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《Ride On The City》救星の明るい夜 Part5

競技巡回編Ⅳ

 

ロープウェイ乗り場

4つ目のジムがあるフエンタウンを目指すべく、唯一のアクセスポイントであるロープウェイに搭乗すべくキンセツシティから北上してほのおのぬけみちをくぐり抜けたところで、ロープウェイ乗り場がある112ばんどうろまで来たのはいいのだが……。

アクア団男幹部「よーしてめえら、ソライシからパクったいんせきはしっかり持ってんな?」
したっぱ「うぃっす、ウシオさん!」
アクア団女幹部「アオギリ様が必要としてんだ、うっかり海にポチャンなんてやらかしたらアタシが承知しないよ!」
したっぱ「うぃっす、イズミさん!」
ウシオ「ガッハッハ!Subleaders of Sea Schemeの意味を言ってみろ!」
したっぱ「海の組織の統率者っす!」
イズミ「アタシらアクア団の目的は!」
したっぱ「ホウエン地方の自然保護っす!」

なにやら、アクア団たちが陣取るように訓練をしていて先に進めない。
6号「サブリーダー・オブ・シー・スキーム……イカしますね!」
ゆん「略してSSS……でしょうか」
モンスメグ「死んだ世界戦線☆」

アリス「アクア団より先にこいつらをどうにかしてくれ」
グレアット「はいみなさんっ、アリスさんを先頭に列で並びましょうねっ」
アリス「幼稚園か」
とりあえず、素直にというか面白がってというか私語を謹んで全員整列してくれたので
グレアットのお姉ちゃんパワーにあやかりながら、アクア団たちと接触を図る。

アリス「すいませーん、そこ通りたいんですけどー」
イズミ「あー?アクア団に楯突こうっていうのかいお嬢ちゃん」
褐色の健康的な日焼け肌が黒曜石のように艶やかに照らされる。
確か、彼女はイズミだったか。
アリス「ロケット団最高幹部に逆らうんですかお姉さん」
財団マークが刻まれたなかよしバッヂを見せつける。
イズミ「!……そうかい、アンタがアリス!こりゃ失礼したね、詫びるよ。ただアタシらはここでミーティングをしててね。ロープウェイは止めさせてもらってるのさ」
グレアット「そこをどうにかしてもらえませんかっ」
間に割って入りお願いをするグレアット。
イズミ「へぇ、上物のポケモン引き連れてんだねアンタ。だったら、その冷水をも蒸発と言われる紅蓮の炎、アタシに通用するか腕試しといこうじゃないか!」
グレアット「戦いは好きじゃありませんが、それが交換条件というのであればっ!」
6号「グレア、ファイトです!」

 

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イズミは グラエナを くりだした!

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グレアット「グラエナは確かあくタイプっ……私の神通力に聞く耳を持たない反逆者ですねっ」
反逆者て。
イズミ「グラエナ、いかく!」
グレアットの こうげきりょくが さがった!
ゆん「ゴッドバードも全力を出し切れませんね」
6号「さすがはSSSの幹部ですね」
まだ技を出し合ってもいないのに、この威圧感。
最初からクライマックスのような臨場感と緊張感に思わず唾を飲み込む。
グレアット「行きますっ!」
愛の源である神よ、
限りなく愛すべきあなたを、
心を尽くし、力を尽くして愛します。
また、あなたへの愛のために人をも自分のように
愛することができますように、
神よ、私の愛を燃え立たせてください。
Amen.
この福音は、聖なる炎。早速最強技のお出ましだ!

グラエナは やけどを おった!
イズミ「やるじゃないか!グラエナ、バークアウト!」
まくしたてるようにグラエナは怒鳴り散らした。
ちっ、この技は特殊依存だからやけどの攻撃半減が刺さらない。
そのうえ……

グレアットの とくこうが さがった!

6号「あーっ、攻撃のみならず特攻までもデバフが!」
グレアット「けほっ……お強いですねっ」
だが、彼女の瞳に宿した炎は燃え盛っていた。
イズミ「神の写し身様に褒められるなんてアタシゃ光栄だね、アオギリ様に土産話を持って帰れるよ」
アオギリというのは、恐らくアクア団の統率者であろう。
この忠誠心、ロケット団員たちのサカキ様に通じるものがあるぜ。
どのような形であれ、信じ抜く者は強い!
グレアット「ですが、決してその傷は浅くないでしょうっ」
グラエナは やけどの ダメージをうけた!
そのダメージひとつで、グラエナは悶え苦しみ始める。
イズミ「苦しみ方が違うだって!?」
グレアット「私の聖火はひとえに信仰する者達の心の強さっ。抗う悪への業火は決して並ではありませんっ!」
6号「いいですよ、グレアの優勢です!」
ゆん「あのお火傷、痕に残りそうですわね」

イズミ「だったらせめて置き土産を残してあげようじゃないか、グラエナいばる!」
グラエナの牙は、怒号のお次に暴言を剥きだすことでグレアットの攻撃力をぐーんとあげる代わりに神経を乱れさせて混乱させる。
グレアット「哀れなりっ」
グレアットの せいなるほのお!
グラエナは たおれた!
イズミ「吠えろ未知なる轟き!深淵の闇より姿を現わせ!キバニアお行き!」

 

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イズミとよく似た風貌の姿でキバニアが召喚される。
八重歯かわいいな。
ゆん「どちらを見てるんです?」
アリス「ナンデモナイヨー」
イズミ「キバニアアクアジェット!」
噴射された濁流のような速さで突撃し、先制攻撃を仕掛ける。
こうかは ばつぐんだ!
グレアット「なんだかイラつきますねっ……!」
グレアットは わけもわからず じぶんをこうげきした!
6号「気をしっかり持ってくださいグレア!」
親友に鼓舞をかける6号。
その一喝に、グレアットは正気を取り戻した。
イズミ「へぇ、やるじゃないの。いいコミュニケーションだ」
素直に感心するイズミ。どうやら根っこは悪人ではないらしい。
戦術こそは悪人らしい頭脳派だが、彼女自身はいい姉貴分じゃないか。

グレアット「決着をつけますっ!」
Ave Maria, gratia plena,
Dominus tecum,
benedicta tu in mulieribus,
et benedictus fructus ventris tui Jesus.
Sancta Maria mater Dei,
ora pro nobis peccatoribus,
nunc, et in hora mortis nostrae.
Amen.

グレアットを はげしいひかりが つつむ!
イズミ「キバニア、ダメおし!」
ダメおしは、直前にダメージを受けていた相手に大ダメージを与えるあくタイプの技だ。アクアジェットとのコンボというわけか……!
白い光に照らされてしっかりとは見えないが、立て続けに攻撃を喰らいだいぶグレアットの体力は消耗しているに違いない。どの道このターンがファイナルターンか。

グレアット「……ゴッドバード……っ」
天に祝福を受けた鳥ポケモンのみに許されたひこうタイプ最強最高の聖痕。
これでキバニアは落ちたはず……!
イズミ「はあぁっ!」
イズミがキバニアへ石のような鉱物をかざしていた。
そして翼が当たるか否やの瞬間、目を疑う光景が広がる。
6号「な、なんですって!?」

 

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ゆん「あれは、サメハダー
アリス「進化させやがった!?」
イズミ「驚いてもらったようだね。アタシの特技はポケモンの進化を自由自在に操ることなのさ、本来なら進化石に対応しないやつだってアタシの手にかかればお茶の子さいさいだよ!」

グレアット「なんと……くぅっ!」
グレアットは サメハダーの さめはだできずついた!
6号「いけますかグレア!」
グレアット「うんっ、なんとかっ」
とんでもないトレーナーがアクア団の幹部を務めていやがった。
なるほどアクア団がこの地方を制する組織に伸びるわけだ。
味方になってくれればさぞ心強いことだろう。
イズミ「さぁて、いんせきの調査があるんでね。決着といかせてもらうよ!」
グレアット「ふふ……受け入れてみせましょうっ!」
グレアットの はなびらのまい
サメハダーの こおりのキバ!

アリス「やったか!?」
イズミ「はぁ、はぁ……アタシの負けだよ」
ぐったりと倒れこんだサメハダー
片膝をついて座り込むグレアット。
グレアット「紙一重、でしたねっ」
イズミ「ずいぶんと分厚い、紙一重だね」
6号「やりましたね!」
嬉しさのあまりグレアットに抱きつく6号。
ボクもほっと胸をなでおろした。
アリス「そーいや、メグちゃんは?」
ゆん「メグちゃんでしたら」
ゆんの指さす方向を見ると、アクア団員たちの前で踊りを披露しているアイドルの姿があった。

モンスメグ「LET'S GO! DANCE! DANCE! DANCE! DANCE! DANCE! CHU-!
COM'ON! PRINCE! PRINCE! HEY PRINCE, PLEASE KISS ME!
LET'S GO! DANCE! DANCE! DANCE! DANCE! DANCE! CHU-!
COM'ON! PRINCE! PRINCE! IT'S TIME TO DANCE YA!
ウシオ・したっぱ達「うおおおおおっ!」
……楽しそうでなによりです。

イズミ「なにやってんだいアンタら!……ったく。アリス、アンタの強さよーく分かったよ。通りな、アオギリ様に報告しておくさ」
アリス「ありがとうございます」
イズミ「それと何か力になれることがありゃ呼びな、水あるところにアクア団ありだ。最高幹部様のサポートになれるなら誇りだよ」
お互いに取り出すとポケナビの番号を交換しあった。
そして彼女は持ち場へ戻ると招集させて、ミーティングを続けた。
6号「憎めない方でしたね」
グレアット「悪とは、罪と罰の意識を善より理解していますからねっ」

~~~

ロープウェイの定員は2人とのことなので、恒例のグレアたんパート。
火山が一望できる絶景が窓から映し出されていた。
グレアット「わあぁっ……!ともしびやまを思い出しますっ」
アリス「あそこよりよっぽど熱いだろうよ」
豊かな自然をバックに望遠すると、大夜会であるキンセツシティはより異質に目立っていた。これが都会との調和というやつか?
グレアット「アリスさん、お隣よろしいですかっ」
アリス「待てよ、リュックそっち置くから」
リュックとグレアットの位置が交換され、隣にちょこんと座ったグレアットが窓と逆方向のボクを見つめだす。
もたれるのに邪魔なのか、翼をより収縮させて閉じていた。

グレアット「ここから見えるどこかに、うゅみさんを助ける方法があるのでしょうかっ」
その表情は、輝かしい未来を願う聖職者のそれと似ていた。
アリス「きっとあるさ、そうじゃなきゃ来てないからな」
エリカ様が直々に指名した舞台だ、間違いはない。
グレアット「そうですねっ」
きゅ、っとボクの手を握るグレアット。柔らかくも不安から堅くなっていた手のひらを、ボクからも握り返してあげる。

グレアット「夢の国を探すあなたの名を、誰もが心に刻むまで、悲しみ乗り越えたほほえみに、あなたを信じていいですかっ?」
アリス「後悔に決して負けない翼があるからな、お前とならどこまでだって行けるさ」

ロープウェイが頂上にさしかかったタイミングで、グレアットとの距離をゼロに詰めた。
離さないように、離れないように、聖なる契りを交わして。

「ご乗車ありがとうございました、フエンはあちらになります。お気をつけてー」
グレアット「えへへーっ、アリスさんっ♪」
アリス「よしよし、こいつら外に出すから右腕から離れろー」
グレアット「はーいっ」

フエンタウン
ポケセン オンセン よいところ。

火山がすぐ近くにあるだけあって、温泉街として賑わっている様子だった。
客の顔をよく見れば、カントー地方から旅行したらしき人物の姿も見える。
モンスメグ「☆おん!せん!☆」
6号「温泉まんじゅうに温泉たまご……!」
アリス「遊びに来たんとちゃうぞ」
はしゃぐ2人に2人の保護者を同伴させてやると、ボクは観光地の町内を廻ることにした。
漢方薬やモーモーミルクを売っている店もあるようだ、ポケモンのたまごまで販売されていた。商売魂恐るべし。
角っこに見える大きな施設がフエンジムか、ほのおタイプの使い手と書いてあるな。
メグちゃんが引き続き先陣を切るか分からないので、ちょっとだけ脳内でシミュレートだけしておこう。
モンスメグ「ありすちゃーん、こっちこっちー♪」
急に首を掴まれると猛ダッシュで引きずられた。
アリス「なんやなんや、なんやねん!」
思わずコガネの言葉が口から発してしまった。
そして受け身を取る余裕もないまま、投げられてしまう。
え、ボクがなにをしたっていうんですかメグちゃん!?
落とされた先は、やわらかい砂だった。
どうやら野外に設置されている無料で利用できる砂風呂らしい、異常なまでに湯気がのぼっておりその熱さに思わず声をあげる。
アリス「アツゥイ!いきなりなんなのなの!」
6号「ナイスシュートですメグさん、これでもくらえ!」
6号の すなかけ こうげき!
アリス「ぎゃああああっ」
ゆん「あらあら」
モンスメグ「いっちょあがりぃ☆」
アリス「てめえ絶対許さないかんな!」
モンスメグ「してんのうのかーんな☆」
保護者もグルだということを忘れていた、こいつら文殊の知恵みたく集団行動でアクションを起こすととんでもないことしでかすからな。
グレアット「え、えとっ……アリスさん汚れちゃいましたねっ。ご一緒に温泉いかがですかっ?」
アリス「汚したのはお前らじゃねーか、てかそれが狙いか。勝手に入ってこいよちくしょう」
6号「だって行きたいって言ったら先を急ぐの一点張りじゃないですか」
モンスメグ「愛と勇気、友情の大作戦せいこー!ぶいぶいっ☆」
アリス「わかったから出して」
ゆん「私の手で、いーっぱい出してあげますからね……♡」
アリス「ゆんちゃんもおかしくなったんか?」
かくして、ボロボロになったボクと元気な一行はフエン温泉へと立ち寄った。

モンスメグ「モンスメグ、一番乗りぃ☆」
ざっぱーん
グレアット「ご迷惑ですよっ!」
ぷんすか
6号「私の爆裂で水温を上げましょう」
うごごごご
ゆん「私たちを溶かすおつもりですか」
ばさばさ

アリス「もう帰っていい?」
こんなやつらと一緒って思われたくないんだけど。
とりあえずボクはブロンズの髪を洗い流そうとシャワーを取って……

 

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アリスちゃんお風呂シーンカット

???「しゃッらあああああああいッ!あんたら温泉で遊ぶな!」
『ごめんなさいっ!』
お次は何なんですか。いま髪の毛バブルこうせんだから見えてませんが。
とりあえずあいつらがはしゃぎすぎて女の人に叱られてるのは分かった。
ほんとすんません。
泡を洗い流して、視界を開くと大きな胸を質のいいタオルで巻いている赤髪の女性が目に映った。
???「っとにもう、マナーも教えてないのかなあの子たちのトレーナーは」
すんません目の前にいます。
厄介ごとになる前にささっと出よう、うん。
あとここのタオルおっきすぎない?首から足まですっぽり包まれちゃうんですけど。
ああアレか、高身長やらナイスバディ用も兼ねてるってことか。
なんだかとってもヤな感じー。

あいつらはどうせほっといても湧いてくるだろうから、先にくつろぐことにしておこう。旅館もあるからそこで今日は泊まれるし。
などと着替えようといつもの癖でなかよしバッヂを起動させても、この地方では使えないことを思い出してしまった。
アリス「……E-エマージェンシーコール!」
ご自慢のアリス衣装ことエプロンドレスがさっきのせいで傷んじまって、もう着れないからこのままじゃやばいわよ。
予約した和室でバスタオル一枚でころころ転がる幼女の図。
マーシュさんに頼もうかなぁ。でもこんな僻地まで届けてもらうのも気が引けるし。

などと悩んでいると、旅館浴衣姿のグレアットとゆんが戻ってきていた。
ゆん「お着替えにならないんですか?」
グレアット「きゃーっ!生アリスさんっ♡」
むぎゅむぎゅ抱きつかないで、素肌だとマジで焼けるから。
アリス「服がダメになったから困ってんだよ」
あと浴衣の帯、わけわかめワカメッチだから着れない。
ゆん「でしたら、買ってきましょうか」
アリス「いいのか?」
ゆん「ありす様への恩返し、まだお済みになっておりませんから」
グレアット「あっ!でしたら私も一緒に選んであげますっ!」
アリス「修道服とか巫女服はいらないからな」
グレアット「はぐあっ」
マジで着せるつもりやったんかい。
6号「おや、そんな誘うような格好で出待ちするなんて人が悪いですね」
悪態をつきながらも、丁寧に浴衣を羽織って登場した6号。
お前、おしゃれポイント高い女子だったんだな……
モンスメグ「動きやすそー!メグも脱ごっかなー☆」
おしゃれポイントカンスト女子は、帯を可愛らしいリボン状に結んでいたうえに丈を折って歩きやすいようにしながらも涼しげな雰囲気を出していた。
つよい……!
グレアット「替えの服がないらしいですので、今から私とゆんちゃんで買ってあげようとしてたところなんですっ」
モンスメグ「そなの?じゃあメグもいっしょに目利きしたげるっ☆」
アリス「そりゃ心強い」
6号「こんなカッコの子をひとりには出来ませんから、私はお留守番していますね」
アリス「あ、だったら6号よ。浴衣の着方を教えてくれ」
6号「仕方ないですね……」

~~~

とりあえず、基本的な結び方だけ教えてもらってどうにか布を纏うことができた。
ふたり並んで座布団に座って、普通のおちゃを啜って落ち着く。
6号「こうやって二人でお茶するのははじめてですね」
アリス「お前と二人なのもセキエイ以来だな」
ふと一緒のベッドで眠った思い出が頭に浮かぶ。
6号「ね、ありすさん。みなさんいっとき帰ってこないでしょうから、少しだけ甘えてもいいですか?」
アリス「しゃーねぇなぁ」
ボクが答えるより早く、肩にころんと頭を預けて寄り添う6号の青く染まった髪をそっと撫でてやる。アクセサリーのはずの長い尻尾がぴこんと動く、どういう仕組みになってるんだそれ。
6号「えへへ、ひとりじめです」
猫なで声で擦り寄って独占欲を露見する6号。
アリス「ボクを独占しても収益2倍にならないぞ」
6号「わけわかんないこと言わないでください」
わけわかんないこと言うのはメグちゃんの役だぞ。
ボクは常に相対性理論的な学者ポジションをだな……。
などと脳内で反論していると、ひょっこり胸元から顔を出して覗きこむふいうち6号。
6号「へんなこと考えてません?」
アリス「お前はエクスプロージョン以外のことも考えろ」
6号「私の崇高なる思想をけなしましたね!」
アリス「それが崇高なら世間のやつらはみんな哲学者だな」
軽口をお互いに叩き合って、わちゃわちゃするボクたち。
次第に疲れてきて、畳の上でふたり二の字に寝転ぶ。

6号「あーもう。あなたと話してるとめちゃめちゃです」
アリス「そりゃこっちのセリフじゃい」
そう言いながらも、なんだかんだ笑みを零す6号。
こんな当たり前の行動も長すぎた幽閉と、駆り出された戦争経験のせいでろくに出来てこれなかったのだろう。

6号「……アイスとスチル、元気にしてるかな」

ふと漏れた彼女の友を思う本音。
そういえば、どうしてあの時突然消えたのか理由を聞いていなかった。
アリス「なんでキンセツでどっかいったんだ?」
6号「ああ、あれですか。実はミツルと話をしている途中に、すれ違った通行人のお話から、キンセツのとある場所でレジアイスを見せるとヒウンアイスがプレゼントしてもらえる。なんて話を聞きまして」
なんだそりゃ、大型詐欺もいいとこだな。
アリス「なんでも信じると痛い目見るぞ」
6号「あなたには言われたくありません」
ぐええ、綿で首を絞められた気分だ。
アリス「うっさい。で、ホイホイついてってどうだったのよ」
6号「おいしいヒウンアイスの喫茶店を見つけられました!」
目をキラキラさせるな。結局、ボクは食べ損ねたんだぞ?
だが、突発的に引き寄せられちまうくらいに会いたい気持ちが先行したのだろう。
うゅみがマナを探しに失踪した件と似てる。
ボクにはそうまでして会いたいと思えるやつがいないから共感しかねるが。
アリス「逢いたいか?」
6号「もちろんです」
即答する彼女に、ボクは情報を付け加えて再質問してやった。

アリス「そいつらも伝説のポケモンだ。もしかしたら、うゅみを苦しめているエネルギーを出してるのはそいつらかもしれない。そうだとしても逢いたいか?」
だが、それでも6号は淀みなく神速で答えた。
6号「はい、会いたいです」
その気持ちは、本物のようだった。

アリス「分かった。ジムバッジを揃えたら会いに行こう」
6号はその言葉に気が高まったのか、身を乗り出してボクに跨る。
アリス「ぐえ」
6号「本当ですか!本当の本当ですね!」
アリス「どうせ保護しにいかなきゃだからな、任務のひとつだ」
6号「約束ですからねっ」
興奮してるのか、睫毛が触れ合うくらいに至近距離で確認する6号。
アリス「わかったから近いんだってのっ」
言葉とともに発した吐息が跳ね返ってきて、その温度を意識してしまう。
彼女も同じく意識しているのか、唇をしたでなめる。
6号「ん……」

 

モンスメグ「グッモーニング☆ランニング★ショッピング♪」
6号「きゃあ!」
アリス「うわ!」
その矢先に勢いよくふすまが開かれて、ボクと6号は思わず飛び跳ね起きる。
モンスメグ「ありすちゃんにお似合いのコーデ見つけてきたぜぃ☆」
アリス「お、おう。てんきゅーべりーまっち」
グレアット「遊んでらしたんですかっ?」
ゆん「……(おふたりの口元)……あらあら」
モンスメグ「ねーねー早くコーデチェンジしてみて☆」
紙袋を引っ提げてこちらへ駆け寄るメグ。
6号は素早く体勢を整えると、ちょこんと座布団に座りなおした。
ボクはメグに言われるがまま、せっかく自分で頑張って着た浴衣をほどくと受け取った衣装へと生着替えする。

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グレアット「かわいいですぅ~っ♡」
ゆん「とってもお似合いですよ」
アリス「ホウエン回るには暑そうだなぁ」
モンスメグ「おしゃれはがまん☆」
機能性重視のボクにとっては気候に適した服装で動き回りたいものだが。
これはありがたく貰っておくけれど、ほかに買ってくれてないだろうか。
アリス「んー、かわいいけどほかにはないか?」
モンスメグ「だったらこっちはDo-Dai☆彡」

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グレアット「はわあぁ~♡」
6号「御伽チックですね」
ゆん「まぁ、色違いみたい」
アリス「お、これは涼しくていいな。これ着てくわ」
モンスメグ「いぇーい☆」
メグはポケギアを片手に、勝手に自撮りを始めだした。
おしえテレビに流出しないでおくれよ。
ボクのショータイムも終わったところで、そのまま夜を過ごした。
さぁ明日は朝からジム攻略だ!

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~~~♪~~~

チャーミングな翼を引き下げて登場
無敵で素敵な衝撃 刺激的な少女
誰もが自然と回りだす神様だって踊りだす
揺れる会場燃える会場ほら案の定
Peace Enjoy!

僕ら時々日々の隙間に彷徨うことだってあるだろう
そんなときパッと目の前そっと照らしてくれるある光
つまらないネタばっかり寄付してちゃつまらない
そんなにハマって抜け出せなかった昨日までの僕ら

爪なんてなくてもいいのさ
空なんか飛べなくていいのさ
僕らこのパーティがあればそう何にでもなれるのさ!

Come On!

Magic 君の紡ぐ魔法は
Burning 僕を熱くする
Playing それはちっぽけなんだ
だけども世界に花を咲かすさ

Ride On 闇を駆け抜けてく
Supreme 愛と空すべて
受け取るすべてがまるでメッセージ
照らしていてよ最後まで

握った手のひらから伝わるのさ君が好き

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