビアンカを持ち逃げされて行方を晦まされるとどうしようもない、グレアは全速力で邁進していくも追いつけそうになく……

パァン!

シロの ねこだまし
あいての █████は ひるんでうごけなくなった!

シロ「敵前逃亡はーーー
駄目ですよ、ブルー。ーーー」
アリス「シロ!」ブルー「アルル!」

ブルーの退却行動を超次元規模で止めたのは何者でもないシロだった。
翡翠色に輝くその瞳は純白とは程遠い黒い眼差しに光っていた……。

シロ「あなたたちを信じてーーー
この日までわたしの宇宙を……箱庭を……生命を見ておりましたーーー
ですがーーー」

ブルー「待ってアルル!あの子がアタシのやり方を分かってくれたら上手くいくんだから!!あなたのために頑張って……」
アリス「いいや、人の友達を売るような真似なんかで上手くいくとは思えんな。ボクにこだわる必要がどこにある」
ブルー「それは、キミがみゅ……」

シロ「……分かり合えないのは、悲しいですねーーー」

シロの身体から発生した真っ白いエネルギーが急速で拡大化していき一瞬にして辺りを包み込んでいく!
最早ブルーといがみ合っている場合などではなかった、シロは……この原初の箱庭ごと自分の創り出した宇宙を消滅させようとしている!

-アルセウスの スターバース-

シロが創世の攻撃を射出した、その瞬間だった。
ブルーが隠し持っていたであろうマスターボールから、柔らかなルビー色のオーラが発光したではないか!
そのオーラはシロのスターバースをいとも簡単に破ってしまい、代わりに美しい雨上がりのような虹色の空を映し出した……。

ブルー「なんなの……!?こころのしずく……?」
アリス「まさか、ビアンカ……!!」



ビアンカ「ひゅあああああんっ!!」
いつものウェイトレスウェアが眩しい銀髪の笑顔を靡かせる彼女の姿ではなかった。
ジェット機を模したようなきれいな曲線美を描くそのフォルムは、まさしくポケットモンスターと呼ぶにふさわしい光景だったのだ。

カルマ「あーあー。道標によって生まれた萌えもんが、道標を離れて導なき宇宙に順応して、本来の姿を取り戻したじゃんね……」
グレアット「本来っ?……やっぱりビアンカちゃんはっ」

ブルーのもとをすり抜けて、くるくると回転しながら音速で推進をして自分の存在をアピールするビアンカ。その胸には、こころのしずくが琥珀色に煌めていた。
彼女の持つ心理定規の能力か、はたまた冷静さを取り戻しただけなのか、シロは手を止めるとビアンカに対して透明の声色を紡いだ。

シロ「生命の神秘とはーーー
わたしにも分からない、素晴らしい結晶ですねーーー
ラティアス。いえ、ビアンカーーー
貴女は心から……アリスを、この星を……愛しているのですねーーー」

ブルーのきょとん具合をみるに想定外の事態なのだろう、よもや人間体の萌えもんではなく、ポケモンそのものとして復活しようとは思えなかったはずだ。かくいうボクも胸の奥がどくんどくんと高鳴っている、いまのビアンカだったら本当に奇跡を起こせるのかもしれない。

アリス「ビアンカ!ボクが分かるか!?」
グレアット「私もいますっ!」
6号「なーんかお空の上はファンタスティックなことになってますねぇ」

ビアンカ「…………リース……?」
彼女が小さな声で何を呟いたのか聞こえなかったが、結ばれた絆ではっきりと理解できた。あいつは、ビアンカは、ボクを求めている。
そうだ!リライブを試してやったら何か起きるかもしれない!それこそブルーの考えていたやり口よりもスマートに!

アリス「グレア!」
グレアット「はいっ!」
ボクを乗せた灼眼炎髪の巫女は煌めく翼を広げてビアンカのもとへ翔び立つ!ビアンカも呼応するようにルビーの羽根を推進させてお互いに向かい合い……
手が伸ばせ合えるほど接近しようとしていたその刹那。


シロ「この星座の邪気……まさかーーー」

天空から隕石のような強大ななにかが舞い降り、ボクとビアンカはその衝撃で引き離されてしまった。その隕石の正体はデオキシスでもジラーチでも、ましてや七英雄の誰かでも無く……。

見上げてみればそいつは、羽根も翼も無しに、かといってシロとは似て非なる星屑を周りに散らせながら宙に浮かんでボク達を見下していやがった。

その能力によって、自分のいる世界を原初の箱庭と同じように宇宙の真理に塗り替えてあまつさえ本物の世界にしようとしていたギンノがその夢物語を叶えられてしまえるほどの存在であり、それゆえに宇宙を創造した時からシロの宿敵として何度も封印されながらも星座の導きによって復活を繰り返す存在。

アスフィア『ほう。此処がはじめの星か……幾重にも正義気取りの魔物どもから邪魔をされてきたが、ようやく到達し得た。……道標よ、その重荷を背負うのにも疲れただろう。このわたしが代わってやろう、全ての星々はわたしの手に!』


こいつが出現した影響のせいかビアンカはもぬけの殻のように動かなくなってしまって、眠れる少女となって空中から自然落下していくところを、カルマが植物の蔓を出して救出させてくれた。……お前が目を覚ましたら全部終わらせておいてあげるからな。アスフィアの大層なご挨拶にシロが対峙して迎え撃った。

シロ「アスフィアーーー
どうやってこの箱庭に入り込めたのですーーー
わたしのみならずユリやうゅみ達のプログラムで守っているはずですよーーー」

そういえばユリは七英雄の座に入らず、この導なき原初の世界を海底から守り続けてくれているんだっけか。あそこで垣間見た能力を思い出すとユリのもたらしている影響はそれこそうゅみと同格かシロとも肩を並べるほどの代物だろうと震撼する。

しかし、直後のアスフィアの言葉でボクは言葉を失い思考が止まってしまった。

アスフィア「貴様がその少女を標から解き放った際に生じた刹那の隙にビアンカをこの星へと転送させただけよ。他ならぬミュウの遺伝子から生まれたその少女と密接なつながりを持っていたビアンカをな」

アスフィアがどうやってここに辿り着いたかなんてどうでもよかった。ビアンカに守り神として力を授けたエネルギーによって引き寄せられた偶発なのだろうが、そんなことなんて気にも留めていられる発言ではなかったのだから。

アリス「ボクが……ボクが、うゅみの……?」

シロ(ーーー)
グレアット(……っ)

またボクはなにも知らなかったのか?

グレアの反応を見るに、彼女は知っていた素振りがあった。いつから知っていたのかは分からないがおおかたシロから聞いたのだろうか?

そのシロも黙してしまい、カルマも目を伏せていた。このぶんだと地上で戦闘をいつの間にか終わらせて様子を眺めているアークも、シロガネの奈落へと落ちたまま帰ってこないメグと……最愛のパートナーのゆんだって。

目の前が真っ白になった。
どうしたらいい?この感情をどうしたらいい……?
指先がちりちりする。口の中はからからで、目の奥が熱いんだ!

ボクは……その事実を知らなかったことで打ちひしがれているわけじゃない。
悲しかったんだ。
仲間たちが黙っていたということは、ボクに対してどんな理由や気遣いがあったにしろボク自身を信頼してくれていないんだって痛感させられたから……。

告白する機会はあったはずだ。アークはトキワで2人きりになった時に知っていたのならば、メグはついさっき山頂に入る寸前にでも、グレアは星空の下で今もこうして音を鳴らしてくれている鈴のペンダントを渡してくれた時にでも……。

ゆん。隠しごとはお互いにしないって約束したじゃないかよ。

ボクはお前たちにとって信頼しきれないのか?
たびたび虚をつくような策を思いつくような奴だからか?
ずっと甘えっぱなしで成長できていないからか?
それともまだ9歳の少女相手に本気で気持ちをぶつけられないからか?

……………………。

もういい。今はとにかく、星の危機からアスフィアを葬り去ろう。
どんな手段だって使ってやるよ。
その後で、うゅみ本人の首を掴んででも問いただして、整理をつけよう。

アスフィア「どうした?怖気づいたか?ならばその恐怖ごと激変星のように消して楽にしてやろう」

アスフィアは りゅうせいぐん をつかった!


ブルー「いけない!来るわ!アネモネ、動きを止めて!」
アネモネ≪オメオテトルシステム・ブート開始≫
█████は ダークブラストを つかった!

シロ「この箱庭を壊されるわけにはいきませんーーー」
みかたは オーロラベールで まもられている!
アスフィアの りゅうせいぐんは ふはつにおわった!

グレアット「アリスちゃんっ……」
神秘なほむらに煌めく火の粉を散らして羽ばたきながら、炎髪灼眼の巫女は心配そうに視線を向けてきた。
アリス「大丈夫だ。頭がすっきりしてる……いつにもまして視界がクリアに見えてるさ」
普段なら就寝している夜空の下だというのに、不思議にも全身が軽く感じて頭の中も澄み切っていた。アスフィアという危機に直面しているからでも、うゅみの遺伝子を受け継いでいることを自覚したからでもない。

それはきっと……。

思いを馳せていると、下界から聞き慣れた声が響き渡ってきた。

モンスメグ「まみむめも☆ピンチはメグをアピールできるいいチャンス☆」
カルマ「バカが帰ってきたじゃん」

カメちゃん「命あっての物種」
ブルー「カメちゃんおかえり!早速だけど……大物よ」

メグはバチバチと稲妻を起こしながら俊敏にアークの立つ結界へと移動し、カメックスは背負った砲台からアクアジェットの推進でブルーのもとへと帰還した。
そして、もうひとり。
樺色の羽根を舞わせ、ボクの近くへと飛んできた。

ゆん「ただいま。アリスちゃん」
グレアット「ゆんちゃんっ」
ゆん「あら、敵がお出ましじゃない。バトルに弾みがつくすっげえ悪い奴よ」
ブルーと出向く前にメグへ例えてやった言葉を使ってアスフィアを一瞥したのも束の間、グレアの上に乗っていたボクを翼で織り包容すれば、見晴らしのいい特等席へと招待してくれた。

6号「スチルの言葉を借りましょうか……いくらボンボンなアリスさんでもこれだけ揃えば戦略を立てられるでしょう」

ーーー信じよう。信じるしかない。信じてこの闘いに勝利を飾ろう。

アリス「ブルー」
ブルー「なぁに?」
アリス「ケンカはやめよう。ケンカのあとは仲直りだ」
ブルー「べつにキミとケンカするつもりなんてさいしょっからなかったんだけど……そうね。いっちょやりましょう!アタシたちで大切なこの世界を守るのよ!!」

ボクたちは思いや考えは異なれどこの星を守る目的のため絆を固め合った!

対してアスフィアはギンノやビアンカと同じ色の髪をかき上げて纏めると、片手を翳して星座のチカラが込められているであろう天球を、カルマが形成した蔦の上で眠るビアンカへと差し向ける。

アスフィア「くだらん、束になっても同じこと……Προκύων

アスフィアはビアンカに預けていたであろうこころのしずくから、自身が授けていたエネルギーを吸収していき、みるみるうちにその形態を変化させていく……!


その色は、ビアンカのルビーよりも、グレアットのファイアレッドよりも、アルタイルの星よりも、赫く染められあげ、聖なる雰囲気を醸し出していた。

あれがギンノに力を貸すよりも、ビアンカに力を授けるよりも、きっとずっと昔のアスフィアの創世の形……!
倒すべき敵であるというのに、思わず我を忘れて見惚れてしまいそうになる、星のように美しい形相をしていた。

シロ「彼女と対等に闘えるのはわたししか居ませんーーー
皆様は自身の安全の確保に専念をーーー」
長年の因縁相手にひとりで戦おうとするシロに、ボクとブルーは同時に口を合わせて名前を呼んだ。

ブルー「アルル!一緒に守っていくって約束したでしょ?それともアタシじゃ信じられない?」
アリス「シロ!守られてばかりじゃないぜ。言っただろ、ボクがこの世界を変えて道標から解き放ってやるって」

シロ「アリス……ブルー……ーーー
わたしの愛するポケモンたちーーー
ありがとう。共に戦いましょうーーー」


アリス「メグ、全力の雷撃で痺れさせてやれ!グレア、シロの神託と共鳴して焼き焦がせ!カルマ、自然の偉大さを思い知らせてやれ!アーク、遠慮せずに爆裂魔法をぶっ放せ!」

グレアット「大いなる福音のためっ……仰せのままにっ!」
6号「ほかはともかく、爆裂魔法のことに関しては誰にも負けたくないのです!」
カルマ「ぼくに本気を出させたらどうなるか、冥土の土産に教えてやるじゃんね」
モンスメグ「魅せてあげる☆メグのロ~~~マンティックな夢をね☆彡」
それぞれが思い思いにアスフィアの懐へと飛びこんでいく!

ブルー「ぷりり!カメちゃん!ピッくん!イニヤ!アネモネ
あいつを翻弄させてやりなさい!」
次々とブルーのパーティが集結し、個性豊かにアスフィアへ立ち向かった!

ゆん「私はどうしたらいいかしら?」
アリス「冴えたアイデアがある」
シロたちが時間を稼いでくれているわずかなうちにボクはゆんに勝機を見出す策を耳打ちしてやった。ゆんは溜息まじりに首を傾げるも、よくってよ!の返事とともに、シロガネの山頂から高く高く天翔けて星空へと連れていってくれた。

グレアット「Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.
Amen.

モンスメグ「天上天下唯我独尊☆

カルマ「輝く未来を~抱きしめて~っ

6号「黄昏よりも昏きもの血の流れよりも紅きもの、時の流れに埋もれし偉大な汝の名において、我ここに闇に誓わん。我等が前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを!

おくりび!
エレキテル☆エレクトリック!
ブルームシャインエクストラ
エクスプロージョン!

シロ「裁キヲ……!ーーー」
さばきのつぶて!

アスフィア「効かんな」
アスフィアは こうげきから みをまもっている!

ブルー「そんな!タイミングもバラバラな5体同時から守るなんて滅茶苦茶じゃない!」
グレアット(そういえばアリスちゃんとゆんちゃんっ……戦場を抜け出していったいどこへっ?)

アスフィア「こちらも参ろうか、stēlla」
アスフィアの スターフォース

無数の星たちが弾丸となって降り注がれ、その威力はダメージを受けた相手が持つエネルギー量に比例して増大していく、まさに対強者に特化された攻撃!

「「きゃあああっっ!!」」

ブルー「くぅ……ラティアスを平然と取り込んじゃうなんて想定外だわ。逆利用しようだなんて見通しが甘かったかな……」
シロ「いいえ。あなたの策略と勇気は正しかったですーーー
しかしこれほどまでに力をつけていたとはーーー」

アスフィア「道標よ。人間どもにほだされて腑抜けたか?」
シロ「アスフィアーーー」
アスフィア「わたしが新たな天文の主となる前に貴様の失敗を教えてやろう。貴様はわたしを恐るるがあまりに宇宙の枝を乱立させすぎた。それらを常時支配するのに当然命の宝玉は分散されその分貴様が出力できる力は弱体化されていく……。わたしは待っていたのだ、貴様がいずれ綻びを見せる時を。冥王星が永き末に太陽系から逸れていくように、貴様の宇宙とわたしの小宇宙が交差するこの機会をな」
シロ「貴女も……道標から外れた存在でしたかーーー」

アリス(おーいシロ聞こえてるか?)
シロ(アリスーーー一体どこにーーー)

アリス(内緒。奴に勘づかれては終わりだからな)
シロ(左様ですかーーー
しかしどうやってわたしに直接ーーー)
アリス(アルセウスフォンをブルーからくすねた。こんな便利グッズがあるんだったらボクにも渡せっちゅーに)
シロ(そばにいてほしいとあなたが願ったのですよーーー
なにか妙案でもあるのですかーーー)
アリス(ある場所へ誘導させてくれ。奴の狙いはお前を消すこと、お前が戦いの場を移せばのこのこついてくる)
シロ(ふむーーー上手くいくでしょうかーーー)
アリス(できるできないじゃない、やるしかないんだよ。合図を送ったらマナの元へと来てくれ。んじゃあ)

シロ「アスフィア、この原初の箱庭に訪れたのでしたらーーー
もうひとり相手をしなければ道標に認められませんよーーー」
アスフィア「ほう?つまり貴様はわたしに白旗を上げた、そう受け取っていいんだな?」
シロ「ええーーー」
ブルー「ちょちょ、ちょっと!?」
シロ「ブルー。信じるのですーーー」
ブルー「信じるったって…………あぁ~。OK!あとの算段はアタシがやっておくわ!」
アスフィア「さっさと案内をしろ。もうひとりとやらにわたしに畏怖させてやろう」


ーーーーーーーーーーーー

-ハナダのどうくつ-

ゆん「正気なの?」
アリス「正気の範疇で戦える相手か。でも目論見通りあいつは傲慢ゆえシロ以外に一切の関心が無かったからこうやってあっさりと抜け出せただろう?」
ゆん「それはそうだけども」
アリス「さてと、難儀なのはこっちもだぞ」
アルセウスフォンをお気に入りのリボンチェーンフリルハートスタッズリュックに仕舞うと、足早にマナの住む最奥へと翔けていった。

マナ「誰が難儀だと?」
入り口に盗聴器でもかけてるんかこいつは。あぁ、エスパーだったわ。突然の訪問に対してもマナはいつも通り不機嫌そうな表情で白衣を揺らしていた。ゆんはすくんでしまって、らしくもなく距離を取って翼を折り畳む。

ゆん「きゃ!……ご無沙汰していますわ」
マナ「わざわざ私の家に来るなどどういうつもりだ?」
アリス「ボクは道標を外れてこっちに還ってきたアリスだ、といえば分かるか?」
マナ「分かるか。それはあの愚母から聞いている。大した要件でもないのなら送り返す」
うーん。この仏頂面ともうゅみの遺伝子を分けた姉妹になるんだろうか?もしそうだとしたらまずは公的書類上で血縁関係を切らないといけないな。
などと胸の中でぼやきながらもボクはアスフィアとの現在に至る経緯を話した。

アリス「ってわけで時間がない。そこである方法を思いついた」
マナ「一刻を争うのならだらだらと説明をするな。手短に言え」
アリス「シロにこの電話で合図を送ったらそれと同時にアスフィアごとお主の前に連れてくる。そして……」
秘策をマナに話してやると呆れた様子で「あの親の顔が思い浮かんでくるようで腹が立つ」と愚痴をこぼしつつも、了承をしてくれた。なんだかんだあいつのいいようにされるのはマナであっても御免被るみたいだ。

ボクとゆんはもしもの場合に備えて安全の確保も兼ねて、グレアたちが足止めしてくれているもとの現場へと直行で帰還する。

アリス「本当に今夜は星が綺麗だな」
ゆん「そうねぇ……ところでミスしたらどうするのよ?」
アリス「うゅみに頼むことになるな」
ゆん「……成功することを信じてるわ」

ーーーーーーーーーーーー

-シロガネやま-
文字通り頂上決戦を行っている場所にみすみす帰っていけば、人間を見下しているアスフィアであっても行動を怪しんでシロの指示に従ってくれなくなる可能性も見越して、ボクとゆんは麓に位置する萌えもんセンターの前で待機することにした。
何時間か前にシロと仲間である証明を行った場所だ。ここで座して待つのみ。ボクはアルセウスフォンを取り出して合図を行うと、一部始終を聞くために電源を入れっぱなしのまま放置して見守ることにした。

アリス「シロ」
シロ(ご準備できたのですねーーー)
アリス「ああ。終止符を打とう」
ゆん「……信じて待つだけね」

ーーーーーーーーーーーー

わたしはアリスから連絡が折り返されたと同時に目の前で両腕を組んで虎視眈々と周囲に視線を張るアスフィアに案内の口上を申し上げました。

シロ「どうやらこの箱庭に到着したようですーーー」
アスフィア「そうか。道標を屈させたわたしを前にどう反応を示すか楽しみよな」

まるで自分自身が太陽そのものだと誇示せんばかりに赤黒く染められた格好で胸を張って強調するアスフィアに今更ながら若干の同情を覚えてしまいました。その赫き原色に舞い戻ったのもまた、運命なのでしょう。

わたしはアスフィアとともにアリスがアポイントメントしてくれていたマナ……うゅみの唯一血を分けた存在であり七英雄の従属……のもとへテレポートしました。

マナとアスフィアは出逢うなり互いに牽制しあっていましたが、アリスからの指図を受けているマナが先に口を開きます。

マナ「ふん。新たな道標に相応しい場を用意してやった。付いて来い」
アスフィア「口の利き方がなっていないが……仕方あるまい。この短い時間でわたしに相応しい玉座を見つけただけでもよしとせねばな」

彼女の能力の一つ、ワームホールに入ったふたり。わたしもアリスへ安心感を与えるべく使命を最後まで全うするために、アリスが指定した座標行きのワームホールへと同行させていただきましょう。
それにしてもアリスは素晴らしくずる賢い子ですね。ブルーも同じような性分でしたし、案外世界を救う子というものはズルい女の子なのかもしれません。

マナ「クイーンファーストだ、出ろ」
アスフィア「どれ……ここもわたしの知らぬ場所か……」
シロ「さらばですーーーアスフィアーーー」

アスフィアがその座標へ降りきったその瞬間にワームホールを閉ざし、マナとわたしはアスフィアを永遠に幽閉させることに成功しました。

その座標とはかつてアリスがミズキと彷徨いマナが救出したという、グレアットが取り込まれていた空間……ガラルファイヤーの赤き原野なのでした。

アリスの経験から来るその発想には脱帽しました。
確かにあの原野はわたしの形成したいくつもの宇宙のすべてそのものから逸脱した閉鎖空間であります、うゅみやユリのような存在ですら出入りはおろか認知そのものが不可能であり、マナが持つ特異座標すら把握しうるワームホールが現在判明しているアクセス方法なのです。とは言いましてもそのアクセスですらマナもアリスが閉じ込められたことによって、うゅみの遺伝子が反応したおかげでワームホールが覚醒しただけであって……。
それになにより、あの赤い原野には一切の空も星も存在しません。アスフィアのエネルギー源は無数に広がる星とそれを結ぶ星座から発生している代物でありますから、そもそも星という概念すらも実在しないあの空間では、血生臭い赤子も同然でありましょう……。

ーーーーーーーーーーーー

アスフィア「身体ごと透き通り、絵のように漂う……芥子粒の生命でもわたしは瞬いてる。魂に銀河、雪崩れてく……」

Part47へつづく!