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《Ride On The City》救星の明るい夜 Part2

モンスメグ「ミナモシティ!行こ☆♪」

翌朝。ポケセンのロビーでメグちゃんを待っていると
開口一番、雑誌を片手に目を輝かせて張り切るメグちゃんが出てきた。

グレアット「おはようございますメグちゃん。元気ですねっ」
ゆん「おはようございまして、メグちゃん。ミナモというと?」
6号「確か北東のほうにある港町ですね」
アリス「観光しに来てんちゃうぞ」

ミナモシティと言われてもいまいちピンと来ないが、港町とくれば観光名所があるだろう。とりあえずあらかじめ釘を刺しておくことにする。
メグちゃんは、変わらずキラキラしたまま持っている雑誌のページを開いて見せつけてくる。
グレアット「コンテストっ?」
6号「アピールをして魅力を競い合おう……マスターランクで優勝したあなたは正にアイドルポケモン、ふむ」
モンスメグ「メグちゃんにうってつけのステージでしょ☆彡かわいくてうつくしく時にはかしこくてかっこよくたくましい、そんなメグメグを世界にアピールするいいチャンスっ!ぶいぶいっ♪」

くるくると回りながら目まぐるしくポーズを変えてひとり舞踏を行うメグ。
なるほど、こいつは良い原動力にできそうだ。
グレアット「アリスさん、どうなされましたっ?」
ゆん「よからぬ事をお考えのご様子ですね」
6号「つまり平常運転でした」
アリス「ちゃうわい!こほん、話は聞いたぞメグ。たしかにこのままアテもなく歩いていても、伝ポケの情報もましてやうゅみを救うきっかけも見つかりそうもない。ミナモシティを目指して順々にジム巡りでもしようじゃないか」
旅の大きな目的のためには、小さな目的とステップアップが必須だからな。
モンスメグ「さっすが話がわっかるー☆」
ボクの色よい返事に感動して、むぎゅっと抱きつくメグちゃんの頭を撫でてやる。

グレアット・6号「じとーーーーーーーーーーーーー……」
ゆん「あらあら」

あれ?もしかしていまのパーティーって愛が重い?
たすけてカルマにうゅみ。お前たちが急に恋しくなってきたよ。


『競技巡回編』開幕ー

 

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↑アリスのイメージグラフィック


ここから一番近いジムがある町はトウカシティらしい。
そう聞いたボクたちは、隣町のトウカへと向かった。
土地勘がなくとも、方角さえ分かれば肌で感じる気候・鳥特有のレーダーで迷うことなく目的地まで飛んでいけると最前に立って誘導してくれるゆんの後ろをついていく旅路。
ああ、ほんとう付いてきてくれてありがとうございます。
ほわほわした子達ばっかだから、絶対迷子チルドレンになるとこだった。

 

トウカシティ

不思議出来事わくわくドキドキ、人と自然が触れ合う町。

アリス「ここも地味な町だな、こんなとこばっかか?」
6号「しょうがないじゃないですか」
グレアット「落ち着いてていい場所ですっ」
ゆん「穏やかになれますね」
似た者同士のふたりはポジティブシンキングだねぇ。
目立った施設がないので、トウカジムはすぐに見つけられた。
モンスメグ「たのもー☆」
メグちゃんが勢いよくジムの扉を開けようと意気込んだ矢先に、緑髪の少年とぶつかってお互いに尻餅をついてしまう。

モンスメグ「いったーい!」
???「わわ、ごめんなさい」
グレアット「気をつけなきゃダメですよっ、だいじょうぶですかっ?」
グレアットが駆け寄って少年の手を取る。
少年はちょっと照れくさそうに手をつかむと、砂埃を叩き落しながら立ち上がった。
???「はい。これから気をつけます!」
まっすぐとした純粋な瞳で少年はグレアたちを見つめる。
やめてくれ、その視線はボクに効く。
モンスメグ「ちゃんと前見て歩くんだよっ!」
6号「あなたが言いますかそれ」
ゆん「お名前はなんておっしゃるんですか?今度お詫びをさせていただきます」

ミツル「ぼくはミツルっていいます!トレーナーを目指してます!」

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アリス「目指してるってことは、まだポケモン持ってねーのか」
ミツル「はい。ぼく病弱でなかなか持たせてくれなくって……それで、ここのジムリーダーのセンリさんにお願いをしに行こうとしてたんです」
グレアット「そうだったんですかっ……お好きなポケモンが見つかれば、きっと健やかになれますよっ」
6号「しに行こうって、ことはまだそのセンリさんとやらとはお話が出来ていないんですか?」

ミツルはしょげた様子で、呟く。
ミツル「はい……ひとりで冒険なんてできっこない……ムリはするなと叱られまして」
なるほど、ジムリーダーを担う者としては
身体が強くない子が危険が伴う旅に出るというのは責任重大だ。なにかあってからでは遅いからな。
保身的なボクとは気が合いそうなお方じゃないか。
ゆん「でしたら、私たちもご一緒に同伴させてもらいましょう。説得にひと肌お脱ぎしますよ」
うん、まぁそういうタイプだよねうちの子たちは。
しかしボクもあえて止めはしなかった。
説得なんて無理そうな人だろうな、と思うのもあるがもし仮に許可が下りた際はボクたちと一緒に付いてきてもらうことにしようと考えていたからだ。
旅は道連れ、世は情けってもんよ。

ミツル「いいんですか?お願いします!」
明るい無邪気な笑顔を見せてくれたミツル。この子、人に利用されるよりも人を無意識に利用してしまう系統だなこりゃ。
グレアたんってばミツルの頭撫でちゃってるもん。
モンスメグ「ついでにジムチャレンジしちゃおー☆」

 

トウカジム

 

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センリ「おや、ミツルくんじゃないか。それに……キミたちはポケモンか」
一瞬で正体見破られちゃったよ。
ワイルドで頼りがいのある精悍な雰囲気を醸し出している。
この方が、ホウエンジムリーダーということか、レベル高そうだ。

ミツル「センリさん、お願いがあって来たんです」
センリ「どうしたんだい?」
ミツル「ぼくにポケモンをください!立派なトレーナーになってパパとママとミチルさんを安心させたいんです!」
勇気を出して啖呵を切ったミツルだが、センリさんは色よい表情をしなかった。
センリ「ううん。気持ちはわかるけどね、まずはしっかりと療養をしてからじゃないと」
ミツル「そんな」
自分の意見を止められてしまい、困るミツルにゆんが話を切り出した。

ゆん「センリ様と仰いましたか、私この子の付き添いのゆんと申します」
センリさんは、ゆんの姿をじっと見つめると
センリ「きみはオニドリルかい?ほう、いい目をしている。苦難を乗り越えてきたことがはっきりと感じ取れるよ」
正体を見破られても、臆することなくゆんは続ける。
ゆん「センリ様。貴方の言う通り、ミツル様には長旅は荷が重いことでしょう」
ミツル「ゆんさん?」
ゆんは不安な顔つきでゆんを見るミツルを、手で制す。
ゆん「ですが、ポケモンにはセラピー効果があります。ご自身の手で捕獲なさって懐いたポケモンなら尚効果が期待できるでしょう」
センリ「ふむ。何が言いたいんだ?」
ゆん「トレーナーとしてではなく、ミツル様のお身体と心を治すために、ポケモンをあげてはいかがでしょうか」

おお、上手いぞ。
センリさんはあくまでも、冒険に出ることを阻止しているだけに過ぎない。
ポケモンはペットとしても家を守るガードマンとしても自宅に置いている住民は多い、そこに目星をつけたという算段か。
固唾を飲んでセンリさんの返事を待つ一行。
しばしの沈黙のあと、重たい口が開かれた。
センリ「ミツルくん、きみはそれでもいいのかい?」
それ、というのはトレーナーにはなれずとも自分のポケモンは手元に置いておけるという話だ。
ミツルは首を縦に振った。

ミツル「それだけでも、ぼくにとって自信に繋がります!」

センリ「フッ、いい返事だ」
センリさんは、ミツルにモンスターボールを手渡した。
はじめて持つであろうボールの感触と重みを両手で噛みしめるミツル。
ミツル「ありがとうセンリさん!」
センリ「きみたちが野生のポケモンと相手をしてくれないか」
グレアット「はいっ、私が請け負いますっ!」
6号「交渉成立、ですね」
モンスメグ「やったねみつるん!仲間がふえるよ☆」
おいやめろ。
かくしてボクたちは、ミツルの用心棒としてすぐ東の102ばんどうろへと向かった。

102ばんどうろ

アリス「あんまぞろぞろしてると逃げちゃうかもしれんから、グレアット以外は待機」
しぶしぶと近場の草むらや水辺に避難する6号たち。
グレアット「どんなポケモンが出ても、私がどうにかしますねっ」
ミツル「ありがとうグレアットさん。ここでポケモンが出るんだよね……ぼくやってみるよ…………わっ!」
がさがさと、草むらの陰から襲い掛かってきた。

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あ! やせいの ラルトスが とびだしてきた!

グレアット「やーんかわいいですっ」
アリス「……やっぱ人型か」ボソリ
ミツル「え、お、女の子!?」
三者三様の反応を示すと、ラルトスとおぼしき少女はじっとこちらの出方を窺っていてる。その足は小刻みに震えているように見えた。
グレアットの持つプレッシャーの効果も少なからずあるのだろうが。
ラルトス「ふぇ……」
彼女は怖がっている様子だった。それを見て焦るように、グレアットとミツルがふたり話しかける。
グレアット「大丈夫ですよ、私はあなたを取って食べたりしませんからっ」
だったらそのうずうずとよだれをどうにかしなさい。
ミツル「きみは、ラルトス?ぼくはミツル、よろしくね」
野生のポケモンに自己紹介する子はじめて見たよ。
どう見ても不審だ、ラルトスはすっかりこわばってしまった。

……あいつらに助け舟は……(ちらり)
モンスメグ「おもしろい顔のポケモンいたよっ!ろっくんれっつごー☆」
6号「押さないで押さないで押さないでください落ちますからぁ!」
ゆん「うふふ」
だめだ、はやくどうにかしないと……。
視線を戻すと、グレアットはなにやらお祈りを始めていた。
あれは見たことのない光だ、どうやら技を繰り出すわけではなさそうだ。
ミツル「いったいなにを?」
ラルトス「ふわぁ……」
ラルトスのシンクロがグレアットのテレパシーと反応した。
みるみるうちに、彼女の顔が柔らかくなっていく。
グレアット「お分かりいただけましたかっ?私たちはただあなたと親交を深めたいだけですっ」
いつの間にそんなことできるようになったの。
いのりの ちからって すげー。
ラルトス「……ミツル……」
とことこ、ちょこんとミツルの目の前に佇むラルトス
なんか知らないが、うまくいっているみたいだ。
ミツル「ぼくの仲間になってくれるの?」
こくんと頷くラルトス
安心したように微笑むグレアット。
ミツルは、そっとモンスターボールをかざすとすんなりと中へ入っていった。

ミツル「やった!ぼくのパートナーだ!」

ボールを掲げて喜ぶミツルに拍手を送るグレアット。
めでたしめでたし。
アリス「おめでと」
ミツル「ありがとうありすさん、グレアットさんはあなたのポケモンなんですよね。こんなにすごいポケモンを連れているなんてすごいです!」
羨望の眼差しが眩しい……。
そんなピュアな目で見ないでくれ。
アリス「はは、よーしお前ら引き上げるぞ!」
ゆん「ろくちゃんを引き揚げるので待っていてください!」
モンスメグ「きゃはは!ブクブクしてておもしろいねー☆」
なにやってんだあいつら。

 

トウカジム

 

センリさんの待つジムへと意気揚々と戻ってきた。
ちなみに6号はグレアットと一緒にポケセンへとフェードアウトしていった。
ミツル「センリさん!見てください、ぼくのポケモンです」
モンスターボールからラルトスを出すミツル。
その光景を見て、うむと力強く頷くセンリさん。
センリ「おめでとうミツルくん。土産話を持って帰れるな」
ミツル「はい。ありすさんたちのおかげです!」
ゆん「良かったですね、ミツル様。それと、ありがとうございますセンリ様」
センリ「俺は何もしてないさ。未来に希望を託しただけさ」

その後、ミツルは子供のようにはしゃいでジムを出て行った。
そしてメグが痺れを切らしてセンリさんへ投げかける。
モンスメグ「ここジムなんでしょー!レッツバトール☆」
こっからはメグの本題、つまりボク達のお願いだ。
しかし、やはりというべきか彼は素直に了承しなかった。
センリ「すまないが、このジムには決まりがあってね。ホウエンのジムバッジを4つ集めているトレーナーしか受け付けていないんだ」
モンスメグ「えーっ!ぶーぶーっ」
ゆん「変わったルールですのね」

センリ「ジムリーダーは互いに全力をぶつけあってこそ価値のある存在と考えていてね、他のジムのように持っているバッジの数で調整する……といった細かいことが苦手なんだ」
一理ある。
アリス「分かりました。そのジムバッジというのはどこに?」
センリ「ここからだったら、西にある森を超えた先にあるカナズミが一番近い。カナズミのバッジがあればムロという島へ船を出してくれるだろう。ムロのバッジを手に入れたら地方一の大都市・キンセツを訪ねるといい」
親切丁寧にこの先のアドバイザーをしてくれたセンリさん。
メグは不満そうに口を尖らせながらも、まだ見ぬ街に思いを馳せたのかやる気を失わずにいてくれていた。
モンスメグ「オッケー☆明日にはここにバッジ持ってきちゃうからシクヨロ♪」
アリス「それは気が早すぎる」

ボクは、まだ気になることがあるので2人で彼と話し合いがしたく、ゆんとメグをポケセンへと先に帰してあげて再びジムへと足を運んだ。
アリス「すみません、あと一つだけよろしいですか?」
ポケモンたちがいなくなると、険しい表情に変わってボクを見据える。
センリ「……おおよそ察しはついているが言ってみてくれ」
アリス「先ほど、ジグザグマポチエナの野生の姿を目撃しました。その時はまだ疑問符だったのですが、ラルトスも少女の姿をしていました。そしてあなたはそれについてリアクションを取らなかったことで確証に至りました」

ーこの地方の生態系の変化はあなたの仕業ですねー

センリさんは、ボクの言葉に肩をすくめた。
センリ「惜しいね、財団幹部ちゃん」
グレアット達ではなく、ボクの正体も見破っていたようだ。
文字通り、抜け目がない男じゃないか。
センリ「俺はオダマキと親友でね、あいつからよく聞かされたもんだよ」
オダマキ。記憶が正しければ、ホウエン地方を中心に活動している博士だったか。
研究室に籠らずフィールドワークで論文をいくつも提出しており、財団内においてもその名はオーキドとウツギから何回か耳に挟んだことがある。
待てよ、ということは財団職員ということか……?

アリス「まさか!」
合点がいったと同時に声を上げた。
センリさんは、不敵な笑みを零す。
センリ「驚いたよ、あいつの最初の被検体をよもや仲間に連れているなんてね」

オダマキ博士の専門はポケモンのぶんぷ調査と聞いていたが、それは裏を返せば自然体での生態を知り尽くしているということだ。
ヒトの形に変えても野生として生息できるようにデータを収集していたというわけか。
ということは、この先この地方で出会うポケモンはみな同じように……。
センリ「きみの手持ちを見ていると実験は成功を収めたようだね。あいつの目的はロケット団ではない俺には分かりかねるが、究極的な意味での人とポケモンの協力関係を築くことに関せば理解できる」
アリス「あいにくボクには理解が及びませんね」
センリ「おや、それは意外だ。しかしもう止めることは出来ないよ。俺も加担はしていないし、だからといって拒絶もしていないがね」
アリス「ボクの手には余るスケールですよ。ところで伝説のポケモンも同じように?」
ついで感覚で一番の真意を探るのが最も効果的な手段だ。
本意からずらしたように錯覚をしてくれるからね。
センリ「俺も知る由はない、きみの目で確かめてくれ」
アリス「左様ですか。お時間取らせてもらってありがとうございます」
結局、手掛かりはなしと。謎が深まっただけじゃんよ。
ボクは一礼するとそそくさと、ジムから出ようと身体を方向転換する。

センリ「どこかで俺の子供を見かけたらよろしくしてやってくれ。リーグを制覇してから消息が途絶えてしまってね」
アリス「……わかりました」

トウカポケモンセンター

グレアット「おかえりなさいっ……難しいお顔をなさってますよっ?」
アリス「グレア。この地方は狂っている」
グレアット「えっ?」
ボクはたったひとこと告げると、朝まで宿泊ルームでひとり過ごした。

財団の手によって、あいつらと同じようにヒトの姿に変えられたポケモン
それを施したのはこの地方を司る博士。
そして、それを受け入れているジムリーダー。
うゅみを衰弱させるほどのエネルギーを持ったナニカ。
西の果て、ホウエンは想像しているよりも……

ー翌朝
ボクはいつものようにみんなを召集させると、カナズミシティを目指すべくゆんを先頭に立たせて旅に出た。

ボクの一歩後ろについて微笑むグレアット。
好奇心を振りまいてマイペースにはしゃぐメグ。
メグに翻弄されながらも楽しげにしゃべる6号。
3人をしっかりと誘導しながらガイドするゆん。
この当たり前の景色がどうかずっと続きますように。
そうお祈りしながら先へ進んでいくと、薄暗い森の中に入っていた。

 

トウカのもり

 

ひんやりとした空気が肌を包み、草木の香りが漂う。
コケに覆われた岩がいくつも点在するほどじめじめしていた。

6号「なーんだか、お化けでも出てきそうですね」
グレアット「おばけさんっ!?」
痛い痛いそんな掴まれたら腕ぷらーんってなっちゃう。
重度の怖がりなのは相変わらずのようだった。
ゆん「こわがせちゃいけませんよ」
モンスメグ「グレアたんってばおこさまー☆」
グレアット「い、いざとなったらこの聖なる炎でこの森ごとっ!」

アリス「それだけはやめてくれ」
そういうのは6号担当でいいんだよ。
6号「今失礼なこと考えてませんでしたか?」
ずいっと至近距離に詰め寄ってきた。
モンスメグ「あっれー!なにあれー!」
ぐいぐい身勝手に前へ走り出すメグ。
またトラブル拾ってくるんじゃないだろうな。お前の特性は、ものひろいじゃなくて厄介事拾いなんだよ。なんにでも首を突っ込むんじゃありません。

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メグが向かった先には、白と水色のボーダーシャツを着た黒頭巾の組織員らしき者たちが何人かで固まっていた。
もう絶対悪の組織だよアレ、同類見つけちゃったよちくしょう。
しかし絡まれないように動こうにも一本道となっている場所で徒党を組んでいるため、どうしようにも見つかってしまう。アクロバットエイパムみたく木をくぐることが出来ればよかったのだが。
などと考えあぐねていると、グレアットが正義感を発揮してしまう。

グレアット「そこまでですよっ、悪党っ!」
悪党の手持ちポケモンが言ってます。

6号「観念するんですね!」
悪党の手持ちポケモンが仰ってます。

モンスメグ「ここで会ってしまったのが、ひゃくねんめんっひゃくねんめんっ♪」
過ぎ去りし景色はロマンティックかい?

ゆん「あなたのお仲間って、面白い子達ですね」
かましいわ。退屈しないだろ?

「おう!危ないことに首を突っ込んじゃいけねえぜ嬢ちゃん!」
「我らアクア団が返り討ちにしてくれるぜ!」
んー?アクア団ー?
確かサカキ様は、ホウエン地方の悪の組織は我がロケット団の傘下に下ったとかなんとか……。
アクア団したっぱ「覚悟しな!」
アリス「ちょっと待て」
ボクは、ロケット団のブランドが入ったなかよしバッヂを見せつけた。
そいつを目にした瞬間、翻って姿勢を正し敬礼を取る一同。
アクア団したっぱ「は!これはとんだご無礼を!」
アクア団したっぱ「幹部さまもお人が悪い!」
アリス「分かればいいんだよ」

6号「うっわー、あれが虎の威を借る狐ですか」
モンスメグ「ありすちゃんの方がわるものー★」
外野、うるさい。
ゆん「その堂々たる態度、感服します」
グレアット「アリスさん、かっこいいですっ」
なぜか嬉しくない。

アクア団したっぱ「幹部さまはどうしてこんなとこに」
アリス「カナズミに行く途中でな。ここに来るのは初めてなんだ」
アクア団したっぱ「カナズミですかい!でしたらデボンロケットコーポレーションにぜひ一度お越しくだせえ!」
アクア団したっぱ「この地方の地図から通信機器まで取り揃えていやすから!」
ほー。それは助かるな。
デボンという名称になんだか引っ掛かりを感じるけどまあいい。
アリス「だったらそこまで案内を頼む、迷いそうになっててな」
アクア団したっぱ「願ってもない申し出!

アクア団したっぱ「幹部さまはよく見ればまだ幼いおなご、あっしらがお守りしましょう!」
よくわからないけどこの姿が役に立ってるっぽい。
使えるものはなんでも使っちまおう、ボクたちはアクア団のおかげで道行くトレーナーたちから勝負を申し込まれることもなくすんなりとカナズミまで来ることができた。


カナズミシティ


自然と科学の融合を追及する街。
見渡せば、カントーでいうところのハナダとタマムシの中間くらいには発展している。さまざまな研究所らしい施設や大きなお店も構えており、ジムも目に映った。
そして、目の前には案内されたデボンロケットコーポレーション。
3階か4階立てくらいのやや大きめの企業といったところか。
ポケナビってここが製作していたのね、納得。

アリス「とりあえず財団所有っぽいし挨拶しにかますか」
6号「かまさないでください物騒な」
モンスメグ「とつげきーっ♪」

デボンロケットコーポレーション・受付

受付嬢「こちらはお子様がいらっしゃる場所ではありませんよ」
って、言われるだろうからなかよしバッヂに財団印をつけておく必要があったんですね。
アリス「ロケット団最高幹部の者です」
受付嬢「これは失礼しました。社長室へ案内いたします」

6号「いつから最高幹部になったんですか」
グレアット「しー、大人の事情ですからっ」
モンスメグ「かたっくるしくてつまんなーい!」
受付嬢「あちらに化石の復元装置や、開発中の夢を映し出す装置がございます」
モンスメグ「おもしろそー☆」
ゆん「メグちゃんは私と一緒に待っていましょうね」
なんか苦労かけます、ゆんおねえちゃん。

社長室

ツワブキ「おっほん!わしがデボンコーポレーション、ではない。デボンロケットコーポレーションの代表取締役ツワブキムクゲである!」
あ、買収されたんですね。なんとなくそんな気してました。
にしても、ツワブキってどっかで聞いたことあるなぁ。

アリス「ご紹介が遅れました、ボクはアリスと言います。エリカ様からの命によってホウエン地方へ派遣されて来ました」
ツワブキ「おお、キミが!噂は聞いておるよ、しかし思っていたより可憐な子供じゃったの」
6号「可憐……?」
グレアット「6号ちゃんっ」
聞こえてるからなー?
ツワブキ「そちらのお連れは、お仲間かな?」
アリス「あぁ、まぁ。一応同胞としてご挨拶に伺った所存です」
ツワブキ「そうじゃったか、だったらこれを持っていくといい」

ポケナビゲーターを もらった!

ツワブキ「その小さい箱の中には、マップからコール機能、コンディションのサーチや登録したヒトの情報まで入っておる。ここを旅するなら必需品じゃろうて」
アリス「ありがとうございます」
ツワブキホウエンで最も強いといわれる男・ダイゴはわしの息子じゃ、もし出会うことがあればこの手紙を渡してやってくれんか」
アリス「承りました」
そうか、ダイゴの名字がツワブキだったな。
カントーでいうワタルかキサラギの立ち位置にいる奴だ。
今回の目的はバトルではないから、会うかどうかは知らないが。
要件を済ませると、メグが早速提案を持ち出してくる。
モンスメグ「ジムにもごあいさつしちゃおー☆」
アリス「そう急ぐな、まだどんなタイプのジムかもわかってないんだから」
モンスメグ「メグちゃんにおまかせっ☆」
じめんタイプが相手だったらどーすんの。
とりあえず情報収集がてら、まずは今日の宿を取りに……。

モンスメグ「でわいってまいりまーす!メグちゃん抜錨☆」

…………
6号「いいんですか?」
グレアット「言い聞かせて止まる子じゃありませんしっ……」
ゆん「思い立ったが吉日、というお言葉がお似合いですね」

アリス「行くぞてめえらぁ!」

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~~~♪~~~

チャーミングな翼を引き下げて登場
無敵で素敵な衝撃 刺激的な少女
誰もが自然と回りだす神様だって踊りだす
揺れる会場燃える会場ほら案の定
Peace Enjoy!

僕ら時々日々の隙間に彷徨うことだってあるだろう
そんなときパッと目の前そっと照らしてくれるある光
つまらないネタばっかり寄付してちゃつまらない
そんなにハマって抜け出せなかった昨日までの僕ら

爪なんてなくてもいいのさ
空なんか飛べなくていいのさ
僕らこのパーティがあればそう何にでもなれるのさ!

Come On!

Magic 君の紡ぐ魔法は
Burning 僕を熱くする
Playing それはちっぽけなんだ
だけども世界に花を咲かすさ

Ride On 闇を駆け抜けてく
Supreme 愛と空すべて
受け取るすべてがまるでメッセージ
照らしていてよ最後まで

握った手のひらから伝わるのさ君が好き

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