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《Ride On The City》救星の明るい夜 Part11

f:id:Alice_Wreath:20210909040428p:plain王族封印編Ⅰ

アクア団アジト

イズミ「ホエルオーにジーランスだって?それも当時の?」

マメパトがみずでっぽうを食らったような顔で目を丸くするイズミ。
その傍らで、アオギリが厳しい視線でこちらを据える。

アオギリ「できねえこたあねぇ。嬢ちゃんがそいつを望むってんなら手を貸そう」
グレアット「ありがとうございますっ」
アオギリ「だがな、どうしてそいつらが封印されてるのか考えねえか?」
モンスメグ「ろっくんはベリキューだけどー、ヒトにとってはガクブル~だったからでしょー?」
イズミ「それもあるけどね、だったら兵器としての運用を止めりゃいいだけの話さ。3匹からの報復を恐れたにしちゃ、ちとおかしくないかい?」

ふむ。闇雲に封印を施したほうが、解放された時により深い憎悪となって戦火を交えることになるだろう。それに気になるのが《とびらをあけよ》の一文だ。
勇気はまだしも、希望に満ちた人間にわざわざ厳重に封じたレジ一族を解き放とうと示唆している。
……待てよ、だったら6号はどうやって封印解除されてここにいる?
財団はどういう方法を用いてレジロックを入手したんだ?

アリス「6号。お前、誰に連れられて幽閉先から出てきた」
6号の肩を持って問い質した。
非常に重要なキーパーソンとなるからだ。
彼女はバツが悪そうな顔で、呟いた。
6号「私を外に出してくれたのは、エリカ様でもロケット団でもありません」
覚悟を決めたのか深呼吸のあと、焔の目を合わせて言った。

6号「マツブサというスカウターを付けた赤髪の男です」

アリス・グレアット・アオギリ・イズミ「!!!」

はじめから聞いておくべきだったのだ。
と過去の自分に伝えてやりたかったが、おそらく過去の自分だと興味がゼロだろうから意味もゼロだったろう。
だいじな物事を知るときは、然るべきときに知る運命にあるのだ。

イズミ「するってぇとなんだい、マグマ団が一枚噛んでるってことじゃないか」
グレアット「あの……思ったんですけれど、扉を開錠させようとしている一文は後から書かれたものなんじゃないでしょうかっ?」
アリス「それなら納得がつく部分もあるな。封印されている理由を知っている奴らが誰かの手で封印を解いてもらうために書いたのかも」
ゆん「どなたがなんのために仕組んだのかを知らなければなりませんね」
アオギリ「推理ごっこをしててもラチがあかねえ。ホエルオーとジーランスの化石を持ってこいイズミ」
イズミ「かしこまりました」
足早にルームから出ると団員たちに指示を送るイズミ。
とにかく行動あるのみだ、レジアイスレジスチルと会わせてやることが6号の為になる。
しかし6号の表情は不安に覆われたまま曇っていた。
そんな彼女を励ますポケモンたち。
アオギリ「嬢ちゃん、もしもあいいろのたまが何か反応を起こしたらすぐに言ってくれ」
アリス「わかりました」

~~~

イズミ「あいよ、アリス。約束の品だよ」
復元されたホエルオーとジーランスの入ったダイブボールを受け取る。

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当たり前のように普及されている少女の姿ではなく、見慣れたもとのポケモンの姿であった。当時を生きていた証拠である。
アリス「よし、お触れの石室まで行くぞ」
早速グレアットに乗って飛んでいく。
6号「……グレア、私も乗せてください」
グレアット「6号ちゃんっ……いいですよっ」
グレアットの上に、ボクと6号の2人乗り。
6号は、落ちないようにボクの腰に腕を回してぎゅっと捕まった。
きっと1人でいることが怖いのだろう。
彼女のトラウマを知らないボクは、ただ6号の不安を少しでも拭ってやることしかできなかった。

おふれのせきしつ

ウォルルから降りて、単身洞窟の前まで辿り着く。
ホエルオーとジーランスを正しい場所へならびかえすると、2匹を入れたボールが突如として光りだしたかと思えば耳鳴りがするほどの爆発音を立てて石室めがけて飛んでいった。
大爆発によって重たい扉は開いた。2匹が入っていたボールはもぬけのから。

伝承は真実のようだ。
やるせない気持ちになりながらも、自分の立てた仮説は正しかった。
中に入ると、無機質な石造りの部屋があるだけだった。
そこにはひとつの石板があった、ボクは臆せずそれを手に取る。
やはりというべきか点字で記されていたので、翻訳しながら解読していく。
アリス「105ばんすいどうにこじまのよこあな、111ばんどうろにさばくいせき、120ばんどうろにこだいづか……あとひとつは読めないな。ここに6号の同胞がいるのか?」
それぞれの封印を解くための手順も刻まれていた。

こじまのよこあなは、かべからはなれずひとまわりせよ。
さばくいせきは、みぎみぎしたしたそこでいわをくだけ。
こだいづかは、きぼうをもってまんなかでそらをめざせ。

ようやく有力な情報を知って真相に辿り着けた。
どうして封印されているかなんてどうでもいい、6号に会わせてあげよう。
あんな似合わねぇ曇り顔なんてあいつにさせたくないから。

~~~

ウォルルに乗って、浮上したボクは上空で待つグレアットと6号に手を振る。
グレアット「おかえりなさいませっ。何か分かりましたかっ?」
アリス「喜べ6号、105番水道と120番道路に友達がいるぜ」
6号「ほんとうですか!」
俯いた顔を上げる6号、彼女の表情は欲しがっていたおもちゃを買ってもらえると聞いた時の子供のように無邪気に輝いていた。
グレアット「よかったですねっ」
アリス「友達と会うのに理由なんていらねえだろ、飛ぶぜグレアット!」
上機嫌の彼女の翼はフルスロットルでジェットフライト。
まずはレジアイスが眠るとされる小島の横穴がある105番水道へ出航だ。

105ばんすいどう
グレアット「見てくださいっ、ハギおじいさんの船に乗らせていただいた時は普通の洞穴に入口がっ!」
アリス「よし、入るか」
6号「……アイス……!」

こじまのよこあな
中はまるで冷凍コンテナのようにひんやりとしていた。
ボクはメグに買ってもらった長袖の洋服へと着替える。
アリス「たぶん迷路を抜ける感じで一周するのか?」
壁に手をついて、ぐるりと歩いてみる。
壁も冷却されていて、手袋がなければ霜焼けしていたところだった。
ひとまわりして元いた場所へと帰ってくるが何も起こる気配はない。
アリス「あれ、違ったか」
グレアット「いえ、神々しい雰囲気を感じますっ」
そういう神様や霊力の類は分からないがグレアットが言うのなら間違いない。
6号はじっと中央を見つめていた。

すると、急に青白い光があたりを包み込んだ!
アリス「なんだなんだ!?」
思わず目を瞑ってしまう。音がなくなったあたりでおそるおそる
目を開けると、そこには一人の少女が立っていた。
???「…………ここは…………」

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6号「アイス!」
この子が、レジアイス
戦争によって兵器として駆り出されその後恐怖の対象となり封印された1匹。
少女の姿をしているのは、ホウエン地方特有の現象なのかはたまた彼女の意思によって恐怖感をなくすために変身したのかは定かではないが。
6号は、嬉しさのあまりレジアイスに抱擁しようと飛びつく。
しかしレジアイスはそれを跳ね除けると、まじまじと6号を見つめる。

アイス「…………ロック…………?」
6号「はいっ、今はわけあってメイクチェンジしてますけどレジロックですよ!」
さすが同じ一族だけあって、瞬時に6号のイメチェンを見破った。
レジアイスは表情をぴくりとも動かさず、クールな立ち振る舞いをしていた。
アイス「……その人たちは……」
ちらっとボクとグレアットの方に目をやるとすぐに6号に焦点を戻す。
6号「私のマスターです。こっちは親友のグレアですよ」
他者紹介されたから、とりあえず軽く会釈しておこう。
アイス「……そう……あたしは……レジアイス……アイスでいい……」
お、意外にも友好的な態度。
やっぱり人間が勝手に怖がっていただけで、本人たちにそのような気持ちはないのかもしれない。よくよく考えれば6号だって初対面からフランクだったのだ。
ボクは6号の隣に立つと、改めて挨拶をする。
アリス「ボクはアリス、こいつのトレーナーだ。会いたがってたみたいだから来ちまった、よろしくな」
アイス「……ロック……楽しそう……貴女は……愛の心……持ってる……」
グレアット「そうですよっ、愛情に溢れた素晴らしいマスターですっ」
ここぞとばかしに太鼓判を押すグレアット。
アイス「……あなたは……ファイヤー?……あまり近づかないで……炎……苦手……」
グレアット「はうあっ!ご、ごめんなさいっ……」
およよとボクの後ろへと引っ込むグレアット。
かわいそうに、撫でてやろう。

6号「アイス、よかったら私達と一緒に来ませんか?お土産話いっぱいあるんです」
いつになく明るい笑顔で、アイスの手を取る6号。
爆裂魔法を決めた時か、それ以上にいい笑顔をしている。
キサラギと仮に長年会わずに再会したらこんな気持ちになるか?いやならないな。
アイス「……ロックが……望むなら……ついていく……」
6号「やった!決まりですね♪」
アリス「外出たらびっくりするぞ、アイスが知ってる世界と違うぜ」
かくしてボクたちは、アイスを連れてホウエン地方を飛んで回った。
グレアットに乗るのは嫌がったので、ゆんに乗せてやって上空から見て回る。
アイスは表情筋が凍っているのか無表情のまま動かさなかったが、代わりに瞳がキラキラとダイアモンドダストのように光っていた。
平和になった世界を心から祝福しているのだろうか、時折合掌している様子も見れた。

ミナモデパート
モンスメグ「あすあすにはー、こっちのネックレスイケるよ☆」
6号「いいえ、アイスにはこっちのペンダントが」
アイス「……メグの選んだのが……いい……」
モンスメグ「でしょー♪」
6号「どうしてですかぁ!」

楽しそうにショッピングをしている3人を眺めながら、憩いの広場でおいしいみずを飲んでボクはウィングコンビに挟まれて会話をしていた。
ゆん「アイスさん、とてもいいお方ですね」
グレアット「私にはつめたいですけどねっ……」
アリス「こおりだし仕方ないだろ。意外とすんなり馴染んでくれてびっくりしてるよ、てっきりもっと反抗してくると思ったから」
うゅみとマナのことを思い浮かべながら。
ゆん「寂しかったんでしょう」
アリス「かもな」
ムリもない、何百年もひとり何もない場所で閉じ込められてたんだ。刺激を感じられることがうれしくて仕方ないのだろう、それに同じ苦しみを分かち合った6号がそばにいて一緒にこうして買い物だなんて夢にまで見たような光景のはずだ。
グレアット「もうひとりの方もこんな感じなのでしょうかっ」
アリス「だといいな」
ショッピングの会計をすませた3人を確認したら、ボクは次の目的地である120番道路へと向かうことを伝える。
アイス「……スチル……警戒心強い……ネコみたいな子だから……気を付けて……」
6号「そうですね、ことあるごとに金属音で威嚇しては私たちの周りからくっついて離れようとしませんでしたし」
アリス「マジか、ついてきてくれるかな」
6号「私ら2人一緒なら大丈夫ですよ、行きましょう!」

~~~
こだいづか
6号「ここも私やアイスが封印されたとこと似てますね」
アイス「……眠い……」
アリス「これが終わったらどっかで休むか。ええと、真ん中で空を飛べばいいのか?」
グレアット「任せてくださいっ!」
ジムだけではなくダンジョンでも飛ぶ女・グレアット。
彼女は古代塚の中央に立つと、赤き翼を広げてバサリと飛んでみせた。
そのお祈りと後光はいりませんよグレアさん。
突如として地震が起きてよろめくと、すかさず6号がボクの体を抱いて守ってくれる。
グレアット「きゃっ」
グレアットの頭上から少女が落ちてきた。

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スチル「いったいわねぇ……だれよあんた!」
彼女がレジスチルか、確かに猫のような鉤爪に耳が特徴的だ。ひょっとして色違いのニューラじゃないかと思ってしまった。
レジスチルはグレアットを払いのけると、距離をとってボクたちと対峙する。
グレアット「嫌われたっ……ガーン

6号「スチル、私ですよ!」
スチル「アタシ、ハクリューの知り合いなんていないっつーの!」
あ、気づいてないやつだこれ。ほーらだから新天地とか言わんこっちゃない。
アイス「……この子……ロック……ほら……」
アイスは6号の服をめくるとレジ一族の証である点字を見せる。
スチル「え?ロックあんた何やってんの?」
6号「イメチェンですよ、まあ分かってくれて何よりです」
だがスチルはまだ神経を尖らせていた、確実にボクを警戒している。
スチル「人間がアタシに何の用なのよ、また戦わせるつもり!?」
レジスチルは、この2人よりも戦争の経験を忌み嫌っているようだった。想像を絶するほどの惨劇を間近で見てきたのだろう、睨む眼差しがどこか揺れていた。

ボクは戦う気はないと思わせるために、リュックをおろすと両手でスカートを翻す。
アリス「ボクはアリス、レジロックのことを何か月も前から面倒みているトレーナーだよ」
そう聞いた6号は、ボクの隣に立って微笑みをレジスチルへ交わす。
スチル「ほんとかしら?そうやって騙してきた人間を見てきたわ、どうせ最後には殺し合いの武器にするつもりでしょ!」
くっ、本当に猜疑心が強いな。でも初対面でいきなり信じろというのも難しい話だ。6号とアイスのことを引き合いに出したところで利用されてると反論してくるのがオチに決まってる、こうなったら奥の手を出すしかない。
アリス「わかった、ボクがちょっとでも怪しいと思ったら容赦なく攻撃してきていい」
スチル「ふーん、そうやってソーナンスみたいに反撃してくるんでしょ!」
アリス「いいや、無抵抗さ」
ボクは、おもむろに着ている洋服を順々に脱いでいく。
グレアット「ちょ、アリスさんっ……//」
1%でも信じてもらうには強硬手段に出ないとならない。
ブーツ、マフラー、コート、エプロン、黒タイツ、プリーツスカートと身ぐるみを自分から剥いでいく。
キャミソールとドロワーズだけの無防備な格好になったボクは改めてレジスチルへと
アリス「ほら、なんにもないぜ?」
スチル「いいわ!これでも食らって死になさい!」
レジスチルの ラスターカノン!
身体の光を一点に集めて、鋼鉄を帯びたビームをボクめがけて放つ。ボクは一歩も動くことなくその攻撃の軌道を見つめる。

6号「バカ!」
アイス「……させない……」
6号とアイスが身を挺して、そのラスターカノンをかばい受けた。
はがねタイプのこの技は二人にとって致命的な抜群技だ。ただではすまない。
それでも、迷わず瞬時に守ってくれたのだ。
スチル「ロック!アイス!?」
ボクはしゃがんで、足元で倒れこむ2人の頭をそっと撫でてあげるとレジスチルに笑って言ってやった。
アリス「信じてくれるか?」
スチル「~ッ!仕方ないわね、そこまでされちゃ何も言えないわよ!いいわ、ありすって言ったかしら。アンタが平和の使者になってくれるってことアタシに見せてちょうだい!」
こうして無事、レジ一族の封印を解き仲間になってくれた。

~~~
アリス「よし、疲れてるだろうしまずは」
グレアット「まずはお洋服を着てくださいっ」
アリス「はい」
温暖な気候用の、薄い生地の赤と黒を基調とした衣装に着替える。
スチル「ねえ、ロック。あんたのマスターって変なヤツ?」
6号「ええ、相当変です」
アイス「……やっぱり……」
聞こえてるぞレジガールたち。
グレアット「ここからですと、ヒマワキが近いですねっ」
アリス「いや、大所帯だ。キンセツに行こう」
総勢7人ともなれば相部屋じゃ融通がきかないし個室も取れない。
キンセツで2セット分の相部屋を取って一夜を明かしたほうがいい。
ボクはレジガールたちをボールに収納するとグレアットに乗って大都会・キンセツシティへと飛んだ。

キンセツシティ・ポケモンセンター
ボクとグレア、メグ、ゆんの4人部屋と6号、アイス、スチルの3人部屋を予約すると一旦自由行動にさせてやった。特に6号サイドは色々と積もる話があることだろう。
ひとりになったところで、なんの気なしにテレビを見るとニュースが流れていた。
《速報です。先ほどシンオウ地方キッサキシティで災害が発生し……》
シンオウ地方というと、カントー地方から遥か北にある雪国だったか。
まぁ南国のホウエン地方にゃ関係ない話だ、なにかあれば財団が揉み消すだろうし。

思えば、こっちに来てからまだ1か月も経ってないというのに色々あったな。ジムバッジをただ回収するだけでコンテストのTV中継に出たり、メグの本気の気持ち、アクア団と同盟を結んでマグマ団との敵対、べにいろのたまの行方と預かったあいいろのたまの謎。うゅみの異変に関与していそうな生体エネルギー、そしてレジ一族の封印解除。
まだまだ休む暇はなさそうだ。うゅみが持ちこたえてくれればいいが、エリカ様から便りが来ないということはまだ一命は取り留めているのだろう。それだけでも安心だ。
とりあえず、アイスとスチルの二人は後でエリカ様のもとへ転送しよう。いまは良いけど何かあってからじゃ遅いし早いとこ災いだかなんだか起きる前に、財団の管理においておくことでどうにかしてくれると思うし。
現状マグマ団に動きはない、生体エネルギーも原理不明、グラードンカイオーガが出てくることもないとすれば今できることは何もない。

アリス「ポケモンリーグにでも行ってみるか……?」
ゆん「ダイゴ様とお会いに?」
同じ部屋だから当たり前なのだが、気がつくとそばにゆんが居た。
グレアットとメグはどこかへ出ているのでいまは彼女と2人だ。
アリス「ああ、6号見たときに何か言ってたろ。アイスとスチルを連れてくれば進展あるんじゃないかってな」
ゆん「それは素晴らしいお考えですわ。でも少しだけお休みになられては?」
身を案じて気遣ってくれるゆん。一緒に旅をしているメンツで一番付き合いが長い彼女は真っ先にボクを優先してくれる。
アリス「こうしてる間もうゅみは苦しんでるって思うと焦りたくなるさ」
いったいどんな奴がうゅみほどの存在を苦しめてるのか。
ゆん「お気持ちは分かります。ですがエリカ様も考えなしではないと思いますわ」
アリス「逆に言りゃあエリカ様でもわからないんだぜ」
募る焦燥感と無力感が精神を襲う。そんなボクをゆんは窘めた。

ゆん「ありす様。結果ばかりを追い求めていては大切なことを見失います」
その表情は、いつぞやボクとふたり話をしていたときと同じ顔をしていた。
ゆん「うゆちゃんを助けてあげたいお気持ちは尊いものです、私たちも同じですから。ですがその為に命を削るというのであれば、それはうゆちゃんも望まないことです」
アリス「ゆん……」
ゆん「貴女はひとりのトレーナーです、私たちを導いてくださるのは貴女しか居ません。」
ボクは、髪をかき上げて掻きながら笑みをこぼす。
アリス「はは、また教えられちゃったな」
ゆん「ゆん先生が何回でも教えて差し上げますよ」

お互いに笑いあっていると、ルームにぞろぞろと飛び込んできた。
メグとグレアットだった。血相を変えてなにやら深刻そうな雰囲気だ。
モンスメグ「号令ー!ごおれえー!」
グレアット「大変ですアリスさんっ!」
アリス「どうしたお前ら」
ゆん「なにかあったのですか?」
息を切らしたグレアットに代わって、メグがボクの腕を掴んで話す。
モンスメグ「ろっくん達がタイヘンなんだよ★」
アリス「まさか人間か街を襲ったのか?」
心に根付いた憎悪が牙をむいたのかもしれない。
モンスメグ「あすあすとすっちーはノーマネーなの★」

…………ん?
なーんかイヤな予感がしてきた。
モンスメグ「このままじゃもしもしポリスメーン!」
アリス「知らん。勝手に捕まってろ、人間社会を知るいい機会だ」
おおかた6号のやつが散財してくれて、払いきれないんだろ。
そこまで面倒をみる義理はない、落ちてるきんのたまでもものひろいしてこい。
グレアット「そんなことを仰らないであげてください~っ」
一瞬でも心配したボクがばかだったわ、いいから泣きつくな6号の親友。そんな奴の関係者と思われるボクのほうが泣きたいわ。
アリス「ああもう分かった、行ってやるから」

キンセツリボンショップ

あ、いたいた。なんか必死に説明してる青い少女がおる。
アイスとスチルは呆れたように後ろで見守ってるみたいだ。
アリス「どーした」
6号「ですから!……あ、ありすさんいいところに!」
店員「あなたこの子の保護者ですか?うちの商品を凍らせたり引っ掻いたりしてくれて困ってるんですよ」
うん、こいつらが悪い。
アリス「失礼しました。弁償いたしますので」
店員「これとこれ買い取ってくれませんか?お代は迷惑代も兼ねて240万!」
アリス「あー、ゴージャスリボンとロイヤルリボンとゴージャスロイヤルリボンですか。分かりました、これでお支払いします」
ボクはロケットカードを出して、そこから費用を払った。
その後
6号「助かりました~、あのままエクスプロージョンしちゃうとこでしたよ!」
スチル「カンジ悪いお店よね~!」
アイス「……ちょっと……触っただけ……」
こいつらには社会勉強させてやらなきゃダメだな……ゆん先生の教育で。
アリス「とりあえずお前ら今晩は飯抜き」
『ひどいです!』『……鬼畜……』『なんでよ!』
ハァ……この先不安しかない。
おうちに帰りたい。

???「見つけたぞ……」

~~~♪~~~

チャーミングな翼を引き下げて登場
無敵で素敵な衝撃 刺激的な少女
誰もが自然と回りだす神様だって踊りだす
揺れる会場燃える会場ほら案の定
Peace Enjoy!

僕ら時々日々の隙間に彷徨うことだってあるだろう
そんなときパッと目の前そっと照らしてくれるある光
つまらないネタばっかり寄付してちゃつまらない
そんなにハマって抜け出せなかった昨日までの僕ら

爪なんてなくてもいいのさ
空なんか飛べなくていいのさ
僕らこのパーティがあればそう何にでもなれるのさ!

Come On!

Magic 君の紡ぐ魔法は
Burning 僕を熱くする
Playing それはちっぽけなんだ
だけども世界に花を咲かすさ

Ride On 闇を駆け抜けてく
Supreme 愛と空すべて
受け取るすべてがまるでメッセージ
照らしていてよ最後まで

握った手のひらから伝わるのさ君が好き

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