Wonderland Seeker

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《Ride On The City》-硝子色の夕空- part35

「ガンバレっていうよりダイジョウブって伝えたい。
信じる勇気あればGoGoGo!!

君とならyeah!!一緒にStep!!大きくJump!!
飛びこえてゆけるだろう

どんな山もどんな谷も怖くないさ!」

ギラティナは生きていた。
生きていると形容しても、地面に伏したまま手足すらまともに動かせず息絶え絶えといった様子であって、かろうじて意識は残っている程度だが。

モンスメグ「やったか!?」
カルマ「やってないやってない」
ビアンカ「やっちゃったらおしまいだよ!」

6号(……)←ガス欠により突っ込める気力が残ってない
グレアット「ですが……勝敗は決したようですっ」
リーリエ「私たちの勝ちなのですね!」

アリス「勝てば官軍、って状況でもないけどな」

落ち着きを戻した各自散り散りに談笑するなか、瀕死になった奴のもとへミズキが三日月状に舞いながら寄り添った。
気がつけば視界は明るさを取り戻し、ジョウト地方の古代遺産・シント遺跡だと思わしき風景が目に移ってきた。唯一遺されていた神話通りの舞台だったわけだ。

よくみればシロナさんの姿もあり、彼女は普段のような煌びやかなオーラを発しておらず、ステンドグラスの壁にもたれかかりただ沈黙するだけの様子だった。

ミズキ「ティナ様……」
ギラティナ「触れるなミズキ。俺が実力を量り違えただけよ」
かすれた声色でミズキをあしらい、次第に呼吸のペースが一定に戻っていく。急速なまでの回復能力もまた伝説たる所以だろう。
だがもう彼女に戦う気は見えなかった。

ギラティナ「イレギュラーよ」
アリス「アリスだ」
ギラティナ「この一瞬とはいえ、いまの俺にやぶれたせかいを支える力は残っていない。……この意味が分かるか?」
こいつとやり合うときから理解していたものの、的中したその発言にやはりというべきか、突如として全身に重圧がのしかかる。
そんな不安もよそにマイペースなメグは茶化してみせて

モンスメグ「おれさまがせかいで」
ビアンカ「言わせないよ」
などと漫才を繰り広げ、このような状況であってもいつも通り振る舞うメグに若干ばかり安堵感を覚えたおかげで、なんとか冷静さを保つことが出来た。

ミズキ「……どうなるのかしら」
ギラティナ「俺の生涯に一度たりとも有り得なかった事態だからな……俺とて分からぬ。だが確実に、やぶれたせかいとの境界線が曖昧となった以上……」

最悪のケースであってもなんらおかしくないであろうその言葉の続きを遮るようにして背後から新たな気配が訪れた!

ギンノ「ごきげんよう

リーリエ「ギンノさん!?」
カルマ「誰?」
グレアット「元シンオウ地方チャンピオンにして現ホウエン地方チャンピオン、同時に水の都と謳われるアルトマーレのジムリーダー、ギンノさんっ!」

説明口調助かる。

シロナ「ふーん?貴女まだ肩書きにこだわっていたのね」
予期せぬギンノの登場に狼狽えることもなく、そればかりかシロナさんはかつての知り合いなのか砕けた喋りで挨拶してみせた。

一方的にライバル視するギンノにとってその挨拶が気に入らなかったのか、銀色に輝く眉を釣り上げるも、臆せずシロナさんを無視してギンノは気品あふれながらも大胆な足運びでずけずけとギラティナのもとへと接近した。
連れのクオーレはビアンカと再会を喜びあい仲睦まじくハグを交わしている。
……そして未だに見たことのない、小悪魔と形容すべき生物がぽつんと立ちつくしており、ボクの視線も思わずそれへと注視してしまう。

オルディナ「マッテ!オイテカナイデ!……ピャ!ニンゲントポケモンガイッパイ!?」
集まりが苦手なのか、きょろきょろと挙動不審に首を振りながら尻尾をぱたぱたと床へとぶつけてたじろうそいつに対して歩み寄ろうとすると、先にメグの方が飛び出していった。
モンスメグ「WAO!キューティーデビル☆お名前なんてーの?メグはモンスメグ!トップアイドル目指して躍進するシューティングスター☆」
ハイテンションな自己紹介に対し、決して引くことなくそれどころか友好的な対応と読み取ったのか、もじもじしながらも自己紹介を返してくれた。

オルディナ「オルディナ!」
クオーレ「正確にはオルディナから進化してオルマリア、だ。経歴は面倒でな、今は省かせてもらう」
実妹の頭をぽんぽんとあやしながらオルディナと称する生物の補足をしてくれるイケメン。雰囲気はポケモンに思えるがこいつもまた大団円側の存在なのかもしれない。
いいや……大団円側というより

アリス「ちょうどいい、ギンノ。聞きたいことが山ほどある。もちろんギラティナにもな」
ボクはグレアットから降りると2人のあいだに割って入り、問答詰めさせてやる姿勢を取った。

ギンノ「ごめんあそばせメルヘンロリータ。私はこの時を待っていたのよ!」
シロナ「この時?……貴女まさか!」
ギンノ「アンタらのレベルだったらギラティナを封じてくれるって信じていたわ!私にとってこの上ないチャンス到来なのよ!!」

その発言に予感が電撃となって脳内を駆け巡った!
アリス「そうか!ギンノ、お前はやはり……!」
ギンノ「流石ね、この私のライバルに相応しくてよ。でも、もう、
気づいた時にはもう遅くってよ!」

ギンノは アスフィアをくりだした!

モンスメグ「……き、きれい……」
グレアット「なんて神々しいっ!」
6号「……(さながら女神ですね)」
ビアンカ「あ!アスフィアさん!!」
カルマ「おいおいまじかよ」
リーリエ「ほしぐもちゃんと、同じ匂いがします」

シロナ「貴女!何をしようとしてるか分かっているの!!」

アスフィアと呼ばれる存在を前にして圧倒されるなか、シロナだけは彼女に噛みついて勢いよくアスフィアの前に立ちふさがって食い止めようと試みた。
ギンノ「カッカなさんな、みっともない。それに貴女、この子達の相手をしてパートナーも瀕死なんでしょう?……すべてお見通しよ」

シロナ「くっ……!手を貸してちょうだい、アリス!私の真の目的はね、ギンノを止めること!!その為に大根役者だって演じてみせたのだから!」

ようやく納得がいった。シロナがどうして似合いもしない悪役を徹してまでボク達の行動を制限させてきたのか。どうして道標とやらの手伝いをしてこなきゃいけなかったのか。そして、ボクがここに居る理由!

アリス「見たところ万全に戦えるのは、ミズキしかいないぜ」
シロナとの激戦、ギラティナを出し抜くための連戦に次いで、まともにアスフィアへ立ち向かえそうなのは、一切手を出してこなかったミズキと、強いてあげればエネルギー切れこそ起こしているもののボクを乗せて翔ぶ体力だけが残っているグレアのふたりだけだった。
カルマ「ぼくにもやらせろよ」

アリス「珍しく乗り気じゃねえか」
カルマ「これでもこの星を繁栄させてきたじゃんよ。こんな結末で自然を破壊されちゃムカつくじゃんね」

己の正義のためにカルマが味方をしてくれたところで戦況確認を今一度振り返ってみる。アークはもう戦えないし、ビアンカはクオーレに完全に足止めされている。メグは未知数だがどうにもオルディナとやらの仕業で闘争心を削がれているようだ。
リーリエに無理はさせられないから安全を確保してもらうとして……。

周りを見渡してみてもスズランの姿が見当たらなかった。
人生でこれ以上ない大事な局面だというのに何をしておるのだあやつは?
予想はしていたがポケギアは繋がらない、援軍を呼ぶのも絶望的か。
まぁいい。
ともあれ戦うしか道はない、このやり方しか知らないから。

ミズキ「わたし、アリス様の為にこの命を預けますわ」
アリス「あぁ、やるか」

隣に立ってミズキは三日月状に舞い躍る。カルマもその後ろで浮かび上がってリーフを飛び散らせてみせた。準備はいつでもOKだ。
そんなボク達を見ていて不服そうなのか、上質なブーツでじたんだをしながら薄い桃色の唇を尖らせて白銀に麗しく広がる髪の毛をふぁさっと舞い上げるギンノ。

ギンノ「なによ盛り上がっちゃって。ギラティナを封じた以上、たとえ私が何もしなくたってこのまま世界は融けあうのよ?」
アリス「そうだな、結果的にはボクが引き起こしたトリガーには違いない。だからこそこれ以上の混乱はさせないように役割を果たすのがボクの使命さ」
シロナ「ギンノの好きにさせちゃったら、これから紡がれる歴史の枝が混沌としてしまう。アリス、あたしの正義をあなたに委ねます!神話を……平和を……正しさを守り抜きなさい!!」

ギンノ「アスフィア。遊んでやりなさい」
アスフィア「悪く思うな、ニンゲン。わたしが守れなかったあの都市の、あの続きを見るための糧となれ!」

チャンピオンの ギンノが しょうぶをしかけてきた!



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タマムシシティ・某所

ブルー「悪く思わないでね。私だって被害者だもの」
エリカ(不覚でしたわ……わたくしが背後を取られるなど)
ナツメ(うっ……超能力が使えないわ。いったいどんな能力なの)
ブルー「じゃあちょーっと忘れてもらうだけだから、大人しくしてて」
エリカ・ナツメ(……っ!)

ブルー「ふぅ~、もう改変されすぎだって。みんなが知ってる世界じゃなくなってるじゃないのよ。…………待っててね、きっと救ってみせるから」



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ギンノ「アスフィア、アルタイルフォルムになって!氷雷波-ひょうらいは-よ!」

アスフィア「Alpha Aquilae ---」
アスフィアの ひょうらいは!

アリス「ミズキ!ムーンライトリバースでダメージをすり替えろ!」
ミズキ「よくってよ……きゃあっ!」

電気を帯びた氷塊の隕石をミズキはわざと急所で喰らい、その直後に傷を負った三日月の羽根をアスフィアへとすり替えて体力を逆転させてやった。
自分の与えたダメージがそっくり文字通り返ってくる気持ちはどうだ?
アスフィア「小賢しい……」

ミズキ「この戦術、効果的ではありますものの……わたし痛覚に耐えられましょうか」
アリス「がんばれ」
ミズキ「むぅ」

ギンノ「想定内ね。それにアンタよりもアスフィアの方が圧倒的に体力が勝っているもの、いずれ自滅するだけよ」
カルマ「その弱点補完するのがぼくの役目じゃん」

カルマの どくどくどく!
アスフィアは 毒と猛毒を浴びた!
アスフィア「あいにく、わたしの体表は不思議な鱗で出来ておってな」
-ふしぎなうろこ- 状態異常の場合すべてのダメージを軽減する
カルマ「ち、これじゃ焼け石に水じゃんね」

ギンノ「1vs2にさせてあげてるのよ、攻めの手は止めてあげないわ!アスフィア、ベガフォルムからの灼熱砲!」
アスフィア「an-nasr al-wāqiʿ--- 」
アスフィアの しゃくねつほう!

カルマ「逃げさせてもらうってばよ」
カルマは タイムサークル をつかった!
こうげきから みをまもられている!

ギンノ「無駄よ」
こうかは ばつぐんだ!
カルマ「あっちぃ!貫通かよ……だりぃ」

-しゃくねつほう-
ほのお・ドラゴン複合タイプ攻撃/威力180
分類/特殊 備考/まもる効果を受けない

ミズキ「ですが隙が生じました!」
アリス「ドラゴン使いか、ならばムーンフォース!」
ミズキ「月の光に導かれ何度もめぐり合う!」
ミズキの ムーンフォース

アスフィア「今何かしたか?」
ギンノ「残念ね。ドラゴンタイプだとは読み当てたけども、ふしぎなうろこの特性に加えてアスフィアは星座の化身。月の攻撃は通じないわよ」

ミズキ「一方ふさがりですわね……」
グレアット「何か手立てはないでしょうかっ」
カルマ「あ~……チートにはチートって言いてぇとこじゃん」
アリス「お前はチートじゃないんかい七英雄
……それはさておき、このままじゃ埒が明かないな」

ここまでの2ターンである程度は分析は測れた。どうやらアスフィアはフォルムチェンジを行うことで属性を変化させられる、つまりギィ、もといレジギガスのプレートと似たようなもんだ。

そういえばギィと会った時に言っていたな。ギラティナと会え、そして大団円の真の正体を知れ、さすれば世界は在るべき形を取り戻すと。
そもそもギラティナを名指しした癖にいざボクが出向いた際にもギィは現れることはなかった。……何故だ?
よもやこいつと闘うこと、ひいてはギラティナを倒すことすらもギィは予見していたのか?ギィと奇しくも酷似したこの属性をチェンジしていくフォルムタイプのアスフィアとこうして対峙することで、ボク自身が自ら気づく必要性があるということか?

それにあの時ボクが推測していた論は大団円はひとつではない。
今のボクが推測した論は大団円はそもそも存在しない。
両方自分が展開した推理である以上、どちらであっても納得はできてしまえる。

ボクはふと背中に乗せてもらってるグレアの後ろ髪を一瞥した。

…………そういえば、どうしてグレアは悪夢に取り込まれていたんだ?
ズイタウンでの一件でなにがあった?
……と、いうより、頭の片隅まで記憶の引き出しを開けてみても、見つからない宝物が引っかかっている。

 

アリスよ、大切ななにかを忘れてしまっていないか?



・・・ひとまずそれは差し置こう。グレアの身になにかあってそれに付けこんだダークライが襲撃してああなってしまった。
直接ダークライを目撃する垣間はなかったが、そいつと対の存在たるミズキがわざわざ嘘を吹き込む理由もないだろうからその件は事実なのだろう。

ミズキ……ミズキ……なんでミズキはボクにここまで忠誠を尽くしてくれている?
確かに思い出したくもないあの空間で精神をやられてしまったボクを介抱してくれたのはミズキなのだが、正直そこからこっちに帰ってくるまでボクは何もしちゃいない。それなのにギラティナと対峙する場面の頃から、こうして愛にも近しい感情を抱いてくれている。

何故だ?
どう考えてみても腑に落ちる推測が見当たらない。

いったい何を求められているんだ?

そうやって自己問答をループしていると、痺れを切らしたであろうギンノの一喝が意識を現実へと呼び起こした。

ギンノ「ちょっと!!なにボーっとしてるのよ。張り合いがないんだったらもう逃げちゃえば?そうしてもらえた方が嬉しいのだけども」
アリス「っ……悪い悪い」

ミズキ「具合がよろしくないのですか?」
グレアット「アリスちゃん、ここは私達に任せてもらっても……」

アリス「バカたれ。司令官不在で勝機があるか。それにしても待っていてくれたのか、えらく律儀だな?」
ギンノ「ハァ……そんな汚い手段をまでして勝っても意味ないわよ。私の目的にアンタは邪魔だけども、アンタを正々堂々打ち負かしてこそ私の悲願に華が咲くのよ!」
シロナ(あら。変わったのね、この子。前よりも随分とまっすぐとしている。いいえ、今のこの子だったら真摯にポケモンを扱ってあげられるわ。まぁ……叶ったらの話ですけど)

敵に塩を送られる、ってこんな気分なんだな。だが確かにこんな妄想をぷかぷかと思い浮かべている場合じゃないわな。とにかく今のボクが立ち向かうべきはアスフィアの攻略、ギンノの野望とやらを打ち砕くことだ。そっちに集中をしろ!

戦況を把握すべくちらっと目配せすると、相も変わらずメグとビアンカは足止めされていてアークは寝たまんま、リーリエは端っこで必死に手帳に書き込んでいる。

カルマはさっきの攻撃でだいぶ傷を負わされており、試合のルールを無視して勝手にリジェネをしているもののそれでも全快には程遠い様子だろう。
ミズキといえば、自慢の月光わざが星座の化身とやらのアスフィアには通用せず、ダメージ返しもあのタフネス相手じゃ先にこっちが息切れしてしまうのが関の山といったところ。
残るグレアットもしょうみボクを乗せて飛ぶのが精いっぱいに違いない、彼女から神通力のエネルギーも聖炎のエネルギーも薄々とでしか感じ取れないほど消耗をしているのが体温越しに伝わってくるからだ。

マナもあのぶんじゃあれ以上の応援はしてくれないだろうし、噂のギィも来てもらえそうにない。それに今こうしてシント遺跡なんて寂れた土地で激闘を繰り広げている情報を知る人物など、せいぜいうゅみか道標くらいじゃないか。

やれやれ……八方塞がりだな。
こんなとき、こんなときに…………

グレアット「そういえばアリスちゃんっ」
アリス「どうした」
邪気の一切ないまさしく無邪気そのものの彼女の口から発せられた疑問符によって、ボクは乱脈を極めてしまった。

グレアット「ゆんちゃんは何処に行ったんですかっ?」


Part36へつづく!

























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うゅみ「理想を語るには、それに見合う力が必要よぉ」
「さぁて……天賦の才能とぉ、努力の結晶ぅ。どちらに道は示すかしらぁ?」