《Ride On The City》-硝子色の夕空- part38
「時に埋もれた記憶の彼方
そうさ僕達は天使だった
空の上から愛の種を撒き散らして
この地球から悲しみ消したかった
ねえ広いブルー・スカイ見上げていると
勇気が湧かないか
今でも
To My Friends
背中の羽根はなくしたけれど
まだ不思議な力残ってる
To My Friends
光を抱いて夢を見ようよ
ほら君の瞳に虹が架かる」

シロ「この場を改めてよろしくお願いしますーーー
ゆんーーー」
ゆん「え、えぇっ!よくってよ!!」
想像していたよりもコミカルで面白い反応が見れて余は満足。
アリス「ってなわけだ。もう道筋に導-しるべ-はない」
ゆん「なにが、ってなわけなのよ!私、そこまで壮大なスケールだったなんて思いもよらなかったわ!平然と神様を連れてこないで頂戴!」
せっかくゆんの鳥頭でも分かるように解説してやったのに、何をぷんすかとほっぺを膨らませているんだ。結論だけ告げてしまえば世界を救っただけというに。
腕を組んでツンとしているゆんをよそに、シロは透き通った声色を駆使した耳打ちをしてきた。
シロ「もうーーー戻れませんよーーー」
アリス「えぇい、寂しいと思ってるつもりか!」
両手をブンブンと振り回してシロを振り払う。間違った選択はしたつもりはない、気持ちをリスタートしてこの世界で旅を続ける決心を決めた。
なぜそう言い切れるかというと、ほかでもあらぬシロ本人が”原初ではこの今いる世界こそが、ボクとボクの仲間たちは正しい居場所”なのだと断言してくれたから。
つまりはシロがあれよこれよと様々な歴史を創っていくうちに、解釈のいい都合でありとあらゆる世界線から次第に付けくわえすぎたパーツたちを、ついさっき元の鞘へと納めただけということよ。
当然ボクはこれまで出会ってきた者たちがどの鞘にいた存在なのかなど知る由もない。別の鞘に戻った者たちはボクとの思い出など夢のように忘れてしまっただろう。だがボクはそんな身勝手な道標とやらから外れるべく、その思い出を背負っていく道を自らの手で切り拓いたのだ。
うゅみのいう、生きて悲しみと闘っていく覚悟を腹に抱えて。
シロ「知りたいですかーーー
貴女が出会ってきた軌跡の行く末をーーー」
アリス「知ったこっちゃないな。みな折れぬ信念を持った強い奴等のことだ。今ごろ適当に茶でもしばいてるさ」
ゆん「アリスちゃん……」
ボクが強がっているのじゃないかと心配して不安そうになるゆん。確かに100%完全に振り切れたつもりはないが、ここでボクが甘えてしまったらもとの木阿弥だ。もう二度とあのような事件を起こしてはならない、みんな正しき道で生きていけるようにな。
アリス「安心しろ、ボクはボクがやりたいようにやってきただけだよ。ほら、日が暮れる前にさっさとグレア達を回収しにいこうぜ、どーせボクがいなきゃ何をしでかすか分からんからな」
ゆん「ふふ。そうね。ほら、私に乗りなさい」
おんぶをする姿勢を取った彼女にまたがって特等席へと腰を下ろした。
グレア、ビアンカ、それにシロの背中も良いけどやっぱりゆんの上から眺める景色こそ格別そのものだ。
シロ「その望みは既に理解していますーーー
ご案内しましょうーーーこの箱庭に適応したあなたのお友達ーーー
グレアット・モンスメグ・6号のもとへ」



シロが告白したメンバーのなかに、ビアンカの名前はなかった。
心にちくっと突き刺さったが、恐らくあいつは元々血を分けたクオーレと同じくギンノの仲間だったんだ。そしてギンノ自体がいわゆる別の箱庭の存在……さすればビアンカとは今生の別れになってしまったのか?
……仕方あるまい。これが本来あるべき運命だったんだ。
一縷の望みを捨てきれるかどうかを判断すべく、自身に酷であることは百も承知のうえで訊ねてみる決意をした。
アリス「ビアンカは、居ないのか?」
ゆん「……」
ゆんを先導するように空路の前方に飛び上がっていたシロが、純白に輝くローブを靡かせて身体からミルキー色に光る星屑のきらめきを落としながら一周してボクに直接目を合わせて告げる。
シロ「ラティアスはいますーーー
然しながら同一個体である保証はできませんーーー
……アスフィアが悪戯をしていればあるいはーーーですがーーー」
アリス「どういう意味だ?」
アスフィアといえばギンノが切り札的存在として君臨させていた星座の化身。どうしてあやつが出てくるのか見当もつかない。
シロ「もしボタンを掛け違えていればアスフィアはーーー
七英雄のひとりに迎え入れていた存在でしたーーー」
アリス「……その言い方だと、あいつは実在してはならぬ間違っていたポケモンだったのか」
シロ「左様ですーーーアスフィアの持つ能力はーーー
天体同士を結び付け星座を創造するものーーー
生物の存在できない星たちを結ぶことによってーーー
疑似的にひとつの小宇宙を作り上げられるのですーーー
例えば事前のやぶれたせかいが均衡を崩した際ーーー
境界の崩れた星とその小宇宙のエネルギーを用いてーーー」
なんてこった、その先を見破ってしまった。ギンノはどうやって知りえたのかそいつを利用して……
アリス「歴史を乗っ取るとでもいうのか」
ゆん(???)
シロ「その危険性は計り知れませんーーー
なにぶんこのわたしの立場を奪えてしまえますーーー
わたしはあらゆる手段を用い彼女を凍結させてきましたーーー
言ってしまえばーーーアスフィアの復活そのものがーーー」
アリス「なるほどな……だからアスフィアとの対決を察知してあやつを全力で阻止しようとしたボクを迎え入れたのか」
ゆん「え、えーと」
アリス「難しい話がわからないゆんマジ天使」
ゆん「分かるもん!つまり世界がピンチだったのでしょ!」
シロ「端的に言えばそうなりますねーーー
ですがご安心くださいーーー箱庭たちを在るべき場所へと還せたおかげでアスフィアは再び眠りにつきましたーーー」
アリス「とりあえずアスフィアがやばかったのはもういい。その悪戯って言いまわしをされてもさっぱり分からん」
ボクとシロの会話に耳を傾ける気をなくしたのか、ゆんは退屈そうに羽根をぱたぱたと往復させながらローブから取り出した裁縫セットで器用にお空の上で編み物を始めだす。お前パートナーとして自覚あるんか?
そんな彼女に目もくれずシロは話を続ける。
シロ「残念ですが過去形ではありませんーーー
因果は切っても切れないものですーーー
わたしはアスフィアとのいたちごっこを幾年と永久に続けているのですからーーー
彼女はいつか何度目かの復活ができる兆しを残すためにーーー
わたしの目をすり抜けて何らかの手立てをしているはずでしょうーーー」
おいおい。なんか展開がきな臭くなってきたんだが……アスフィアそのものはシロに全面的に任せておくにしても、もしかしなくてもこの世界も……?
アリス「その手立てとして考えられる選択肢に……よもやビアンカを記憶そっくりそのままにこっちのラティアスとすり替えてるなんて、、、あはは」
シロ「そうであればそうなりますーーー」
アリス「ふぁっきゅ」
ボクは分かりやすくイナズマアメリカンよろしく両手をおでこに抱えて最悪のポーズを取ってリアクションをしてみせた。いそいそマフラーだか手袋だか編んでる場合ちゃうぞ天使風情。どうにもボクの運命は常にバトることを強いられているらしい。
アリス「ハァ……嬉しいやら悲しいやら。まあいい、もしビアンカ本人だったとしても今後アスフィアとは戦わんからな!」
シロ「元より貴女の手に負える存在ではありませんーーー
むしろお友達と再会が果たせる感動に胸を高揚させておいてくださいーーー」
アリス「ぐぬぬ……ああいえばこうゆう」
シロ「わたしは貴女の質問に答えただけですよーーー
与太話は仕舞いですーーーお近くにおられるお友達から探しましょうーーー
そうですねーーー此処からですとーーー
6号がクチバ近辺におられますーーー」
アリス「ビアンカの話をした直後に出向くのがよりによってクチバか……ボクが馴染んでいるカフェテリアは無いんだろうな。ゆん、行くぞ」
ここから先はいよいよ、存在しているが存在していない記憶という矛盾した思い出を振り払わなければならない。
ゆん「あら、お話は済んだのね。よくってよ、しっかり捕まっていなさい!」

-クチバシティ-
観光客船が停泊できるほどに広がる海に面する土地に位置している。ここは日夜問わず潮風の吹く港町になっていて様々な地方からの来訪者が行き交っている。その関係から情報を多数仕入れるのも容易であり、カントーの人間にとって情勢を知りたいのならクチバシティへ出向くのは常識行為だ。
それを象徴するようにこの街のジムリーダーは海を越えた地方(=海外)の出身であるマチスが務めている。
ゆん「どうしたのよ、俯いてらしくない」
ゆんの背中から降り両足で着陸してから、ボクは一歩も踏み出せずにあった。
アリス「……ボクは、認知されているのか気になってな」
これまで居た世界ではそれなりに顔の効く身分だったこともあって、シロが保障してくれようとも前提としてボクはこの世界ではどのような立ち位置なのだろうかといまさらになって臆してしまっていた。
マナから受け取ったエリカお姉様からの簪が無くなっているという事実からして、ひょっとしなくても元来ボクはエリカお姉様の妹ではないのだろう。
よくよく考えれば当たり前で、ご自慢のブロンズヘアーを持つボクが大和撫子たる艶やかな黒髪を持ったエリカお姉様と遺伝しているわけがない。
ゆん「アリスちゃん。私、こっちに来てから何もしていない訳じゃなくってよ。あなたの名前がどこかに伝わっていないか飛んで回ったんだから」
そう返すゆんにネガティブな表情は一切なかった。もうその顔と声のトーンで分かる、きっと悪くないニュースが待っているんだって。
今日の占いコーナーで自分の星座が1位かどうか確認するあの瞬間を待つように、年相応に胸が高鳴ってきてワクワクとしてきた。
アリス「どうだったんだ?」
ゆん「先に伝えておくけど残念ながらエリカさんと血縁関係はなかったわ。でも気を落とさないで、あなた……とっても有名人よ。それこそポケモンリーグの方々に負けないくらい人気まであるくらい」
アリス「それで!?」
自分がこっちでは大人気の存在なんだって知った途端に、現金ではあるがいつになく舞い上がってきて目を輝かせてみた。
もちろんエリカ……とは血が繋がっていないことへのショックはぬぐえないもののまた姉妹のように近しい関係性を築いて絆を結んでいけばいいんだから。急にはしゃいでしまったためか道を行き交う観光客か誰かとぶつかってしまった気もしたが、ちらりと目配りしてもそういった様子の通行者は見かけなかったので気にしないことにした。
しかし本来ボクはこっちにいた存在だったにしろ、それについての記憶が残っていないのは寂しい。思い出をそのままにとシロに願ったんだからしょうがないけども。
ゆん「公式書類の記録があるから読み上げるわね。
もえもんトレーナー・アリス 出身地:マサラタウン
もえもんリーグ制覇をするもチャンピオンの座は辞退。公的には第n回度チャンピオンと記録する。リーグ制覇時の手持ちは……」
ほうほう、こっちでもリーグ制覇をしていたんだな、さすがは容姿端麗・頭脳明晰・清廉潔白な優秀たるこのボク。しかしマサラなんて田舎町の出自というのはいただけないな、つまるところ特に名高い家柄ではないということだ。
ゆん「まずはファイヤー、グレアちゃんのことね。次にライコウ、メグちゃんでしょうね。えっと……ろくちゃんはレジロックとして登録されてるみたい。きっとイリュージョンをしてリーグの人を化かしちゃったのかしら?」
馴染みのある面々が読み上げられていく。アークのやつは相も変わらずといったところで鼻で笑えてしまう。
ってことはどこまでいってもあいつらとは切っても切れない縁で結ばれてるっちゅうわけで、その事実の裏付けが取れただけでも安心できた。
ゆん「そしてオニドリルは私ね。それにかるちゃんとうゅちゃんも居るわ、いつもの6人で仲良く旅をしてきたのよ」
カルマとうゅみも居るのか……あいつらは七英雄のひとりである以上、唯一無二の個体なのだから、ふだんから姿を現さないのは此処での整合性を図るためだったのかもしれない。
シロをイマイチ信じ切れてはいないものの、ボクがこの世界の住人だという真実に関してはこれ以上ない信憑性が取れた。
一応ゆんからそのレポートを受け取って自分の目でチェックしたが、確かにゆんが読み上げてくれた通りだ、ご丁寧にこいつらのレベルまで記載されている。
ゆん「はい、それとトレーナーカード。紛失扱いになっていたから私が代表して再発行してあげたのよ、感謝しなさい」
アリス「べりーまっち」
IDが添付されたトレーナーカードにはボク自身だと間違いようもなく、大きな赤いリボンを付けたブロンズヘアーをおさげにして今着ているエプロンドレスを身につけた写真が映っていた。
アリス「つーことはなんだ?ボクは誇りあるトレーナーとして迎え入れてくれるのか」
ゆん「そういうこと。ほら、しゃんとしなさい。グズグズしてちゃみっともないわ」
いつの間にか取り出していたブラシで優しくボクの髪をブラッシングしながら暖かく対応してくれるゆんを見て自信を取り戻し、元気に声を張り上げてやった。
アリス「行くぞ!シロ、アークはどこにいる?」
一連のやりとりを静かに見守っていたシロに問うと彼女は東の方角を指差した。だがなんということでしょう、指差した方向にあったのはさっきのニビ遊園地の存在と同じくボクが知らない施設だったのだ。
シロ「あちらのクチバデパートにおられますーーー」
アリス「なんでデパートが建ってるんじゃい!」
思わず声を荒げて突っ込んでしまった。シロの上空ツアーからでは全体図は俯瞰できど、いちいち一つ一つの施設の詳細までは分からないしそれについての案内はされていなかったのだ。ともあれそこに実在するのだからしょうがない、とりあえず後でカントー全土を直接渡っていちから地理と相関図を覚え直そう。
ボクはそれぞれライトサイドのゆんとレフトサイドのシロに両手をしっかりと握られながら、タマムシデパートと遜色ないほど立派なデパートの中へと入店した……。
-クチバデパート-
タマムシデパート(アリスの知るうちの)と違う点は1階にもショップが出店しているところからだった。どうやら月の石や太陽の石といった進化エネルギーを秘める鉱石や戦闘中に限り能力の素質を引き出す装備アクセサリーも取り扱っているようで、ボクが知っていたカントー地方よりもよっぽどトレーナーのレベルは高水準そうだとアタリを付ける。
ただアークがこんな日用品に用事がある訳もないだろう、シロは立ち並ぶショップを素通りして下りのエスカレーターへ先導していく。
2人に両腕を委ねられているため、ボクを中央段として先導するシロが一段前、しんがりのゆんが一段後ろに乗ってボクをしっかりとホールドする。ボクが9歳の少女なのに相違はないが必要以上に子ども扱いされている気がしないでもないのだが。
アリス「降りてくのな、下にも店があるんか」
ゆん「確かに地下1階はわざマシン売り場みたいね」
壁に貼られている案内プレートには、対戦準備のためのショップを集めているフロアと記されていた。しかしシロは気に留めることなくさらに地下へと続くエスカレーターへ乗り継いでいく。
アリス「どこまで降りるつもり」
地下2階には在庫と思わしき段ボールが乱雑に置かれていて、明らかに普通のお客さんが入るようなフロアではなかった。
疑問に答えてくれる素振りもないままエスカレーターを乗り継ごうとするものだから、案の定さらに地下へ続くエスカレーターの前で警備をしているスタッフに声掛けをされてしまった。
警備「お待ちください。トレーナーカードの提示をお願いいたします」
てっきり怒られるのかと身構えていたら、身分証明書の提示を催促されたので疑心暗鬼ながらおずおずとポーチからトレーナーカードを見せた。
アリス「ボク達を拘束するために預けられたわけじゃ……」
ゆん「まさか」
シロ「ーーー」
なんか言え純白。これで捕えられたらギッタギタにしてやんからな。
警備「は!アリス様でしたか!失礼いたしました、ここより先は実力を認められた者のみが入れる場所となっております。どうかご武運を」
心配とは裏腹にガードマンは仰々しく敬礼をしてくれてトレーナーカードを丁重に返却してもらえた。どうやらここじゃポケモンリーグ制覇者には相応の権利が有されているらしい、シロは意にも介さずボクの手を引っ張ってさらにエスカレーターを降りていく……
いやなんか言えって。いくら絶世の美女であってもずっと黙ったまんまエスコートしてたら怖いんだってば。

とうとう最下層らしき地下4階まで降り、長い長いエスカレーターの時間は終わった。
ようやく着いたのかと安心しようとした矢先、目前に広がった光景に思わず息を呑んでしまった。
まるで悪の組織が用意したダンジョンかのように複雑なトラップがいくつも設置された迷路が待っていたのだから。
アリス「なんじゃこりゃあ!!」
悲痛の叫びに対して遂にシロの口が開いた。
シロ「迷路ですーーー」
アリス「見ればわかるわい!なんでデパートの地下にこんなアトラクションがあるんだって疑問じゃ!」
シロ「わたしに言われましてもーーー
あくまでもわたしは箱庭に種を蒔いているだけですーーー
その後の発展に関与などしておりませんからーーー
特にーーーこの原初の箱庭には一切道標はありませんからーーー」
その発言を聞いてしまっては、これ以上押し問答をしていても仕方がなかった。この世界は真にシロが最初に作り上げたいわばオリジナルの存在……。
要はシロですらも不明な点がいくつも点在しているという証明になる。
アリス「どうした?」
手を繋がれっぱなしな以上シロが先導してくれないと先に進めないのだが、シロはボクの手を離す様子も足を歩む様子も見せなかった。
シロ「ふむーーー不正を行えば排除されるギミックがあるようですねーーー
飛ぶことも仕掛けを止めることも許しては貰えなさそうですーーー」
アリス「ずるっこする気だったなこやつ……」
ゆん「それならアリスちゃんのターンね!ぱぱっと解いてちょうだい!」
そう言い捨てるとふたりしてパッと手を離して、面倒な状況に置かされてからフリーにされてしまう。ゆんはともかくとしてシロも考える気ないんか?
……ふと魔が差して、シロが握ってくれていた左手のひらをこっそりとしたでなめる。
超常存在であろうとシロも生き物な以上、10分近くも手を繋いでいれば手汗は発せられるのだが、なぜか彼女の汗からはソフトクリームみたいな風味がした。
きょろきょろ仕掛けと迷路を眺めるゆんはその行為に気づかないままだったが、この刹那の行動に気づいたシロときたら、出会ってからずっと感情らしき感情を見せてこなかったというのに、きめ細やかな美白の頬がほんのりと赤くさせていた。……やば、なんか、こうすっごく……
シロ「……ばか」
清流のように透き通った声色を発するシロが、まるでひとりの女性のように照れて感情を露わにするものだから……なんだかいけないコトをしてしまった気分になっちゃって、こっちもどう反応したらいいか分からなくて前髪をいじるしかなかった。
アリス「え、えへへ……」
シロ「ーーー」
アリス「ほぇ?」
ぼそりと何か呟いたように思えたが、元々が透明で消えてしまいそうな声色をしていたこともあって聞き取ることは叶わなかった。
ゆん「あ!あれが出口みたいよ!案外遠くないのね、早く行きましょう!」
甘酸っぱいやりとりをすぐ隣で繰り広げていたなどとは露知らず、ゆんが張り切って大声を上げる。
アリス「そうだな……」
シロ「急ぎましょうーーー」
ゆん「まって!?置いていかないでくださいませ!?」
ーーーーーーーーーーーー
スズラン「ただいま」
?「おかえり、すず」
スズラン「はい、タマゴの予備」
?「気が利くねぇ……きみが帰ってきたということは目的を遂行できたのかい?」
スズラン「ばっちりよ。ね、パティ」
?「フフフ、楽しみだよ」
スズラン「うん。さぁ、最後の手助けも済ませたわ。この素晴らしきカントーに祝福を!」
ーーーーーーーーーーーー
Pert39へつづく!