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《Ride On The City》救星の明るい夜 Part12

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王族封印編Ⅱ

翌朝・りゅうせいのたき
6号がアイスとスチルに爆裂魔法を見せてあげたいというわがままと、彼女ら2人もカンを取り戻したいという望みのもと人気の少ない場所であるりゅうせいのたき付近まで来ていた。
メグは広々としたフィールドを駆け回り、ゆんはチルット達と遊んでいる。
ボクは3人の様子をグレアットと一緒に朝食をとりつつ眺めていた。なかばピクニックのようなものだ、気分転換にもちょうど適している。

6号「紅き黒炎、万界の王。天地の法を敷衍すれど、我は万象昇温の理。崩壊破壊の別名なり。永劫の鉄槌は我がもとに下れ!」
スチル「詠唱長ったらしいのよ!」
スチルの チャージビーム!
アイス「……隙あり……」
アイスの れいとうビーム
6号「ぎゃああっ!待って、待ってくださいってばあ!」

アリス「平和やなぁ」
グレアット「ですねっ」
キャッキャ騒ぐ彼女らをバラエティ感覚でのほほんと楽しむ。
ふと右を見れば、はしゃぐメグと、チルットスバメの羽づくろいをするゆん。
左には、微笑むグレアットの横顔。
うゅみのことが無ければ、これ以上ない理想郷に近かった。
悪態をつくカルマが後ろから小突いてくる想像まで出来るくらいだぜ。
そうのんきに構えていたのもつかの間、途端に空が黒く渦を巻きだした。
アリス「敵襲か!?」
滝が広がる絶壁を見上げると、そこには見覚えのない白き女性が立っていた。

???「哀れなり……」

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グレアット「末恐ろしいエネルギーを感じますっ!」
メグは帯電しながら、ゆんは鳥を避難させるとそれぞれ近くまで急いで駆けつけてきた。
モンスメグ「つよそー!それにエラそー☆」
ゆん「怒っているのでしょうか」
レジガール3人を見ると、3人とも見上げたまますくんでしまっていた。
見てはいけないものを見てしまったかのような絶望の表情。
アリス「伝説のポケモンか?」
その女性は、数十メートルの落差はあるであろう地表まで飛び降りてくる。
着地とともに、凄まじい地響きがボクたちを襲った。

???「こやつらの封印を解き放ったのは貴様か?」
ボクを見て……いや、見てすらいなかった。目の向きこそこっちを向いてこそいるがその瞳は完全に下等生物を見下すような視線だったからだ。
プレッシャーに圧し潰れされそうだったが、グレアットの手を握ってどうにか呼吸を整える。この感覚はたんじょうのしまで対峙したときと酷似していた。
アリス「誰だ?」
そう尋ねた瞬間に、重い拳を草原に振り下ろして飛び散った岩がこちらへと飛んできた!瞬時にグレアットがボクを抱いて空中へと逃げて回避に成功する。
あの技は、アームハンマー……平気で人間相手に技を繰り出してくるということはこちらの問いかけに応じるつもりなど毛頭ないことの現れだった。

???「質問をしているのはこちらだ。それとも抗う気か?」
グレアット「アリスさん、話し合いが通じる方ではありませんっ」
アリス「みたいだな……」
手足を伸ばして、グレアットの背中へとよじのぼると、皆の声がギリギリ聞こえるように一定の距離を取りながら低空飛行を続ける。
封印と言っていたが、これがまさか災いってやつか?

スチル「ママ、どうしてこっちまで来たのよ!」
ママ?……レジ一族の産みの親なのか?
???「なぜヒトと争わないのかが気になってな」
争わせようと画策している……?
アイス「……そんなことに……意味なんてないから……」
その返答が気に入らなかったのか、大地に波動を起こしてフィールド全体を揺るがすママと呼ばれしポケモン
ゆんは上空へ飛び、メグは脚力を活かして回避をした。
6号「私たちはヒトと共存することを選んだのですよ、ママ!」
???「共存、だと。夢から覚めろ」
あの破壊衝動はマナとどことなく似ているが、マナと違ってただ闇雲に壊しているようではないように見える。明確な目的のもと人間を憎んでいるようだ。
ポケナビに連絡が入った、相手はセンリさんのようだ。

センリ『アリスちゃんかい?緊急事態だ、キッサキ神殿に祀られていた平和碑からレジギガスというポケモンが目覚めてしまった』
レジギガス、というのか。それにキッサキといえば昨晩ニュースで取り上げられていた場所じゃないか、確か災害が起こったとか。
アリス「おそらくボクの目の前にいる奴がそいつです」
センリ『なんだって!ひょっとしてレジロック、アイス、スチルの3匹が集結していないかい』
アリス「ボクが解放させました」
センリ『……やはりキミの仕業だったか、いやそれはいい。レジギガスは大陸を引っ張って動かせると伝えられていてね。同時に全てのタイプのプレートを体内に備えているんだ』
アリス「なるほど、それでどうしてレジ一族と関係が?」
センリ『元々レジ一族は、レジギガスが自身の細胞から生み出したレプリカなんだ』
グレアット「なんですってっ!?」
そういうことか、だからママと呼ばれてるわけだ。
そんな強靭さを持ったポケモンのDNAを持っているから戦争の兵器として使われるほどの破壊力があるのか。
アリス「引き寄せられてきたんですね」
センリ『ああ、自身の創り出した王族が集うときその存在を感じ取って現れる。そして非常に闘争を好む性格をしていてね、一説には古代の戦争はレジギガスが引き起こしたともいわれている』
グレアット「そんなっ……!」

どうして封じられていたのか、納得がいった。
同じ過ちを繰り返さないように人間たちは戦争の終結を望んでいたのだ。
ボクは、それを知らず知らずのうちに、6号のためだけに戦争を開幕させる種火となってしまっていた。
アリス「くそっ」
センリ『アリスちゃん、キミが成すべきことはわかるね?』
ふと地上に意識を向けると、光線や爆音の飛び交う熾烈を極めた景色が広がっていた。
これらは起こす必要のなかった悲劇。
たまたま人里から離れているものの、もしもここが町中だったらと思うとゾッとする。
アリス「センリさん、すみません。ボクはこのやり方しか知りません」
ポケナビを切ると、ボクはリュックの奥底に潜ませていた大量のマスターボールをスタンバイした。
グレアット「アリスさんっ」
アリス「忘れるな。ボクは…………ロケット団最高幹部管理下のトレーナーだ」
グレアットの裾を引っ張ると、レジ一族たちの集う戦場へと近づいていく。
一瞬でも隙を作らせて、保護してやる!

ギガス「混沌の人間よ、我の問いに答える気になったか?」
アリス「知らねえな!ボクはボクのやりたいようにやるだけよ!」
マスターボールを つかった!
しかし、レジギガスはそれを指先一つで破壊した。
6号「ありすさん、ムチャです!」
この行動は、レジギガスを怒らせるのに充分すぎるほどの愚行だった。
ギガス「くだらん」
レジギガスの アームハンマー
ボクは巧みにグレアットへ操術を送って、それをかわす。
スチル「ちょっとあんた!アタシらの戦いに茶々いれないでくれる!」
アリス「その戦いの引き金を切ったのはボクだ」
スチル「!」
高台へと飛び立つと、ボクは今一度レジギガスに説得を試みる。
アリス「なあレジギガス。お前の望みは娘たちに戦争をさせることなんだろ?ボクがそれを許しはしねえ!」
6号「ありすさん!」
グレアット「アリスさんっ……!」
ギガス「愚かな。我は平和に溺れた馬鹿なこやつらを正してやるだけに過ぎん。人間の管理に置かれるなど、愚の骨頂!」
再び臨戦態勢をとって、応じる気のないレジギガス
アリス「そうかよ、だったら娘たちの顔を見てみろ」
ギガス「なんだと?」
地上に立つ3人へと振り向くレジギガス
アイス「……あんな酷いこと……したくない……」
スチル「まっぴらごめんよ、だって人間たちはこんなにキラキラしてるもの!」
6号「もうあなたの思い通りにはさせません」
戦争を望む母と、それを望まない娘たち。どちらが正しいかなど明白だろう。

アリス「母親っつーのは、子供たちを支えてやることが仕事だろ!」
ギガス「ぬかせ!」
レジギガスの様子が一変した。
身体の一部がプレート状に光り出し、何かを取り込むような体制に入る。
その刹那、レジスチルの身体が突如としてぐにゃりと溶け出した!
スチル「えっ、な……なによこれ……!」
鉤爪を模した両手が変形してしまい、スライムのように変貌してしまった。
そういえばセンリさんは自身の細胞から創り出したと言っていた。まさか、自由に自分の意志で戻すこともできるのか!?
ギガス「哀れな子よ、我のもとへ還るがよい」
スチル「イヤ!イヤよぉっ!」
レジギガスに、鈍く光る銀色のプレートがかたどられていく。
同時にレジスチルの身体が粘土のように溶けていく。

モンスメグ「レール☆ガン!」
それを止めようと、巨大な電磁砲を撃ち込むメグ。
しかし発光した金色のプレートがその攻撃を吸い込んでしまった。
すべてのタイプを含んでいる、というのはこういうことか!
ゆん「疾ッ!」
立て続けに、ふぶきを舞わせてレジギガスを凍結させるゆん。
こおりタイプのプレートが防ぐかと思いきや直撃し、レジギガスは動きを止めた。
アリス「……そうか!」
レジアイスを創り出すために、体内の氷のプレートを消費しているのだ。
だとすれば、今のあいつには氷と岩と、微力ながら鋼の攻撃も通じるはず!
アリス「メグ!蹴落とせ!」
モンスメグ「おけまるー☆」
その脚力を生かして、岩壁に張り付いた無数の岩を落としていくことで疑似ストーンエッジをつくりだしてレジギガスへと命中させる。
予想通り効いている、これなら足止めができるぞ!
ギガス「小賢しい!」
レジギガスは、降りかかった岩や雪をにぎりつぶすとそのエネルギーを放出させてメグとゆんに振りかざした。

メグ「わわっ★」ゆん「きゃあ!」
6号「メグさん、ゆんさん!」
ギガス「心配などしている場合か、道楽娘よ」
レジギガスの アームハンマー
こうかは ばつぐんだ!
6号「うわああああっ!」
アイス「……ロック……!」

なんてパワーだ、伝説級のポケモンたちを前に微塵も動じず圧倒するレジギガス
そこに一切の油断はなく、捕獲を試みる猶予すら与えられない。
ギガス「遊びは終わりだ」
レジギガスの身体の一部が再びプレート状に光りだした。くそ、このままじゃ全員無に還されちまう!
アイス「…………っ」
レジアイスが段々と蒸発していき、ドライアイスのように煙を立てて溶けていく。どうにか止めてやりたいが、もう対抗する気力が残されていない。
グレアット「ごめんなさいっ!」
グレアットがボクを降ろすと、聖なる炎で冷気のプレートを溶かして取り込みを中断させた。
ギガス「煩わしい」
レジギガスの いわなだれ
こうかは ばつぐんだ!
グレアット「きゃあああぁっ!!」
大きな岩がいくつも直撃し、その場に倒れてしまったグレアット。
目に焼き付いたその光景は、ボクから冷静さを失わせた。
アリス「こっんのー!」

気がつくと絶壁から飛び降りていた。着地できても全身骨折は免れない高さだ、命の保証はない。それでもボクはレジギガスに一泡吹かせてやりたいという感情が先行していたのだ。
ゆん「おばかさん!」
翼をよろめかせながらも、羽ばたかせて落ちていくボクを背中で受け止めて滑空するゆん。
アリス「ゆん、実力行使だ!」
ゆん「貴女という方は本当に……!」
ゆんが全力のエネルギーを溜めると周りに台風のように激しい風が包みこんでいく。
ボクは、振り落とされないように頭を低くしてしっかりと彼女の身体に掴まる。

ゆん「斬、砕、滅ッ!」
ゆんの はかいこうせん

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ギガス「ぐああああっ!」
はかいこうせんが、辺り一帯を焼き尽くした。
レジギガスもひとたまりもなく、ついにはじめて彼女のバランスを崩すことに成功した。
アリス「マスターァァァボォォォルッッッ!!!」
勢いよく投げたマスターボールレジギガスの中心へと当たるか否かの瞬間に、レジギガスは力を振り絞ってそれを弾き飛ばした。
ギガス「させんわ!」
ゆんは翼の均衡が崩れ、不時着してしまった。ボクは彼女を撫でて降りるとレジギガスの目の前へと立って対峙する。
6号「ありすさん!」
6号もそばへと駆けつけてくる、今この場に立っているのは3人だけだった。

ギガス「傲慢な人間よ、貴様は何を望む?」
激戦の末、本気でぶつかりあったことでその力を少しは認めてくれたのか問いかけを投げてきた。見下すような視線は相変わらずだが。
アリス「ボクはただ、こいつの願いを叶えてやるために2人を起こしただけだよ」
6号の肩をぽんと叩いて、背の高いレジギガスを見上げる。
アリス「姉妹みたいなものだろ、会いたいって思う気持ちを汲み取ったんだ」
6号「……ありすさん」
ギガス「こやつらは、我の化身に過ぎん。価値のない命なのだ」
6号「っ!」
言うなれば、レプリカ。レジギガスの一部とでもいうべきか、極端な話レジギガスの指のようなものだ。確かに切り離した指に対してわざわざ識別なんてしない、レジギガスの指。ただそれだけだ。
先ほどのアイスとスチルを見てわかる通り、結局はレジギガスの意思ひとつで無に還されてしまうような儚い生き物なのだろう。完全に戻されてはいないものの今の2人は虫の息だ、誰もこの姿をみてポケモン……生物とすら思わないかもしれない。
ギガス「こやつらに、魂などあらず。所詮は吹き込まれた燭台よ」

6号に目をやると、顔面蒼白になっていた。
染めた髪だけでなく、唇まで青くなり触れれば壊れそうなほど脆くなって……。
レジロックの図鑑説明を書いたやつに、こいつの岩は頑丈でも心は柔らかいんだって言ってやりたいくらいだ。
6号「私は……私は……」
アリス「レジギガス、お前には愛情がないのか」
ギガス「愛、だと?愛しているとも、この大陸をな」
両手を広げて雄弁に返してくる。
ギガス「しかし美しき大陸を汚している人間どもは邪魔だ」
なるほど、詭弁だ。
アリス「ヒトが消えりゃポケモンのためになるっていうなら、ボクは抗うぜ」
ヒトはヒトだけ、ポケモンポケモンだけでも社会を築いていけるが、
ヒトとポケモンが共存して競合しあった社会こそ美しい大陸ってもんだ。

ギガス「水掛け論ならば海の底でやっていろ」
レジギガスは、最後のプレートを光らせた。
アリス「6号!」
ボクは急いで隣の6号に振り向いた、しかし
ギガス「なぜだ?……なぜリユニオンしない」
何も起こってはいなかった、一切身体は崩れていなかったのだ。
その事実に気付いたことで、6号は自信満々に顔を上げた。


6号「私は、レジロックではありませんから」


アリス・ギガス「なに!?」


~~~♪~~~

チャーミングな翼を引き下げて登場
無敵で素敵な衝撃 刺激的な少女
誰もが自然と回りだす神様だって踊りだす
揺れる会場燃える会場ほら案の定
Peace Enjoy!

僕ら時々日々の隙間に彷徨うことだってあるだろう
そんなときパッと目の前そっと照らしてくれるある光
つまらないネタばっかり寄付してちゃつまらない
そんなにハマって抜け出せなかった昨日までの僕ら

爪なんてなくてもいいのさ
空なんか飛べなくていいのさ
僕らこのパーティがあればそう何にでもなれるのさ!

Come On!

Magic 君の紡ぐ魔法は
Burning 僕を熱くする
Playing それはちっぽけなんだ
だけども世界に花を咲かすさ

Ride On 闇を駆け抜けてく
Supreme 愛と空すべて
受け取るすべてがまるでメッセージ
照らしていてよ最後まで

握った手のひらから伝わるのさ君が好き

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