《Ride On The City》-硝子色の夕空- part31

-シント遺跡-
カルマ「どういうことじゃんよ?……ディアもキアも祭壇に居らん……まさか何者かが先回りをして」
???「そのまさかよ。勝手はそこまで、あたしが成敗します!」
遺跡の中央部に鎮座する巨大なオルガンピアノをバックにして、わたくし達の前に立ちふさがったのはシンオウ地方を代表するチャンピオンにして考古学者の一線級でもあるシロナさんの姿でした。彼女は麗しい長い金髪を靡かせて堂々たるオーラを醸し出していました、わたくしもいつかはあの様に気高くなれるでしょうか。
リーリエ「成敗だなんて物騒です!わたくしはただ……」
スズラン「ううん。無駄だよリーリエちゃん。シロナさんの目は本気……まぁ本気にさせた張本人が近くにいる証拠じゃないかな?」
スズランさんったらシロナさんからの束縛からちゃっかり抜け出しておいた癖にあっけらかんとしています。ですが今はそのような些末なことを気にしてる場合じゃないですね。きっとカルマちゃんの推測は事実だったのでしょう。
そしてその推測はわたくし達にとって、いいえアリスちゃん達にとってもおおよそ最悪のケースで当たってしまったに違いありません。緊張感からか思わず手に汗を握ってしまいました。
シロナ「あらあら。セレビィまで居るだなんて……ちょうどいいわ。道標の障害をまとめてデリートしてしまいましょう!」
カルマ「このぼくをついで扱いだ~?邪神の瘴気にでも憑りつかれてあたおかになったじゃんね」
カルマちゃんはシロナさんの発言を挑発と捉えたのか、普段と違って闘気に満ち溢れています。見ればスズランさんもパティもみんな敵対心をシロナさんへとぶつけている様子で……わたくしもいわゆる覚悟という気持ちを決めるべきですね!
がんばります!
スズラン「それにしてもシロナさんってばあんなに焦ったりするんですね?そのおかげでこうやって太陽の下に出れたんだけども……もしかして七英雄になにかあったり?
たとえば~~~……」
彼女が煽り立てるような素振りでご自慢の洞察をお披露目しようとしたその瞬間です。
グワァラゴワガキーン!
おおよそオノマトペでは言い表せられない豪快な破壊音が背後から響き渡ったではありませんか!?
ーあしもとにでんきがかけめぐる!ー
場がエレキフィールドに変化した
6号「ちょちょちょっと!?仮にもシント遺跡はジョウトの文化遺産なんですよ!」
ビアンカ「ビアンカは何も見てない聞いてない。もうツッコみたくない」
凄まじい砂埃に隠れて何も見えませんがとても聴き馴染みのあるお二人の声が耳に入ってきてわたくしは驚嘆よりも先に安心感を先に覚えちゃいました。ひょっとしたらアリスちゃん達のおかげで一人前のトレーナーになれてるのかもしれません!
カルマ「あーあー……ぼくの嫌いな要素詰め合わせセットが来たじゃんよ」
そうカルマちゃんがため息まじりに呟いてらっしゃるということはお知り合いだったのですね。さすがわたくしの想像を遥かに超えるスケールです!
なんだかもう負ける気がしません、役者さんが次々と揃ってまいります。
ですがシロナさんは決して屈しないばかりか髪留めを直しながら笑みをこぼす余裕まで残っていました。
シロナ「何人増えたっておんなじ。私がいるかぎりここから先には行かせません」
カルマ「ほざけ。ぼくにも使命があるじゃんね」
6号「なんだか巻き込まれてるうちに規模が大きくなってる気もしますけど……ロックさんと一緒に試練を乗り越えた私に不覚は在りません!」
ビアンカ「ビアンカだってお兄ちゃんと一緒に輝いてるよ!お兄ちゃんがギンノちゃんと帰ってきた時があなたの終止符ってわけ!」
スズラン「エリカさんから情報いただいてるよ。もう残る七英雄はギラティナだけ。追い詰められてるのはそっちよ!」
モンスメグ(ここにも居ない……のね。アリスちゃんとグレアたん、いつ帰ってきてもいいようにメグたちが片付けておくから)
リーリエ「メグ、さん?」
あれだけ派手なご登場をなさったのにも関わらず、みなさんが意気揚々となさってる中でずっと黙り込んでなにか難しい顔をしているメグさんを気にかけて、ついお名前を呼んでしまいました。
メグさんはわたくしをまだまだ未熟なトレーナーと認知しているからかわたくしの呼応に相槌を打つことはありません。
モンスメグ(っていうより……なんかすっごく大切な誰かを忘れてる気がしてならないのよね。メグの記憶から不自然に抜け落ちてるこの感覚。イライラするなぁ……あ~早いとこアリスちゃん見つけ出したら道標でもなんでも引きずり出してやって収まりつけなきゃ)
何を考えてらっしゃるかは分かりませんが今はみんなで団結してシロナさんに立ち向かうべきだと思い、わたくしはここのリーダーとしてまとめるべく深く息を吸い込んでメグさんに呼びかけます。
リーリエ「メグちゃん!」
モンスメグ「メグのトレーナーはアリスちゃん一筋☆メグがやりたいようにするだけなのさ!」
モンスメグの エレキテル☆エレクトリック!
リーリエ「きゃっ!!」
シロナ「ガブ」
チャンピオンのシロナは ガブリアスをくりだした!
ガブリアスに こうかはないようだ……
6号「なにはともあれあなたもポケモンを出しましたね、いざ勝負です!」
アークは つるぎのまいをつかった!
アークの こうげきりょくがぐーんとあがった!
ビアンカ「みんなを援護するからね!」
ビアンカは スカイラインをつかった!
仲間全員の かいひりつとすばやさがぐーんとあがった!
カルマ「久しぶりの実戦じゃんよ」
カルマは タイムサークルをした!
カルマはときのまもりによってわざのダメージとこうかをうけない!
スズラン「パティ!先手必勝よ!」
パティエ「こん!」
パティの6本のしっぽからそれぞれ、水・悪・竜・大地・闘気・エスパーのエネルギーを有した波動弾がランチャーのように射出されていく!
リーリエ「わたくしだって戦えます!どんな試練にも立ち向かえます!ですから気合いを入れます!全力の姿です!!」
わたくしはラブラブボールを取り出してかつては苦手で触れることすらままならなかったポケモンを繰り出します。克服を乗り越えてもう今は立派なポケモントレーナーなのだと誇示するように大きく振りかぶって!
リーリエは ピッピをくりだした!

シロナ「まとめて相手してあげる。ガブ、クリムゾンエッジ」
シロナさんが腕に取りつけている煌びやかな鉱石を振りかざすと、ガブリアスの周囲に虹色の二重構造で造られたマークが出現し、急激にエネルギーが加速されていきます。これがカロス地方とホウエン地方に伝わりし遺伝子の限界を突破した成長、メガシンカなのですね!
そう感嘆しているのも束の間、ガブリアスが解き放ったドラゴンのソウルリンクは離れた場所に立つわたくしにも熱気が伝わるくらいの高温を帯びた隕石となってメグさん達へと降り注いでいきます!
あぁ、逃げて!
本能でそう言葉が発せられるよりも前にみなさん次々と華麗に避けていき、さながらパフォーマンスを見ているような気分に錯覚してしまいました。
ぽかんとしてしまっているのがバレてしまったのか隣でパティエちゃんに指示を出すスズランさんが解説をしてくれます。
スズラン「ビアンカのスカイラインのおかげで伝達信号が高速化されて目で見るよりも前に肌で感じ取って避けられたって感じだね。カルマちゃんはタイムサークルで自分の身体を別時間軸にトラベルさせてるからそもそも避ける必要もないってとこ」
リーリエ「なるほど!おすごいです!」
わたくしはペンを取ってしっかりと手帳にメモを取ります。
スズラン「こんな高次元の勝負なんて普通はすることないから覚える必要ないよ?
パティ!たいあたり!」
なにやらわたくしがメモメモしている間にどんどん勝負は進行していました。ピッピは展開についていけないのかせっかくの晴れ舞台だというのに端っこでちょこんと座りこんでしまっていて完全に蚊帳の外な始末です。
ですがわたくしも正直ついていくことすら出来なくて頭がグルグルと混乱してしまいそうです……もうわたくしに出来ることといえば応援をするくらいしか……
いいえ!こんなところで負けていてはアリスちゃんにもメグさんにも笑われてしまいます!シャキッとするのですリーリエ!何もしなかった者は成長しないのですから!
ーーーーーーーーーーーー
カントー地方某所
ナツメ「世の中に偶然なんてない、あるのは必然だけ……」
エリカ「えぇ。ナッちゃんがアリスを大団円へとテレポーテーションさせてしまったのもおそらく道標の思し召し。あの時座標先を狂わしてしまったのですわ」
ひとまず七英雄のキュレムとルギアとの和解を済ませたわたくしはここまでの一連とこれからの動きを評定すべくナッちゃんとお茶会をすることになさいましたわ。
わたくしの思う事を纏めますとナッちゃんに手渡した次の文書にあります。
・アリスを冒険に駆り立てたのはスズラン。128なるポケモンのデータをきっかけに大団円ではジョウトの三聖獣伝説の収集もしており、かつてはオーレ地方を救いカルマとも出会っていた。
なぜあの子がアリスに近づいたのでしょう?
・どうして大団円に行く必要があったのか?聞けばリーリエという少女が抱えていたミコンと呼ばれるポケモンの出自元のため。その先でホウオウと邂逅するも結果的にはアリス自身は特に何も得てはいません。
・現在進行形で七英雄と称されるこの星を創造したポケモン達を巡る冒険に出ている。
誘いを持ちだしたのはシンオウ地方の有権者シロナ。この世界と大団円世界のエネルギーの均衡が崩れ出したのでそれを止めるのが目的のはず。しかしながらアリスである必要性とそこにシロナが関与する理由、スズランの動く余地に今一つ整合性が見当たりません。
・これらを動かしているすべての原因と大元は道標と呼称されしある存在。
いったい道標は何のためにこの道筋を作っているのでしょうか、神のみぞ知る。
エリカ「わたくしも可能な限りは手を尽くしました。でも謎が多すぎますの」
ナツメ「そうね……道標のシナリオになにかアクシデントでもあったとか?」
エリカ「アクシデント……」
さすがは頭脳明晰な超能力者。そんな発想に思いも至りませんでしたわ。わたくしの中では道標は常に完璧であると勝手に結論付けていましたもの。
マナ「ならばそろそろ私の出番か?」
エリカ「マナ!」

紫を基調とした白衣に身を包み、いっけんナースに見えるであろう彼女の正体はカントー地方のみならずあらゆる伝説のポケモンの中であっても最強と評されるミュウツーそのものなのです。
現在はナッちゃんとともに女優業をなさったり彼女の特訓をしてあげたりと意外ながら下界に親しんでおりますわ。さすがはあのうゅみと唯一血を分けた親子ですわね。
ナツメ「その時は近いかもしれないわ」
エリカ「もうその決断が下されようとしておりますのね」
タマムシシティだけではなくカントーのジムリーダー全体の代表を務めさせていただいているわたくしであっても戦慄してしまって冷や汗を隠そうとするのも無理はありませんわ。マナことミュウツーはそのあまりにも強大すぎるパワーを持つあまり一度はハナダの山奥に封印されてしまったほどの、いわば禁忌というに相応しいポケモン界隈のカタストロフィ。いかに相手が七英雄であろうと彼女がその気になってしまえば大陸はおろか星そのものを破壊しつくしてしまえますわ。勿論そこまでの事態には陥らないように道標だけでなく彼女の肉親であるうゅみが調律してくださるでしょうが、要はマナを出撃させるというのはそういうことなのですわ。
わたくしのそんな一抹の不安を自慢の超能力で読み取ったのかはたまたメタグロスにも匹敵する知能指数から察したのかマナはわたくしに綴りました。えぇ、それも心配を投げてくれるわけではなくよりによって最悪の形で。
マナ「案ずるな。私とて奴等を手に掛けたくはない。だが……私の予知によればいまアリスとファイヤー、それとクレセリアがどの世界にも無い異次元空間に迷い込んでいる」
エリカ「なんですって!」
ナツメ「どうしてそのことを早く言わないのよ!」
その事実にわたくしは気が動転してしまい一瞬頭の中が真っ白になってしまいました。
わたくしのたったひとりの妹であるアリスの命が危ういではないですか!
思わず立ち上がってモンスターボールに手を配ってしまいます。
マナ「焦るな。貴様らではどうしようもできん。どれ、人助けをしてやろうではないか。ここで待っていろ、必ず貴様らの元にあの幼女を帰してやる」
冷酷な性分であるあのマナがあの子のために一肌脱いでくれるなどという発言にも目が眩みそうでしたが、マナがこう仰るのでしたらもう信じるほかありませんわね。
わたくしは深呼吸を繰り返して思考回路を落ち着かせるとカバンからある代物を取り出してマナへと渡します。
エリカ「分かりましたわ。でしたらこちらを」
マナ「……なんだこれは?」
エリカ「わたくしお手製のアイリスで作った髪飾りですわ。乱暴な貴女が到底この可憐な花を無事にするとは思えませんから、これをアリスの綺麗な綺麗なお髪に付けてあげてわたくしの元へ帰ってきてもらえますか」
いってしまえば信頼の交渉。アリスが帰ってきたとしてもこの髪飾りが無かったり破れていればそれだけの衝突があったということになりますし、よしんば髪飾りが無事であってもアリスに付けてもらえてなければアリスに何かあったということ。
見守ることしか出来ないわたくしがあの子にしてあげられるおもてなしですの。
マナ「ふん……約束はせん」
そう言い捨てるとマナは不思議なホールをつくってどこかへ消えていってしまいました。ですが見逃しませんでしたわ、あの表情は照れ隠しなんだということに。
お可愛い一面もありますのね。
ナツメ「大丈夫かしら……?」
エリカ「ぜったい、大丈夫ですわ」
季節は季語でもある椿やアルストロメリアが咲く肌寒い冬。
桜が咲き始める時期になったらお花見を楽しみましょうね、アリス。
ーーーーーーーーーーーー
シロナ「あたしのガブを再起不能にさせるなんて中々やるじゃない」
あーくん、かるるん、カノンたん、ぱてぃー、そしてメグの5人がかりの激闘の末ようやくシロナの手持ちのガブを筆頭に、おんみょん、トリトドン、トゲキッス、ロズレイド、ルカリオ、ミロカロスをやっつけられた。
でももうコイキングも釣れないくらいボロボロになっちゃって満身創痍そのものまで追いつめられる結果になっちゃったからこれじゃ楽勝☆だなんて叫べないね。
アリスちゃんが司令官だったらもっともっとスマーティだったんだろうけど、リーちゃんじゃダメダメダメでダメな人ね。甘っちょろさの意味がアリスちゃんと違うんだもの。
メグは息を切らしながらもせめてずっかわでいるためにメイクのお手入れをしながら(なんかツッコミが聞こえてきたけど知らない)シロナの動向を窺っていると
シロナ「うふふ。お手並みは拝見させてもらいました。本番に入りましょうか!」
リーリエ「えぇ!?」
カルマ「おいおいさっきまでは本番前夜だったじゃんか?」
彼女の意気込みにこっちの陣営は食い下がっちゃったみたい。メグと、あーくんを除いて。あーくんやっぱりすきめろでぃ♡あ~メロい……☆
あ、なんかスズランって子も想像通りみたいな顔して張り切ってるけど。
シロナ「ショーマスト!ゴーオン!」

シロナは普段の手持ちパーティらしきポケモン達を入れているゴージャスボールじゃなくて、マスターボールを2個片手で器用に取り出して同時に天へとシュートした。
チャンピオンのシロナは
ディアルガをくりだした! パルキアをくりだした!


モンスメグ「きらきらダイアモンド☆鉄壁のパール★」
あの2匹が噂の金剛珠と白珠のソウル!
さっきまでとは格の違うポケモンの登場にわくわくするメグの想いとは裏腹に周りからは絶望の雰囲気が漂っていた。あーくんももうむりぽって顔してる、可愛い。
かるるんは見なかったフリしてるっぽいしカノンたんはいのちのしずくを抱きしめてお兄ちゃん……って囁いてたりリーちゃんはあたふたしちゃってる。
でもそんな状況でもめげない女がここにいるさ!
スズラン「きっとそう来ると思って準備運動してたんだから。ね、パティ」
パティエ「こーんっ!」
シロナ「あら?戦う気力が残っているのはどうやらライコウとデルタロコンだけみたいね。だったら2VS2のダブルバトルと洒落込みましょう!」
メグとぱてぃーが並んでディアルガとパルキアと対峙する。
ここが決戦のバトルフィールド!
モンスメグ「あーくん。この戦いが終わったら結婚するんだ……☆」
6号「ストリーマーの結婚はエクスプロージョンよりも炎上しますよ」
カルマ「ったく……休憩したらそろそろぼくも混ぜろよ」
リーリエ「え!?カルマちゃん重婚ですか!?」
スズラン「おおーっとまさかの3人同時結婚!」
ビアンカ「もうツッコまない……ツッコまないって決めたの……」
シロナ「神話を守るためにこの身を焦がす!それがあたしの正義!誰にも邪魔はさせません!」